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位相空間

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
使
数学 > 空間収束 > 位相空間

: topological spaceXtopologyX[ 1]









[ 1]



1














()


1-p=2p=1p=




p1p


ε-Nε-δε-pp






()()


()



()()


使

使




使使(=)






{1,2,3}{2}{3}{2,3}{1,2}{2,3}{2}

 ()   XX

  X X

3

(一)

(二)2()

(三)()



 XX ()

X  

X 

1

使


X 


X 

使使

 ()   XX

  X X

33

X  X  XX 

その他の特徴づけ

位相同型

を2つの位相空間とする。

定義 (位相同型) ―  ある全単射

が存在して、

を満たすとき、位相同型であるという。






 ()   (X ,d ) ε > 0  x Xxε-ε-neighborhood





   d Xd  X (X ,d )

xε-ε-ε-ballε-ε-open ballopen ball



 ()  (X ,d )OX3

(一)O

(二)x  O

(三)O

上述の命題の条件3から特に次の系が従う:

 ― 開球はの開集合である。


上述の命題より、が位相の定義を満たす事が従う:


n > 01/n-




X 1

命題 ―  (X ,d )距離空間とし、f : XXを連続な全単射で逆写像も連続なものとする。このとき、

と定義すると、dd'X上に同一の位相構造を定める。


稿









 ()   KKV


3xyVαK
  1. ‖ x ‖ = 0 ⇔ x = 0
  2. ‖ ax ‖ = |a|‖ x ‖
  3. ‖ x + y ‖ ≤ ‖ x ‖ + ‖ y ‖

p1p


v=(v1,...,vn)[ 2]


V1


V




 ()   VV2







 V

有限次元ベクトル空間の場合

Vが有限次元の場合は次の事実が知られている[1]

命題 ―  有限次元の(実もしくは複素)ベクトル空間上定義されるノルムは全て同値である。




使[0,1]

, 
Lp


pLpLq[ 2]



, 
Lp



[ 2]kpCk-

その他の具体例

密着位相、離散位相、補有限位相、補可算位相


  X

X

XX

XX

XX



X




X1 X2X[ 3]




p
V(n)PP P[ 4] R

KKnKS


V(S)Kn

22

加工により得られた位相空間


使 2

n

#

位相空間に関する諸概念


XAA
x  SS y  S

 ([2])   AX 

x  XAO  Xx  O A

AcA

A x  XA

 ([2])   AX 

AA, : interior

A, : exterior

A, : frontier 

なお、境界を表す記号「」は多様体の縁(ふち, : boundary)を表す記号としても使われるが、両者は似て非なる概念なので注意が必要である。

閉包

さらに閉包を次のように定義する:


 ()   A X 

A , : closure

AA

定義から明らかに次が成立する:

命題 (内部と閉包の関係) ―  

よって内部と閉包は双対的な関係にあり、内部に関する性質にド・モルガンの法則を適用する事で閉包の性質を導く事ができる。

基本的な性質

定義より明らかに次が成立する。

命題 ―  

  • xXAの外点 ⇔ xOを満たすある開集合OXが存在し、OAc
  • xXAの境界点 ⇔ xOを満たす任意の開集合OXに対し、 かつ
  • xXAの触点 ⇔ xOを満たす任意の開集合OXに対し、

Xx  OO  Xx  OO  Xxε-xε-



    A

X 

A

内部、閉包の性質

内部および閉包は以下のようにも特徴づけられる事が知られている:

命題 (内部および閉包の特徴づけ) ―   位相空間の任意の部分集合Aに対し次が成立する:

  • Aに含まれる最大の開集合に一致する[2]
  • Aを含む最小の閉集合に一致する[2]

内部の概念は以下を満たす:

定理 (内部の性質) ―  位相空間Xの任意の部分集合ABに対し、以下が成立する[2]

である事を用いて、以上で述べた内部に関する結果をド・モルガンの法則により閉包の結果に翻訳できる:

定理 (クラトウスキイの公理系[3][4]) ―  位相空間Xの任意の部分集合ABに対し、以下が成立する:







[2]

[2]

使使使

定理 (内核作用素による位相の特徴づけ[2]) ―  Xを集合とし、Xの冪集合からそれ自身への写像

で、が「定理(内核作用素の性質)」で述べた4性質を満たすものとする。

このときX上の位相構造で位相空間の内核作用素がに一致するものがただ一つ存在する の開集合系は具体的には以下のように書ける:

である事を用いて、以上の結果を閉包作用素の結果に翻訳できる:

定理 (閉包作用素による位相の特徴づけ) ―  Xを集合とし、Xの冪集合からそれ自身への写像

で、クラトウスキイの公理系を満たすものとする。

このときX上の位相構造で位相空間の閉包作用素がに一致するものがただ一つ存在する[3][4]の閉集合系は具体的には以下のように書ける:

その他の関連概念

集積点、導集合


 ()   AX

xXxA[2]

AAd[2]

A[2]

定義より明らかに次が成立する。


   

x  XA  x OO  XOxA

x  XA  x Ax  OO  XOxA


稠密

定義 (稠密) ―  Aが位相空間稠密な部分集合であるとは、A の閉包が X に一致することである。


X A 



x使




 ()   xX

x  O

x, : open neighborhood X NNx , : neighborhood[5]

O  Xx  O N

xx[5]xx

: neighborhood filter


xNx  O NO

 ()   xXxx[6]

x  B N

近傍概念は収束などxの局所的な振る舞いを記述する際に用いられるので、多くの場合全ての近傍を考える代わりに、基本近傍系のみを考えれば十分である。例えば次が成立する:

命題 ―   を位相空間の点xにおける基本近傍系とする。このとき、

  • xXAの内点 ⇔
  • xXAの外点 ⇔
  • xXAの境界点 ⇔ かつ
  • xXAの触点 ⇔
  • xXAの集積点 ⇔ Nx以外にAの元を含む。

xε-ε-ε-




 ([5])   xXNN'M



ハウスドルフの公理系を満たす近傍系は位相を特徴づける:

定理 (近傍系による位相の特徴づけ) ―  Xを集合とし、Xの元にXの冪集合の冪集合の元を対応させる写像

がハウスドルフの公理系を満たしたとする。このときX上の位相構造で位相空間の各点xの近傍がに一致するものがただ一つ存在する[5]は具体的には以下のように書ける:

収束

本節の目標は、位相空間上での収束概念を定義し、収束概念によってこれまで述べてきた様々な概念を捉え直す事にある。 位相空間における収束概念は、距離空間における点列の収束概念を適切に修正する事により得られる:


 ()   XXx




2

(一)ε-

(二)

1ε-2






#

有向点族

すでに述べたように位相空間では点列の概念を一般化した有向点族の概念を定義した上でその収束を定義する。本節では有向点族の定義を与える。その為にまず有向集合の概念を定義する

定義 (有向集合) ―  空でない集合ΛΛ上の二項関係「≤ 」の組 (Λ, ≤)有向集合(ゆうこうしゅうごう、: directed set)であるとは、「≤ 」が以下の性質を全て満たす事を言う[7]:

  • 反射律∀λ∈Λ : λ ≤λ
  • 推移律∀λ,μ,ν∈Λ : λ ≤ μ, μ ≤ν ⇒ λ ≤ ν
  • Λの任意の二元が上界を持つ。すなわち∀λ,μ∈Λ∃ν∈Λ : λ ≤ ν, μ ≤ν

なお、有向集合の二項関係「≤ 」は、反射律と推移律を満たすのものの反対称律は満たす必要がないので、前順序ではあるものの順序の定義は満たしていない。


 ()  XX(xλ)λΛΛ[7][ 5] (: net) Moore-Smith (: Moore-Smith sequence[8])generalized sequence[8]


具体的にはXに値を取る点列や、実数を定義域に持つX値関数fから定義される族上に自然な順序を入れた場合に有向点族になるので、これらの収束概念は有向点族の収束概念により定式化できる。

しかしより重要なのは、以下に述べる開近傍系を添字集合に取る有向点族である


 ()   aXa


X




Ua





使使

定義 (部分有向点族) ―  Xを集合とし、X上の有向点族に対し、以下の性質を満たすh : ΓΛが存在するとき、部分有向点族という[9]

(2を強共終性(: strong cofinality[10])という)


hh Tychonoff plank

h x nΓ

(Kelly 1975)[10][11][10][11]

収束の定義

以上の準備のもと、有向点族の収束の概念を定義する。


 ()   XaX

U (a ) 
[7]a




xxUU

xε



相異なる2点を分離するそれぞれの開近傍

 ()   21T2-[12]

X 

X2xyxUyVUV'=

T2-T1-T3-




 ()   AX

AA(xλ)λΛaXaA[13]

aAA(xλ)λΛ(xλ)λΛa[13]

aA(xλ)λΛ(xλ)λΛa[13]

上の定理の閉集合に関する部分は以下のように非常に簡単に示せる。他のものの証明も同様である:


22




命題・定義 (有向集合の直積) ―  (Γλ)λΓを有向集合の族とするとき、(Γλ)λΓの集合としての直積

という順序を入れると、は有向集合になる。この順序をいれた(Γλ)λΓの有向集合としての直積という。


 (: Theorem on Iterated limit[14])   ΛλΛΓλ λΛΓλXyλz

(Γλ)λΛ

z[14][15]

極限による位相の特徴づけ

最後に有向点族による極限概念によって位相が特徴づけられる事を見る:


 ([16][15])   XXX

y-

xλyy-

y-y-

y-y-

-

X-
y-収束する

連続性と位相同型


f: X Y使

f2調f: X Y




XfxX

 ()   f: X YxX22fxX(: continuous)x()
  • xに収束する任意の有向点族に対し、に収束する。
  • f(x)の近傍のfによる逆像はxの近傍である。すなわち、
      

我々はXにハウスドルフ性を仮定していないので、以上の定理で有向点族の収束の一意性が保証されていない事に注意されたい。

全点での連続性

関数が定義域上の任意の点xXで連続であるとき、f定義域の全点で連続、あるいは単に連続であるという。fの連続性は以下のようにも特徴づける事ができる。


 ()  

f

[17]

[17]

AX[17]

一様連続と一様収束





位相同型


 ()   f : X Yf f f  f1 

XY 



()()


χ

X  Yχ(X )=χ(Y )



χ(X )χ(Y ) X Y



X 1Y 2X  Y

X = [0,1]

Y = [0,1][2,3]

[,]


位相の比較、生成

位相同士の比較


 ()   X 2


: weak : strong

//(: coarse/fine)/(: small/large)使

よりも粗い必要十分条件は、恒等写像

が連続な事である。したがってで収束する有向点族はでも収束するが、逆は必ずしも成立しない。

位相の生成

本節ではXのべき集合の任意の部分集合から作る方法を述べる。


 ()   XX

: weakest topology: generate[6]

, : open subbase



 ()  

, : open baseopen basis[6]
任意の開集合(≠)はの元の(有限個または無限個の)和集合として書き表せる。すなわち

   


[6]



 ()   x





x

Xが距離空間の場合はxε-近傍xの基本近傍系をなしていたので、は開基をなす。


最後に、開基の概念で位相空間を特徴づける方法を述べる:

定理 (開基による位相の特徴づけ) ―  Xを集合とする。このとき、が何らかの位相の開集合系の開基である必要十分条件は、以下の条件を満たすことである[6]

位相全体のなす順序


/X




)



位相空間の導出






[][]




 ()   X




X

始位相の特殊な場合として、以下のものが重要である。以下でXは集合である。

名称 定義
逆像位相 位相空間と写像Xに定める始位相の事
部分位相 位相空間の部分集合Xに対し、包含写像による逆像位相。X に部分位相を入れたものを部分空間という。
直積位相(チコノフ位相とも) を位相空間の族とするとき、射影の族によってYに定義される始位相の事。直積Yに直積位相を入れた位相空間を直積空間という。

これらはより具体的に書き表す事が可能である:


  





, λ

ΛλΛ()






定義 ― 位相空間の族に対し、

を開基とするの位相を箱型積位相英語版という[18]

箱型積位相は直積位相より強い(弱くない)位相である。

終位相、像位相、商位相、直和位相

まず始位相と双対的に終位相を定義する:


 ()   X




X

X
名称 定義
像位相 位相空間と写像Xに定める終位相の事。
商位相 を位相空間とし、「」をY上の同値関係とし、[x]でこの同値関係におけるxYの同値類を表すとき、商写像が商集合 に定義する像位相の事。
直和位相 を位相空間の族とするとき、 から集合族 直和への包含写像の族 によって直和 に定義される終位相の事。

これらはより具体的に書き表す事が可能である:


  






位相的性質

位相空間の定義それ自身は可能な限り一般的に定義されているため、個々の応用では位相空間にプラスアルファの性質を付け加えたものを考えることが多い。

本節では、そうしたプラスアルファの性質のうち代表的なものを紹介する。

分離公理


 X2()(separate)



X 2 xy xy  UV 
2

 x y(separate) X 


位相空間 名前
T0 コルモゴロフ空間
T1 フレシェ空間(到達可能空間)
T2 ハウスドルフ空間
完備ハウスドルフ空間、ウリゾーン空間
T3 正則空間、正則ハウスドルフ空間
チコノフ空間、完全正則空間
T4 正規ハウスドルフ空間
T5 全部分正規ハウスドルフ空間
T6 完全正規ハウスドルフ空間

連結性

連結性とは、直観的には位相空間が「ひとつながりである」 という性質である。閉区間 [0,1] は連結性をもつ(連結である)が、二つの交わらない閉区間を合併した という位相空間は連結ではない。

コンパクト性


X

X

X

Xf









(一)

(二)

(三)

323使


23232


X X ()


第一可算公理 X の任意の点 x に対し、x の近傍系は可算な基本近傍系を持つ
第二可算公理 X の開集合系は可算な開基を持つ
可分 X は稠密な可算部分集合を持つ

性質と例




 

 



()()







 X d ()d X 


発展的なトピック

コンパクト開位相


      




 {W(K, O) : K X}  : compact-open topology


: continuum



 







 X





()

()()



X X 

() ()



   


    : Vietoris topology : powerspace: hyperspace


ZFC


2()

()


X X 



: 

:  



脚注

注釈



(一)^ ab

(二)^ abcpLpp L pp

(三)^ x, y X

(四)^ 

(五)^ (Λ,)ΛXx : ΛXΛ

出典

  1. ^ 平場誠示. “解析学III 関数解析”. 東京理科大学. p. 6. 2021年2月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k #内田 pp.68-73.
  3. ^ a b #内田 p.71.
  4. ^ a b 位相空間#Kelly p.43.
  5. ^ a b c d #内田 pp.73-74.
  6. ^ a b c d e #内田 pp.79-83.
  7. ^ a b c #Kelly pp.65-66.
  8. ^ a b #Schechter 7.6
  9. ^ #Kelly p.70.
  10. ^ a b c net”. nLab. 2021年2月8日閲覧。
  11. ^ a b #Schechter 7.14
  12. ^ #Kelly p.67.
  13. ^ a b c Kelly p66
  14. ^ a b #Kelly p.69.
  15. ^ a b #Schechter 15.10.節 pp.413-414.
  16. ^ #Kelly pp.73-75.
  17. ^ a b c Kelly p86
  18. ^ #内田 p.95


John L. Kelly (1975/6/27). General Topology. Graduate Texts in Mathematics (27). Springer-Verlag. ISBN 978-0387901251 
KindleASIN : B06XGRCCJ3

L.  ︿197971ISBN 978-4842701318 

︿1986115ISBN 978-4785314019 

Eric Schechter (1997/1/15). Handbook of Analysis and its Foundations. Academic Press. ISBN 978-0126227604 

関連項目

外部リンク