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﹃'''柔道部物語'''﹄︵じゅうどうぶものがたり︶は、[[小林まこと]]による[[日本]]の[[漫画]] |
﹃'''柔道部物語'''﹄︵じゅうどうぶものがたり︶は、[[小林まこと]]による[[日本]]の[[漫画]]。﹃[[週刊ヤングマガジン]]﹄︵[[講談社]]︶にて、[[1985年]]から[[1991年]]まで連載された。[[柔道]]を題材にしている。冒頭部分だけ[[OVA]]化されている。
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== 概要 == |
== 概要 == |
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小林がインタビューで「同時連載していた『[[ホワッツマイケル]]』は仕事と割り切って描いたが『柔道部物語』は感情移入していた」と語っているように、柔道経験者の小林が渾身の力で描いた作品。経験者ならではの技のリアルさやディテールで連載時から話題を呼んだ。 |
小林がインタビューで「同時連載していた『[[ホワッツマイケル]]』は仕事と割り切って描いたが『柔道部物語』は感情移入していた」と語っているように、柔道経験者の小林が渾身の力で描いた作品。経験者ならではの技のリアルさやディテールで連載時から話題を呼んだ。 |
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新入部員歓迎の行事﹁セッキョー﹂など柔道部生活独特の空気感を、柔道への愛情を込めてそのまま描いたのも経験者たちの共感を呼び成功につながった。﹁セッキョー﹂は、作者が在籍していた[[新潟県立新潟商業高等学校]]柔道部で実際に行われていた。また、岬商野球部の1年生が裸でグラウンドで踊る﹁アメフレ﹂も、新潟商業野球部で昭和末期頃まで﹁雨乞いの儀式﹂として実際に行われていた。
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新入部員歓迎の行事﹁セッキョー﹂など柔道部生活独特の空気感を、柔道への愛情を込めてそのまま描いたのも経験者たちの共感を呼び、成功につながった。﹁セッキョー﹂は、作者が在籍していた[[新潟県立新潟商業高等学校]]柔道部で実際に行われていた。また、岬商野球部の1年生が裸でグラウンドで踊る﹁アメフレ﹂も、新潟商業野球部で昭和末期頃まで﹁雨乞いの儀式﹂として実際に行われていた。
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岬商柔道部では新2年生たちの髪が伸びたことを祝って、新3年生が新2年生の頭を好きな物で叩く「おはつ」という儀式があるが、これも過去に[[日本体育大学]]柔道部に代々伝わる伝統行事であった(現在は行われていない)。『[[七帝柔道記]]』には北海道大学柔道部のパンツ |
岬商柔道部では新2年生たちの髪が伸びたことを祝って、新3年生が新2年生の頭を好きな物で叩く「おはつ」という儀式があるが、これも過去に[[日本体育大学]]柔道部に代々伝わる伝統行事であった(現在は行われていない)。『[[七帝柔道記]]』には北海道大学柔道部のパンツ1枚になっての数時間に及ぶ新入生の「セッキョー」が生々しく描かれている。 |
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== あらすじ == |
== あらすじ == |
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岬商業高校に進学した主人公、三五十五(さんごじゅうご)は、ひょんなことから柔道部を見学(仮入部)することになるも、新入部員歓迎という伝統のしごき「セッキョー」で地獄を見る。これに憤りを感じるが、負けん気の強い三五は柔道を続けることを決意する。そして三五は必殺の[[背負い投げ]]を会得し、岬商の |
岬商業高校に進学した主人公、三五十五(さんごじゅうご)は、ひょんなことから柔道部を見学(仮入部)することになるも、新入部員歓迎という伝統のしごき「セッキョー」で地獄を見る。これに憤りを感じるが、負けん気の強い三五は柔道を続けることを決意する。そして三五は必殺の[[背負い投げ]]を会得し、岬商の救世主となる。 |
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== 登場人物 == |
== 登場人物 == |
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==== 柔道部(三五と同学年) ==== |
==== 柔道部(三五と同学年) ==== |
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;三五 十五([[声優|声]]:[[松本保典]]) |
;三五 十五([[声優|声]]:[[松本保典]]) |
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:この作品の''' |
:この作品の'''主人公'''。1年当時168cm、65kg。階級は軽中量︵旧中量‥71kg以下︶級。
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:十五という名は父親がふざけて名づけた。 |
:十五という名は父親がふざけて名づけた。 |
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:中学生の頃は根っからの文化系で[[吹奏楽]]部に所属して[[サクソフォーン|サックス]]を担当しており、学力は常にトップクラスで、中学2年の期末テストで5教科で満点を取ったこともあった。 |
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:高校でも吹奏楽を続けるつもりだったが、同級生の愛川を勧誘しに教室を強襲した柔道部員に興味を持ち、秋山と共に柔道部に見学に行ったところ、小柴の甘い言葉に騙されて入部してしまう。それでも、負けん気の強さと柔道センスを併せ持っていたことから、猛烈な勢いで上達した。夏休み後の県民大会で、非公式戦ながらレギュラーに抜擢されたところ、初戦の相手である下山田農業の西川に[[背負い投げ]]で一本勝ちを収める鮮烈なデビューを飾る。その直後の新人戦の個人の部では、決勝で江南の樋口を優勢勝ちで下す大金星を挙げて優勝を果たす。その後は先鋒に定着しポイントゲッターとなる。春の高校選手権予選の初戦では5人抜きの快挙を見せ、2戦目では木場工・飛崎守に片手背負いで一本勝ち。2年生になり迎えたインターハイ県予選の団体戦では、決勝で江南と戦い手負いの樋口に引導を渡す勝利を挙げて全国大会出場に大きく貢献。個人戦でも決勝で飛崎守を破って軽中量級県代表の座をも掴んだ。この時団体戦では予選突破を果たし、個人戦でも準決勝まで進み、そこで耕談館・千代崎に敗れたが、結局3位という好成績を収めた。
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:高校でも吹奏楽を続けるつもりだったが、同級生の愛川を勧誘しに教室を強襲した柔道部員に興味を持ち、秋山と共に柔道部に見学に行ったところ、小柴の甘い言葉に騙されて入部してしまう。それでも、負けん気の強さと柔道センスを併せ持っていたことから、猛烈な勢いで上達した。夏休み後の県民大会で、非公式戦ながらレギュラーに抜擢されたところ、初戦の相手である下山田農業の西川に[[背負い投げ]]で一本勝ちを収める鮮烈なデビューを飾る。その直後の新人戦の個人の部では、決勝で江南の樋口を優勢勝ちで下す大金星を挙げて優勝を果たす。その後は先鋒に定着しポイントゲッターとなる。春の高校選手権予選の初戦では5人抜きの快挙を見せ、2戦目では木場工・飛崎守に片手背負いで一本勝ち。2年生になり迎えたインターハイ県予選の団体戦では、決勝で江南と戦い手負いの樋口に引導を渡す勝利を挙げて全国大会出場に大きく貢献。個人戦でも決勝で飛崎守を破って軽中量級県代表の座をも掴んだ。この時団体戦では予選突破を果たし、個人戦でも準決勝まで進み、そこで耕談館・千代崎に敗れたが、結局3位という好成績を収めた。
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:鷲尾世代の引退後は主将を務め、団体戦では大将として活躍を続ける。春の高校選手権は、花形・飛崎健二・大脇を擁する江南を破って県代表となり、準決勝で千代崎に雪辱を果たして決勝にまですすんだが、耕談館浦安の西野に5人抜きを許し完敗を喫した。全国2位の成績を収めたにもかかわらず西野に圧倒的に敗れたショックは大きかったので、しばらく柔道に身が入らなかった。それでも徐々に回復し、かつてのライバル・樋口と飛崎守のサポートを受けながら、西野を実力で倒すべく、それまで以上の過酷なトレーニングを積むようになった。
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:鷲尾世代の引退後は主将を務め、団体戦では大将として活躍を続ける。春の高校選手権は、花形・飛崎健二・大脇を擁する江南を破って県代表となり、準決勝で千代崎に雪辱を果たして決勝にまですすんだが、耕談館浦安の西野に5人抜きを許し完敗を喫した。全国2位の成績を収めたにもかかわらず西野に圧倒的に敗れたショックは大きかったので、しばらく柔道に身が入らなかった。それでも徐々に回復し、かつてのライバル・樋口と飛崎守のサポートを受けながら、西野を実力で倒すべく、それまで以上の過酷なトレーニングを積むようになった。
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:引退後は、一度は実家の寿司家を継ぐことを決意し、柔道をやめて髪も伸ばしていたが、西野の柔道への情熱の強さに触発され、頭も五分刈りに戻し、O・U大で柔道を続ける決意をする。
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:引退後は、一度は実家の寿司家を継ぐことを決意し、柔道をやめて髪も伸ばしていたが、西野の柔道への情熱の強さに触発され、頭も五分刈りに戻し、O・U大で柔道を続ける決意をする。
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;秋山 一郎(声:[[島田敏]]) |
;秋山 一郎(声:[[島田敏]]) |
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:階級は中量︵旧軽重量‥86kg以下︶級。三五とは小学校時代からの親友。中学時代は |
:階級は中量︵旧軽重量‥86kg以下︶級。三五とは小学校時代からの親友。中学時代は水泳部で、[[自由形]]で県記録を出すほどの実力者だった。
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:高校でも水泳を続けるつもりであったが、三五と一緒に柔道部を見学し、そのまま柔道部へ入部した。体格に恵まれており、順調に上達していく。1年次の新人戦の個人戦でデビューし、初戦を一本勝ちで飾る。黒帯は三五に先駆けて取得した。1年次の高校選手権の予選で補欠ながら晴れて団体戦のメンバー入りを果たした。鷲尾達が引退した後はレギュラーとなる。得意技は恵まれた体躯を活かした[[払い腰]]。2年次の高校選手権では、強豪・天利高校の140kgある飯橋に対し払い腰で有効を奪い勝利を収めている。その大会の途中、会場の外で一緒に話をしていた彼女の平家ゆりと別れた直後、耕談館浦安の一団に絡まれ、仮に決勝に進んだ場合には西野が相手をするから三五を先鋒に出せ、という挑発を受けている。その後決勝で顔をあわせた際には挑発を受けた秋山が志願して先鋒として出場するが、西野に腋固めで左腕を折られて全治6ヶ月の重傷を負ってしまった。結局その後の[[金鷲旗全国高等学校柔道大会|金鷲旗]]・[[全国高等学校総合体育大会|インターハイ]]には出場できなかった。
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:高校でも水泳を続けるつもりであったが、三五と一緒に柔道部を見学し、そのまま柔道部へ入部した。体格に恵まれており、順調に上達していく。1年次の新人戦の個人戦でデビューし、初戦を一本勝ちで飾る。黒帯は三五に先駆けて取得した。1年次の高校選手権の予選で補欠ながら晴れて団体戦のメンバー入りを果たした。鷲尾達が引退した後はレギュラーとなる。得意技は恵まれた体躯を活かした[[払い腰]]。2年次の高校選手権では、強豪・天利高校の140kgある飯橋に対し払い腰で有効を奪い勝利を収めている。その大会の途中、会場の外で一緒に話をしていた彼女の平家ゆりと別れた直後、耕談館浦安の一団に絡まれ、仮に決勝に進んだ場合には西野が相手をするから三五を先鋒に出せ、という挑発を受けている。その後、決勝で顔をあわせた際には挑発を受けた秋山が志願して先鋒として出場するが、西野に腋固めで左腕を折られて全治6ヶ月の重傷を負ってしまった。結局その後の[[金鷲旗全国高等学校柔道大会|金鷲旗]]・[[全国高等学校総合体育大会|インターハイ]]には出場できなかった。
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:ストーリー上随所で味のある台詞を聞かせてくれる、貴重なバイプレイヤーである。三五に恋心を抱いていた同級生の平家に惚れ、やがて両想いになって恋仲に発展している。 |
:ストーリー上随所で味のある台詞を聞かせてくれる、貴重なバイプレイヤーである。三五に恋心を抱いていた同級生の平家に惚れ、やがて両想いになって恋仲に発展している。 |
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;岡(声:[[柴本浩行|柴本広之]]) |
;岡(声:[[柴本浩行|柴本広之]]) |
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:体格に恵まれず |
:体格に恵まれずレギュラーにはなれなかったものの、練習熱心であるところは監督にも認められており、[[黒帯]]も取得する。高い情報収集能力を誇り、ストーリー上欠かせない人物で、いわばマネージャー的存在。「セッキョー」をくらったときは一番の標的にされたが、自分が「セッキョー」をした時は逆に手が付けられなくなり、他の部員が止めたほど。 |
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;名古屋 和彦(声:[[飛田展男]]) |
;名古屋 和彦(声:[[飛田展男]]) |
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:階級は重量︵95kg以上︶級。入学当初は長髪、眼鏡、肥満気味の体型と見るからに[[オタク]]風であった。友人数人と帰宅途中の校舎内で柔道部と野球部の襲撃に遭ったが、名古屋だけが逃げ遅れて小柴に捕まってしまい、結局柔道部に入部した。三五や秋山よりも早いタイミングの入部であり、ごく初期の頃は後から入った |
:階級は重量︵95kg以上︶級。入学当初は長髪、眼鏡、肥満気味の体型と見るからに[[オタク]]風であった。友人数人と帰宅途中の校舎内で柔道部と野球部の襲撃に遭ったが、名古屋だけが逃げ遅れて小柴に捕まってしまい、結局柔道部に入部した。三五や秋山よりも早いタイミングの入部であり、ごく初期の頃は後から入った2人に敵愾心も見せるが、すぐに天才的な手抜き、サボりの術を身につける。そのため付いた通称が﹁流しの名古屋﹂。1年時に行われた江南・下山田農との合同合宿時に、他の岬商の部員が過酷な練習と食欲不振の余り体重を減らす中で、名古屋だけは手抜きの練習を続けて食欲旺盛だったので、それ以後体重が急激に増加し、最終的には身長が170cmないのに体重は100kgを越えてしまう。柔道部に居続ける理由は入部時に受けた﹁セッキョー﹂を次の代の部員に行うためのみ。2年になってからはちょび髭にモヒカンという風貌に変化し、﹁セッキョー﹂の際には先陣を切って取り仕切った。これで柔道部に居る理由はなくなったが、その後上級生から﹁オハツ﹂を受けたので、3年になって﹁オハツ﹂をするために部に残った。その他にも独特の個性で存在感を示す場面は多い。新人戦の個人戦では初戦であたった﹁下農の怪物﹂清水に対し自ら一回転する﹁[[八百長]]﹂行為を3回も犯して失格となり、自分の代の主将を決める際には後輩5人に[[お好み焼き]]をおごって自らに票を入れるよう指示するという選挙違反を犯し、3年次の金鷲旗の前には主将の三五を差し置いて率先して気勢をあげている。2年次の秋には黒帯を取得している。
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;八木(声:[[梅津秀行]]) |
;八木(声:[[梅津秀行]]) |
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:中学時から柔道をやっているが、入部時には段位は持っていない。それは中学時代に昇段審査を受けてはいたが、 |
:中学時から柔道をやっているが、入部時には段位は持っていない。それは中学時代に昇段審査を受けてはいたが、警察学校生に絞めをやられるなどして、受かってはいなかったからである。髪にはこだわりがあり、7000円かけてセットするほどであった。それゆえ﹁セッキョー﹂後の五厘刈り指令を、部に残った1年生の中で唯一無視するが、結局小柴達によりバリカンで刈られてしまう。2年以降はほとんど描かれなくなってしまい、3年次には名古屋と共にやる気の無い態度で柔道をしていた。2年次の秋には黒帯を取得している。
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;内田 修一(声:[[高木渉]]) |
;内田 修一(声:[[高木渉]]) |
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:182cm、80kg。中学から柔道をやっている。山下中出身で、中学時は主将だった。入学時は初段で、同級生の中では一番の実力者であった。 |
:182cm、80kg。中学から柔道をやっている。山下中出身で、中学時は主将だった。入学時は初段で、同級生の中では一番の実力者であった。内股を得意とする。実力は高いものを持ち、1年生の最初の大会からBチームとはいえレギュラーで出場し、初戦で一本勝ちを収める。鷲尾世代からは三五と共に団体戦の固定レギュラーとなる。2年次の秋からは三五をサポートする副将のような役割を担う。団体戦でも副将に定着した。実力は全国の並み居る強豪にはさすがに劣ったが、それでも副将として要所で活躍を収めた。2年次の高校選手権の準決勝で耕談館と当たった際には、大将の千代崎と対戦して優勢負けを喫するが、千代崎を寝技に誘って時間一杯まで苦戦させることで、続く大将・三五の援護射撃を果たした。そして、3年次の金鷲旗の耕談館浦安戦では同じく副将であり実力で自分を上回る松戸を相手によく粘って引き分けて、大将戦へのお膳立てを果たした。
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:作中、何故か個人戦に出場することはなかった。 |
:作中、何故か個人戦に出場することはなかった。 |
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;村井 克弥(声:[[タカヤマツトム|高山勉]]) |
;村井 克弥(声:[[タカヤマツトム|高山勉]]) |
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:名前のモデルは、作者および作者に縁のある漫画家の[[楠みちはる]]、[[服部かずみ]]、[[しもさか保]]、[[川三番地]](本名:田中敬三)からと思われる。 |
:名前のモデルは、作者および作者に縁のある漫画家の[[楠みちはる]]、[[服部かずみ]]、[[しもさか保]]、[[川三番地]](本名:田中敬三)からと思われる。 |
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;五十嵐 寛太(声:[[増岡弘]]) |
;五十嵐 寛太(声:[[増岡弘]]) |
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:岬商の柔道部 |
:岬商の柔道部監督。O・U大学卒。六段所有。
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:現役時代は[[近代オリンピック|オリンピック]]代表候補の本命だった。腕立てや腹筋などの基本的な運動は大の苦手で、厳しい練習には耐えられない根性のなさがあったが、柔道のセンスは折り紙つきで、人の半分の練習で倍以上の成果が出るほどの天才であり、ほとんど全ての技を極めた。当時の体重は72kgだったが、90kgあった後の江南の監督である山崎を全く相手にしなかった。オリンピック出場は目前だったが、大事な試合を宿命のライバル・史村に敗れて落とし、オリンピック出場は叶わなかった。 |
:現役時代は[[近代オリンピック|オリンピック]]代表候補の本命だった。腕立てや腹筋などの基本的な運動は大の苦手で、厳しい練習には耐えられない根性のなさがあったが、柔道のセンスは折り紙つきで、人の半分の練習で倍以上の成果が出るほどの天才であり、ほとんど全ての技を極めた。当時の体重は72kgだったが、90kgあった後の江南の監督である山崎を全く相手にしなかった。オリンピック出場は目前だったが、大事な試合を宿命のライバル・史村に敗れて落とし、オリンピック出場は叶わなかった。 |
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:指導者としては決して情熱や才能があるほうではなく、関係者の間でもどんな強い選手も弱くするという悪い評判があった。自らが天才ゆえに自分以外の人間が強くなる方法がわからず、部員たちが天才であったらいいなと本気で考えているところに問題があった。また、のんびり屋で人の尻を叩くのが嫌いな面も災いしていた。だが、生徒たちが合同合宿で江南と下山田農の選手達たちにこてんぱんにされ、強くなりたいと訴えると、ようやく重い腰をあげ、自ら乱取りに加わって技を伝授するようになったり、﹁俺って天才だぜ |
:指導者としては決して情熱や才能があるほうではなく、関係者の間でもどんな強い選手も弱くするという悪い評判があった。自らが天才ゆえに自分以外の人間が強くなる方法がわからず、部員たちが天才であったらいいなと本気で考えているところに問題があった。また、のんびり屋で人の尻を叩くのが嫌いな面も災いしていた。だが、生徒たちが合同合宿で江南と下山田農の選手達たちにこてんぱんにされ、強くなりたいと訴えると、ようやく重い腰をあげ、自ら乱取りに加わって技を伝授するようになったり、﹁俺って天才だぜ〜﹂に代表される独自の自己暗示を生徒に伝授するようになったりして、三五達を急成長させた。それでも他力本願主義は変わらず、岬商がピンチに陥るとしばしば神様に祈ったり愛車﹁マドンナ﹂に救いを求めたりしていたが、何故かそれらは功を奏することが多かった。現役引退後100kgを超えた体重も、三五たちへの指導によって体が絞られ、物語中盤以降は引き締まった体形に変化している。
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:常に自動車関連の雑誌を手放さない車好きで、愛車は[[ダイハツ・ミラ]]で名前は﹁マドンナ﹂。だが、100kgを超えた体格には軽自動車は似合わないと買い替えを熱望していたが、あまりに長く乗っていたあまりマドンナが感情を持ってしまい、またこの車に買い替えない事を公約して柔道部の勝利を祈願し達成出来たので、そのまま乗用する事になった。口癖は﹁どおしたぁ |
:常に自動車関連の雑誌を手放さない車好きで、愛車は[[ダイハツ・ミラ]]で名前は﹁マドンナ﹂。だが、100kgを超えた体格には軽自動車は似合わないと買い替えを熱望していたが、あまりに長く乗っていたあまりマドンナが感情を持ってしまい、またこの車に買い替えない事を公約して柔道部の勝利を祈願し達成出来たので、そのまま乗用する事になった。口癖は﹁どおしたぁ〜﹂﹁む﹂。
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:作者・小林まことの高校柔道部時代の監督がモデル。 |
:作者・小林まことの高校柔道部時代の監督がモデル。 |
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==== 三五の同級生 ==== |
==== 三五の同級生 ==== |
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;平家 ゆり |
;平家 ゆり |
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: |
:眼鏡がトレードマークの非常におとなしく真面目な女の子。物語の序盤より三五に恋心を抱くと同時に、三五の無限大の可能性も感じ取り、三五に彼女がいると知り、また周りが柔道部をさげすむ中でもなお、三五を応援しつづける。だが、秋山に惚れられていたこともあり、1年次の高校選手権県予選を機に秋山との仲を急速に深める。2年次のインターハイ予選の会場で原田に初めて会うが、派手な格好をした原田を見て、三五が派手な女好きと勘違いして三五を見損なってしまう。また、原田の能天気な奔放さを見て秋山に﹁あの女が三五君をだめにする﹂と漏らす一幕もある。だが、両者はやがて互いに親しくなり、共に三五と岬商柔道部を応援するようになる。
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:鷲尾の放屁と五十嵐先生の局部露出により2度失神させられている。 |
:鷲尾の放屁と五十嵐先生の局部露出により2度失神させられている。 |
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;愛川(声:[[桜井敏治]]) |
;愛川(声:[[桜井敏治]]) |
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110行目: | 110行目: | ||
=== 岬高校 === |
=== 岬高校 === |
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;原田 ひろみ(声:[[鷹森淑乃]]) |
;原田 ひろみ(声:[[鷹森淑乃]]) |
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:三五の彼女。三五とは小学校時代からの同級生。中学の卒業間際に三五に告白され恋仲になるが、三五とは別の高校に進学する。1年時では三五が柔道に熱中していた |
:三五の彼女。三五とは小学校時代からの同級生。中学の卒業間際に三五に告白され恋仲になるが、三五とは別の高校に進学する。1年時では三五が柔道に熱中していたために一度離れるが、2年進級と同時によりを戻し、柔道に取り組む三五を積極的に応援するようになる。
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:派手好きかつ遊び好きであり、三五という彼氏がいるにもかかわらず他の男と平気でデートをしたり遊んだりすることもあった。また、もともとかなり美人だったが、高校生になって美貌にますます磨きがかかり、道ですれ違った老人を失神させるほどであった。 |
:派手好きかつ遊び好きであり、三五という彼氏がいるにもかかわらず他の男と平気でデートをしたり遊んだりすることもあった。また、もともとかなり美人だったが、高校生になって美貌にますます磨きがかかり、道ですれ違った老人を失神させるほどであった。 |
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:3年のとき、三五が金鷲旗に出場するために家を出る前日に、車の免許を取得したが、運転技術も知識も心構えも著しく欠損しており、衝突事故、信号無視、整備不良などの違反を繰り返す有様だった。
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:3年のとき、三五が金鷲旗に出場するために家を出る前日に、車の免許を取得したが、運転技術も知識も心構えも著しく欠損しており、衝突事故、信号無視、整備不良などの違反を繰り返す有様だった。
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118行目: | 118行目: | ||
;樋口 久 |
;樋口 久 |
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:三五と同い年であり、物語前半のライバル。階級は三五と同じ軽中量級。得意技は[[袖釣込腰|袖釣り込み腰]]。
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:三五と同い年であり、物語前半のライバル。階級は三五と同じ軽中量級。得意技は[[袖釣込腰|袖釣り込み腰]]。
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:プロ野球東京マイケルズの4番、樋口一正の |
:プロ野球東京マイケルズの4番、樋口一正の従弟という血統書付きの素質を持つ。5歳のときから柔道をやっていて、中学時に全国ベスト8に輝く。そして江南進学後すぐのインターハイで、1年生ながら優勝してしまう。だが、新人戦の個人戦決勝では、合同合宿の試合では全く相手にしなかった三五に対し、よもやの敗戦を喫してしまう。 |
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:三五に敗れたことで気は引き締まったが、勢い任せの三五の実力は自分や木場工業の飛崎守に敵うものではないと見なしていた。だが、練習中に大脇に右肘を怪我させられて、高校選手権の県予選では補欠となってしまうが、その際目の前で片手の背負いで飛崎を投げる三五の姿を見せつけられたことで、三五への強烈なライバル心を抱く。しかし、春休みに特別参加した耕談館付属及び耕談館浦安との合同合宿で、西野との練習中に背骨をずらす大怪我を負い、 |
:三五に敗れたことで気は引き締まったが、勢い任せの三五の実力は自分や木場工業の飛崎守に敵うものではないと見なしていた。だが、練習中に大脇に右肘を怪我させられて、高校選手権の県予選では補欠となってしまうが、その際目の前で片手の背負いで飛崎を投げる三五の姿を見せつけられたことで、三五への強烈なライバル心を抱く。しかし、春休みに特別参加した耕談館付属及び耕談館浦安との合同合宿で、西野との練習中に背骨をずらす大怪我を負い、医師から一生柔道はできないと診断される。それでも三五と決着を付けるために最後の気力を振り絞って2年次のインターハイ予選の団体戦に出場して勝ち上がり、決勝では先鋒として三五と死闘を演じ、最後は片襟背負いに屈した。
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:引退後は岬商の試合をたびたび見学に訪れたり、飛崎守と共に岬商を訪れて三五をはじめとする部員に稽古をつけたりする。 |
:引退後は岬商の試合をたびたび見学に訪れたり、飛崎守と共に岬商を訪れて三五をはじめとする部員に稽古をつけたりする。 |
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;大脇 |
;大脇 |
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199行目: | 199行目: | ||
=== その他の高校の柔道選手 === |
=== その他の高校の柔道選手 === |
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;飛崎 守 |
;飛崎 守 |
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:木場工業高柔道部員で三五の1学年上。階級は軽中量級。強烈な |
:木場工業高柔道部員で三五の1学年上。階級は軽中量級。強烈な内股が武器でその切れ味はカミソリにたとえられている。自身が1年の時には新人戦で優勝するほどの実力者だが、学校自体が強豪でないこともあり全国大会には一度も出場できなかった。三五とは2年の時の新人戦個人戦の準決勝であたるはずだったが、準々決勝で左脚を負傷してしまったために、不戦敗となってしまう。その後の春の高校選手権の県予選にて念願の初対戦を果たし技ありをとって三五を苦しめるが、終了間際に三五の片手背負いに屈した。3年次のインターハイ県予選の決勝で再び顔を合わせ熱戦を展開するが、内股を透かされ一本負けを喫した。その直前の団体戦決勝の際には、対戦中に手負いの樋口と戦うことにためらいを見せる三五に対し、樋口に引導を渡してやる様に激励している。引退後は樋口とともに、三五のもとを訪れて度々特訓を課すだけでなく、岬商の全国大会での戦いを欠かさず観戦している。
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;宮沢 |
;宮沢 |
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:木場工業高柔道部員で三五の1学年上。三五の柔道人生における初黒星の相手。三五が1年の時の春の高校選手権県予選で対戦し、飛崎と試合をした直後で気が抜けていた三五の隙をついて諸手刈りにて一本勝ちを収めた。だが元来の実力は高くなく、その後小柴に一本負けを喫している。 |
:木場工業高柔道部員で三五の1学年上。三五の柔道人生における初黒星の相手。三五が1年の時の春の高校選手権県予選で対戦し、飛崎と試合をした直後で気が抜けていた三五の隙をついて諸手刈りにて一本勝ちを収めた。だが元来の実力は高くなく、その後小柴に一本負けを喫している。 |
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226行目: | 226行目: | ||
:五十嵐監督の細君。勝気でしっかり者の女房。洗濯や雑用の為に合宿にまで同行し、その後は妊娠するまで全国大会も含めて全試合観戦するなど、なかなかのバイタリティの持ち主。のんびり屋の五十嵐の尻叩き役。五十嵐の現役時のファンで手紙を頻繁に送り射止めたが、結婚後の五十嵐の怠惰さや物欲に対して後悔している。終盤で1女を儲ける。
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:五十嵐監督の細君。勝気でしっかり者の女房。洗濯や雑用の為に合宿にまで同行し、その後は妊娠するまで全国大会も含めて全試合観戦するなど、なかなかのバイタリティの持ち主。のんびり屋の五十嵐の尻叩き役。五十嵐の現役時のファンで手紙を頻繁に送り射止めたが、結婚後の五十嵐の怠惰さや物欲に対して後悔している。終盤で1女を儲ける。
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;泉谷 |
;泉谷 |
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:雑誌﹃現代柔道﹄の編集者。柔道の取材では、史村と行動を共にすることも多い。史村と共に岬商および三五の成長を見守ってくれる存在。試合会場では、谷という名前の |
:雑誌﹃現代柔道﹄の編集者。柔道の取材では、史村と行動を共にすることも多い。史村と共に岬商および三五の成長を見守ってくれる存在。試合会場では、谷という名前のカメラマンの部下を連れている。
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;山下泰呂比 |
;山下泰呂比 |
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:三五が3年のときの金鷲旗大会決勝・岬商業高対耕談館浦安高戦を裁いた主審。モデルは[[山下泰裕|一目瞭然]]だが、何故このような非現実的な名前になったかは不明。 |
:三五が3年のときの金鷲旗大会決勝・岬商業高対耕談館浦安高戦を裁いた主審。モデルは[[山下泰裕|一目瞭然]]だが、何故このような非現実的な名前になったかは不明。 |
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*部活動の汗臭さを前面に出し、練習の描写がかなり大きい。当時連載時期が同じだった『[[週刊少年サンデー]]』の『[[帯をギュッとね!]]』とよく比較される作品でもある。 |
*部活動の汗臭さを前面に出し、練習の描写がかなり大きい。当時連載時期が同じだった『[[週刊少年サンデー]]』の『[[帯をギュッとね!]]』とよく比較される作品でもある。 |
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*単行本第2巻111~112ページ目で岬商野球部が決勝戦でラジオ中継を聞くシーンでは、試合の得点が合わない。九回の表が終わり3対2で岬商が勝っているが、九回の裏逆転され4対2で負けたと記されている。 |
*単行本第2巻111~112ページ目で岬商野球部が決勝戦でラジオ中継を聞くシーンでは、試合の得点が合わない。九回の表が終わり3対2で岬商が勝っているが、九回の裏逆転され4対2で負けたと記されている。 |
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*作者の欠点でもある遅筆の影響で、連載当時は休載が多かった。作品内での試合が盛り上がっているのに何の前触れもなく休載になってしまい、テンションが落ちた読者は多かった。 |
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*作品自体の欠点としては、試合場の畳の枚数が実際のものと違ったり、全日本選手権︵五十嵐先生の回想シーン︶にて同大会では禁止されている部旗が掲げられていたり、細かい部分には難も見られる。また三五が1年のときの斉藤の肩書きが﹁主将﹂ではなく﹁部長﹂である。
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*作品自体の欠点としては、試合場の畳の枚数が実際のものと違ったり、全日本選手権︵五十嵐先生の回想シーン︶にて同大会では禁止されている部旗が掲げられていたり、細かい部分には難も見られる。また三五が1年のときの斉藤の肩書きが﹁主将﹂ではなく﹁部長﹂である。
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*作者の小林が[[新潟県]]出身のためか、作品の舞台は﹁新賀田県﹂ということになっている。三五が小柴に街中で﹁サッ﹂と挨拶をする場所は[[東日本旅客鉄道|JR]][[新潟駅]]の万代口の雰囲気がある。作中に描かれる岬商の校舎は新潟商業高校と瓜二つである。﹁[[古町 (新潟市)|古町]]ぶらついて帰るか﹂というセリフも出てくる。夏合宿で出てきた電車は、現在廃止された[[新潟交通]]。
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*作者の小林が[[新潟県]]出身のためか、作品の舞台は﹁新賀田県﹂ということになっている。三五が小柴に街中で﹁サッ﹂と挨拶をする場所は[[東日本旅客鉄道|JR]][[新潟駅]]の万代口の雰囲気がある。作中に描かれる岬商の校舎は新潟商業高校と瓜二つである。﹁[[古町 (新潟市)|古町]]ぶらついて帰るか﹂というセリフも出てくる。夏合宿で出てきた電車は、現在廃止された[[新潟交通]]。
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[[Category:柔道漫画]] |
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[[Category:新潟県を舞台とした作品]] |
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[[Category:小林まこと]] |
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[[Category:1991年のOVA]] |
[[Category:1991年のOVA]] |
2013年5月14日 (火) 15:02時点における版
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