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*: [[アメリカ海軍]]が[[エセックス級航空母艦]]の大半をキャンセルして建造した2隻の氷山空母が登場する。全長1700m、排水量860万トンの「CVB-35 ハボクック」と、史実のハバクックに近い大きさの「ユナイテッド・ステーツ」である。後者は[[ソロモン諸島]]近海の戦闘で日本軍に鹵獲され、「富嶽」と改名されてハボクックと氷山空母同士の一騎打ちを演じることになる。 |
*: [[アメリカ海軍]]が[[エセックス級航空母艦]]の大半をキャンセルして建造した2隻の氷山空母が登場する。全長1700m、排水量860万トンの「CVB-35 ハボクック」と、史実のハバクックに近い大きさの「ユナイテッド・ステーツ」である。後者は[[ソロモン諸島]]近海の戦闘で日本軍に鹵獲され、「富嶽」と改名されてハボクックと氷山空母同士の一騎打ちを演じることになる。 |
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* 『[[鋼鉄の咆哮シリーズ|鋼鉄の咆哮]]』シリーズ(2000年–、[[コーエー]]及び[[マイクロキャビン]]のゲーム) |
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2016年6月2日 (木) 01:04時点における版
氷山空母︵ひょうざんくうぼ︶とは、手頃な大きさの氷山を、洋上基地あるいは自力航行が可能な巨大航空母艦として運用する構想のことである。奇想天外兵器の﹁発明﹂で知られるイギリスのジェフリー・N・パイクが第二次世界大戦中に考案した。氷山の上面や内部を加工し、その巨大な面積を利用し、陸上機も運用可能とする壮大な構想であり、一部モデル実験なども行われた。最終的に、コスト面を理由に計画は中止された。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/79/Block_of_pykrete.jpg/150px-Block_of_pykrete.jpg)
実際に試作されたパイクリート 穴が開いているのは対弾性のテストの ために銃で撃ったため
氷山空母はその対策の1つとして構想された。ルイス・マウントバッテンとパイクによってチャーチル首相に提案された計画は全長約600m、全幅100m、排水量200万トンの氷山空母を作ろうとするもので、カナダから切出した28万個の氷塊から作ろうという計画であった。後には強度を増すためにパイクリートという水と木材パルプを混合した材料に変えられた。これは通常の氷より強度や融点が高い性質を持つ。鉄材で骨組みを作り、装甲にも氷を利用。動力を搭載して単独での航行も可能にする構想も練られた。損傷は海水を凍らせて回復させることも考えられた。
パイクリートと言えども時間の経過とともに﹁溶けてくる﹂ことは避けられないが、これに対しては内部に冷凍機室を設置して船体全体を冷却する構想であった。外部のナセルに取り付けられた26台の電気モータで操船し、18km/hで航行する。40基の4.5インチ動力対空砲などで武装し、150機の双発爆撃機や戦闘機を搭載する予定であった。その巨体と﹁損傷しても海水を流しこんで凍らせれば復旧出来る﹂ことによって、計画では不沈空母となるはずであった。外観の詳細は不明であるが、一般的な船型となる予定であったようである。
この構想はハバクック計画︵Project Habbakuk、資料によってはハボクックと表記されることもある︶と命名され、イギリス、アメリカ、カナダの三カ国による共同開発が行われることになった。計画名は旧約聖書のハバクク書︵Habakkuk︶の一節に因んだといわれている。
なお、まだ大西洋横断飛行が達成されていなかった、達成できるかどうかさえわからなかった頃に、大西洋上に人工島を築いて航空路の中継点にしようという構想︵というより空想︶がかなり流布しており、そこからもヒントを得たと思われる。
構想
第二次世界大戦中のイギリスでは、Uボートなどによって通商破壊活動を行い大西洋航路を脅かすナチス・ドイツに対し、輸送支援のための洋上航空基地を必要としていた。![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/79/Block_of_pykrete.jpg/150px-Block_of_pykrete.jpg)
実験と計画中止
1943年に7000万ドルの予算と8000人の人員を8か月間にわたって投入し、カナダのアルバータ州のルイス湖やパトリシア湖でパイクリート製の長さ18m、幅9mの試作船を作るなどの実験が行われた。しかし実用化には更に莫大なコストがかかると予想され、大西洋の戦況が有利に傾いたこともあって、結局1943年中に計画は中止された。登場する作品
その題材上の魅力から小説やゲームなどの創作世界において度々登場する。
●﹃太平洋の嵐﹄(1987年12月8日発売︶
シナリオ集﹁バンディッツ﹂︵1989年5月11日発売︶のシナリオ﹁ハバクック﹂。
氷山空母﹁ハバクック﹂を深山改で迎撃するシナリオ。
排水量150万t、全長600m、全幅900m、搭載機数250︵注‥本ゲームでは16進数2桁までしか扱えない︶の巨大空母。
●﹃氷山空母を撃沈せよ!﹄︵1993年、伊吹秀明︶
アメリカ海軍がエセックス級航空母艦の大半をキャンセルして建造した2隻の氷山空母が登場する。全長1700m、排水量860万トンの﹁CVB-35 ハボクック﹂と、史実のハバクックに近い大きさの﹁ユナイテッド・ステーツ﹂である。後者はソロモン諸島近海の戦闘で日本軍に鹵獲され、﹁富嶽﹂と改名されてハボクックと氷山空母同士の一騎打ちを演じることになる。
●﹃鋼鉄の咆哮﹄シリーズ︵2000年–、コーエー及びマイクロキャビンのゲーム︶
連合国の超兵器﹃超巨大氷山空母 ハボクック﹄として登場。大量の航空機、大和型戦艦以上の砲に加え、多数の光学兵器を搭載、さらにダメージを海水で回復する。しかし材料が氷なので火炎放射砲に弱い。
●﹃荒鷲の大戦﹄︵2003年–2004年、中里融司︶
●﹃女皇の帝国﹄︵2007年-2010年、吉田親司︶
英米日の共同開発によって建造した3隻の氷山空母が登場し、太平洋に配備される。
●﹃女皇の聖戦﹄︵2011年、吉田親司︶
アメリカ単独で建造した1隻の氷山空母が登場し、大西洋に配備される。
●﹃コードギアス 反逆のルルーシュR2﹄︵2008年、サンライズ制作のSFロボットアニメ︶
植民地エリア11から国外追放された﹁百万人のゼロ﹂を乗せるため登場する。
●﹃怪しい伝説﹄7thシーズン﹁氷の船﹂︵2009年4月15日放送、ディスカバリーチャンネルのノンフィクションテレビ番組︶
氷山空母の話を検証するため小型艇の自作に挑戦。ただし通常のパイクリートでは十分な強度を得られなかったため、骨材としてパルプの代わりに新聞紙を使った。艇は2人を乗せて自走できたが、パイクリートが薄く数十分で溶けてしまった。
●﹃くじびき勇者さま10﹄︵2009年6月1日発売︶︵ライトノベル、清水文化著︶
●﹃不沈の艦隊﹄︵2011年、富永浩史︶
米英ソの共同開発で建造した氷山空母ハボクックが登場し、太平洋に配備される。また、ソ連も単独で天然の氷山を掘削した漂流航空基地1号と2号を配備している。
●﹃宇宙船製造法﹄藤子・F・不二雄著︶
厳密には氷山空母そのものではないが、宇宙の果てに流れ着いた、外装の破損した宇宙船を巨大な氷山に閉じ込めて氷山宇宙船として修理する描写がある。
●﹃銀河英雄伝説﹄
厳密には氷山空母そのものではないが、全長122Km、全幅40Km、全高30,000Kmのドライアイスを改造して建造された宇宙船﹁イオン・ファセガス号﹂が登場。ゴールデンバウム朝銀河帝国の圧政下から逃走するために建造された。
●﹃MASTERキートンReマスター﹄
QUEST4.ハバククの聖夜 にて防弾素材としてジェフリー・パイク博士の学説を活用。