「福音主義」の版間の差分
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ドイツ人新教徒が自身の信仰を示す時、﹁evangelisch﹂という語だけを用いる。[[ルター派]]教会、[[改革派教会]]、[[福音合同教会]]に属している大部分の信徒たちは evangelisch という語だけで信仰を示す。[[ルター派]]であっても Evangelisch の一言で済ませてしまう。
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ドイツ人新教徒が自身の信仰を示す時、﹁evangelisch﹂という語だけを用いる。[[ルター派]]教会、[[改革派教会]]、[[福音合同教会]]に属している大部分の信徒たちは evangelisch という語だけで信仰を示す。[[ルター派]]であっても Evangelisch の一言で済ませてしまう。
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[[プロテスタント]]という語も存在するが、個人の信仰を表明する場合にはあまり用いられない。[[プロテスタント]]という語は[[ルター派]]、[[改革派教会]]という特定の教派ではなく、[[宗教改革]]から生まれた教会全体を指す。自由主義が支配的だった19世紀から20世紀初めのドイツにおいて[[プロテスタント]]という語は現在よりも積極的に使われていた。現代ドイツにおいてプロテスタントという語は福音主義と同じ意味で使われる場合もあるが、教会政治において進歩的路線を支持する人物を指す時に用いられることもある。 |
[[プロテスタント]]という語も存在するが、個人の信仰を表明する場合にはあまり用いられない。[[プロテスタント]]という語は[[ルター派]]、[[改革派教会]]という特定の教派ではなく、[[宗教改革]]から生まれた教会全体を指す。自由主義が支配的だった19世紀から20世紀初めのドイツにおいて[[プロテスタント]]という語は現在よりも積極的に使われていた。現代ドイツにおいてプロテスタントという語は福音主義と同じ意味で使われる場合もあるが、教会政治において進歩的路線を支持する人物を指す時に用いられることもある。逆に、反対の保守派がプロテスタントという語を用いて自らの立場を表明することもある。最近のドイツの福音主義教会では、リベラルな神学の影響が強く、教会の人事等でも進歩派が強い地域が多い。この進歩派優勢の状況に不満を持つ教会内保守派が集会を開催する場合に、主流の進歩派に抗するプロテスタント運動と称することが多いのである<ref>[[村上伸]]『西ドイツ教会事情』[[新教出版社]], p.206</ref>。教会内政治における主流派から外れた左右の集団がプロテスタントという名称を用いることを好むので、このプロテスタントという語は現代ドイツでは政治的色彩を帯び続けている。 |
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=== 概念 === |
=== 概念 === |
2017年12月11日 (月) 22:15時点における版
プロテスタント |
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改革 |
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超教派・その他 |
福音主義・福音派
宗教改革当時
元来、キリスト教において宗教改革の立場を採る考え方を福音主義と呼んだ。21世紀初頭を代表する英国聖公会の福音派神学者であるアリスター・マクグラスによると﹁﹃福音的︵Evangelical︶﹄と言う言葉は16世紀に遡り、カトリックの思想家の中で、信仰や実践について、中世後期の教会と結びついたものよりも、より聖書的なものに立ち返ろうとした人々﹂のことを指して、他のカトリックから区別したとされる。プロテスタントが﹁福音主義・福音派﹂と呼ばれたのは、このように教会における権威の所在を﹁聖書のみ﹂とし、神のことばに求めたからであった。近年の用法
マクグラス他によれば﹁福音派﹂は、今日では大きな4つの前提を中心としている﹂とされる。 ●聖書の権威と十分性 ●十字架上のキリストの死による贖いの独自性 ●個人的回心の必要性 ●福音伝道の必要性・正当性・緊急性 マクグラスは﹁他のすべての事柄はアディアフォラ、つまり﹃無関心に事柄﹄とみなされる傾向がある﹂としている。すなわち、上記4点以外については多様な見解・立場を受け入れるのである。[1]ドイツにおける福音主義
福音主義evangelisch
福音主義は福音に由来している。ドイツでは一般に evangelisch︵エヴァンゲリッシュ︶=﹁福音の﹂ という形容詞で用いられる。現代ドイツにおいて evangelisch は主としてマルティン・ルターあるいは ジャン・カルヴァンの教えにもとづくプロテスタント教会信徒の呼称である。福音主義教会と呼ばれるのは宗教改革の伝統を有する州教会であり、教派としては ルター派教会と改革派教会に分けられる。ルター派と改革派教会が合同して一つの福音州教会を形成する場合もある。その合同派州教会はドイツでは福音合同教会に属している。その場合、教派の伝統に従った礼拝を保持しながら合同している。ドイツの全ての州教会はドイツ福音教会(EKD)に加盟している。州教会とは別に独立した福音主義の自由教会も存在している。 ドイツ人新教徒が自身の信仰を示す時、﹁evangelisch﹂という語だけを用いる。ルター派教会、改革派教会、福音合同教会に属している大部分の信徒たちは evangelisch という語だけで信仰を示す。ルター派であっても Evangelisch の一言で済ませてしまう。 プロテスタントという語も存在するが、個人の信仰を表明する場合にはあまり用いられない。プロテスタントという語はルター派、改革派教会という特定の教派ではなく、宗教改革から生まれた教会全体を指す。自由主義が支配的だった19世紀から20世紀初めのドイツにおいてプロテスタントという語は現在よりも積極的に使われていた。現代ドイツにおいてプロテスタントという語は福音主義と同じ意味で使われる場合もあるが、教会政治において進歩的路線を支持する人物を指す時に用いられることもある。逆に、反対の保守派がプロテスタントという語を用いて自らの立場を表明することもある。最近のドイツの福音主義教会では、リベラルな神学の影響が強く、教会の人事等でも進歩派が強い地域が多い。この進歩派優勢の状況に不満を持つ教会内保守派が集会を開催する場合に、主流の進歩派に抗するプロテスタント運動と称することが多いのである[2]。教会内政治における主流派から外れた左右の集団がプロテスタントという名称を用いることを好むので、このプロテスタントという語は現代ドイツでは政治的色彩を帯び続けている。概念
宗教改革の教会は福音主義という名称を用いることで、聖書のみを典拠にする立場を明確にする。初代教会の信仰告白、教義は定められた規定として認められているが、使徒教父文書のような伝承は単に歴史的に価値のある伝承として用いている。福音主義evangelischと福音派evangelikalの相違
ドイツにおいて、福音主義 Evangelisch という呼称は新しい概念﹁福音派﹂ evangelikal ︵エヴァンゲリカール︶とは区別する必要がある。﹁福音派﹂を指すドイツ語のevangelikalは英語のevangelicalから来ている。英語 evangelical は元々ドイツ語の evangelisch を意味していた。敬虔主義から来たこの大きな流れは evangelikal という語で頻繁に表現されている。そこでの信仰理解において個人の敬虔が大きな役割を果たしている。福音派キリスト者とファンダメンタリストは信仰理解が類似しており、性倫理に関する見解に関してドイツ国内では大きな違いは生じていない。ドイツにおいて福音派 evangelikal は自由教会だけでなく、ドイツ福音主義教会(EKD)に属する州教会にも存在している。教派による福音主義の用語の違い
福音派の立場
福音主義と福音派
日本福音同盟初代理事長の泉田昭は自由主義神学に対して福音主義、エキュメニカル派に対して福音派と定義した。福音派の自己認識は、自らは福音主義であり、福音派だというものである。[3][4] 改革派のジョン・グレッサム・メイチェンの定義によれば自由主義︵リベラリズム︶自体がキリスト教ではないので、穏やかな自由主義と表現せず、かろうじてキリスト教である部分霊感と非キリスト教の自由主義が区別される。ただし、部分霊感も聖書の権威を部分的にしか認めない事から、メイチェンは部分霊感も正統的なキリスト教から離れた立場と看做している。[5]そのため、十全霊感を信じない立場の教会を広い意味でリベラル派と総称することがある。[6][7] 日本キリスト教協議会に加盟する日本基督教団等は、エキュメニズム︵教会合同運動︶にあり、福音主義的ではないとされている[8]。エキュメニカル派の立場
日本基督教団は公式にはプロテスタント主義を掲げるが、日本基督教団内部には﹁教会派﹂と﹁社会派﹂の対立がある。 エキュメニカル派と区別される福音派においては、教会派と社会派の対立はエキュメニカル内部の問題と考えられており、教会派は福音派とみなされていない[9]。 ﹁聖書のみ﹂が宗教改革者マルティン・ルターの原理であったが、現代のプロテスタントがすべてこの原理を受け継いでいるわけではない。プロテスタントの信仰は元々福音主義の名称で語られてきた事実がある。脚注
参考文献
- 宇田進 『福音主義キリスト教と福音派』 いのちのことば社 ISBN 9784264014232
- 宇田進 『現代福音主義神学』 いのちのことば社 ISBN 4264020492
- J・G・メイチェン 『キリスト教とは何か-リベラリズムとの対決』 ISBN 9784791201075
- Albrecht Geck: Warum heißt und warum ist die evangelische Kirche evangelisch? In: Frauke Büchner: Perspektiven Religion. Arbeitsbuch für die Sekundarstufe II. Göttingen 2000, S. 228–229.