「算術」の版間の差分
4th protocol (会話 | 投稿記録) 編集の要約なし タグ: 2017年版ソースエディター |
空の脚注を編集除去 |
||
(19人の利用者による、間の36版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
{{Otheruses|学問分野の算術|ディオファントスが著した数学書|算術 (書物)}}{{出典の明記| date = 2020年12月}} |
{{Otheruses|学問分野の算術|ディオファントスが著した数学書|算術 (書物)}}{{出典の明記| date = 2020年12月}} |
||
{{Expand English|Arithmetic|date=2023-10}} |
|||
[[File:Tables generales aritmetique MG 2108.jpg|thumb|子供の算術書(Lausanne, 1835)]] |
[[File:Tables generales aritmetique MG 2108.jpg|thumb|子供の算術書(Lausanne, 1835)]] |
||
'''算術''' (さんじゅつ、{{lang-en-short|''arithmetic''}}) は、[[数]]の概念や数の[[演算]]を扱い、その性質や計算規則、あるいは計算法などの論理的手続きを明らかにしようとする学問分野である。 |
'''算術''' (さんじゅつ、{{lang-en-short|''arithmetic''}}) は、[[数]]の概念や数の[[演算]]を扱い、その性質や計算規則、あるいは計算法などの論理的手続きを明らかにしようとする学問分野である。 |
||
== 概要 == |
== 概要 == |
||
「算術」という日本語としては、文明開化前後の「[[数学]]」{{en|(mathematics)}} いわゆる西洋数学の本格的な輸入以前は、今日において[[和算]]と呼ばれているような、当時の |
「算術」という日本語としては、文明開化前後の「[[数学]]」{{en|(mathematics)}} いわゆる西洋数学の本格的な輸入以前は、今日において[[和算]]と呼ばれているような、当時の「日本の数学」全般を指していた。なおこの意味では、英語 arithmetic とは必ずしも対応しない場合もある。 |
||
また、算術および {{en|"''Arithmetic''"}} の語は、[[数論]]を指し示す場合もある。 |
また、算術および {{en|"''Arithmetic''"}} の語は、[[数論]]を指し示す場合もある。 |
||
== 四則演算 == |
== 四則演算 == |
||
{{See also|:en:Elementary arithmetic}} |
|||
'''[[加法]]''' {{en|(addition)}}、'''[[減法]]''' {{en|(subtraction)}}、'''[[乗法]]''' {{en|(multiplication)}}、'''[[除法]]''' {{en|(division)}} の4つの演算を、'''四則'''︵しそく︶あるいは'''四則演算'''︵{{Lang-en|Four arithmetic operations}}︶と称する。
|
'''[[加法]]''' {{en|(addition)}}、'''[[減法]]''' {{en|(subtraction)}}、'''[[乗法]]''' {{en|(multiplication)}}、'''[[除法]]''' {{en|(division)}} の4つの演算を、'''四則'''︵しそく︶あるいは'''四則演算'''︵{{Lang-en-short|Four arithmetic operations}}︶と称する。
|
||
歴史的には四則演算を表す記号として、様々な記号が用いられたが、現在標準的に用いられる記号は以下である。 |
|||
それぞれの演算について、日本において筆記などでは、この記号がよく使われている。 |
|||
|
* 加法:'''{{color|#000|+}}''' |
||
|
* 減法:'''{{color|#000|−}}''' |
||
* 乗法:'''{{color|#000|×}}''' |
|||
コンピュータなどで[[ASCII]]に制限されている場合は、乗法に <code>*</code> を、除法に <code>/</code> を代用することが多い。 |
|||
* 除法:'''{{color|#000|÷}}''' |
|||
ただし、コンピュータにおける[[プログラミング言語]]では専ら |
|||
* 減法には<code>-</code>(U+002D)-マイナス記号 −(U+2212)ではなく[[ハイフンマイナス]] |
|||
* 乗法には<code>*</code>(U+002A) |
|||
* 除法には<code>/</code>(U+002F) |
|||
が用いられる。 |
|||
このうち、加法と乗法は [[0]] を含む[[正の数と負の数|非負]]の[[整 |
このうち、加法と乗法は [[0]] を含む[[正の数と負の数|非負]]の[[整数]]の範囲で自由に行うことができるが、減法と除法には制約がある。非負整数の間の減法は、引く数が引かれる数より大きい場合を扱うことができない。また非負整数の除法は、適切な[[剰余]]を定義しない限り、割る数が割られる数の[[約数]]でない場合を扱うことができない。減法の場合は扱う数を負の数を含んだ[[整数]]全体に捉え直すことで制限を解消することができる。たとえば {{math|1 − 2}} は非負整数を与えないが、整数全体で演算を扱うなら、 |
||
:{{math|1 − 2 {{=}} −1}} |
:{{math|1 − 2 {{=}} −1}} |
||
と負の数を与えることができる。 |
と負の数を与えることができる。 |
||
除法については扱う数を[[有理数]]の範囲にすることで[[互いに素]]な整数の間でも演算を定義できる。たとえば {{math|−4 ÷ 3}} は整数を与えないが、 |
除法については扱う数を[[有理数]]の範囲にすることで[[互いに素 (整数論)|互いに素]]な整数の間でも演算を定義できる。たとえば {{math|−4 ÷ 3}} は整数を与えないが、 |
||
:{{math|−4 ÷ 3 {{=}} {{sfrac|−4|3}}}} |
:{{math|−4 ÷ 3 {{=}} {{sfrac|−4|3}}}} |
||
のように有理数を与える({{math|{{sfrac|−4|3}}}} のように表記された数 |
のように有理数を与える({{math|{{sfrac|−4|3}}}} のように表記された数を[[分数]]と呼ぶ)。従って、正負の有理数と 0 の数を扱うことで、自由な四則演算が可能になる。ただし、通常は除数を 0 とする除法は定義されない([[ゼロ除算]]を参照)。 |
||
四則演算を特徴付ける性質には、[[交換法則]]・[[結合法則]]・[[分配法則]]などがあり、抽象代数学では四則演算が自由にできる集合のことを[[可換体|体]]という。有理数の全体、[[実数]]の全体、[[複素数]]の全体などは全て体である。 |
四則演算を特徴付ける性質には、[[交換法則]]・[[結合法則]]・[[分配法則]]などがあり、抽象代数学では四則演算が自由にできる集合のことを[[可換体|体]]という。有理数の全体、[[実数]]の全体、[[複素数]]の全体などは全て体である。 |
||
除法は乗法の逆の演算になっている; {{math|''a'' × ''b'' {{=}} ''c''}} ならば、{{math|''a'' {{=}} {{sfrac|''c''|''b''}} {{=}} ''c'' ÷ ''b'', ''b'' {{=}} {{sfrac|''c''|''a''}} {{=}} ''c'' ÷ ''a''}} が成り立つ。{{math|''a'' × ''b'' {{=}} 1}} となるような乗法の[[逆元]] {{mvar|b}} を {{mvar|a}} の'''[[逆数]]'''といい、{{math|{{sfrac|1|''a''}}}} と表す。つまり、以下のように表せる。 |
除法は乗法の逆の演算になっている; {{math|''a'' × ''b'' {{=}} ''c''}} かつ {{math|''a'' ≠ 0}}, {{math|''b'' ≠ 0}}, {{math|''c'' ≠ 0}} ならば、{{math|''a'' {{=}} {{sfrac|''c''|''b''}} {{=}} ''c'' ÷ ''b'', ''b'' {{=}} {{sfrac|''c''|''a''}} {{=}} ''c'' ÷ ''a''}} が成り立つ。{{math|''a'' × ''b'' {{=}} 1}} となるような乗法の[[逆元]] {{mvar|b}} を {{mvar|a}} の'''[[逆数]]'''といい、{{math|{{sfrac|1|''a''}}}} と表す。つまり、以下のように表せる。 |
||
:{{math|''a'' × {{sfrac|1|''a''}} {{=}} {{sfrac|1|''a''}} × ''a'' {{=}} 1.}} |
:{{math|''a'' × {{sfrac|1|''a''}} {{=}} {{sfrac|1|''a''}} × ''a'' {{=}} 1.}} |
||
従って除法は除数の逆数に関する乗法に置き換えられる。 |
従って除法は除数の逆数に関する乗法に置き換えられる。 |
||
:{{math|''a'' ÷ ''b'' {{=}} ''a'' × {{sfrac|1|''b''}}.}} |
:{{math|''a'' ÷ ''b'' {{=}} ''a'' × {{sfrac|1|''b''}}.}} |
||
41行目: | 51行目: | ||
また、右シフト操作において、その操作で空くビットに、最上位ビットを複製して埋めるシフトを'''[[ビット演算#算術シフト|算術シフト]]'''、0 で埋めるシフトを'''[[ビット演算#論理シフト|論理シフト]]'''と言う。これは歴史的にそのように呼ばれているが、符号付き {{en|(signed)}} のシフトと、符号無し {{en|(unsigned)}} のシフト、と呼ぶのが理にかなっている([[符号付数値表現#2の補数]])。 |
また、右シフト操作において、その操作で空くビットに、最上位ビットを複製して埋めるシフトを'''[[ビット演算#算術シフト|算術シフト]]'''、0 で埋めるシフトを'''[[ビット演算#論理シフト|論理シフト]]'''と言う。これは歴史的にそのように呼ばれているが、符号付き {{en|(signed)}} のシフトと、符号無し {{en|(unsigned)}} のシフト、と呼ぶのが理にかなっている([[符号付数値表現#2の補数]])。 |
||
== 脚注 == |
|||
{{脚注ヘルプ}} |
|||
=== 注釈 === |
|||
{{Notelist}} |
|||
=== 出典 === |
|||
{{Reflist|2}} |
|||
== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
||
59行目: | 62行目: | ||
* [[算術平均]] |
* [[算術平均]] |
||
* [[算術級数]] |
* [[算術級数]] |
||
*『[[算術の基礎]]』 |
|||
* [[ビット演算]] |
* [[ビット演算]] |
||
* [[和算]] |
* [[和算]] |
||
67行目: | 71行目: | ||
* [[単位元]] |
* [[単位元]] |
||
* [[加法単位元]] |
* [[加法単位元]] |
||
* {{仮リンク|四則演算|en|elementary arithmetic|preserve=1}} |
|||
* [[筆算]] |
|||
{{div col end}} |
{{div col end}} |
||
== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
||
* {{コトバンク}} |
* {{コトバンク}} |
||
{{数学|state=uncollapsed}} |
|||
{{二項演算}} |
{{二項演算}} |
||
{{Normdaten}} |
{{Normdaten}} |
2023年12月26日 (火) 14:33時点における最新版
![]() |
![]() | この記事は英語版の対応するページを翻訳することにより充実させることができます。(2023年10月) 翻訳前に重要な指示を読むには右にある[表示]をクリックしてください。
●英語版記事を日本語へ機械翻訳したバージョン︵Google翻訳︶。
●万が一翻訳の手がかりとして機械翻訳を用いた場合、翻訳者は必ず翻訳元原文を参照して機械翻訳の誤りを訂正し、正確な翻訳にしなければなりません。これが成されていない場合、記事は削除の方針G-3に基づき、削除される可能性があります。
●信頼性が低いまたは低品質な文章を翻訳しないでください。もし可能ならば、文章を他言語版記事に示された文献で正しいかどうかを確認してください。
●履歴継承を行うため、要約欄に翻訳元となった記事のページ名・版について記述する必要があります。記述方法については、Wikipedia:翻訳のガイドライン#要約欄への記入を参照ください。
●翻訳後、
{{翻訳告知|en|Arithmetic|…}} をノートに追加することもできます。
●Wikipedia:翻訳のガイドラインに、より詳細な翻訳の手順・指針についての説明があります。
|
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/11/Tables_generales_aritmetique_MG_2108.jpg/220px-Tables_generales_aritmetique_MG_2108.jpg)
概要
[編集]「算術」という日本語としては、文明開化前後の「数学」(mathematics) いわゆる西洋数学の本格的な輸入以前は、今日において和算と呼ばれているような、当時の「日本の数学」全般を指していた。なおこの意味では、英語 arithmetic とは必ずしも対応しない場合もある。
また、算術および "Arithmetic" の語は、数論を指し示す場合もある。
四則演算
[編集]-
︵U+002D︶-マイナス記号 −︵U+2212︶ではなくハイフンマイナス
●乗法には*
︵U+002A︶
●除法には/
︵U+002F︶
が用いられる。
このうち、加法と乗法は 0 を含む非負の整数の範囲で自由に行うことができるが、減法と除法には制約がある。非負整数の間の減法は、引く数が引かれる数より大きい場合を扱うことができない。また非負整数の除法は、適切な剰余を定義しない限り、割る数が割られる数の約数でない場合を扱うことができない。減法の場合は扱う数を負の数を含んだ整数全体に捉え直すことで制限を解消することができる。たとえば 1 − 2 は非負整数を与えないが、整数全体で演算を扱うなら、
1 − 2 = −1
と負の数を与えることができる。
除法については扱う数を有理数の範囲にすることで互いに素な整数の間でも演算を定義できる。たとえば −4 ÷3 は整数を与えないが、
−4 ÷ 3 = −4/3
のように有理数を与える︵−4/3 のように表記された数を分数と呼ぶ︶。従って、正負の有理数と 0 の数を扱うことで、自由な四則演算が可能になる。ただし、通常は除数を 0 とする除法は定義されない︵ゼロ除算を参照︶。
四則演算を特徴付ける性質には、交換法則・結合法則・分配法則などがあり、抽象代数学では四則演算が自由にできる集合のことを体という。有理数の全体、実数の全体、複素数の全体などは全て体である。
除法は乗法の逆の演算になっている; a× b= cかつ a≠ 0, b≠ 0, c≠ 0 ならば、a = c/b = c÷ b, b= c/a = c÷ aが成り立つ。a × b= 1 となるような乗法の逆元 bを aの逆数といい、1/a と表す。つまり、以下のように表せる。
a × 1/a = 1/a × a= 1.
従って除法は除数の逆数に関する乗法に置き換えられる。
a ÷ b= a× 1/b.
減法は加法の逆の演算になっている; a+ b= cならば a= c− b, b= c− aであるから、乗法 × が加法 + に、除法 ÷ が減法 − に置き代わっただけで、乗法と除法の場合と全く同じことが起こっている。つまり、減法は加法の逆の演算である。ここから自然に、a + b= 0 となるような加法の逆元 bを考えることに導かれる。a の逆元 bは −a と表される︵これは aの反数と呼ばれる︶。つまり次のような関係が常に成り立つ。
a + (−a) = (−a) + a= 0.
数 aが正ならば −a は負の数であり、a が負ならば −a は正の数となる。また、a が 0 なら −a もまた 0 となる。
従って正の数の減法は負の数の加法に、負の数の減法は正の数の加法に置き換えられる。
a − b= a+ (−b).
加法の逆元を与える演算子としての − と、2数の間の減法を行う演算子としての − とでは、記号は同じだが行う操作と作用する項に違いがあるため、区別を要する場合には前者を単項のマイナス (unary minus operator)、後者を2項のマイナス (binary minus operator) と呼ぶ。