ガルマン・ガミラス帝国
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ガルマン・ガミラス帝国︵ガルマン・ガミラスていこく︶は、アニメ作品﹃宇宙戦艦ヤマトIII﹄﹃宇宙戦艦ヤマト 完結編﹄に登場する恒星間国家。﹃宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち﹄のリメイク作品である﹃宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち﹄に登場するガルマン星についても、本記事で記述する。
概要[編集]
ガミラス帝国の後継国家。単に﹁ガルマン帝国﹂と呼ばれる場合もある[注 1]。国家元首はデスラー総統。本星はガミラス星と同様に二重惑星︵双子星︶であり、もう一方の惑星をデスラーがイスカンダルのスターシャから名を取って﹁スターシャ﹂と命名している。ガミラス帝国と同様にデスラーを総統として仰ぐ独裁政治体制であるが、劇中で﹁デスラーは総統に選ばれた﹂と述べられており、国民の信任を得たうえでの総統であることをうかがわせている。新帝都︵首都︶にある総統府は﹁デスラーパレス﹂。 本国の方針では、地球やシャルバート星のように自国に敵意が無いと確認した星に対しては中立を認め、軍事侵攻を停止したり、自国が引き起こした損害の収拾を図るなどの行為を行っており、ボラー連邦と比べると穏健な部分が強調されている。ただし、前線部隊は中立国への独断侵攻や暴走兵器の放置などの不始末を劇中で引き起こしている。 初期設定での名称は﹁ゴア帝国﹂であり[2]、描写にあたってはナチス・ドイツ的なイメージを持たされていた[3]。民族[編集]
住民はマゼランから移住してきたガミラス民族と、銀河中心部に元々暮らしていたガルマン民族の混成。 ガルマン民族はかつて外宇宙に進出するほどの国力を持っていたが、次第にその勢力も衰え、西暦2200年代にはボラー連邦の支配下に組み込まれ、奴隷のような扱いを受けていた。 ガミラス人は、外宇宙へ進出したガルマン民族の一支族の末裔である。ガルマン民族とガミラス民族の外観上の特徴に差異はない。本星[編集]
銀河系中心部核恒星系内にある星。エメラルド色に輝く星で、表面に無数のクレーターが存在する。首都はクレーター内にあり、総統府たるデスラーパレスを中心として広がった都市構造となっている。なお、﹃ヤマトIII﹄第16話予告までと﹃完結編﹄では、都市全体が半球状のカバーのようなものに覆われていた[2][注 2]。なお、この都市には浮遊可能という設定があったが[4]、本編では披露されていない。 衛星軌道上には、迎撃のための戦闘衛星が無数に設置されている。 前述の通り、惑星スターシャと二重惑星の関係にあるが、当惑星の居住者の有無は不明。 本星のある宙域は、宇宙空間が緑色になっている[注 3]。 当時の公式ヤマト・ファンクラブ会報誌の記述によれば[要追加記述]、この二連星はデスラーの命でガルマン・ガミラス建国にあたり新たな母星探しを命じられたヘルマイヤー少佐が発見したとのことである。ガルマン・ガミラス帝国軍[編集]
本星のある銀河系中心部を基点に、銀河系の各方面に侵攻している。大きく分けて東西南北の4つの軍が存在している[注 4]。 艦艇は直線的なシルエットで、ガミラス艦と同様緑色を基調としているのが特徴であり、丸みを帯びたシルエットが多く紫色の艦体色を基調とするボラー艦とは対照的である[5][注 5]。また、多くの艦艇が、白色彗星帝国の艦艇に装備されていた回転速射砲塔を主兵装としている。円盤形の艦橋を持つ艦も多い。劇中での描写[編集]
建国 西暦2202年、暗黒星団帝国との戦いでガミラス星とイスカンダルを失ったデスラー総統は、ガミラス帝国の再建を目指し、第2のガミラス星となる惑星を探す流浪の旅を続けていた。そして、銀河系核恒星系でボラー連邦の支配下にあったガルマン民族を解放し、独立戦争をガミラス残存勢力で展開する。銀河系核恒星系のガルマン民族を統一し、ガルマン・ガミラス帝国を建国した。 銀河系大戦︵宇宙戦艦ヤマトIII︶ 23世紀初頭、銀河系各方面へ侵略を進め、ボラー連邦と銀河系を二分する星間連合帝国に成長。建国紀元1周年を迎える。 しかし、デスラー個人崇拝を基本とする独裁体制側とマザー=シャルバートを奉じる一部のガルマン人との間には深刻な対立が起こっており、弾圧されていたシャルバート信者が1周年記念祭に乗じて蜂起したため、新帝都デスラーパレスは戦場と化した。本星の防空体制もシャルバート信者の自爆テロにより機能不全になり、ボラー連邦のワープミサイルによる攻撃で危機状況に陥るが、ヤマトにより救われる。 地球とは東部方面軍の独断により当初敵対状態になるが、デスラーに事が露見したことで和解。同盟関係にこそないが、ある程度友好な関係を築き始める。その後、シャルバートを巡る争いで再び敵対しかけるが、シャルバートが高度な文明を捨て非戦の道へ進んだ事実を知ったデスラーが手を引いたため、直接戦闘は起こらなかった[注 6]。 ﹃ヤマトIII﹄最終話にてボラー連邦のベムラーゼ首相が太陽系での戦闘で戦死し、大戦も一つの転換点を迎えた。 赤色銀河の交差︵宇宙戦艦ヤマト 完結編︶ 西暦2203年、異次元宇宙から現れた赤色銀河と銀河系の交差により、要部であった核恒星系に甚大な被害を受けたが、デスラーと一部の艦隊は辺境視察に出ていたため難を逃れ、ディンギル帝国の艦隊に囲まれるヤマトの救援に駆けつけ、首領であるルガール大神官大総統をデスラー砲で滅する。 その後の状況は不明で、続編の﹃宇宙戦艦ヤマト 復活篇﹄でも一切存在が語られていなかった[注 7]が、﹃復活篇﹄から10年後に連載が始まった小説﹃アクエリアス・アルゴリズム 宇宙戦艦ヤマト 復活篇 第0部﹄にてその後が描かれた。 マゼランエクソダス︵アクエリアス・アルゴリズム[8][注 8]︶ 銀河交差の影響による銀河系中心部の気象大変動が一向に収まらず、国力低下を招いたため、同様の苦境に立たされていたボラー連邦と休戦協定を結ぶ。そして西暦2205年に、勢力圏を銀河系からマゼラン星雲へ一時的に退避させる﹁マゼランエクソダス﹂という計画を実行し、大半の国民がマゼランへ移住する。しかし、銀河系の大部分を支配していた二大国の影響力が突然失われたため、銀河系に残留したガルマン系住民とボラー系住民の衝突やディンギル帝国残党のテロ活動など、各地で紛争が頻発することになる。 計画の実施にあたってガルマン・ガミラス政府は友好国である地球に旧ガルマン・ガミラス領の人々の安全保障を要請しており、地球がアマール国と国交を結ぶきっかけなどになった。 物語終盤では地球で行われた式典にガルマン・ガミラスの高官がボラーの高官とともに出席している。主要人物[編集]
●デスラー - 総統。
●タラン - 総統副官。
●キーリング - 参謀総長。
●ガイデル - 東部方面軍司令長官。
●ダゴン - 東部方面軍第18機甲師団艦隊司令官、のち同第17空母艦隊司令官。
●ゲーレン - 東部方面軍第17空母艦隊二連三段空母艦長。
●フラーケン - 東部方面軍次元潜航艇艦隊司令。
●ヒステンバーガー - 西部方面軍司令長官。
●グスタフ - 北部方面艦隊司令官。
●フラウスキー - 技術少佐。
●ヘルマイヤー - 少佐・地質学者。
所有メカ[編集]
艦船[編集]
●新型デスラー艦 ●デスラー砲艦 ●二連三段空母 ●戦闘空母 ●円盤形白色旗艦 ●大型戦闘艦 ●中型戦闘艦 ●グスタフ艦 ●惑星破壊ミサイル艦 ●駆逐艦 ●駆逐型デストロイヤー艦 ●工作母艦︵フラウスキー少佐の艦︶ ●調査船︵ヘルマイヤー少佐の艦︶宇宙要塞[編集]
●東部方面軍司令部要塞航空機・宇宙艇[編集]
●次元潜航艇 ●双胴戦闘機 ●重爆機 ●雷撃機 ●格闘宇宙戦闘機ゼーアドラーIII ●反射板搭載機兵器・関連技術[編集]
●デスラー砲 ●ハイパーデスラー砲 ●惑星破壊プロトンミサイル ●高圧直撃砲 ●新反射衛星砲 ●瞬間物質移送器リメイクアニメ[編集]
﹃宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち﹄のリメイク作品である﹃宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち﹄において、ガルマン星として先行登場。この登場の背景としては、脚本・シリーズ構成の福井晴敏によると、旧シリーズでは﹃新たなる旅立ち﹄からわずか数年で大帝国を築いたという駆け足気味の設定であったため、本シリーズでは﹃新たなる旅立ち﹄の物語と同時進行で起こっている出来事であることを明示して現実味を持たせ、さらに複数の事象が絡まることによって次の展開へ繋がるようにし、ヤマトシリーズの物語を大河ドラマのような形で成立するようにしたいという狙いがあったとのことである[9]。
本シリーズでは銀河系の伴銀河であるいて座矮小楕円銀河に存在する星と設定されており、地球からの距離は約7万光年[10]。サレザー恒星系のガミラス星とイスカンダル星と同様に、双子星の片割れになっている。
ボラー連邦に資源惑星︵人間も資源に含む︶としておよそ半世紀支配されており、あらゆる文化・宗教を徹底的に破壊する圧制を敷かれ、ガルマン人の人口もわずか4900万人[注 9]にまで減ってしまっていた[11]。
西暦2205年初頭にデスラー艦隊がこの星を発見し、密かにガルマン人指導者と接触したデスラーは、ボラー連邦による圧制の実態を把握すると民族独立を呼びかけた[11]。ガミラスがボラーにガルマン星の譲渡を打診し、政治的な交渉が決裂した場合は武力をもって解放することを画策すると共に、その際にはガミラス人がガルマンの盾となると宣言したため、ガルマン人指導者たちはデスラーに望みを賭けることになる[11]。
そして第1話において、やはり交渉は決裂してデスラー艦隊がボラーの勢力を放逐し、ガルマン星はガミラスの保護下に置かれる。その後、ガミラス星からの移住計画が本格化するが、周辺宙域一帯は未だボラーの勢力下にあり、予断を許さない状況が続いている。
脚注[編集]
注釈[編集]
(一)^ 劇中では、第16話Aパートまでは﹁ガルマン帝国﹂の呼称が用いられており、同話Bパートにおける建国エピソードのナレーションで﹁星の名を︵ガルマンから︶ガルマン・ガミラスと改め〜﹂と出て以降は﹁ガルマン・ガミラス帝国﹂と呼ばれるようになった。ただし、雑誌特集では初期から﹁ガルマン・ガミラス帝国﹂の名が出ているものもある[1]。なお、第7話のバーナード星基地は﹁ガミラス帝国前線基地﹂と字幕が出ている。
(二)^ カバーのある都市のデザインは松本零士、細部や16話以降の都市前景のデザインは出渕裕が行っている[4]。
(三)^ 本作では、ガルマン・ガミラスの勢力圏の背景宇宙は緑色、ボラーの勢力圏の背景宇宙は赤紫色として区別して表現されている[2]。
(四)^ 第7話冒頭ナレーションでは﹁7つの大艦隊を全銀河系に派遣し〜﹂と述べられている。
(五)^ スタッフインタビューによると、ボラー側のデザイン担当であるサブマリンが、差別化のためにボラーメカのデザインラインをガルマン・ガミラスメカと異なるものにしたとされる[6]。
(六)^ ﹃ヤマトIII﹄は1クール目でガルマン・ガミラス、2クール目でボラーと敵対する構成になっているが、当初の全52話の構成案ではシリーズを通してガルマン・ガミラス︵この時点ではゴア帝国︶が最も主要な敵となっており、中盤の和解は一時的なもので、シャルバートの王女ルダを巡って再度敵対し、何度も戦闘になる展開だった[7]。本編ではちょうどその部分が放送期間短縮により省略されたため、戦うことなく終わった。
(七)^ 劇中では﹁かつて銀河中心部で戦乱が幾世代も続いていた﹂とのみ語られ、ガルマン・ガミラスとボラーの存在については触れられていない。なお、﹃復活篇﹄に限った話ではないが旧シリーズは前作までの内容が一部無視される傾向にあったため、﹁幾世代にわたる戦乱﹂にガルマン・ガミラスとボラーの戦争が含まれているかは不明︵﹃ヤマトIII﹄の設定に則るなら、銀河系大戦以前はボラーが銀河系中心を一極支配していたため、戦乱は長くても20年足らずで何世代もとは言いがたい︶。
(八)^ 公式ファンクラブ会報誌﹃ヤマトマガジン﹄のVol.5〜Vol.9で﹃アクエリアス・アルゴリズム 宇宙戦艦ヤマト 復活篇 第0部﹄として連載され、後に﹃宇宙戦艦ヤマト 黎明篇 アクエリアス・アルゴリズム﹄として書籍化した。
(九)^ 参考として現実の2020年前後の地球と比較すると、日本の人口︵約1億2500万人︶の約40パーセント、世界の人口︵約77億人︶の約0.6パーセント。関東地方の人口よりやや多い程度である。
出典[編集]
(一)^ ﹃月刊 冒険王﹄80年11月号、秋田書店。﹃宇宙戦艦ヤマトIII DVDメモリアルボックス 保完ファイル﹄p. 36掲載画像より孫引き。
(二)^ abc﹃宇宙戦艦ヤマトIII DVDメモリアルボックス 保完ファイル﹄バンダイビジュアル、2001年5月、p. 29。
(三)^ ﹃ロマンアルバムデラックス43宇宙戦艦ヤマトIII﹄徳間書店、1981年6月、p. 112。雑誌 61577-57。
(四)^ ab﹃ロマンアルバムエクセレント54宇宙戦艦ヤマトPERFECT MANUAL2﹄徳間書店、1983年1月、pp. 94, 106。雑誌 61577-71。
(五)^ ﹃宇宙戦艦ヤマトIII DVDメモリアルボックス 保完ファイル﹄バンダイビジュアル、2001年5月、p. 28。
(六)^ ﹃ロマンアルバムデラックス43宇宙戦艦ヤマトIII﹄徳間書店、1981年6月、p. 115。雑誌 61577-57。
(七)^ ﹃ロマンアルバムデラックス43宇宙戦艦ヤマトIII﹄徳間書店、1981年6月、p. 109。雑誌 61577-57。
(八)^ “アクエリアス・アルゴリズム第1話︻一部無料公開︼ / 第1話 アクエリアス―氷球2”. YAMATO CREW. 株式会社ヤマトクルー (2020年2月7日). 2020年2月29日閲覧。
(九)^ 公式ファンクラブ会報誌﹃ヤマトマガジン Vol.12﹄ヤマトクルー、2021年8月、p. 020。
(十)^ ﹃﹁宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-﹂劇場パンフレット﹄宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会︵発行︶、バンダイナムコアーツ︵販売︶、2021年10月、p. 04。
(11)^ abc﹃﹁宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-﹂劇場パンフレット﹄宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会︵発行︶、バンダイナムコアーツ︵販売︶、2021年10月、p. 05。