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スピロヘータ門

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スピロヘータ門

梅毒トレポネーマ

分類
ドメイン : 細菌 Bacteria
: スピロヘータ門
Spirochaetes
学名
Spirochaetes
Garrity & Holt 2001
下位分類(綱・目)

スピロヘータ綱 Spirochaetes

  • スピロヘータ目 Spirochaetales
  • セルプリナ目 Serpulinaceae
  • ブラキュスピラ目 Brachyspirales
  • レプトスピラ目 Leptospirales

:Spirochaetes:spirochaetaspirochete, spirochetisσπειροχαίτη



宿

ICNP2015"Spirochaetaeota"[1]

分類[編集]

細菌の形態には、球型のもの(球菌)や棒状のもの(桿菌)の他に、桿菌と同様に細長い菌体がらせん形になったものが存在し、これらはらせん菌と総称される。 らせん菌はその回転数から、(1) 回転数が1回程度のもの、(2) 2 - 3回のもの、(3)5回以上( - 数百回)のものに区別される。1に該当するものにはコレラ菌などのビブリオ属が、2に該当するものにはスピリルムカンピロバクターヘリコバクターが挙げられ、3に該当する細くて回転数の多いものが俗にスピロヘータと総称される。

スピロヘータは以前、細菌とは異なる別の微生物として考えられていたが、その後、研究が進むにつれて細菌の一グループをなすものであることが判明した。2005年現在の細菌の分類では、スピロヘータ門は独立したとして扱われており、以下、スピロヘータ綱スピロヘータ目スピロヘータ科スピロヘータ属という、属のレベルまでが存在しているが、一般にはこの中で、スピロヘータ門に属するものすべてを指す場合が多い。

2012年現在、スピロヘータは以下のような位置づけにある。ただしスピロヘータの分類はまだ整理の途上にあり、今後変更される可能性がある。

  • Spirochaetes スピロヘータ門
    • Spirochaetes スピロヘータ綱
      • Spirochaetales スピロヘータ目
        • Spirochaetaceae スピロヘータ科
          • Alkalispirochaeta
          • Spirochaeta スピロヘータ属
          • Clevelandina :昆虫の後腸に寄生
          • Diplocalyx :昆虫の後腸に寄生
          • Hollandina :昆虫の後腸に寄生
          • Oceanispirochaeta
          • Pillotina :昆虫の後腸に寄生
          • Pleomorphochaeta
          • Rectinema
          • Salinispira
          • Sphaerochaeta
          • Treponema トレポネーマ属:梅毒トレポネーマT. pallidum)など
        • Borreliaceae ボッレリア科
      • Brachyspirales ブラキュスピラ目
        • Brachyspiraceae ブラキュスピラ
          • Brachyspira
          • Serpulina セルプリナ属:豚赤痢菌(S. hyodysenteriae)など
      • Leptospirales レプトスピラ目
        • Leptospiraceae レプトスピラ
          • Leptonema
          • Leptospira レプトスピラ属:ワイル病レプトスピラ(黄疸出血性レプトスピラ, L. interrogans serovar icterohaemorrhagiae)、秋疫(あきやみ)レプトスピラ(L. interrogans serovar autumnalis Akiyami A ほか)など
          • Turneriella
        • Brevinemataceae ブレウィネマ
          • Brevinema
        • 所属科不明
          • Exilispira

細菌学的特徴[編集]

スピロヘータの一般構造
両端から伸びた鞭毛を中心に、細胞体がらせん状に絡み付き、その両者の外側をエンベロープが覆っている

0.1 - 0.5×4-250 µm500 - 600 µm



0.1 - 0.3×5 - 250 µm1 - 2090 - 150



0.2 - 0.4×4 - 9 µm4 - 15



0.1×6 - 12 µm1

3 (axial filament) (endoflagella)



DNADNA

昆虫の共生体[編集]




 Mastotermes darwiniensis  Mixotricha paradoxa 50

M. paradoxa 

歴史[編集]


16839

1835

1873

[]


Treponema pallidum - 

Borrelia recurrentis  - 

Borrelia burgdorferi  - 

Leptospira interrogans  - ()

GJarisch-Herxheimer

[]

  1. ^ Aharon Oren et al. (2015). “Proposal to include the rank of phylum in the International Code of Nomenclature of Prokaryotes”. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 65: 4284–4287. doi:10.1099/ijsem.0.000664. 

参照文献[編集]

  • 柳原保武「スピロヘータ」:『戸田新細菌学』(吉田眞一、柳雄介、吉開泰信編)改訂33版、南山堂、2007年 pp.654-672. ISBN 978-4-525-16013-5
  • E. Canale-Parola, J.A. Breznak et al. "Section 1: Spirochetes" in Bergey's manual of systematic bacteriology (J.G. Holt, N.R. Krieg et al. eds.) 1st ed. vol 1 pp.38-70 (1984) ISBN 0-683-04108-8 (v.1)

関連項目[編集]