ヌオン・チア
| ヌオン・チア នួន ជា | |
|---|---|
 | |
| 生年月日 | 1926年7月7日 |
| 出生地 |
 フランス領インドシナ連邦 カンボジア王国、バタンバン州、ヴォアト・コー |
| 没年月日 | 2019年8月4日（93歳没） |
| 死没地 |
 カンボジア プノンペン |
| 所属政党 |
（タイ共産党→） （インドシナ共産党→） カンプチア共産党 （クメール・ルージュ） |
| |
| 在任期間 | 1976年4月13日 - 1979年1月7日 |
| 国家幹部会議長 党書記長 |
キュー・サムファン ポル・ポト |
ヌオン・チア︵クメール語: នួន ជា / Nuon Chea, 1926年7月7日 - 2019年8月4日︶は、カンボジアの政治家。カンプチア共産党副書記兼中央委員会常務委員。民主カンプチア政権では人民代表議会常任委員会議長︵国会議長︶を務め、党書記長ポル・ポトに次ぐ第2位の地位にあった。
カンボジア特別法廷にて
2007年、カンボジア特別法廷に拘束される。その後は高齢のため入退院を繰り返しており、公判維持が困難だった[24]。
2013年10月21日、検察は最高刑にあたる終身刑を求刑した[27]
第1審の審理中や最終弁論で、ヌオン・チアは民主カンプチア時代に起こったことに対して倫理的責任については認めた[28]が、自分には実権がなかったと主張して[28]、法的責任は一切認めなかった[28]。また、1審裁判では、一部の質問に対して簡潔に答えることはしたが、おおむね黙秘した[29]。
2014年8月7日、案件002/01に関して第1審で判決が下され、キュー・サムファンと共に終身刑が宣告された[30]。
2016年11月23日、第2審は2014年の1審判決を支持し、﹁人道に対する罪﹂でキュー・サムファンと共に終身刑が確定した[31][32]。一方、﹁ジェノサイドの罪﹂に関しては、キュー・サムファンとともに2017年当時も裁判が続いていた[33]
2019年8月4日にプノンペンの病院で死去[34]。93歳没。
経歴[編集]
本名は、ラオ・キム・ローン(Lao Kim Lorn)[1](本名はロン・ブンロト(Long Bunruot)だと書く文献[2]もある)。1950年代にクメール・イサラクのメンバーとして活動していた時期[3]には、ロン・リス(Long Rith)と名乗っていた[4][2]。1926年7月7日、カンボジアバタンバン州サンカエ(Sangkae)地区ヴォアト・コー(Voat Kor)村に生まれた[1]。生家は華僑で、裕福な家であったという[5]。漢名は劉炳光︵Lau Ben Kon︶である。 2003年の日本人研究者とのインタビューで、ヌオン・チアは父親が中国人であり、母親は広東省汕頭からカンボジアへの中国人移民とクメール人女性との間に生まれた混血児であると主張した。しかし、2011年の裁判では、父親が中国系との混血であったため、自分は4分の1しか漢民族ではないと主張している。 1942年、バッタンバンで中学4年を修了した後、バンコクに向かい、1944年にタマサート大学予科に7期生として入学した[6]。(カンボジア特別法廷での第1審判決文では、タイに出たのは1941年と認定されている[1]。)タマサト(Thammasat)大学では法律学を専攻した[1][7]。この当時は、タイ語名のルンロート・ラオディーを名乗っていた[8]。(カンボジア特別法廷での第1審判決文では、ルンラート・ラオディ(Runglert Laodi)と名乗っていたと認定されている[1])。同時期(文献[9]によると、タマサト大学へ入学する前のことであるという)、タイの財務省や外務省でもパートタイムの事務員として働いたことがある[1][7][10]。 1950年、ムオン(Muon)という人物に勧誘されて[7]タイ共産党に入党[11][1]、この頃からプロパガンダや教育活動(新聞の発行、辺境の農民の教化活動など)に携わることで活動が活発化し始める[12]。 同年カンボジアに帰国した(文献[7]によると、バッタンバンへ戻った)。後に、インドシナ共産党に転籍[12][7][10]し、1951年9月[13]、クメール人民革命党︵後のカンボジア共産党︶中央委員会の委員に任命された[13]。 1951年頃から1954年まで、党の命令により、政治教育の目的でベトナムへ送られたが、ジュネーブ停戦協定の後でカンボジアへ帰国する[12] (文献[13]によると帰国は1955年夏のことであるという)。ストゥン・チニト(Stung Chinit)川そばのボエン・ルヴェア(Boeng Lvea)やサムロートなどの辺境の村を転々として、革命運動への関与を隠して生活したが、1955年にはプノンペンへ移住した[12]。教師、売り子、輸出入関連企業(中国・カンボジア間での輸出入をおこなう会社だったという[14])の店員など職業を変えつつ、プノンペン市の革命委員として地下活動を続けた[15]。1960年の第2回党大会において党中央委員会常務委員および党中央委員会副書記に選出され、党内序列第2位となる[16][17]。1963年2月の党大会においてポル・ポトが党書記に選出されると、その下で引き続き党副書記を務めることになった[18]。 反ロン・ノル闘争期の1973年3月25日、解放軍最高司令部の設置が公表された際、最高司令部副議長および﹁軍政治部長﹂の肩書きで紹介され[19]、武装勢力政治部門で序列第1位の地位にあった[20]。 1975年4月のプノンペン制圧後、10月9日の党常務委員会において委員の任務分担が採択され、チアは﹁党務、社会福祉、宣伝および教育担当﹂とされた[21]。また、遅くとも1970年以後に存在が公表された党中央委員会軍事委員会の﹁副委員長、政治担当﹂とされ、さらに同委員会内の秘密の﹁治安委員会﹂のなかの﹁秘密委員会﹂の委員長を務めていた[22]。 1976年1月に民主カンプチアが樹立され、4月11日から始まる人民代表議会第1期第1回全体会議において人民代表議会常任委員会議長に選出された[23]。暗号名﹁ブラザー・ナンバー・ツー﹂と呼ばれ、政権内でポル・ポトに次ぐ第2位と目された[24][25]。同年9月27日、ポル・ポトが病気治療のため一時的な静養に入るとヌオン・チアが首相代行を務めた[26]。 1979年、ベトナムの侵攻に伴い政権が崩壊するとゲリラ活動に転じる。 1998年、現政権に投降。恩赦を受けて釈放後、パイリンに居を移す。
脚注[編集]
(一)^ abcdefg案件002/01第1審判決文、パラグラフ305. (二)^ abP.Short, Pol Pot : Anatomy of a nightmare, Henry Holt and Company, LLC, New York, p.455. (三)^ P.Short, Pol Pot, p.5. (四)^ B.Kiernan, How Pol Pot Came to Power(second edition), Yale University Press, ISBN 978-0-300-10262-8, p.428. (五)^ “ポル・ポト派ナンバー2のヌオン・チア容疑者、虐殺指示か”. AFP.BB.NEWS 2010年9月17日閲覧。 (六)^ 村嶋︵2008年︶、92ページ。 (七)^ abcdeB.Kiernan, How Pol Pot(second edition), p.59. (八)^ 村嶋︵2008年︶、88-89ページ。 (九)^ P.Short, Pol Pot , p.119. (十)^ abP.Short, Pol Pot, p.119. (11)^ 村嶋︵2008年︶、93ページ。 (12)^ abcd第1審判決文、パラグラフ306. (13)^ abcP.Short, Pol Pot, p.119. (14)^ P.Short, Pol Pot p.120. (15)^ 第1審判決文、パラグラフ308. (16)^ 山田︵2004年︶、27-28ページ。 (17)^ ヘッダー、ティットモア︵2005年︶、94-95ページ。 (18)^ 山田︵2004年︶、28-29ページ。 (19)^ http://d-arch.ide.go.jp/browse/html/1972/201/1972201DIA.html (20)^ ヘッダー、ティットモア︵2005年︶、104ページ・注194。 (21)^ ヘッダー、ティットモア︵2005年︶、95-96ページ。 (22)^ ヘッダー、ティットモア︵2005年︶、96-97ページ。 (23)^ http://d-arch.ide.go.jp/browse/html/1976/201/1976201DIA.html (24)^ ab“ポル・ポト派ナンバー3死去、虐殺究明に影響も”. 読売新聞. (2013年3月14日) 2013年3月15日閲覧。[リンク切れ] (25)^ “﹁クメール・ルージュ﹂ナンバー2のヌオン・チア元議長 身柄拘束される”. (2007年9月19日) 2019年6月24日閲覧。 (26)^ ポル・ポト首相突然の更迭首脳部再編へ波及か﹃朝日新聞﹄1976年︵昭和51年︶9月28日朝刊、13版、7面 (27)^ ﹁ポルポト政権元最高幹部に終身刑求刑 特別法廷で検察側﹂﹃朝日新聞デジタル﹄2013年10月21日 (28)^ abc案件002/01第1審判決文、パラグラフ1062. (29)^ 第1審判決文、パラグラフ304. (30)^ 第1審判決文、パラグラフ1061. (31)^ “ポル・ポト政権元最高幹部2人の終身刑確定”. 産経新聞. (2016年11月23日) 2016年11月27日閲覧。 (32)^ “ポル・ポト派元最高幹部2人の終身刑が確定、カンボジア特別法廷”. フランス通信社. (2016年11月23日) 2016年11月27日閲覧。 (33)^ 旧ポル・ポト政権幹部、大量虐殺で無罪主張 カンボジア特別法廷 AFP︵2017年6月23日︶2017年6月25日閲覧 (34)^ “ヌオン・チア元議長死去＝ポト派ナンバー2、終身刑確定－カンボジア”. 時事ドットコム. (2019年8月4日) 2019年8月4日閲覧。参考文献[編集]
●山田寛 ﹃ポル・ポト＜革命＞史－虐殺と破壊の四年間﹄ 講談社<講談社新書メチエ305>、2004年。ISBN 9784062583053。 ●村嶋英治﹁カンボジア共産党ナンバー・ツー、ヌオン・チア︵Nuon Chea︶のバンコク時代︵1942年-1950年︶﹂﹃アジア太平洋討究﹄︵早稲田大学︶第11号、2008年。 ●スティーブ・ヘダー、ブライアン・D・ティットモア ﹃カンボジア大虐殺は裁けるか－クメール・ルージュ国際法廷への道﹄ 現代人文社、2005年。ISBN 9784877982652。関連項目[編集]
●カンボジア内戦
| この項目は、カンボジアに関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています（Portal:東南アジア / プロジェクト:アジア）。 |