仲人
仲人︵なこうど︶は、日本において、人同士の間に入り、人間関係を仲立ちする役割の人。媒酌人、月下氷人とも[1]。特に男女の間で結婚の仲立ちをする人を指すことが多い。江戸時代では、相手探し・見合いの段取り・結婚までを世話し、依頼した人の持参金の一割を礼金として受け取っていた。
江戸時代の媒酌人︵仲人︶
戦後の一般的な区別では、実質的な紹介や仲介をする人を﹁仲人﹂、結婚式の際に立てる人を﹁媒酌人﹂ということが多いが、歴史的にはその逆もあり、仲人、媒酌人に明確な定義の違いはない[1]。﹁仲人﹂という言い方は大正時代から普及した語で、戦前までは明治からある﹁媒酌人﹂という語のほうがより一般的だった[1]。なお、仲人を立てる結婚形式は江戸時代では武士階級のみの慣行で、江戸中期には庶民の一部で仲人結婚こそが正式であるとする社会規範が広まりはじめたが、庶民の間で全国的に広まるのは明治10年ごろからである[2]。
新夫婦の両脇に立つ仲人。女性の仲人は既婚女性の和服の正装︵5つ紋 黒留袖︶、男性は洋装の例
既婚の男女で、家庭生活がうまく行っている夫婦が選ばれる。その他に、社会的に信用があること、当事者より年長である程度離れていること、健康であり、仕事が忙しすぎない人物であることなどがあげられる。主に、学校や職場の先輩、恩師、地域の実力者、親戚など、結婚する男女と多少なりとも関係のある人物に依頼する場合と、全く関係のない﹁プロ﹂の仲人に依頼する場合がある。
仲人の仕事は多岐にわたるうえに、本人同士だけでなく家同士もまとめなければならず誰にでもできるというものではない。仲人をすることは名誉であり、昭和時代には﹁三度仲人をやって一人前﹂﹁仲人をするのは社会人の義務﹂などと言われた[2]。
仲人の事を﹁コンシェルジュ﹂と称する結婚相談所が近年増えているが、世話役だけでは結婚まで仲立ちできないため誤った表現である。