健康増進法
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健康増進法 | |
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日本の法令 | |
法令番号 | 平成14年法律第103号 |
種類 | 医事法 |
効力 | 現行法 |
成立 | 2002年6月21日 |
公布 | 2002年8月2日 |
施行 | 2003年5月1日 |
所管 | 厚生労働省 |
主な内容 | 健康の保持・増進 |
関連法令 | 歯科口腔保健の推進に関する法律など |
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健康増進法︵けんこうぞうしんほう︶は、国民の健康維持と現代病予防を目的として制定された日本の法律。法令番号は平成14年法律第103号。2002年︵平成14年︶8月2日公布。2003年︵平成15年︶5月1日施行[1]。
概説[編集]
従来の栄養改善法︵廃止︶に代わるもので、第5章以降は栄養改善法の条文を踏襲している。第1章から第4章までは新たに設けられたものである。健康増進法で加わった条文では、﹁国民は…生涯にわたって…健康の増進に努めなければならない﹂とするなど、健康維持を国民の義務としており、地方自治体や医療機関などに協力義務を課しているなどの特徴がある。 平成13年に政府が策定した医療制度改革大綱の法的基盤とし、国民が生涯にわたって自らの健康状態を自覚するとともに健康の増進に努めなければならないことを規定した法律である。 2条は、国民は生涯にわたって健康の増進に努めなければならないとする。5条は、国、地方自治体、健康保険者、医療機関などに協力義務を課す。7条は、厚生労働大臣は国民の健康の増進のための基本的な方針を定めるとする。 健康増進法の主務官庁は厚生労働省である。消費者庁発足後は表示関係を同庁が所管している[2][3]。構成[編集]
- 第1章 総則(第1条―第6条)
- 第2章 基本方針等(第7条―第9条)
- 第3章 国民健康・栄養調査等(第10条―第16条の2)
- 第4章 保健指導等(第17条―第19条の4)
- 第5章 特定給食施設等
- 第1節 特定給食施設における栄養管理(第20条―第24条)
- 第2節 受動喫煙の防止(第25条)
- 第6章 特別用途表示等(第26条―第33条)
- 第7章 雑則(第34条・第35条)
- 第8章 罰則(第36条―第40条)
- 附則
内容[編集]
「日本の医療#健康づくり」も参照
健診事業[編集]
本法により、従来の老人保健法に基づく健康診断事業は廃止された。代わって、65歳以上を対象にした介護予防健診が2006年度︵平成18年度︶から開始され、市町村の新しい義務として特定高齢者把握事業を行い、国の基準に該当するものに対して介護予防事業を行うことが定められた。
また、65歳未満の国民に対しては、2008年度︵平成20年度︶から特定健診事業が開始された。ここでは、腹囲が大きく血液検査に異常値を持つ者をメタボリックシンドローム該当者ないしは予備群として選び出すことと、これらの者に特定保健指導を行うことの2点を、健康保険者に義務づけている。
受動喫煙防止[編集]
2003年施行の健康増進法[編集]
第25条では、多数の者が利用する施設の管理者に対し受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう求めていたが、当初は努力規定となっており、この条文に違反しても罰則はなかった。厚生労働省健康局長通知により[4]、本条の制定趣旨、対象となる施設、受動喫煙防止措置の具体的方法を明示していたものの法的強制力はなかった。2020年施行の改正健康増進法[編集]
厚生労働省は2016年︵平成28年︶、東京オリンピック・パラリンピックに向けた受動喫煙対策を推進するため、全面禁煙を原則とする法的強制力をもった制度案をまとめた。当初案は、医療機関や学校は敷地内禁煙。官公庁やスタジアムは建物内禁煙。飲食店や事業所は建物内禁煙だが、喫煙室の設置は容認するという内容であった[5]。 しかし、2017年︵平成29年︶2月の自民党厚生労働部会では、﹁非現実的だ﹂﹁五輪のためなら東京だけでやれ﹂と反対論が噴出[6][7]。同年3月、厚生労働省はやむなくスナックやバーなど延床面積30平方メートル以下の小規模飲食店を原則禁煙の例外とする修正案を発表したものの[8][9]、自民党たばこ議員連盟︵たばこ議連︶や超党派の愛煙家議員連盟﹁もくもく会﹂を中心とした反対派議員がこの修正案を断固拒否[10][11]。厚生労働大臣の塩崎恭久は、職場の会合などで望まない受動喫煙︵いわゆる﹁イヤイヤ受動喫煙﹂︶を強いられる事例があることや、大学生・高校生もいるアルバイトや従業員の受動喫煙を防げない問題点を挙げ、分煙では不十分であることを説明したが、反対派議員は﹁分煙・喫煙﹂の表示を義務化すれば事足りるとして譲らなかった[12]。結局、閣議決定ができない状態が続いたまま、第193回国会では健康増進法改正案の提出さえできずに自民党内だけで議論が終了した[13]。 その後の内閣改造において、厚生労働大臣が財務省出身の加藤勝信に代わったことにより状況は一変[14]。翌2018年︵平成30年︶7月の第196回国会において、原則禁煙の除外範囲を客先面積100平方メートル以下に拡大するなど、前回の案より大幅に規制緩和された法案が成立した[15]。緩和後の法案の場合、55%程度の飲食店は規制の対象外となる[14]。 2019年︵令和元年︶7月1日から一部施行され、学校や病院、行政機関の敷地などが原則禁煙となり[16]、2020年︵令和2年︶4月1日の全面施行により、飲食店や職場などの屋内が原則禁煙となった[17]。なお、東京都や千葉市など、受動喫煙防止条例を制定して健康増進法より厳しい規制を設けている自治体もある[18][19]。特別用途表示、栄養表示基準[編集]
第26条からは、特定保健用食品︵トクホ︶制度を定めている。所管は消費者庁に移管された。脚注[編集]
(一)^ “健康増進法の概要”. 厚生労働省. 2021年9月24日閲覧。
(二)^ “誇大広告‥健康食品、業者名公表へ 消費者庁が方針”. 毎日jp (毎日新聞社). (2010年12月1日). オリジナルの2010年12月3日時点におけるアーカイブ。
(三)^ “消費者庁の主な所管法律” (PDF). 消費者庁. 2017年4月2日閲覧。
(四)^ “受動喫煙防止対策の徹底について” (PDF). 厚生労働省. 2017年4月2日閲覧。
(五)^ “東京五輪は原則、全面禁煙 分煙論外 初の制度案”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2016年12月9日) 2021年9月23日閲覧。
(六)^ “受動喫煙防止対策で自民大もめ ﹁東京だけでやれ!﹂﹁煙吸う人のことも考えろ!﹂厚労部会は賛否割れる”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2017年2月15日) 2021年9月23日閲覧。
(七)^ 庄子育子 (2017年3月21日). “たばこ議連が反発、混迷する受動喫煙防止対策 所管の厚生労働省と神経戦”. 日経ビジネス (日経BP) 2017年6月18日閲覧。
(八)^ “飲食店は原則禁煙、違反は罰金50万円 厚労省案公表”. 朝日新聞. (2017年3月2日) 2017年4月2日閲覧。
(九)^ “舞台・スタジアムは﹁喫煙﹂OK 健康増進法改正案 興行場の喫煙室認める”. 産経新聞. (2017年3月1日) 2017年4月2日閲覧。
(十)^ “分煙徹底、たばこ議連が対案”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2017年3月7日) 2021年9月23日閲覧。
(11)^ “禁煙VS喫煙で永田町“煙上”?もくもく会が徹底抗戦”. テレ朝news (テレビ朝日). (2017年3月7日) 2021年9月24日閲覧。
(12)^ “厚労相、受動喫煙対策の自民案に問題点指摘”. 日テレNEWS24 (日本テレビ). (2017年5月9日) 2021年9月25日閲覧。
(13)^ 坂井広志 (2017年6月6日). “受動喫煙防止法案、今国会の成立断念 自民政調と塩崎恭久厚労相の信頼崩壊 迷走重ねた調整”. 産経新聞 (産経新聞社) 2017年6月18日閲覧。
(14)^ ab“受動喫煙規制は﹁前時代的な利害調整﹂との戦いだ”. ダイヤモンドオンライン (ダイヤモンド社). (2018年5月8日) 2021年9月23日閲覧。
(15)^ 受動喫煙対策 厚生労働省HP
(16)^ “学校、病院、役所 悪質違反者に罰則 改正法一部施行”. 東京新聞. (2019年7月1日)
(17)^ 例外いろいろ﹁屋内禁煙﹂ 罰則も効き目は未知数 改正健康増進法全面施行 毎日新聞、2020年4月2日閲覧
(18)^ “従業員の受動喫煙NO! 厳しい都防止条例4月全面施行 飲食店8割屋内禁煙に”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2020年3月29日) 2021年9月24日閲覧。
(19)^ “千葉市の受動喫煙防止条例 4月1日施行”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2020年3月30日) 2021年9月24日閲覧。