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﹃命題論﹄︵めいだいろん、希: Περὶ Ἑρμηνείας、羅: De Interpretatione, 英: On Interpretation︶とは、アリストテレスの著作であり、﹃オルガノン﹄の中の一冊。
文字通り、様々な︵真偽判定の対象となる︶﹁命題文﹂のあり方について述べられている。原題は、﹁表現について﹂﹁説明について﹂﹁解釈について﹂といった程度の意味。
14の章から成り、1章-13章については内容上、
●1章-4章
●﹁名詞﹂と﹁動詞﹂
●﹁文﹂と﹁命題文﹂
●5章-11章
●﹁肯定﹂と﹁否定﹂
●﹁単純命題﹂と﹁複合命題﹂
●﹁矛盾対立命題﹂
●﹁普遍﹂と﹁個別﹂
●﹁時制﹂︵現在・過去・未来︶など
●12章-13章
●﹁様相﹂︵可能・不可能・必然︶
の3つに分けることができる[1]。
最後の14章に関しては、それまでに完了している議論に対する追加的なものであり、真作性に疑義を呈する意見もある[2]。
第1章
序論。名詞・動詞、否定・肯定・表現・文などの定義の必要性。
名詞・動詞それ自体は、真でも偽でもない。
第2章
﹁名詞﹂について。
●﹁名詞﹂ - ﹁約束﹂によって[3]意味を持つ音声。﹁時﹂を含まない。
第3章
﹁動詞﹂[4]について。
●﹁動詞﹂ - それの持つ固有の意味に、﹁時﹂を合わせ示す。
第4章
﹁文﹂について。
●﹁文﹂ - 意味を持った音声。
●﹁命題文﹂ - 真偽が存在する文。
第5章
命題文の肯定・否定、単純・複合。
第6章
●﹁矛盾対立命題﹂ - 同一のものについて肯定と否定が対立するもの。
第7章
事物の普遍と個別。
第8章
基体︵主語︶の単一性。
第9章
時制︵過去・現在・未来︶と真偽。
過去・現在については真偽が成立するが、未来の個別的なものについては決定できない。
第10章
肯定命題・否定命題のバリエーション。
第11章
表現対象の複数性と、弁証術。
第12章
﹁様相﹂︵可能・許容・不可能・必然︶について。
第13章
﹁様相﹂︵可能・許容・不可能・必然︶と、肯定命題・否定命題のバリエーション。
第14章
命題の関係性についての判断。
脚注・出典[編集]
- ^ 『アリストテレス全集』岩波書店 p162-163
- ^ 『アリストテレス全集』岩波書店 pp161-162
- ^ プラトンの『クラテュロス』における議論、すなわち「名は習俗的・社会的な約束事ではなく、自然本性に由来する」を意識的に否定している。
- ^ ここで言う「動詞」は、「○○である」という形容詞的な語も含む。
関連項目[編集]