堕靡泥の星
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﹃堕靡泥の星﹄︵ダビデのほし︶は、佐藤まさあきの劇画作品。及びそれを原作とした成人映画やOVA、アダルトビデオ。
概要[編集]
﹃漫画天国﹄︵芸文社︶に1971年から1976年まで連載され、異色の代表作となった。単行本は佐藤プロ出版部﹁佐藤まさあき劇画自選集﹂全16巻に収録されているが絶版になっており、1998年にアスペクトから新装版が出版された。続編の﹃新 堕靡泥の星﹄は﹃プレイコミック﹄︵秋田書店︶ に1986年から連載された。 1979年には実写版である映画﹃堕靡泥の星 美少女狩り﹄が上映された。 1989年から1990年にかけて発売されたOVAは全5巻。5巻目は原作のアニメ化ではなく、アニメオリジナル作品。視聴年齢制限は設けられておらず、一般向けの作品として販売されていた[1][2]。 本作は、アウシュビッツ展に展示されているユダヤ人虐殺写真の残酷さに胸が潰れる思いをしながらも、自分の中のサディズムの血が燃え始めたのを感じ取った作者が、﹁人間が人間を物のように扱える戦争の狂気、そして勝者の権力というものへの憧れ﹂に心が疼き、そこから執筆したという。また、当時は強姦願望があり、その思いを作品にぶつけたと告白している。 第四部からは堂本龍策との共同制作体制[3]になっている[4]。 主人公の姓である﹁神納﹂は作者が眠っている時に浮かんできた言葉である。ただし、﹁神納﹂は実在する名字︵名古屋市を中心に、全国に500名ほど実在している[5][6][7][8]︶で、日本に存在しないというのは作者の思い込みだったようである。あらすじ[編集]
神の叡智と悪魔の魂を併せ持つ神納達也は、脱獄囚と大学教授夫人の間に生まれた子である。やがて、達也は養父を殺害して莫大な財産を手に入れると、本能の赴くままに悪行と残虐を尽くす壮絶な旅路に就く。登場人物[編集]
神納達也︵じんのう たつや︶ 本作の主人公。幼い頃から養父・神納教授に虐待を受けたことや、母が自殺したことから神納教授を憎悪し、高校生の時に殺害。中学生の時、授業でナチス・ドイツのユダヤ人虐殺を知り、興味を持ったことやその他の出来事から己の中のサディズムと犯罪者の血に目覚める。後に成人し、神納家の財産管理権を手に入れた彼は己の欲望と感情の赴くままに生きることを決意する。 愛読書は﹃夜と霧﹄。高度な知能を持ち、普段は自分の裏の顔を隠して生きている。しかし本質的には他者と何も相容れることのない、けだものである。 彼の犯罪は個人的な復讐を除けばほとんどが強姦であり、愉しみが終わった後は証拠隠滅のための殺害も平然と行う。 神納教授 達也の養父。大学教授であり、古くからの由緒ある家柄で4万坪もの土地を所有する神納家の当主。 妻が強姦されたことがきっかけで妻と達也を憎悪し、虐待してきた。だが神納家の名前と世間体を気にする性格だったため離婚はしなかった。さらにバーのマダムと浮気していた。達也に事故死と見せかけられて殺される。 その遺産は当時の価値で20億~30億程度もあると言われ、達也の犯罪を大きく幇助した。親戚連中は皆その遺産を狙っており、好かれていなかったことが描写されている。 神納とき江︵じんのう ときえ︶ 達也の母。旧姓は仁礼。達也に親としての愛情をそそいでいた。だが夫の虐待に耐えられず自殺した。 蛭川源平︵ひるかわ げんぺい︶ 達也の実父。刑務所から脱獄して神納家に押し入り、とき江を強姦したことで達也が生まれた。脱獄後も婦女暴行・殺人を繰り返してきた凶悪犯。神納教授の"事故死"から達也の存在を知り、達也に接触してきた。 加納教授 神納教授の友人で達也を幼い頃から可愛がっていた。就職のために知人を紹介するなど達也を気にかけている。 神納教授とは違い、温厚で娘にとっても良き父親であり、達也が信頼している数少ない人物。 さすがに資産家とまではいかないが、仕事にも真面目で熱心、裕福な暮らしをしていることは描写されている︵娘にはピアノを習わせているなど︶。 加納由美子︵かのう ゆみこ︶ 加納教授の娘で高校3年生。達也に淡い思いを抱いている。達也も彼女を愛しており、達也に残された唯一の人間らしい心の象徴ともいえる女性。 清純で美しい容姿を持つ。良く言えば世間ずれしておらず純情、悪く言えば若干男の心について無理解・無神経な、子供っぽいところがある。 時が経つにつれ、達也について﹁一見は優しそうでも、瞳の奥に時々キラリと光る氷のような冷たさを持つ﹂と彼の本質をおぼろげながらも見抜いていた。 紆余曲折あって、早乙女秀樹から受けたアプローチを拒めず、徐々に受け入れていってしまう。達也は彼女が自分の知らないところで大きく変化していくことに嫉妬し、運命は彼女をも破滅へと導いていく。 田代千春︵たしろ ちはる︶ 祝田家に世話になっている、妾の娘。田代は母親の姓であり、祝田の叔母の夫が他所で作ってきた子供。年若くして華道を習っており、和服のよく似合う成熟した色気を持つ美人だが、内面はやはり純情。 達也の遺産をどうにかして手に入れたい叔母の陰謀によって、接点を持たされる。どこか達也の母親の面影を残した彼女に、達也は久しぶりに肉欲を伴わない、人間らしい感情を心に灯す。 祖母の陰謀を嫌っていた彼女だが、その後様々な紆余曲折を経て本心から達也を愛し、彼に献身する。 最後は想いを告白するが、達也はそれに応えることはなく、代わりに誰にも言わなかった本心を彼女にだけは打ち明け去っていった。 本作に登場する美女の中で、達也に別れ際まで大切に扱われた、唯一と言って良い女性。 大田黒源平︵おおたぐろ げんぺい︶ 日本の政財界に大きな影響力を持つ大物政治家で日本の黒幕といわれている。暴力団や外国大使館とも繋がりを持ち、箱根の別荘にハーレムを築いている。達也に弱みを握られたために協力を強いられる。 平戸八兵衛︵ひらど はちべえ︶ 定年を間近にひかえた老刑事。科学捜査の現代でカンに頼った捜査にこだわるため未だにヒラである。ある事件で持ち前のカンから達也を犯人と睨み追い続ける。達也を逮捕することで刑事としての最後の花道を飾ろうとする。堕靡泥の星 美少女狩り[編集]
堕靡泥の星 美少女狩り | |
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監督 | 鈴木則文 |
脚本 | 大和屋竺 |
製作 |
結城良煕 村井良雄(企画) 成田尚哉(企画) |
出演者 |
波乃ひろみ 土門峻 山本昌平 八城夏子 小川亜佐美 岡本麗 朝霧友香 名和宏 飛鳥裕子 |
音楽 | 田口正幸 |
撮影 | 森勝 |
編集 | 井上治 |
配給 | にっかつ |
公開 | 1979年10月27日 |
上映時間 | 100分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |