夕立
表示
夕立︵ゆうだち︶は、夏の午後から夕方にかけてよく見られる天気。激しいにわか雨を伴う。まれに夕立ちとも。
驟雨︵ 喜雨︵きう︶などを異称とする。
夕立の来て蚊柱を崩しけり — 正岡子規
夕立の様子を捉えた衛星画像。九州から関東までの広範囲で積乱雲が発 生し、四国の南方では巨大な雲の塊に成長している。(2008年7月31日、PD NASA))
夕立の発生は通常、午前中からの日射により地表面の空気が暖められて上昇気流を生じ、水蒸気の凝結によって積乱雲を形成して降雨をもたらすという過程を取る。上昇気流、上空と地表付近の大きな気温差、高温多湿の空気の3つの条件が揃うと、大気が不安定になり夕立の雲が発生する。
高温多湿の空気は、気圧配置の影響が大きい。台風や低気圧が日本の南海上にあるときは、湿った空気が上空から供給される。
気温差は、上空の寒気や暖かく湿った空気が流れ込んだり、猛暑が続いて地表の温度が高くなると生じやすい。また、台風や低気圧が日本の北方にあるときや、日本が高気圧の辺縁部にあるときは、湿暖流が流れ込んで気温と湿度の上昇が起きる。
上昇気流は、地形の影響が大きい。山沿いでは、水平に流れていた風が山にぶつかることで上昇気流が生じるため、積乱雲ができやすく夕立も多い。また近年は、ヒートアイランド現象による都市の高温化や高層ビル群に起因する上昇気流が、積乱雲のできやすい状況を作っているのではないかという指摘もある。