処格
表示
(所格から転送)
処格︵しょかく、ラテン語 casus locativus, 英語: locative case︶とは、名詞・形容詞の格の一つで、場所を示す。
所格、地格、位格、依格、於格などともいう。
サンスクリットにおいては独立の格形を保っているが、古典ギリシア語では与格に、ラテン語ではごく一部の名詞を除いて奪格に吸収された。ラテン語で書かれた書物の扉において、出版地は処格形で示されている。また、スラヴ語では常に前置詞を伴うため、前置格︵露‥предложный падеж︶という。ただし、チェコ語では6格と呼ぶ場合もある。
ウラル語族の一部︵ハンガリー語、フィンランド語等︶では、処格に相当するものとして複数の格︵内格、出格、入格、接格、向格等︶ が独立に存在する。
日本語
[編集]
日本語では格変化を持たない。その代わりに処格に対応する以下の格助詞を付加する。
●存在・移動に関する動詞︵ある、いる、住む、座る、行く、着く、置く、移る、移す、など‥処格を必須の項として取るものが多い︶に対しては﹁に/へ﹂[1]︵英語前置詞の﹁to﹂に相当︶
●それ以外の動詞に対しては﹁で︵にて︶﹂[2]︵英語前置詞の﹁at﹂に相当︶と使い分ける。
朝鮮語でも類似の使い分け︵﹁에﹂と﹁에서﹂︶がある。