抱き合わせ商法
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抱き合わせ商法︵だきあわせしょうほう、英: tying︶とは、本来の商品・サービス︵主たる商品︶とは別の商品・サービス︵従たる商品︶をセットで販売する方法・手法の総称を指す。抱き合わせ販売とも呼ばれる。
概要[編集]
大抵の場合は、多くの人が入手したいと考えるような購買率の高さが期待できる﹁人気商品﹂と、人気がなく売れ行きが芳しくない﹁不人気商品﹂をセットにして販売する例を指す。 ﹁不人気商品﹂と入手しにくい﹁人気商品﹂を組み合わせて販売した場合、消費者︵客︶が後者の﹁人気商品﹂を手に入れるためには、前者の﹁不人気商品も同時に購入﹂しなければならない。この場合、販売者にとっては不人気商品の購買率が高められることが期待できるが、消費者にとっては廉価で良質な商品を選ぶ環境でなくなってしまう。 主たる人気商品の販売に併せ、従たる不人気商品の購入を強制することは、自由かつ公正な競争を不当に妨害する側面も併せ持つ。 抱き合わせ商法は従たる不人気商品の販売数を少しでも稼ぐために利用され、この場合、主たる人気商品のシェアを占める企業が従たる不人気商品の市場での競争業者を排除する手段となる。 日本においては、このような販売方法は不公正な取引方法の一般指定︵10項︶により指定されており、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律︵独占禁止法︶第19条違反となる[1]。 不当な抱き合わせ販売とならない場合としては、 ●個別に購入できる選択肢が残されている場合 ●個別に購入できないが、組み合わされる商品や役務が密接にかかわっている場合︵以下は一例︶ ●﹁レンタカー向け保険﹂を単品販売せず、レンタカーの貸与と共に販売する[2]。 ●太鼓やシンバル、金具類を単品販売せず、﹁ドラムセット﹂としてまとめて販売する︵セットを構成する単品が個別購入できない場合︶。 ●パソコン単体では販売せずに、メーカーが指定したオペレーティングシステムを組み込んで販売する。組立家具に組み立てに必要な工具を同梱して販売する︵それぞれを単体で買う選択肢がない場合︶。 ●単品と認識されるが一般的に複数を一組として販売されるもの。自動車用タイヤを4本、ダーツの矢を3本、太鼓の撥︵スティック︶の左右、ねじや釘、一部の消耗品などは単品で販売されないことが多い。 ●単体商品として販売されないおまけを付ける場合︵音楽CDと握手券[3]など︶ などがあげられる。不当な抱き合わせ販売の例[編集]
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以下に、商売手法として﹁不当な抱き合わせ販売﹂とされている一部の実例を例示する。
●ドラゴンクエストシリーズが新発売の時期に、品薄で入手しにくいことを利用して﹃ドラゴンクエストIII﹄・﹃ドラゴンクエストIV﹄と、他の﹁不人気なゲームソフト﹂とを抱き合わせて販売した事例︵藤田屋事件︶[4]。
●マイクロソフトのオペレーティングシステムである Microsoft Windows に含まれる︵プリインストールされている︶Internet ExplorerやWindows Media Playerなどについて、﹁違法な抱き合わせ販売﹂として、日本国内や欧州連合で、過去に何度か問題提起されている[5][6]。
●1996年ごろ、マイクロソフトがパソコンメーカー各社に対し、Microsoft Office のバンドル・プリインストールの際、Word/Excel をセットで販売する方針を取っていたことについて、公正取引委員会により勧告を受けたことがある[7]。
●日本のパチンコ・パチスロにおいては、人気機種を優先的にホールに導入できるようにする代わりに、同じ会社の不人気機種を抱き合わせで購入させられることが半ば常態化していたことから、2009年1月にパチンコ業界の関係4団体がそのような販売方法を規制することで合意したことが明らかにされた[8]。しかし、合意直後の同年3月に発売されたCRスロぱちんこグラディエーターエボリューション︵京楽産業.︶において次機種との抱き合わせ販売が行われていたことが明るみに出た[9]。
●1993年米騒動の際に、日本米と不人気なタイ米をセット販売した米屋があった。
●2019年の新型コロナウイルスによる影響でマスクがほとんど購入できない状態となっている際、ドラッグストア大手のマツモトキヨシとコクミンドラッグの一部店舗でマスクと他の商品とを抱き合わせて販売していた事例があったとして、公正取引委員会が業界団体の日本チェーンドラッグストア協会に対して、注意喚起を行ったことがある[10][11]。
脚注・出典[編集]
(一)^ “第26回 独占禁止法﹁抱き合わせ販売﹂が違法な理由”. 日経クロステック. 判例で理解するIT関連法律 (2009年1月22日). 2020年12月17日閲覧。
(二)^ 抱き合わせ販売と独禁法 - J-Net21
(三)^ 抱き合わせ販売と独占禁止法 ベリーベスト法律事務所、2015年9月14日︵2023年3月8日閲覧。︶
(四)^ “︵株︶藤田屋に対する件”. 公正取引委員会 (1990年12月20日). 2012年12月9日閲覧。
︵公取委1992年2月28日勧告審決 審決集38巻41頁︶
(五)^ “米司法省らが米マイクロソフトを反トラスト法違反容疑で提訴”. ASCII.jp. (1998年5月19日) 2020年12月17日閲覧。
(六)^ “欧州委員会、Microsoftに650億円の罰金とMedia Playerの分離を命令”. PC Watch (Impress). (2004年3月25日) 2011年1月22日閲覧。
(七)^ “公取委、マイクロソフトに独禁法違反で排除勧告”. PC Watch (Impress). (1998年11月20日) 2011年1月22日閲覧。
(八)^ 大量導入優先販売の是正に向け、4団体が合意 - 月刊グリーンべると・2009年1月30日
(九)^ 京楽が販売方法で全日にお詫び、都遊協が報告 - 月刊グリーンべると・2009年5月1日
(十)^ “マスク“抱き合わせ”にクギ﹁独禁法違反の恐れ﹂”. テレ朝news (テレビ朝日). (2020年2月27日) 2020年12月17日閲覧。
(11)^ “マスクの﹁抱き合わせ販売﹂やめて! 公取委が業界団体に要請”. 産経ニュース (産経デジタル). (2020年2月27日) 2020年12月17日閲覧。