月蝕歌劇団
月蝕歌劇団︵げっしょくかげきだん︶は、1985年に高取英により創立、旗揚げ︵翌1986年︶した日本の劇団である。女性中心のキャストでスーパーアングラにこだわった舞台を上演し続けることから 暗黒の宝塚と称されている[1][2]。
概要[編集]
1985年、劇作家の寺山修司の取材、出版スタッフとして創作活動を支えていた高取英が、寺山の勧めもあり劇団を立ち上げる[1]。劇団結成にあたり、吉本新喜劇と宝塚歌劇団のどちらの方向性で行くべきか悩んだ末、宝塚歌劇団の方を選び﹁月蝕歌劇団﹂と命名。月蝕という言葉に﹁儚いロマンティシズム﹂という意味を込めた[2]。 旗揚げ﹃女神ワルキューレ海底行﹄は、写真週刊誌﹃フォーカス﹄で取り上げられ、話題となる[3]。また、劇団創立前の高取英の代表作品﹃聖ミカエラ学園漂流記﹄は、日本テレビ﹃11PM﹄でも放映[4]。1982年初演のこの作品は、その後、アニメ︵バンダイ他︶小説︵電撃文庫︶マンガ︵藤原カムイ︶Vシネマとメディア展開された[5]。Vシネマの主演一ノ瀬めぐみは、月蝕歌劇団の主演女優となる。 高取英の作品の他、寺山修司、澁澤龍彦、埴谷雄高、沼正三、江戸川乱歩などの幻想文学系の作品、竹宮惠子、梶原一騎、新田たつお、つげ義春などのマンガ作品を演劇化している。劇中音楽は演劇実験室◎万有引力のJ・A・シーザー[5]、チラシ、ポスターは主に吉田光彦が担当[6]。他に藤原カムイ、安西水丸、横山宏、小林響、本くに子らが携わっている。 ザムザ阿佐谷、大塚萬スタジオなどで行う本公演と小劇場や喫茶店、バーなどの空間で行う実験室公演が行われる。公演時にはライブも合わせて行われる。実験室公演では﹃白夜月蝕の少女航海紀﹄等を何度も再演している。 2006年大阪に再進出する。2007年本多劇場に進出した。 また2007年8月及び2009年8月、紀伊國屋ホールにて﹃寺山修司-過激なる疾走﹄を上演した。 1996年、夢野久作・原作﹃ドグラ・マグラ−海外版−﹄をロシアで公演︵モスクワ、サンクトペテルブルク︶、2009年には、スロベニア国際演劇祭に招待され、エヴァルド・フリザール作 高取英 演出﹃What about Leonardo?﹄を上演した。 2013年に再びスロベニア国際演劇祭に招かれ、エヴァルド・フリザール 作 高取英 演出﹃トリスタンとイゾルデ︵Tristan und Isolde︶﹄を上演した。 2015年、WOWOWがノンフィクションドキュメンタリーとして﹃暗黒のアイドル、寺山修司の彼方へ〜﹁月蝕歌劇団﹂30年の挑戦〜﹄を4回放映した[1][3]。 2017年11月には本公演100本記念となる﹃ねじ式・紅い花﹄を千本桜ホールにて上演。つげ義春のマンガ作品﹁ねじ式﹂と﹁紅い花﹂を融合させた幻惑の世界を展開した[7]。 2018年、高取英の急逝により、白永歩美︵高取長女︶[8]が二代目代表に就任。 2021年11月の第114回本公演﹁白夜月蝕の少女航海紀─劇場版─﹂で一時活動休止、充電期間に入った[9][10]。主な劇団員[編集]
主な客演[編集]
主な作品[編集]
- 「寺山修司-過激なる疾走」(作 演出・高取英)
- 「怪盗ルパン・満州奇岩城篇-川島芳子と少年探偵団-」(作 演出・高取英)
- 「〈津山三十人殺し〉幻視行」(作 演出・高取英)
- 「金色夜叉の逆襲」(作 演出・高取英)
- 「邪宗門」(作・寺山修司 構成 演出・高取英)
- 「幻夢ドグラ・マグラ(原題 What about Leonardo?)」(作・Evald Flisar、構成 演出・高取英)
- 「100年気球メトロポリス」(原作・寺山修司、構成 演出・高取英)
- 「ステーシー 少女ゾンビ再殺談」(原作・大槻ケンヂ、脚本 演出・高取英)
- 「ドグラ・マグラ」(原作・夢野久作 脚本 演出・高取英)
- 「ネオ・ファウスト地獄変」(作 演出・高取英)
- 「ピーターパン」(作 演出・高取英)
- 「メトロポリス 遣欧少年使節篇」(作 演出・高取英)
- 「ルパンVS少年探偵 怪魔・二十面相共和国」(作 演出・高取英)
- 「愛と誠」(原作・梶原一騎+画 ながやす巧、脚本 演出・高取英)
- 「陰陽師 安倍晴明-最終決戦」(作 演出・高取英)
- 「英雄喪失記」(構成 演出・高取英)
- 「英雄伝説 馬賊 矢吹丈」(作 演出・高取英)
- 「黄昏に向けて唾を吐く」
- 「家畜人ヤプー」(原作・沼正三、脚本 演出・高取英)
- 「花と蛇」(原作・団鬼六、脚本 演出・高取英)
- 「月蝕歌劇団☆黙示録」(作 演出・高取英)
- 「月蝕版ベルサイユのばら G線上のアリア-フランス革命異聞」(作 演出・高取英)
- 「高丘親王航海記」(原作・澁澤龍彦、脚本 演出・高取英)
- 「高取版安寿と厨子王 原子心母シジフォス-パンパネラの一族」(作 演出・高取英)
- 「時代はサーカスの象にのって2002」(作・寺山修司、構成 演出・高取英)
- 「疾風(かぜ)のまつりごと」(原作・竹宮惠子、脚本 演出・高取英)
- 「若草物語-マックスウェルの悪魔」(作 演出・高取英)
- 「書を捨てよ町へ出よう」(作・寺山修司、構成 演出・高取英)
- 「女神ワルキューレ海底行」(作 演出・高取英)
- 「少女革命ウテナ 魔界転生黙示録」(原作・ビーパパス、脚本 演出・高取英)
- 「少年極光(オーロラ)都市」(作 演出・高取英)
- 「新宿異人娼館」(構成 演出・高取英)
- 「新撰組 in 1944-ナチス少年合唱団-」(作 演出・高取英)[11]
- 「人力飛行機ソロモンー劇場版ー」(作・寺山修司、構成 演出・高取英)
- 「人力飛行機ソロモン青森篇」(作・寺山修司、構成 演出・高取英)
- 「水晶の魔 マリン・ブルー」(作 演出・高取英)
- 「聖ミカエラ学園漂流記」(作 演出・高取英)
- 「続聖ミカエラ学園漂流記-少年十字軍・夕笛作戦」(作 演出・高取英)
- 「聖ミカエラ学園漂流記Ⅲ 義経・ジンギス汗篇」(作 演出・高取英)
- 「静かなるドン」(原作・新田たつお、脚本 演出・高取英)
- 「静かなるドン魔界・天翔篇」(原作・新田たつお、脚本 演出・高取英)
- 「中国の不思議な役人」(作・寺山修司、構成 演出・高取英)
- 「帝国月光写真館」(作 演出・高取英)
- 「帝国人形病院」(作 演出・高取英)
- 「酉の市見世物小屋」(構成・高取英)
- 「南総里見八犬伝」(作 演出・高取英)
- 「白夜月蝕の少女航海紀」(作 演出・高取英)
- 「標的者」(作・埴谷雄高、脚本 演出・高取英)
- 「不思議の國のアリス」(作 演出・高取英)
- 「平成エレジー」(作・高田健一、構成 演出・高取英)
- 「魔女が翔ぶ日」(構成・高取英)
- 「魔弾の射手 パルテノジェネーズ」(作 演出・高取英)
- 「盲人書簡・上海篇」(作・寺山修司、構成 演出・高取英)
- 「翼なき人力飛行機」(作 演出・高取英)
- 「龍馬は戦場へ行った」(作 演出・高取英)
- 「オズの魔法使い・月蝕版 -少女と魔女-」(ライマン・フランク・ボーム原作より、作 演出・高取英)
- 「カリガリ博士 -葛飾北斎とその娘・お栄篇-」(ハンス・ヤノヴィッツ、カール・マイヤー原作より、作 演出・高取英)
- 「田園に死す」(作・寺山修司、構成 演出・高取英)
- 「ねじ式・紅い花」(原作・つげ義春、脚本 演出・高取英)
脚注[編集]
(一)^ abc“月蝕歌劇団、“暗黒の宝塚”の表と裏に密着”. メディアスパイス (2015年10月16日). 2016年4月6日閲覧。
(二)^ ab川崎賢子、渡辺美和子﹃宝塚の誘惑: オスカルの赤い口紅﹄青弓社、1991年、179頁。
(三)^ ab“WOWOWオリジナルドキュメンタリー ﹁暗黒のアイドル、寺山修司の彼方へ。﹂ 月蝕歌劇団の30年の挑戦を追う”. 毎日新聞. (2015年11月18日). オリジナルの2016年4月17日時点におけるアーカイブ。 2016年4月6日閲覧。
(四)^ “藤本義一さん”. 高取英︵月蝕歌劇団︶の日記 (2012年10月31日). 2016年4月8日閲覧。
(五)^ ab“森永理科、﹃聖ミカエラ学園漂流記﹄で初の舞台主演”. BARKS (2013年1月15日). 2016年4月8日閲覧。
(六)^ “吉田光彦ポスター展﹁われに5月を﹂”. 宝塚大学東京メディア芸術学部 (2012年5月). 2016年4月6日閲覧。
(七)^ “月蝕歌劇団、公演100本記念!つげ義春﹁ねじ式・紅い花﹂&寺山修司﹁盲人書簡﹂連続上演”. ステージナタリー (2017年11月5日). 2018年1月6日閲覧。
(八)^ 白永歩美(@shirokuaruku︶ (2018年11月29日). “月蝕歌劇団代表 高取英が永眠致しました。”. twitter. 2020年12月2日閲覧。 “葬儀には私も長女として、また劇作家・高取英に関わった一女優として参列致しました。”
(九)^ “月蝕歌劇団の活動休止公演﹁白夜月蝕の少女航海紀﹂、高取英の処女戯曲を白永歩美が演出”. ステージナタリー (2021年10月5日). 2022年9月29日閲覧。
(十)^ “月蝕歌劇団 一時活動休止公演﹁白夜月蝕の少女航海紀─劇場版─﹂白永歩美×里見瑤子×新井舞衣×夢乃菜摘×大島朋恵×一ノ瀬めぐみ×山田勝仁 座談会 - ステージナタリー 特集・インタビュー”. ステージナタリー (2021年11月5日). 2022年9月29日閲覧。
(11)^ “ラピュタ イベントスケジュール”. COMICBOXホームページ. 2023年4月10日閲覧。
外部リンク[編集]
- 公式ウェブサイト ※サーバーダウン中
- 公式ウェブサイト ※2020年5月1日に移転
- 月蝕歌劇団 - Ameba Blog
- Gessyoku Kagekidan - ウェイバックマシン(2002年6月2日アーカイブ分)
- 月蝕歌劇団 (gessyoku) - Facebook
- 月蝕歌劇団 (@gessyokukageki) - X(旧Twitter)