盛岡都心循環バス「でんでんむし」
盛岡市街地循環バス﹁でんでんむし﹂︵もりおかとしんじゅんかんバス でんでんむし︶は、岩手県盛岡市内中心部で運行されているコミュニティバスである[1][2]。運行事業者は岩手県交通[3]。
1999年2月1日、盛岡市が全国で4番目のオムニバスタウンに指定された[4][5]。これを受け、盛岡市が主導して1999年度に盛岡都心循環バス﹁でんでんむし﹂の試験運行を実施[1]。試験運行は夏季と冬季の2回に分けて行われた[1]。盛岡市コミュニティバスとして市から補助金を受けて運行開始[1]、補助金により専用車両として中型ワンステップバス︵いすゞ・ジャーニーK︶を購入した[1]。翌2000年4月1日からは本格運行に移行した[1]。
オムニバスタウン指定については「オムニバスタウン#岩手県盛岡市」を参照
概要[編集]
盛岡駅を起点として、市内中心部を1周5.7km、約40分で運行する循環路線で左回りと右回りの両方向で運行している。
車両デザインは1998年に行われた﹁バスフェスティバルin盛岡﹂︵開催期間‥1998年9月20日~9月28日︶の低床バスデザインコンテストにて、小中学生部門の最優秀賞に選ばれた、当時小学1年生であった児童の作品である。
2005年から2006年にかけて、県内バス事業者としては初の中型ノンステップバス︵いすゞ・エルガミオ︶が専用車として投入された。
所管営業所[編集]
●松園営業所︵右回り担当︶ ●都南営業所︵左回り担当︶ ●運行開始当初は滝沢営業所へも専用車1両が配置され、都南営業所と共同で左回り線の運行を担当していた。その後2002年3月に滝沢営業所は運行担当から外れ、専用車両は都南営業所へ異動し現在の体制となった。沿革[編集]
●1998年9月20日 - ﹁バスフェスティバルin盛岡﹂にて8日間の期間限定による試験運行︵岩手県北自動車との共同運行・140円均一運賃︶。 ●1999年 ●5月1日 - 2回目の試験運行を5か月間の期間限定にて実施。 路線愛称を﹁でんでんむし﹂とする︵運賃100円均一、専用一日乗車券を導入︶。 盛岡市からの補助金を受け、専用車両として中型ワンステップバス︵いすゞ・ジャーニーK︶を購入[1]。 ●12月 - 3回目の試験運行を実施︵2000年2月末までの期間限定︶。 ●2000年4月1日 - 本格運行を開始[1]。﹁左回り﹂線を新設、専用車両を増車。 ●2004年8月 - ﹁材木町南口﹂左回り線バス停を新設。 ●2005年7月11日 - 岩手県内初となる中型ノンステップバスを右回り線に導入。 ●2006年10月 - 左回り線にも中型ノンステップバスを導入。 ●2007年5月 - 車内放送に英語アナウンスを追加。 ●2008年5月1日 - 左回り線を減便。 ●2010年3月31日 - この日をもって、岩手県北バス発行のバスカードの利用を終了︵それ以降は県交通発行のカードのみの利用となる︶。 ●2010年5月 - 右回り線に初の大型ノンステップバスを導入。 ●2012年2月 -﹁いわてデスティネーションキャンペーン﹂に向けてデザインを変更したノンステップバスが運行開始[6]。 ●2015年10月1日 - 2016年3月19日まで上の橋の工事に伴う通行規制により、左回りが与の字橋経由となる。左回りの﹁若園町﹂﹁上の橋町﹂を休止し、﹁総合福祉センター入口﹂が臨時の代替バス停となる。 ●2019年 ●5月15日 - バスカードの取り扱いを終了[7][8]。運転手の人員不足のため、運行時間帯を午前9時から午後4時台に、運行間隔を両回りとも15分間隔に減便[9]。 ●6月1日 - odecaの実証実験を開始し、Suica、PASMOなど全国相互利用IC乗車カードに対応[10][11]︵2021年1月末まで[12]︶。 ●10月1日 - 岩手医大前停留所を医大内丸メディカルセンター前停留所に改称。 ●2021年 ●3月27日 - 地域連携ICカード﹁Iwate Green Pass﹂を導入[13]。 ●4月1日 - この日より運賃・1日フリー券共に改定︵値上げ︶[14]。 ●2023年10月1日の運賃改定より、運賃が120円から130円へ引き上げられた[15]。運賃・乗車券類[編集]
●1回 大人130円・小児︵小学生︶70円︵均一運賃。中乗り前降り。降車時支払い︶[15] ●ICカードでの乗車も可能。 ●1日フリー乗車券 大人350円・小児180円 ●販売箇所‥盛岡駅前バス案内所・定期券売り場・プラザおでって·盛岡バスセンター ●一日フリー乗車券提示で﹁もりおか歴史文化館﹂への入館料が2割引になる。 岩手県交通の発行するバスカードは2019年5月15日まで利用可能だった︵岩手県北自動車の発行するバスカードは、2010年4月1日以降利用不可︶。ただし乗降方法は他路線同様﹁中乗り前降り﹂なので、バスカードは読み取り機に2回通さなければならなかった。 IGRいわて銀河鉄道が発売する企画乗車券は﹁すごe-きっぷ﹂のみ利用可能で、IGR・バス乗継通勤定期券は利用できない。現行路線[編集]
- 右回り(外回り)・左回り(内回り)とも同じ経路を運行するが、盛岡駅前の乗り場は右回り(外回り)と左回り(内回り)とでは乗り場が異なる。
車両[編集]
現行車両[編集]
﹁でんでんむし﹂専用車両は以下の通りで、右回り線︵松園営業所︶に5台、左回り線︵都南営業所︶に4台が所属している。 ●日野・レインボーHR︵ノンステップバス、7台︶ ●いすゞ・エルガ︵ノンステップバス、2台︶過去の車両[編集]
●いすゞ・ジャーニーK︵ワンステップバス、2台︶[1] ●いすゞ·キュービック︵ツーステップバス︶ ●試験運行時に導入された初代車両。盛岡市からの補助を受けて購入[1]。当初は2台導入され、両方向1台ずつ使用されていた。 ●左回り線の1台が国際興業路線色に塗り替えられた上で一般路線用に転用され、雫石営業所に転属した後、廃車となった。 ●いすゞ・エルガミオ︵ワンステップバス、5台︶ ●うち1台は一般路線に転用された。松園所属の2台は廃車となった。 ●いすゞ・エルガミオ︵ノンステップバス、2台︶ ●都南・松園所属の自社導入車だった。現在は2台とも廃車となっている。 ●日産ディーゼル・UA︵ワンステップバス・ノンステップバス、4台︶ ●三菱ふそう・エアロスター︵ワンステップバス・ノンステップバス、2台︶ ●日野・レインボーHR︵ノンステップバス、1台︶正面側(右回り線ノンステップ車)
リア側(右回り線ノンステップ車)
大型ノンステップ車両(東京都交通局からの譲受車)
年間利用者数[編集]
年度 | 1日の便数 | 利用者数 | |
---|---|---|---|
1999年度 | 56 | 332,456 人[17] | |
2000年度 | 712,115 人[17] | ||
2001年度 | 746,637 人[17] | ||
2002年度 | 82 | 932,535 人[17] | |
2003年度 | 979,593 人[17] | ||
2004年度 | 1,038,217 人[17] | ||
2005年度 | 95 | 1,154,336 人[17] | |
2006年度 | 1,250,285 人[17] | ||
2007年度 | 約131.5 万人[18] | ||
2008年度 | 93 | 約130.1 万人[18] | |
2009年度 | 約123.1 万人[18] | ||
2010年度 | 約121.4 万人[18] | ||
2011年度 | 約121.5 万人[18] |
脚注[編集]
(一)^ abcdefghij﹁ガンバレ!おらが町のコミュニティバス オムニバスタウン盛岡市のコミュニティバス﹂﹃バスマガジン﹄Vol.2、pp.12-16、三推社/講談社、2003年12月19日。当路線が記事タイトルおよび本文中でコミュニティバスとして扱われている。
(二)^ ﹁でんでんむし﹂︵盛岡都心循環バス︶の利用者像に関する意識調査 いわてコミュニティ交通研究会﹃コミュニティバスの評価方法に関する研究﹄、岩手県立大学総合政策学部。当路線が本文中でコミュニティバスとして扱われている。
(三)^ 盛岡中心市街地循環バス﹃でんでんむし﹄ 岩手県交通
(四)^ 盛岡市をオムニバスタウンに指定 ︵警察庁、運輸省及び建設省が連携してバスを活用したまちづくり構想を支援︶ 2000年︵平成12年︶2月1日、国土交通省
(五)^ 盛岡市におけるオムニバスタウン計画の概要︵平成11年度~平成15年度︶ 国土交通省
(六)^ いわてDCへ﹁でんでんむし﹂外装一新 盛岡で出発式岩手日報 2012年2月14日
(七)^ バスカード取り扱い5月終了 循環バス﹁でんでんむし﹂ 岩手日報 2019年03月01日
(八)^ 盛岡中心市街地循環バス﹁でんでんむし﹂のバスカード取扱い終了について 岩手県交通 2019年2月28日(PDF)
(九)^ 岩手日報 2019年05月16日付朝刊 1・27面 ﹁盛岡循環バスでんでんむし きょうから3割減便﹂
(十)^ 盛岡 中心市街地 循環バス﹁でんでんむし﹂で﹁odeca﹂の実証実験を行います 東日本旅客鉄道盛岡支社
(11)^ “盛岡・循環バス﹁でんでんむし﹂ICカード導入 来月から実証実験”. 岩手日日新聞社. (2019年5月28日) 2021年2月14日閲覧。
(12)^ ﹁でんでんむし﹂におけるICカード﹁odeca﹂のお取扱い・販売終了︵ほか2件︶ (PDF) ︵2020年11月30日 岩手県交通︶2022年10月18日閲覧。
(13)^ ﹃地域連携ICカード﹁Iwate Green Pass﹂発行開始について﹄︵PDF︶︵プレスリリース︶岩手県交通、2021年2月25日。2021年4月29日閲覧。
(14)^ 盛岡中心市街地循環バス﹁でんでんむし﹂の運賃改定について (PDF) - 国際東北グループ 岩手県交通株式会社、2020年12月28日、2021年1月2日閲覧
(15)^ ab路線バス︵乗合バス︶の運賃改定について︵2023年10月1日︶岩手県交通
(16)^ 10/1~ ダイヤ改正実施のお知らせ 岩手県交通
(17)^ abcdefgh﹁もりおか交通戦略﹂p17 (PDF) ︵盛岡市 2009年10月︶
(18)^ abcde﹁第2期盛岡市中心市街地活性化基本計画﹂p29 (PDF) ︵盛岡市 2013年12月︶
参考文献[編集]
- 「ガンバレ! おらが町のコミュニティバス オムニバスタウン盛岡市のコミュニティバス」『バスマガジン』Vol.2、pp.12-16、三推社/講談社、2003年12月19日。ISBN 4-06-366205-5
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 盛岡都心循環バス『でんでんむし』 - 岩手県交通
- 国土交通省「交通分野の新サービス情報」>盛岡市都市循環バス「でんでんむし」 - ウェイバックマシン(2008年1月4日アーカイブ分)