複式簿記
会計 | |
---|---|
主要概念 | |
簿記 - 時価会計 現金主義 - 発生主義 環境会計 売上原価 - 借方 / 貸方 複式簿記 - 単式簿記 後入先出法 - 先入先出法 GAAP / US-GAAP 概念フレームワーク 国際財務報告基準 総勘定元帳 - 取得原価主義 費用収益対応の原則 収益認識 - 試算表 | |
会計の分野 | |
原価 - 財務 - 法定 基金 - 管理 - 税 | |
財務諸表 | |
貸借対照表 損益計算書 キャッシュ・フロー計算書 持分変動計算書 包括利益計算書 注記 - MD&A | |
監査 | |
監査報告書 - 会計監査 GAAS / ISA - 内部監査 SOX法 / 日本版SOX法 | |
会計資格 | |
JPCPA - ACCA - CA - CGA CIMA - CMA - CPA - Bcom 税理士 - 簿記検定 |
複式簿記(ふくしきぼき、英: Double-entry bookkeeping system)とは、簿記において、全ての簿記的取引を、その二面性に着眼して記録していき、貸借平均の原理に基づいて組織的に記録・計算・整理する記帳法のことをいう。
概要[編集]
歴史[編集]
等式と財務諸表[編集]
複式簿記は、基本的な勘定科目に関する以下の等式によって基礎付けられる。
- ストックに関する等式
- フローに関する等式
- フローとストックをつなぐ等式
- 期末純資産 − 期首純資産 = 当期純利益
試算表 | ||
資 産 | 負 債 | |
純資産 | ||
収 益 | ||
費 用 | ||
貸借対照表 | 損益計算書 | |||
資 産 | 負 債 | 費 用 | 収 益 | |
純資産 | ||||
期間利益 | = | 期間利益 |
商 品 | ||
期首在庫 | 売上 原価 |
|
当期 仕入 |
||
期末在庫 |
商品等の仕入れでは、時期や仕入先などによって価格が異なることがありうるので、実際には、その都度原価を捉えることは難しい。そこで、棚卸によって期末の在庫を実地調査などで確定し、
- 売上原価 = 期首在庫 + 当期仕入 − 期末在庫
の関係式に従って、売上原価を逆算するのが普通である。
勘定科目[編集]
資産[編集]
現金、受取手形、売掛金、商品、有価証券、建物、機械、土地などがこれに属する。資産勘定は、終局的には貸借対照表の借方(左側)に記載される。
負債[編集]
支払手形、買掛金、借入金、未払金などがこれに属する。負債勘定は、終局的には貸借対照表の貸方に記載される。
純資産(資本)[編集]
資本金、資本準備金、利益準備金などがこれに属する。純資産勘定も、終局的には貸借対照表の貸方に記載される。なお会社法施行に伴い、貸借対照表の資本の部は、純資産の部に変わった。
費用[編集]
仕入、給料手当、広告宣伝費、消耗品費、交際費、通信交通費、支払利息などがこれに属する。費用勘定は、終局的には損益計算書の借方に記載される。
収益[編集]
売上、雑収入、固定資産売却益などがこれに属する。収益勘定は、終局的には損益計算書の貸方に記載される。
仕訳[編集]
仕訳においては、勘定科目の5区分で述べた、貸借対照表又は損益計算書における終局的な位置(借方か貸方か)にその勘定科目があれば、その勘定科目の増加を表し、反対側にあれば、その勘定科目が減少することを意味するというルールがある。
例えば、「現金」や「土地」勘定は借方(左側)が貸借対照表の終局的な位置であることから、
借方 貸方 土地 10,000,000 現金 10,000,000
と仕訳を行った場合、これは「現金1000万円で土地を買った」こと、すなわち現金の減少と、土地の増加を表すこととなる。
記載の簡易説明[編集]
噛み砕いて言えば、帳簿の右側(貸方)に資本金、借入、収入などの「資金の出所」を記載し、左側(借方)に投資(機材、仕入れなど)、貸付、出費などの「資金の用途・所在」を記載するということである。
例えば、ある会社の銀行口座に100万円が振り込まれたとする。この場合、この100万円の所在は銀行口座である。そしてこの資金の出所はオーナーの出資や取引先からの借入などが考えられる。この場合、左側の銀行口座の欄に100万円が書き加えられ、右側にも100万円が資本金、あるいは取引先の借入金として書き入れられる。
仮に○×銀行から100万円を借り入れたとする。この場合は帳簿の左側に100万円の預金が記載され帳簿の右側に100万円の借金が記載される。
さらにこの100万円を使って商品を仕入れたとする。この場合は右側に記載されている○×銀行の借金は変わらないが、左側に記載されている銀行預金の100万円は消滅し、これが100万円分の仕入品に入れ替わる。
さらにこの仕入品が120万円で売れたとする。この場合に100万円の仕入れ品が消滅し、代わりに120万円の現金が左側に記載される。この場合、右側の100万円の借金との不均等が生じるがこれは右側に20万円の利益を書き込むことで、不均衡が消滅する。
同じように銀行の借金の金利が10万円であるとする。10万円の金利が20万円の利益から引かれ、利益が10万円目減りする。この場合は左側の120万円の現金は換わらないが右側の○×銀行の借金が100万円の元金と10万円の利子の合計の110万円に増え、20万円の利益が10万円に目減りする。
ここで留意しなければならないのは左側の帳簿の合計と右側の帳簿の合計が常に同額であるということである。ある会社が5億円の株と5億円の社債を発行した場合は右側に5億円の出資金と5億円の借金が記載され、左側には10億円分の現金、土地、工場、設備、仕入品が記載される。ここで会社が儲かっていればその利益の分だけ両側の合計が増加し、逆に会社が損を出している場合は株と社債の額面の値段にかかわらず銀行と出資者の投資は目減りしていることになる。このように複式簿記においては帳簿の右側と左側の合計が常に一致するように記載される。
これは複式簿記会計の基礎として貸借平均の原理によるものである。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
参考文献[編集]
●津谷原弘﹃中国会計史﹄税務経理協会、1998年。 ●片岡泰彦﹁複式簿記起源論再考﹂﹃経済論集﹄第110号、2018年9月、57-91頁、ISSN 0287-4237、NAID 120006715598、2020年7月16日閲覧。 ●橋本寿哉﹁中世後期イタリアにおける商業組織の発達と複式簿記の生成 : 会計史研究と経営史研究の接点を探って﹂︵PDF︶﹃経済研究 研究報告28﹄2015年、2020年7月16日閲覧。 ●三代川正秀﹁辺境会計のすゝめ﹂﹃拓殖大学経営経理研究 115﹄2019年、2021年10月31日閲覧。関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 記帳や帳簿等保存・青色申告 - 国税庁