ISO 9000
ステータス | Published |
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初版 | 1987年 |
組織 | 国際標準化機構, 日本産業規格 |
委員会 | ISO/TC 176/SC 2 Quality systems |
ドメイン | 品質マネジメントシステム |
ウェブサイト |
www |
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d5/ISO_9001_in_Tsukiji.jpg/200px-ISO_9001_in_Tsukiji.jpg)
品質の定義
[編集]品質マネジメントシステム
[編集]ISO 9000の歴史
[編集]品質マネジメントシステムの始まり
[編集]非軍事的分野での品質マネジメントシステム
[編集]ISO 9000シリーズの制定と改訂
[編集]1994年版 | 2000年版 | 2015年現在の版 |
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ISO 8402 | ISO 9000 | ISO 9000:2015 Quality management systems — Fundamentals and vocabulary
品質マネジメントシステム-基礎と用語 |
ISO 9000-1 | ||
ISO 9001 | ISO 9001 | ISO 9001:2015 Quality management systems — Requirements 品質マネジメントシステム-要求事項 |
ISO 9002 | ||
ISO 9003 | ||
ISO 9004-1,2,3,4 | ISO 9004 品質マネジメントシステム-パフォーマンス向上のための指針 |
ISO 9004:2009 組織の持続的成功のための管理方法-品質マネジメントアプローチ(2016年に改訂予定) |
ISO 10011 | ISO 19011 | ISO 19011:2011 マネジメントシステム監査の指針 |
旧ISO 9001、ISO 9002、ISO 9003および現行のISO 9001
[編集]特徴
[編集]八つの品質マネジメント原則
[編集]ISO 9001:2000の構成
[編集]![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a9/ISO9001Model_jp.png/300px-ISO9001Model_jp.png)
ISO 9001:2000(およびISO 9001:2008-以下同様)は、以下のように構成されている。
- 〇章 序文
- ISO 9001 にはシステムアプローチが適用されていることを強調する。同時にISO 9001 とISO 9004 との関係を説明し、また、他のマネジメントシステム (ISO 9001:2008 で具体的に挙げられているのは、環境マネジメントシステム規格である ISO 14001:2005) と統合して運用することができることを述べる。
- 一章-三章 適用範囲、関連規格、用語と定義
- ISO 9001 は顧客の要求を満たす製品を供給し、顧客の満足度を強化することを目的とする組織に必要な要求事項を定めたもので、組織の形態、大きさ、製品の種別を問わず広く適用できるようにつくられていることを説明する。用語は ISO 9000 に定義されていることが述べられている。
- 四章 品質マネジメントシステム
- 組織は品質マネジメントシステムを確立し、文書化し、実際に運用し、維持し、継続的な改善を行っていかなければならないことを述べる。また、品質マニュアルを作成することを規定し、それを含めた文書や記録の管理方法に対する要求事項を規定する。
- 五章 経営者の責任
- 経営者は品質マネジメントシステムの導入と強化を責任をもってかかわりあっていることを示さなければならないことを規定する。具体的には、例えば顧客の要求がきちんと特定されており、製品が顧客の満足に結びついているよう組織を活動させるのは経営者の義務である。品質方針や品質目標もそれが適切に作られるようにすることも経営者の義務である。社内での様々な権限や責任を規定したり、社内のコミュニケーションの仕組み作りにも経営者は責任をもつ。また、経営者は定期的に組織の品質マネジメントシステムを点検しなけれはならない。
- 六章 資源の運用管理
- 資源とは、従業員や機械・設備、建物などのことである。まず、目的通りに製品を作るためにどのような資源が必要なのかを決める必要がある。従業員に適切な教育・トレーニングを行うこと、適切な労働環境を整えること、設備や建物 (インフラストラクチャー) を適切な状態に保つべきであることなどを規定する。
- 七章 製品実現
- ISO 9001:2000では、製品を具体的に実際のものとすることを、計画、顧客との関係、設計・開発、購買、製造、測定機器の点検という六つのフェーズに分けて、それぞれのフェーズに必要な要求事項とを規定している。顧客との関係では、顧客から明示的・暗黙的に示された要求事項、法的な要求事項などを明確にすることや、顧客とのコミュニケーションの方法を確立することを求めている。
- 八章 測定、分析及び改善
- 顧客の満足度を調査したり、製品が要求仕様通りにできているかどうかを確かめたり、また品質マネジメントシステムのプロセス自身を確認することを求めている。収集したデータの分析から、このような確認・測定に必要な情報を手に入れるべきであるとしている。また、不具合は是正し、起こりうる問題を防止し、常に品質マネジメントシステムの改善に努めることを求めている。
つまり、経営者の責任において、顧客の存在を重要課題として企業活動の方針に取り込み、その方針を実現するために経営資源を調え、顧客の要求事項を具体的に製品として実現させ顧客に供給する。そして、それが本当に顧客の要求事項を実現し、顧客満足を得ているかどうかを測定・分析し、その結果を経営者にフィードバックする。同時に測定・分析の結果は品質マネジメントシステムの改善に役立てる、というのかISO 9001が示す品質マネジメントシステムのモデルである。
検証と妥当性確認 (Verification and Validation)
[編集]ISO 9000シリーズでは、検証と妥当性確認を以下のように定義している。
- 検証 (Verification)
- 客観的証拠を提示することによって、規定要求事項が満たされていることを確認すること。
- 妥当性確認 (Validation)
- 客観的証拠を提示することによって、特定の意図された用途又は適用に関する要求事項が満たされていることを確認すること。
他のISO 9000シリーズの規格
[編集]2013年現在、ISO 9000シリーズを構成するとされる規格は、ISO 9001:2008の他に以下のようなものがある[33][注 1]
ISO 9000
[編集]名称 | 発行年 | 対応JIS |
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ISO 9000:2015 Quality management systems — Fundamentals and vocabulary | 2015-09 | JIS Q 9000:2015 |
ISO 9000:2005 Quality management systems — Fundamentals and vocabulary | 2005-09 | JIS Q 9000:2006 |
ISO 9000:2000 Quality management systems — Fundamentals and vocabulary | 2000-12 | |
ISO 8402:1994 Quality management and quality assurance — Vocabulary | 1994-03 | |
ISO 8402:1986 Quality — Vocabulary | 1986-06 |
ISO 9004 2009 組織の持続的成功のための管理方法-品質マネジメントアプローチ
[編集]本規格は組織が持続的な成功を実現するための手引きである[34]。品質マネジメントシステムの持続的な成功とは、顧客や関係者の期待や必要に合った製品を長期にわたって持続的に供給できるということである。このことは組織の効率的なマネジメントによって実現することができる[34]。ISO 9001:2000とは相互補完関係にあり[35]、ISO 9001:2000 と容易に比較・対象できるようによく似た構成になっている。
ISO 19011 2011 マネジメントシステム監査の指針
[編集]これはマネジメントシステム監査一般の指針で、品質マネジメントシステム以外にも、環境マネジメントシステム(ISO 14001)やサプライチェーン安全マネジメントシステム(ISO 28000)など他のマネジメントシステムの監査にも共通して使用する規格である。ただし、第三者機関によるマネジメントシステム認証のための監査は2011年度版からは外され、内部監査(自分の組織の自己監査)とサプライヤーに対する監査を対象にしている[36]。第三者機関によるマネジメントシステム認証の監査の指針は、2006年に発効されたISO/IEC 17021(2013年現在の最新版はISO/ICE 17021:2011)が対象としている[36]。
ISO 9000シリーズを取り入れた産業別の独自規格
[編集]- TickIT: 情報技術、ソフトウェアに関する品質管理システムのガイドライン。
- AS/EN/JIS Q 9100: 航空宇宙産業の品質管理システム規格
- TL 9000: 電話・通信産業の品質管理システム規格
- ISO 13485: 医療機器製造に関する品質管理システム規格
- ISO/IEC 90003: ソフトウェア業界の品質管理システム規格
- ISO/TS 29001: 石油化学業界の品質管理システム規格
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ISO/TC176技術委員会が作成したものをISO 9000ファミリーと考えるのであれば、ここに挙げた4つにとどまらない。ISO/TC 176 - Quality management and quality assuranceを参照のこと。
- ^ 規格ではなく、仕様と名付けられている
出典
[編集]- ^ "3.6.1 対象(object)... 認識できるもの又は考えられるもの全て。 例 製品 ... サービス ... 組織 ... システム" JIS Q 9000:2015
- ^ "“本来備わっている”とは,あるものに内在していること,特に,永久不変の特性として内在していることを意味する。"
- ^ "3.10.1 特性 ... 特性には,次に示すように様々な種類がある ... 感覚的(例 嗅覚,触覚,味覚 ..." JIS Q 9000:2015.
- ^ "3.6.4 要求事項 ... 明示されている,通常暗黙のうちに了解されている又は義務として要求されている,ニーズ又は期待。" JIS Q 9000:2015.
- ^ Hoyle、p.7
- ^ 久米、p.37
- ^ ISO 9000:2005, 3.4.2
- ^ Kiliński、pp.13-14.
- ^ "3.3.11 活動(activity)... 明確にされた作業の最小の対象" JIS Q9000:2015
- ^ "活動の中には,あらかじめ定められ,組織の目標についての理解によって決まるものがあるが,他方で,あらかじめ定められておらず,外部からの刺激に応じてその性質及び実行を決定するものもある。" JIS Q9000:2015
- ^ "3.4.1 プロセス(process) インプットを使用して意図した結果を生み出す,相互に関連する又は相互に作用する一連の活動。" JIS Q9000:2015
- ^ "活動を,首尾一貫したシステムとして機能する相互に関連するプロセスであると理解し" JIS Q9000:2015
- ^ "プロセスでは,インプットを用いてアウトプットを出すための相互に関連する活動が行われる。" JIS Q9000:2015
- ^ "プロセスアプローチ 活動及び関連する資源が一つのプロセスとして運営管理されるとき,望まれる結果がより効率よく達成される。" JIS Q9000:2006
- ^ '組織内で用いられるプロセス ... を体系的に明確にし,運営管理することを“プロセスアプローチ”と呼ぶ。' JIS Q9000:2006
- ^ J. P. Womack, et al. p.26.
- ^ Tidd J., Bessant J., Web resources, p.2.
- ^ J. P. Womack, et al. p.25.
- ^ REGURATORY GUIDE 1.28, p.1.
- ^ Carter, p.3.
- ^ ISO/TC 176 Quality management and quality assurance
- ^ Carter, p.4.
- ^ 『ISO9001の2008年改訂について』
- ^ ISO 9000 - Quality management
- ^ Hamrol, pp.176-177.
- ^ a b E. Noveh, P23.
- ^ F. Buttle, p.945.
- ^ E. NAVEH, et al., p.24.
- ^ ISO/TC 176/SC 2N 376
- ^ a b ISO 9000:2005 0.2.
- ^ Hoyle、p.22.
- ^ Hoyle、pp.22-23.
- ^ ISO 9000:2005, 0.1.
- ^ a b ISO 9004:2009 Introduction.
- ^ ISO 9001:2008, 0.3.
- ^ a b ISO 19011:2011 Introduction
- ^ Hoyle, p.101
- ^ QS-9000:1994 Introduction.
参考文献
[編集]- Buttle F., ISO 9000: marketing motivations and benefits, International Journal of Quality & Reliability Management, Vol 14 Issue 9, 1997
- Carter N., Auditing the ISO 19001 Way, BSI British Standards Institution, 2003
- Hamrol A., Mantura W., Zarządzanie jakością - Teoria i praktyka, Wydawnictwo naukowe PWN, Warszawa, 2002.
- Hoyle D., Automotive Quality Systems Handbook: Second Edition - ISO/TS16949:2002 Edition, Elsevier Butterworth-Heinemann, Burlington, 2005.
- Kiliński A., Jakość, Wydawnictwa Naukowo-Techniczne, Warszawa, 1979.
- 久米均『設計開発の品質マネジメント』日科技連、1999年。
- ISO 9000:2005, Qulity management systems - Fundamentals and vocabulary.
- ISO 9001:2008, Quality management systems - Requirements.
- ISO 9004:2009, Managing for the sustained success of an organization - a quality management approach.
- 『ISO 9001の2008年改訂について』品質マネジメントシステム規格国内委員会、2008年 (2013年5月28日閲覧)。
- ISO 9000 - Quality management-ISOのウェブサイト (2013年5月30日閲覧).
- ISO/TC 176 Quality management and quality assurance-ISOのウェブサイト (2013年5月28日閲覧).
- ISO/TC 176/SC 2N 376, Quality Management Principles and Guidelines on their Application, ISO/TC176SC2/WG15, 1997.
- Naveh E., Marcus A., Achieving competitive advantage through implementing a replicable management standard: Installing and using ISO 9000, Journal of Operations Management, Elsevier B.V., 2006.
- QS-9000:1994, Quality System Requirements, Chrysler Corporation, Ford Motor Company, General Motors Corporation, 1994.
- REGURATORY GUIDE 1.28 Revision 3, Quality Assurance Program Requirments (Design and Construction), U.S. Nuclear Regulatory Commision, 1985.
- Tidd J., Bessant J., Managing Innovation: Integrating Technological, Market and Organizational Change, John Wiley & Sons, 2011.
- Womack J. D., Jones D. T., Roos D., The Machine That Changed the World, FREE PRESS, New Yourk, 2007.