デジタル大辞泉
「八正道」の意味・読み・例文・類語
はっ‐しょうどう〔‐シヤウダウ〕【八正道/八▽聖道】
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はっ‐しょうどう‥シャウダウ【八正道・八聖道】
(一)〘 名詞 〙 仏語。仏教の基本的な八種の実践法。正見︵四諦の道理を正しく見ること︶、正思惟︵正しく考えること︶、正語︵正しく語ること︶、正業︵正しい行ないをすること︶、正命︵正しい生活をすること︶、正精進︵正しい努力をすること︶、正念︵正見を得る目的を念じ忘れないこと︶、正定︵正しく清浄な禅定に入ること︶の称。八正。
(一)[初出の実例]﹁池の浪も、五根五力・七菩提分・八正道を述べ説くと聞ゆ﹂(出典‥栄花物語︵1028‐92頃︶玉のうてな)
(二)[その他の文献]︹中阿含経‐五六︺
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八正道
はっしょうどう
仏教を一貫する実践の徳目。八聖道とも書く。以下に記す8種の道をつねに守り行うことによって、悟りが得られ、理想の境地であるニルバーナ︵涅槃(ねはん)︶に到達されると説く。
(1)正見(しょうけん) 正しい見解、人生観、世界観。
(2)正思(しょうし) 正しい思惟(しい)、意欲。
(3)正語(しょうご) 正しいことば。
(4)正業(しょうごう) 正しい行い、責任負担、主体的行為。
(5)正命(しょうみょう) 正しい生活。
(6)正精進(しょうしょうじん) 正しい努力、修養。
(7)正念(しょうねん) 正しい気遣い、思慮。
(8)正定(しょうじょう) 正しい精神統一、集注、禅定(ぜんじょう)。
釈迦(しゃか)の教説のうち、おそらく最初にこの﹁八正道﹂が確立し、それに基づいて﹁四諦(したい)﹂説が成立すると、その第四の﹁道諦(どうたい)﹂︵苦の滅を実現する道に関する真理︶はかならず﹁八正道﹂を内容とした。逆にいえば、八正道から道諦へ、そして四諦説が導かれた。しかも八正道―四諦説は、後代の部派や大乗仏教においても、けっして変わることなく、出家・在家の別なく、仏教者の実践のあり方を指示して、今日に至る。
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八正道 (はっしょうどう)
涅槃に達するための八つの正しい実践行のことで,原始仏教以来説かれる仏教の代表的な修行方法。八聖道とも書く。八つとは,(1)正見(正しいものの見方),(2)正思惟(正しい思考),(3)正語(いつわりのない言葉),(4)正業(正しい行為),(5)正命(正しい職業),(6)正精進(正しい努力),(7)正念(正しい集中力),(8)正定(正しい精神統一)の八つをいう。釈迦は,それまでインドで行われていた苦行を否定し,苦行主義にも快楽主義にも走らない,中なる生き方,すなわち中道を主張したが,その具体的内容として説かれたのがこの八正道である。
→四諦
執筆者:横山 紘一
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八正道【はっしょうどう】
八聖道,八支正道とも。原始仏教で重視された涅槃(ねはん)に至るための実践徳目で,釈迦の最初の説法における四諦(したい)の中では道諦に当たり,またその内容とされる。正見︵立場︶,正思︵思想︶,正語︵言論︶,正業(ごう)︵行為︶,正命︵生活︶,正精進(しょうじん)︵努力︶,正念︵精神︶,正定︵三昧(さんまい)︶の8種。
→関連項目修行|般若|仏教
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八正道
はっしょうどう
仏教で説く実践の徳目。一般人の生存は苦であり,その苦の原因は妄執によって起るのであるから,妄執を完全に断ち切れば完全な悟りを得ることができると考え,その状態に到達するための修道法として説かれた8種の正しい実践をいう。すなわち,正しい見解 (正見) ,正しい思惟 (正思) ,正しい言語行為 (正語) ,正しい行為 (正業) ,正しい生活 (正命) ,正しい努力 (正精進) ,正しい想念 (正念) ,正しい精神統一 (正定) の8つをいう。
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八正道
はっしょうどう
仏教の実践修行の8種の徳目
正見・正思・正語・正業・正念・正定・正命・正精進のことで,これらを行うことによって人間世界の苦悩や煩悩 (ぼんのう) から逃れ,悟りを実現できるとされる。
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世界大百科事典(旧版)内の八正道の言及
【初期仏教】より
… 釈迦の時代のインドは,鉄器の利用により農産物が豊富になり富裕な商工業者が現れ,社会は爛熟し,旧来のベーダ,ウパニシャッドに基づくバラモン教に疑問をもつ自由思想家が多く輩出し,釈迦もその中の一人であった。その教義は,[中道],[四諦]︵したい︶,八正道,[縁起],無我の諸説にまとめうる。中道とは当時の伝統的苦行主義と享楽的自由主義のいずれにも偏らない生き方をいう。…
※「八正道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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