念（読み）ネン

デジタル大辞泉 「念」の意味・読み・例文・類語

ねん【念】［漢字項目］

 
﹇音﹈ネン︵呉︶　﹇訓﹈おもう
﹇学習漢字﹈4年
1 いちずに思いをこめる。﹁念願・念力／一念・観念・祈念・思念・専念・想念﹂
2 いつまでも心にとどめる。﹁念書／記念﹂
3 思い詰めた考えや気持ち。思い。﹁怨(おん)念(ねん)・疑念・雑念・残念・執念・情念・信念・断念・無念・妄念・理念﹂
4 注意。﹁丹念・入念﹂
5 含み声で唱える。﹁念経・念仏﹂
6 きわめて短い時間。﹁念念／一念﹂
7 ﹁廿(じゅう)︵二十︶﹂の代用字。﹁念日・念六日﹂
﹇名のり﹈むね  
 

ねん︻念︼

 
1思い。気持ち。﹁感謝の念﹂
2 心くばり。注意。﹁念には及びません﹂
3 かねての望み。念願。﹁念がかなう﹂
4 仏語。
㋐心の働き。記憶する働き。
㋑非常に短い時間。一念。刹那。
㋒対象に向かって心を集中し、冥(めい)想(そう)すること。
[類語]意・思い・想念・思念・気持ち・感懐・感想・所懐・胸懐・心懐・胸中・心(しん)中(ちゅう)・心事・心情・心境・感慨・万感・偶感・考え・思考・思索・一存  

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精選版 日本国語大辞典 「念」の意味・読み・例文・類語

ねん【念】

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① かんがえ。思慮。また、心から離れにくい思い。
(一)[初出の実例]﹁掌を合せ念を正しくして魂独り去にけり﹂(出典‥海道記︵1223頃︶逆川より鎌倉)
 (二)﹁ア先心が落付いた。心中の念はない、どこに屈んで此の苦をかける﹂(出典‥浄瑠璃・心中天の網島︵1720︶下)
 (三)[その他の文献]︹陳琳‐遊覧詩︺
 (三)② 心くばり。注意。また、確認。
(一)[初出の実例]﹁久三此箱を梅薫方へ持て行き、慥に渡して念(ネン)じゃ程に、請取を取って来いといひつけて遣はし﹂(出典‥浮世草子・風流曲三味線︵1706︶五)
 (四)③ かねての望み。一念。また、執念。妄念。
(一)[初出の実例]﹁念のふかきはちくしゃう、念のうすきは人、念のなきはほとけ﹂(出典‥無難禅師仮名法語︵1670‐76頃︶上)
 (五)④ ( ﹁二十︵廿︶﹂の合音ネムが﹁念﹂の音に通じるところから ) 年月日などの二〇の意に用いる。二一を念一日と表わす類。︹焦氏筆乗‐巻六・廿卅三音︺
 (六)⑤ 仏語。きわめて短い時間をいう。刹那。一念。念念。
 (七)⑥ 仏語。心所の一つ。かつて経験したことを記憶して忘れないこと。また、単に思いの意にも用いる。
(一)[初出の実例]﹁如レ是心想極令二明利一、然後住レ心繋二念一処一﹂(出典‥往生要集︵984‐985︶大文四)
 (八)⑦ 仏語。観想・思念などの意で、対象に向かって想いを集中し、心を動揺させないこと。
(一)[初出の実例]﹁もろこし我がてうにもろもろの智者達のさたし申さるる観念の念にも非ず﹂(出典‥一枚起請文︵1212頃︶)
  

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「念」の意味・わかりやすい解説

念
ねん
smṛti

 
仏教用語。心の働きの一つ。物事をしっかりと記憶すること。また一念というときは時間の単位で，一般に非常に短い時間をいい，十念などというときは，仏教の瞑想の一方法をいう。  

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