景気循環(読み)ケイキジュンカン(英語表記)business cycles

デジタル大辞泉 「景気循環」の意味・読み・例文・類語

けいき‐じゅんかん〔‐ジユンクワン〕【景気循環】

 
40102050  

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精選版 日本国語大辞典 「景気循環」の意味・読み・例文・類語

けいき‐じゅんかん‥ジュンクヮン【景気循環】

 

(一)   退
 

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改訂新版 世界大百科事典 「景気循環」の意味・わかりやすい解説

景気循環 (けいきじゅんかん)
business cycles


W.S.1618666710

 調調調

3311965A.F.BurnsW.C.1947退1101212

 1GNPGNP2西調調

 ︿調National Bureau of Economic ResearchNBERI.Mintzgrowth cycle197072NBER

2調341020

 107101880C.Juglar1819-1905J.A.

 1920J.Kitchin1890-19224032W.L.Crum1866-1922

 1913調J.van Gelderen22N.D.Kondrat'ev50

 19203027C.A.R.Wardwell108.9619.3315︿major cycle

 1930S.S.20J.R.Riggleman1720long swing



 1調1調

 2調

 3調調

 2調2調調調調1調

 調1調2調

 調調

 調2調調1調調

 調2調3調調2調調3調

1調2調3調341020

 1GNP196465GNP42GNP1955657810調1196575GNP1965781970GNP10GNP1965195578GNP196519557820

 GNPGNP1958-5981

 41020調調1調2調2調3調

 調341020調調調inventory cycleconstruction cycleequipment cycle

 112212341252

 調23

姿調

 OECDNational Accounts of OECD CountriesMain Economic IndicatorsOECDGDPGFCFB.R.MitchellEuropean Historical Statistics1750-19751981GNPNNP調

GNPGDPOECDGFCFGDP西

 1952-79GFCFGDP1GFCFGDP西西西GFCFGDP西

 西西西GFCFGDPGFCFGDPGFCFGDPDI

 10.50010050505050

 50505050退5050

 西GFCFGDP西GFCFGDP2西GFCFGDP

 西GFCFGDPDI1952-79西1952-791952-791953-791952-79西1954-791952-791952-791951-59

 50505050505050

 GFCFGDPDIGDPGFCFGDPGFCFGDPDI3DI52調1952

GFCFGDPGFCFGDPDIGDPDIDIGFCFGDPGFCFGDPDI351949

 OECD西

GFCFGDPGDP4GDP1GNPGFCFGDPGFCFGDPGDP5251870232195023

調3

 P.A.L.A.E.T.

 J.R.

 R.M.Goodwin

 N.


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「景気循環」の意味・わかりやすい解説

景気循環
けいきじゅんかん
business cycle 英語
trade cycle 英語
conjoncture フランス語
Konjunktur ドイツ語

資本主義経済のもとでは、生産や消費などの経済活動が盛んになる好景気と、それらが衰える不景気が交互に発生するが、その変動の過程を景気循環または景気変動という。景気循環はある一定の周期をもって発生し、好況と不況が波状的に繰り返され、その変動は経済のあらゆる部門に影響を与え、さらに国際的にも波及していく。このような景気循環の波が本格的に現れるようになったのは、資本主義経済が確立された19世紀初頭のヨーロッパにおいてであるが、歴史上とくに有名なのは、1929年、アメリカにその端を発した世界的な大不況である。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

景気循環の諸局面


peaktrough4(1)(2)退(3)(4)prosperity退recessiondepressionrecovery退

  2022622

景気指標




 11調109

 3DI106460.05050DICICI100

  2022622

景気循環の種類




  2022622
主循環

主循環は8~10年周期の中期の循環で、その存在を初めて発見したフランスの経済学者クレマン・ジュグラーの名にちなんでジュグラーの波Juglar's waves(またはジュグラー循環)ともよばれる。また、その主因が設備投資の変動にあることから、設備投資循環ともよばれる。景気循環というと、通常これをさす。この循環の過程は、次の四つの局面で考えることができる。(1)停滞期を経て、不要な設備が償却され、生産の縮小調整が完了すると、景気は回復過程に入り、企業は生産を拡大するために設備投資を増大し始める。(2)こうして、景気は拡大し、やがてピークを迎えると、設備投資の行き過ぎによる過剰生産が発生するに至り、停滞期に入る。(3)企業は生産を縮小し、過剰設備の償却廃棄が行われる。(4)やがて調整が完了し、ふたたび経済は回復期に入る。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

小循環

ジュグラーの波より短い周期の景気循環を小循環という。ほぼ40か月(3~4年)という周期をもつもので、その発見者であるジョゼフ・キッチンJoseph Kitchin(1861―1932)の名にちなんで、キッチンの波Kitchen's waves(またはキッチン循環)とよばれている。この波動は在庫投資の変動によるので、在庫循環ともよばれる。景気が後退すると、売れ残りの在庫が急激に増加する。企業はこれを処理しようとして、返品、投げ売りによって急激に在庫を減らすため、不況になる。やがて、在庫調整が済むと、ふたたび在庫の積み増しが始まり、注文増加によって生産が増え、不況を脱する。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

建設循環

主循環よりやや長い約20年周期の循環で、アメリカの経済学者サイモン・クズネッツによって発見されたことから、クズネッツの波Kuznets' waves(またはクズネッツ循環)ともよばれる。クズネッツの波は、住宅や貸借ビルなどの建設に関連した循環だと考えられる。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

長期波動

超長期の循環として知られるのはコンドラチェフの波Kondratiev's wavesである。これはソ連の経済学者ニコライ・コンドラチェフが1922年に初めて発表し、1925年に統計的検証を加えて論文としてまとめたものである。このコンドラチェフの波は、世界的に物価・利子率・賃金および生産指数が50~60年の周期で波を打っていることを示している。その第一の波は1780年ごろから1817年ごろまでの上昇と1840年代までの下降、第二の波はそれから1875年ごろまでの上昇と19世紀末までの下降、第三の波は1920年ごろまでの上昇とそれ以降の下降である。この波の原因をめぐっては研究者によっていろいろと意見が分かれているが、これら3個の長波は、いずれも大きな技術革新の時期にあたっているところから、シュンペーターの技術革新説がもっとも説得的であると考えられる。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

景気循環の理論

景気循環の理論的説明には、これまで多くの所説が提出されてきた。経済活動の波動的な変動は、在庫投資、設備投資および建設投資という3種類の投資の動きとかかわりをもつことから、これらの投資の作用を中心としたマクロ経済モデルによる説明がこれまでの主流であるといえよう。ケインズ・マクロ理論を前提として、投資乗数と加速度原理型の投資関数の相互作用による単純なモデル、このモデルに完全雇用天井と独立投資の床を組み込んだヒックス・モデルなどがある。これらは、投資の増加が乗数を通じて産出量を増加させ、その産出量の変化が企業の将来需要についての予想の変化をもたらし、それが投資水準を変動させるという変動の累積過程から、景気循環が生み出されるとするものである。さらに、投資を産出量の変化率ではなく、産出量水準そのものと資本量の関数としてとらえるカルドアの利潤原理がある。さらに最近では、非ケインズ的な考え方によって景気循環を説明しようとする見解も現れてきた。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

景気調整政策


197330194924

 

 ()19718

  2022622
世界同時不況

19732()使19291980

 調

 

  2022622

戦後日本の景気循環

第二次世界大戦後の日本では、戦後悪性インフレが続き、いちおうの収束をみたのは1949年(昭和24)であった。その直後には朝鮮戦争の特需ブームとその反動の不況があったが、これは戦争という特殊な要因によるもので、景気循環とはいいがたい。それ以後2022年(令和4)までに、15回の波が記録されている(第2循環以後)。

 これらの日本における戦後の景気循環を分析する場合には、第2循環~第5循環(1951~1965)とその後とを分けて考えることが必要である。それは次のような理由による。第一に、第2循環~第5循環は、外貨準備高の壁にぶつかって不況が起こったという共通性をもっている。すなわち、好況による輸入増加と輸出停滞(無理して輸出しなくても国内で売れるから)が国際収支を赤字にし、そのため外貨準備高が国際決済に支障をきたす程度にまで減少すると、金融引締めによって不況が起こる。不況下の輸入減少と輸出増加が国際収支を黒字にして、やがて外貨準備高がある水準まで回復すると、金融緩和が行われて好況に転ずるというパターンである。しかし1965年以降、日本の外貨準備高は豊富になり、外貨の壁は消えた。第二は、日本経済の構造変化である。1964~1965年のいわゆる(昭和)40年不況までの高度成長は設備投資に支えられ、かつ大量生産の利益を享受していた。このため企業は、売上げが急増したので、マーケット・シェアをあまり意識しないで行動していた。しかし40年不況以後、生産設備は大量生産の利益があまり生じない程度にまで拡大するに至り、大企業は合併によるマーケット・シェアの拡大と価格支配力の強化をねらうようになる。経済も、輸出・財政主導型に転換していった。この結果、40年不況までは、不況下では卸売物価が下落していたのに、その後は不況による卸売物価の下落はほとんどなくなり、1973年2月の変動相場制移行以後、卸売物価の下落は、海外要因すなわち海外価格の下落と円安によって起こるようになったのである。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

バブル経済とその崩壊

1985年のプラザ合意以降、急激な円為替レートの上昇が生じた。この円高は当初、第10循環の景気後退をもたらした。しかしながら、1986年以降では円高がむしろ企業収益に対して寄与したことと、資産価格の高騰、いわゆるバブル経済が消費や投資を刺激したことによって、第11循環の好況を生み出した。拡大局面の期間が戦後最長に迫る勢いであったが、1991年(平成3)になるとバブル経済崩壊による資産価格の反落により、不況となった。この不況に関しては、資産価値(ストック)の減少がGNP(国民総生産)などフロー(一定期間中に動く財貨の総量)に影響して起こったとして、循環的要因によるものではなく、構造的な不況であり、これまでとその性質を異にするという見方がある。こうして日本経済は、1991年ごろから2002年(平成14)ごろまで、「失われた十年」とよばれる長期の停滞状態となった。その後、景気は2002年1月を谷として回復し始め、2008年2月を山として景気拡張期間が73か月となり、いざなぎ景気の57か月(第6循環)を超えて戦後最長を記録した(第14循環)。しかしながら、成長の勢いが緩やかで実感に乏しく、しばしば「実感なき景気拡大」または「実感なき景気回復」とよばれている。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

『藤野正三郎著『日本の景気循環』(1965・勁草書房)』『中村文夫編『コンドラチェフ景気波動論』(1978・亜紀書房)』『香西泰編『景気循環』(1984・教育社)』『岩田規久男著『景気ってなんだろう』(2008・筑摩書房)』

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百科事典マイペディア 「景気循環」の意味・わかりやすい解説

景気循環【けいきじゅんかん】

資本主義経済の活動は拡張と収縮を繰り返しながら成長しており,通常,回復・好況(拡張)・後退(収縮)・不況・再び回復,という4つの局面を経る循環的な動きを示す。これが景気循環または景気変動である。景気循環を主導するものは投資の可変的な性格である。投資の変動は所得を変化させ,それが消費水準を変化させて再び所得変化を拡大させる。これには設備投資の動向に基づく主循環(ジュグラーの波)と,在庫変動に起因する小循環(キチンの波)の長短二つの周期があり,さらに幾つかの主循環にまたがる長期のコンドラチエフの波がある。
→関連項目加速度原理カルドア恐慌

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知恵蔵 「景気循環」の解説

景気循環

景気変動」のページをご覧ください。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「景気循環」の意味・わかりやすい解説

景気循環
けいきじゅんかん
business cycle

 
 

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世界大百科事典(旧版)内の景気循環の言及

【制度学派】より

…このように実践的方向をめざしたコモンズ流の制度主義は,ニューディールをはじめとする経済改革の運動に大きな役割を果たした。 またミッチェルは,たとえば《景気循環》(1927)において,諸価格の循環的調整過程を貨幣経済の進化過程としてとらえ,経済データの組織的収集にもとづく数量的経済学をおしすすめた。その数量分析が制度主義的とみなされるのは,ミッチェルにおいても,産業industryと営利企業business,あるいは財生産making goodsと金もうけmaking moneyの区別というベブレン流の制度理解があったからである。…

【資本主義】より

…こうして資本主義経済は生産性の上昇を必然にする経済であり,成長を必然にする経済である。それは,現実には,一様な拡大の過程ではなく,好況・不況の繰返しという景気循環の過程をとりながら発展し,高度な生産力水準と生活水準を実現することになった。
[資本主義のマルクス・モデル]
 資本主義の概念は論者によりさまざまな内容をもつが,なかでもなお大きな影響力をもっているのがK.マルクスによる資本主義の概念である。…

【資本蓄積】より

…こうして資本主義社会では,拡大再生産がいわば〈蓄積のための蓄積〉という自己目的となって進行し,それ以前のいかなる社会よりも速い速度で経済成長を実現することができたのである。 しかしこの資本蓄積と拡大再生産はつねに順調に進行しているわけではなく,好況―恐慌―不況を一つの周期とする景気循環をともなって展開される。それゆえ景気循環こそ資本蓄積の現実的な過程ということになり,そのなかで互いに異なる二つの蓄積様式が継起的に交代して繰り返される。…

※「景気循環」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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