デジタル大辞泉 「本案」の意味・読み・例文・類語 ほん‐あん【本案】 1この案件。この議案。 2 民事訴訟上、訴えの本旨である請求。また、その手続きの主目的または中心をなす事項。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「本案」の意味・読み・例文・類語 ほん‐あん【本案】 (一)〘 名詞 〙 (二)① この案。該案。 (一)[初出の実例]﹁本案苟も両国交渉の事件となりたる以上は﹂(出典‥伊藤特派全権大使復命書附属書類︵1885︶天津談判) (三)② 令制で、発給者がみずから作成し、正文(しょうもん)と同一であることが確認された公文書の控え。内案。︹律︵718︶︺ (四)③ 民事訴訟法で、原告の主張にもとづいて、審理裁判の対象となっている紛争の事案の内容そのものをいう。 (一)[初出の実例]﹁右は本案に関せざる予審の言渡に付﹂(出典‥朝野新聞‐明治一四年︵1881︶七月九日) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「本案」の意味・わかりやすい解説 本案 (ほんあん) 本案は,付随的または派生的な事項に対して,主要または中心たる事項を表す語である。民事訴訟法上,その意味は使用される局面︵場所︶によって,いろいろに理解されている。たとえば訴訟判決︵訴訟要件または上訴の要件が欠けているため,請求の当否について判断をせずに訴えまたは上訴をしりぞける判決︶に対するものとして︿本案﹀判決という言葉が使用されているが,この場合における本案は原告の請求︵訴訟物︶そのものを表し,したがってまた本案判決は訴えの適否ではなくて,その中身に相当する請求の当否に関する判決を意味する。また訴訟費用の裁判とか仮執行宣言に対して︿本案﹀の裁判という語を用いる場合があるが︵民事訴訟法67条2項,260条︶,この場合の本案は事件そのものを意味する。したがってこの場合における本案の裁判とは,事件に対する裁判という意味になる。さらに仮差押えおよび仮処分に対して,その被保全権利︵請求︶に対する判決手続を本案という場合がある︵民事保全法1条など︶。そのほかに上訴審において,上訴の適否にとどまらず,原判決の当否にまで立ち入っての審理・裁判を本案という場合もある︵民事訴訟法338条3項︶。 執筆者‥納谷 廣美 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「本案」の意味・わかりやすい解説 本案ほんあんmerits; Hauptsache 民事訴訟において付随的なもの,派生的なものに対し,主要あるいは基本的な事項,たとえば請求の当否などをいう。請求 (原告の主張) の当否,すなわち請求の認容または棄却を主文 (結論) とする判決を本案判決 (実体裁判) といい,訴訟要件または上訴の要件を欠いている訴えに対する判決,または上訴を不適法として却下する判決を訴訟判決という。刑事訴訟においては,訴訟費用に関する裁判以外の裁判を本案の裁判ということがある。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報