電離圏(読み)デンリケン(英語表記)ionosphere

翻訳|ionosphere

デジタル大辞泉 「電離圏」の意味・読み・例文・類語

でんり‐けん【電離圏】

電離層

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精選版 日本国語大辞典 「電離圏」の意味・読み・例文・類語

でんり‐けん【電離圏】

  1. 〘 名詞 〙 中間圏の外側で、地上約七〇キロメートルより上方にある大気圏高温で大気は電離している。電波を反射・吸収する電離層がある。熱圏。

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改訂新版 世界大百科事典 「電離圏」の意味・わかりやすい解説

電離圏 (でんりけん)
ionosphere


X60kmionospheric layers

 1902A.E.KennellyO.Heaviside1901G.西=1878B.Stewart1925E.V.AppletonM.A.F.BarnettG.BreitM.A.Tuve

60km寿160km60km80km

 6090kmDX101216D90130kmEX100101027800100kmEEEEs1301000kmF800100F170km300kmF1F22F1F2EF1F2F2bottomsidetopside沿3km

D2

ionosonde2bottomside ionogramF2F22topside ionogram

DEF2Es

1957-58IGYIGY


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電離圏」の意味・わかりやすい解説

電離圏
でんりけん
ionosphere


70400500

 X使


電離圏の構造

電離圏の基本的な物理量の一つとして自由電子の密度がある。電離圏に入射した電磁波が反射される場合、入射する電磁波の周波数と電子密度との間には一定の関係があるので、電子密度は実用上も重要な意味をもっている。電離圏は電子密度の高度分布の形と密度の大きさから、D領域、E領域、F領域に分けられる。これらの領域の生成機構には違いがあって、構成するイオンの成分もまったく異なり、それぞれ独自のふるまいをする。

(1)D領域 高度約70~85キロメートルの領域。主として、太陽ライマン・アルファ光によって、大気中の微量気体成分である一酸化窒素が電離してできる。電子密度は1立方メートル当り10億個から100億個ほどである。太陽光の直射がなくなる夜間は、密度は1億から10億ほどに減る。一次生成イオンである一酸化窒素イオンは、急速に水の付加した水素イオンに変換されるので、後者のイオンが主成分となっている。この領域は気圧が比較的高いので、自由電子と大気分子との衝突頻度が高く、そのためこの領域を通過する電磁波は減衰を受ける。したがって、短波通信に対しては、電波の反射層としてよりむしろ吸収層として働く。

(2)E領域 高度約85~160キロメートルの領域。太陽ライマン・ベータ光による酸素分子の電離および軟X線による窒素分子と酸素分子の電離によって生成される。電子密度は1立方メートル当り1000億個程度であるが、太陽光の直射がない夜間は10億個ほどに減る。イオンの交換反応が活発におこっている領域なので、一次生成イオンは変換されて、主たるイオン成分は一酸化窒素イオンと酸素分子イオンである。夜間ときおり発生するスポラディックE層は、寿命の長い金属イオンが、中性大気の風による鉛直収束作用によって、高度幅数キロメートルの薄い層に集積したものである。金属イオンは流星が起源であろう。このE領域に流れる電流は地上の地磁気変化を引き起こし、その存在は古くから観測されている。

(3)F領域 高度約160キロメートルより上の領域。太陽極紫外線によって主として酸素原子が電離してできたもので、イオンの主成分は酸素原子イオンである。電子密度は1立方メートル当り1000億個から1兆個程度で、高度200~300キロメートルの間で最大となる。夜間の密度減少は他の領域に比べて少なく、短波の長距離無線通信はこの領域の伝搬を利用する。F領域の電子密度は太陽活動サイクルで大きく変わり、また磁気嵐(あらし)に並行しておこる電離圏嵐のように、一時的な擾乱(じょうらん)によっても大きく変動する。

[小川利紘]

『大林辰蔵著『宇宙空間物理学』(1970・裳華房)』『小嶋稔編『地球物理概論』(1990・東京大学出版会)』『恩藤忠典・丸橋克英編著『宇宙環境科学』(2000・オーム社)』

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百科事典マイペディア 「電離圏」の意味・わかりやすい解説

電離圏【でんりけん】

 
6090kmD90130kmE1301000kmF
 

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世界大百科事典(旧版)内の電離圏の言及

【大気】より


chemosphere60km(1)troposphere 1km56km

※「電離圏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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