知っておこう、「機能性表示食品」の本当のヤバさ
小林製薬が発売していた紅糀サプリから重篤な健康被害や死者までが出たことで、機能性表示食品が急にクローズアップされることになっている。
お亡くなりになった方々のことは言うまでもなく、腎臓という回復不能な臓器に健康被害を受けられた方たちの今後のQOLを思うと胸が痛む。
しかし、このことで、機能性表示食品とはトクホ︵特定保健用食品︶とはまったく別物であるということ。つまり、その成分に効能があるという論文を添えたメーカーの届け出があれば認可されるもので、厚労省や消費者庁の検査を受けているわけではないということ、さらに、それが安倍政権の﹁規制緩和﹂の一環として、あの、できもしない大阪ワクチンをぶち上げたアンジェス製薬創業者にして安倍元首相のゴルフ友達であり、なぜかいま、大阪万博のプロデューサーにも名を連ねている森下竜一氏が安倍首相に進言して作ったものだということも報道によって広く知られるようになったことは、昨年から、機能性表示食品の胡散臭さを問題にしてきていた私たちとしては、喜ばしいことだ。
とはいえ、機能性表示食品のCMや広告は、いまや、衰退日本のTV局や新聞、Webメディアのドル箱のひとつだ。そのせいか、この問題を単に小林製薬という特定の会社の製造上の品質管理のみの問題に矮小化しようとしたり、果ては、紅糀サプリの問題ではなくて発酵食品全般にコンタミトラブルは起こりうるというような、論点そらしの論説まで出てきている。
なので、ここで、まだ報道されていない機能性表示食品のトンデモな闇について、改めて解説しておくことにする。
すでに報道されているのは、いままでに認可された機能性表示食品は、1700社弱から7900品目ほどあり、その中で、すでに1000製品以上が取り下げられていること。さらに健康被害報告のあった品目が、4月中旬に判明しているだけで、例の紅糀製品を含めて35件あることだ。
取り下げというのは、もちろん、何らかの理由で企業側が自主的に取り下げたものもあるが、たとえば昨年8月に、中性脂肪や血糖値、血圧などが低下するという触れ込みの機能性表示食品の商品88点を消費者庁が調査し、科学的根拠として疑義がある点を指摘し、届出者から合理的な回答があるかどうかの確認を開始したことで、その大半が機能性表示の届け出を撤回、または撤回の意向を示したというものもある。 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/index.html#info230817
それでも、その撤回申し出リストの中の﹁機能性表示の届け出が撤回﹂されたはずの商品たちが一年近く経っても普通に機能性表示食品として現在も販売されているのは、なかなか妙ではありますが。
で、そのうちの健康被害報告のあった製品のリストは、現在、野党議員によって請求されているが、どういうわけか、消費者庁はいまだ提出していないようだ。健康被害報告リストなどは35製品147件らしいので、そんなもの10分で出せるのではないかと思うが、﹁いろいろ確認﹂が必要なのだそうだ。なんの確認なのかよくわからないが、おそらくすぐに出せないような、出したら大騒ぎになりかねないような、なおかつ、政府与党にたくさん献金しているような会社の製品があるのではないかなと勘ぐってしまう。
しかし、もっと問題なことは他にある。 なんで、1割以上の製品がその後取り下げになるのか、消費者庁が﹁科学的根拠に疑いを持って調査したら、その大半で機能性表示の届け出が撤回﹂されるようなことになるのか。
ある意味、この機能性表示食品制度の根本に関わる問題だ。
機能性表示食品の認可を受けるのは、消費者庁に所定の届け出をすればよいことになっている。具体的には、申請書と効能を裏付ける論文、研究レビュー︵システマティックレビュー︶などの必要書類をデジタルファイルにして、消費者庁の届け出用Webフォームに提出する。 ところが、実はこれがそう簡単には通らないのが実態なのだ。受理に至るまで何度か差し戻しがあるのである。
というと、消費者庁はものすごくきちんと審査をしているのかと思ってしまうが、ことはそう綺麗ごとではないようだ。効能を裏付ける論文があり、ちゃんと書式どおりに申請書類を作っているはずでも、実際には﹁コンサルを通さないとなかなか通らない。なぜなら、却下されても、なにがどう悪くて、なぜ却下されたのかを消費者庁は教えてくれないから﹂という仕組みになっているらしい。
これは不思議なことだ。たとえば、複雑な税金の申告には税理士という国家資格をもつプロがいる。登記など法務局への申請でも、行政書士・司法書士といった国家資格を持つプロがいる。しかし、だからといってプロではない一般人でも、きちんと書面を作って申請すれば受理されるし、受理されないときは、どこが間違っているのか、どこが駄目なのかは役所で教えてもらえる。また、そうであるべきだ。
なのに、この﹁機能性表示食品﹂に関しては、届け出段階で消費者庁が効能の検査を行うわけでもないのに、認可されるかどうかは、けっこうなブラックボックスらしいのである。そして、そこを通すためにコンサルが大活躍、という仕組みになっているわけだ。
では、そのコンサルとはどういう人たちなのか。
念のためにいうと、この制度を真に受けて真面目に申請している企業もあれば、まともなコンサルももちろん存在している。具体的には、ある商品Aを申請するために、その成分Bに効能があるかどうかを、過去の論文を精査し、以前からその関連研究を行っている大学や研究機関に依頼し、結果が良好であれば、申請書類の形式を整える仕事だけをコンサルが手がける、というようなケースで、これは行政書士事務所などがやっていることもある。
しかし、そうではないケースというのが相当数あると見られ......これが、もうちょっと唖然とするようなことになっているのである。
ちなみに、森下氏が副理事長として直接的に関わっていることで有名なのが、日本抗加齢協会。 ﹁免疫機能の維持﹂に関しては、ここの会員になっていないと申請できない︵しても通らない?︶とかいうもっぱらの噂で、特定非営利活動法人なのだが、年会費30万円の賛助会員が143社もあるという、とってもリッチな協会だ。 機能性表示食品制度支援事業として、研究レビュー作成などの業務委託はもちろん、関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンの宣伝活動なども積極的になさっている。私が耳にした話だと、安倍政権時代は、なにかというと副理事長様が、﹁今度安倍さんに頼んでおくよ﹂というような台詞が出ることがしばしばあったそうだ。
さらに、﹁優秀なコンサル﹂のひとつ﹁薬事法ドットコム﹂の場合。 ホームページに堂々と、﹁ガイドラインどおりにやっても、エビデンスやロジックを精緻に積み上げても、すべては消費者庁の裁量であり、通らないものは通りません。﹂と書いてあります。まあ、これはあながち嘘ではない。 ただ、﹁エビデンス作成~届出代行まで丸ごとお任せ﹂なんていうメニューがあり、なんと同じ会社が、臨床試験機関まで運営。 その臨床試験機関では、これまた堂々と﹁学術目的ではなく、マーケティング意図から逆算した臨床試験︵RCT︶の設計~実施ができるのが、大きな強みです﹂と謳っているのが凄い。 もちろん、その試験結果なるものは、いかにもそれらしい名前の学会誌に論文という形で発表され、これで﹁提出資料﹂としての論文OKというわけだが、その発行元というのが、一度も学会や研究会を開いたりした形跡のない、単に﹁学会誌を発行するためだけ﹂に存在しているような謎の学会で、代表者の名前以外、誰が所属しているのか、誰が査読しているのかも不明という代物だ。いくら日本では﹁学会﹂と名乗ることに対して、なんら規制や資格は存在しないから、いくらでも自称は可能だし、なんなら創価学会やと学会なんてのもあるわけだが、言うまでもなく、その﹁学会﹂誌の掲載論文は、ほぼ﹁機能性表示食品﹂御用達........いやまあ、確かに、なんという胡散臭さ。
もちろん、試験はしているのだろう。たぶん。 でも、チャンピオンデータ︵まぐれで起こりうる最も効果の顕著な結果︶のような都合の良いところだけを拾ってきて、都合の悪いデータは切り捨てたりしているぐらいのことは容易に想定できる。ていうか、ほんとにちゃんとした研究なら、こんな見るからにアレな﹁学会誌﹂に出さないのは明らかだし。
これがペテンでなければ、なんと~呼べばいいのか~、僕は知らなかった~!
と歌い上げたくなるぐらいのアンナチュラルさだ。 私の知り合いのお医者さんが、一言﹁あってはならない。論外﹂と吐き捨てたことは特記しておこう。
消費者庁への機能性表示食品の届出そのものには費用はかからないのだが、こういったコンサルに頼んだ場合、シンプルな試験の場合で200万、被験者が必要なものだと1200万からだそうだ。逆に言えば、微妙なものでも、お金を出したら、すっきり提出書類は揃う仕組みということになる。
さらに、機能性表示食品検定協会などという謎の民間資格まで存在している。
もちろん、民間資格のセミナーだけではなく、こちらもコンサルをなさっていて、これまたきわめて微妙な﹁学術誌﹂に論文が掲載されているという触れ込みの機能性表示食品の販売も積極的になさっている。そういう会社の作っている民間資格である。 消費者庁の審査担当者も受講しているなどと謳っているのだが、事実なら、とんでもない癒着と言える。 この機能性表示食品検定協会の会長の持田氏は、医師でも研究者でもなく、先にあげた薬事法ドットコムの出身者であることも注目に値するほか、ご自身のブログで、
しかし、このことで、機能性表示食品とはトクホ︵特定保健用食品︶とはまったく別物であるということ。つまり、その成分に効能があるという論文を添えたメーカーの届け出があれば認可されるもので、厚労省や消費者庁の検査を受けているわけではないということ、さらに、それが安倍政権の﹁規制緩和﹂の一環として、あの、できもしない大阪ワクチンをぶち上げたアンジェス製薬創業者にして安倍元首相のゴルフ友達であり、なぜかいま、大阪万博のプロデューサーにも名を連ねている森下竜一氏が安倍首相に進言して作ったものだということも報道によって広く知られるようになったことは、昨年から、機能性表示食品の胡散臭さを問題にしてきていた私たちとしては、喜ばしいことだ。
とはいえ、機能性表示食品のCMや広告は、いまや、衰退日本のTV局や新聞、Webメディアのドル箱のひとつだ。そのせいか、この問題を単に小林製薬という特定の会社の製造上の品質管理のみの問題に矮小化しようとしたり、果ては、紅糀サプリの問題ではなくて発酵食品全般にコンタミトラブルは起こりうるというような、論点そらしの論説まで出てきている。
なので、ここで、まだ報道されていない機能性表示食品のトンデモな闇について、改めて解説しておくことにする。
すでに報道されているのは、いままでに認可された機能性表示食品は、1700社弱から7900品目ほどあり、その中で、すでに1000製品以上が取り下げられていること。さらに健康被害報告のあった品目が、4月中旬に判明しているだけで、例の紅糀製品を含めて35件あることだ。
取り下げというのは、もちろん、何らかの理由で企業側が自主的に取り下げたものもあるが、たとえば昨年8月に、中性脂肪や血糖値、血圧などが低下するという触れ込みの機能性表示食品の商品88点を消費者庁が調査し、科学的根拠として疑義がある点を指摘し、届出者から合理的な回答があるかどうかの確認を開始したことで、その大半が機能性表示の届け出を撤回、または撤回の意向を示したというものもある。 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/index.html#info230817
それでも、その撤回申し出リストの中の﹁機能性表示の届け出が撤回﹂されたはずの商品たちが一年近く経っても普通に機能性表示食品として現在も販売されているのは、なかなか妙ではありますが。
で、そのうちの健康被害報告のあった製品のリストは、現在、野党議員によって請求されているが、どういうわけか、消費者庁はいまだ提出していないようだ。健康被害報告リストなどは35製品147件らしいので、そんなもの10分で出せるのではないかと思うが、﹁いろいろ確認﹂が必要なのだそうだ。なんの確認なのかよくわからないが、おそらくすぐに出せないような、出したら大騒ぎになりかねないような、なおかつ、政府与党にたくさん献金しているような会社の製品があるのではないかなと勘ぐってしまう。
しかし、もっと問題なことは他にある。 なんで、1割以上の製品がその後取り下げになるのか、消費者庁が﹁科学的根拠に疑いを持って調査したら、その大半で機能性表示の届け出が撤回﹂されるようなことになるのか。
ある意味、この機能性表示食品制度の根本に関わる問題だ。
機能性表示食品の認可を受けるのは、消費者庁に所定の届け出をすればよいことになっている。具体的には、申請書と効能を裏付ける論文、研究レビュー︵システマティックレビュー︶などの必要書類をデジタルファイルにして、消費者庁の届け出用Webフォームに提出する。 ところが、実はこれがそう簡単には通らないのが実態なのだ。受理に至るまで何度か差し戻しがあるのである。
というと、消費者庁はものすごくきちんと審査をしているのかと思ってしまうが、ことはそう綺麗ごとではないようだ。効能を裏付ける論文があり、ちゃんと書式どおりに申請書類を作っているはずでも、実際には﹁コンサルを通さないとなかなか通らない。なぜなら、却下されても、なにがどう悪くて、なぜ却下されたのかを消費者庁は教えてくれないから﹂という仕組みになっているらしい。
これは不思議なことだ。たとえば、複雑な税金の申告には税理士という国家資格をもつプロがいる。登記など法務局への申請でも、行政書士・司法書士といった国家資格を持つプロがいる。しかし、だからといってプロではない一般人でも、きちんと書面を作って申請すれば受理されるし、受理されないときは、どこが間違っているのか、どこが駄目なのかは役所で教えてもらえる。また、そうであるべきだ。
なのに、この﹁機能性表示食品﹂に関しては、届け出段階で消費者庁が効能の検査を行うわけでもないのに、認可されるかどうかは、けっこうなブラックボックスらしいのである。そして、そこを通すためにコンサルが大活躍、という仕組みになっているわけだ。
では、そのコンサルとはどういう人たちなのか。
念のためにいうと、この制度を真に受けて真面目に申請している企業もあれば、まともなコンサルももちろん存在している。具体的には、ある商品Aを申請するために、その成分Bに効能があるかどうかを、過去の論文を精査し、以前からその関連研究を行っている大学や研究機関に依頼し、結果が良好であれば、申請書類の形式を整える仕事だけをコンサルが手がける、というようなケースで、これは行政書士事務所などがやっていることもある。
しかし、そうではないケースというのが相当数あると見られ......これが、もうちょっと唖然とするようなことになっているのである。
ちなみに、森下氏が副理事長として直接的に関わっていることで有名なのが、日本抗加齢協会。 ﹁免疫機能の維持﹂に関しては、ここの会員になっていないと申請できない︵しても通らない?︶とかいうもっぱらの噂で、特定非営利活動法人なのだが、年会費30万円の賛助会員が143社もあるという、とってもリッチな協会だ。 機能性表示食品制度支援事業として、研究レビュー作成などの業務委託はもちろん、関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンの宣伝活動なども積極的になさっている。私が耳にした話だと、安倍政権時代は、なにかというと副理事長様が、﹁今度安倍さんに頼んでおくよ﹂というような台詞が出ることがしばしばあったそうだ。
さらに、﹁優秀なコンサル﹂のひとつ﹁薬事法ドットコム﹂の場合。 ホームページに堂々と、﹁ガイドラインどおりにやっても、エビデンスやロジックを精緻に積み上げても、すべては消費者庁の裁量であり、通らないものは通りません。﹂と書いてあります。まあ、これはあながち嘘ではない。 ただ、﹁エビデンス作成~届出代行まで丸ごとお任せ﹂なんていうメニューがあり、なんと同じ会社が、臨床試験機関まで運営。 その臨床試験機関では、これまた堂々と﹁学術目的ではなく、マーケティング意図から逆算した臨床試験︵RCT︶の設計~実施ができるのが、大きな強みです﹂と謳っているのが凄い。 もちろん、その試験結果なるものは、いかにもそれらしい名前の学会誌に論文という形で発表され、これで﹁提出資料﹂としての論文OKというわけだが、その発行元というのが、一度も学会や研究会を開いたりした形跡のない、単に﹁学会誌を発行するためだけ﹂に存在しているような謎の学会で、代表者の名前以外、誰が所属しているのか、誰が査読しているのかも不明という代物だ。いくら日本では﹁学会﹂と名乗ることに対して、なんら規制や資格は存在しないから、いくらでも自称は可能だし、なんなら創価学会やと学会なんてのもあるわけだが、言うまでもなく、その﹁学会﹂誌の掲載論文は、ほぼ﹁機能性表示食品﹂御用達........いやまあ、確かに、なんという胡散臭さ。
もちろん、試験はしているのだろう。たぶん。 でも、チャンピオンデータ︵まぐれで起こりうる最も効果の顕著な結果︶のような都合の良いところだけを拾ってきて、都合の悪いデータは切り捨てたりしているぐらいのことは容易に想定できる。ていうか、ほんとにちゃんとした研究なら、こんな見るからにアレな﹁学会誌﹂に出さないのは明らかだし。
これがペテンでなければ、なんと~呼べばいいのか~、僕は知らなかった~!
と歌い上げたくなるぐらいのアンナチュラルさだ。 私の知り合いのお医者さんが、一言﹁あってはならない。論外﹂と吐き捨てたことは特記しておこう。
消費者庁への機能性表示食品の届出そのものには費用はかからないのだが、こういったコンサルに頼んだ場合、シンプルな試験の場合で200万、被験者が必要なものだと1200万からだそうだ。逆に言えば、微妙なものでも、お金を出したら、すっきり提出書類は揃う仕組みということになる。
さらに、機能性表示食品検定協会などという謎の民間資格まで存在している。
もちろん、民間資格のセミナーだけではなく、こちらもコンサルをなさっていて、これまたきわめて微妙な﹁学術誌﹂に論文が掲載されているという触れ込みの機能性表示食品の販売も積極的になさっている。そういう会社の作っている民間資格である。 消費者庁の審査担当者も受講しているなどと謳っているのだが、事実なら、とんでもない癒着と言える。 この機能性表示食品検定協会の会長の持田氏は、医師でも研究者でもなく、先にあげた薬事法ドットコムの出身者であることも注目に値するほか、ご自身のブログで、
認知機能系の﹁記憶力の維持﹂、花粉、ハウスダストによる﹁目や鼻の不快感の軽減﹂、クランベリーによる﹁女性頻尿の軽減﹂、キリンのプラズマ乳酸菌の﹁免疫機能の維持﹂など、強力な機能性表示の﹁風穴﹂を開けてくれたのも森下先生の功績です。
嫌がる消費者庁に、グリグリねじ込んで認めさせたそのパワーの背景は、安倍パワーの後ろ盾があったからと言えます。 https://note.com/mochidakiichiro/n/nd1bd873eec99
嫌がる消費者庁に、グリグリねじ込んで認めさせたそのパワーの背景は、安倍パワーの後ろ盾があったからと言えます。 https://note.com/mochidakiichiro/n/nd1bd873eec99
と、森下氏を称賛していらっしゃるのもなかなか香ばしくて味わい深い。
笑っちゃうのは、今回の紅糀問題で、厚労省が、機能性表示食品を製造販売している全事業者に健康被害情報の調査報告書を出すよう求めたのだが、その調査報告書の﹁記入例﹂もしっかりネット公開。
そのほかにも、﹁申請から取得まで丸投げでOK﹂で、200万円出せば受理率100%なんて看板を上げたり、200万から500万で、研究レビューを新たに作成のうえ各種届出書類を作成して届出、なんていう会社もあるわけで、いや、もうこの業界、
こういったことを消費者庁は、まったく知らなかったというのだろうか。それとも、もちろん知っていて、黙認していたのだろうか。
消費者庁の﹁厳しい審査﹂とは、添付された学術論文が﹁信頼に値する内容﹂であるかどうかを精査していたのではなく、別のことを﹁審査﹂していたのではないかと勘ぐられても仕方がない。
つまり、中にはなにも知らずに真面目にやっていた会社もあったのかもしれないが、そもそも機能性表示食品とはそういうものだったということだ。
松本人志は嵌められたのか? (弁護士がとにかくヤバすぎる件)
︵前のエントリから続く。松本人志の弁護人、田代政弘のヤバさについて語ります︶
田代がまったく虚偽の報告書を作ったのは明らかであり、それが﹁勘違い﹂のレベルではないことは、流出した証拠文書を見たら明らかだった。何より、裁判所がその事実を明白に認めていた。
いくら膿を出すのを嫌ったとはいえ、これだけ明らか、かつ、悪質な犯罪をしでかした田代を不起訴にした検察も検察だったが、だからこそ、検察審査会で起訴議決が出るのではないかとメディアも思ったわけだ。 ところがここで、奇妙なことが起こったの。
検察審査会は、11人の審査員で構成される。 その審査員は、選挙人名簿から﹁くじ引きソフト﹂で、無作為で選ばれることになっている。 そして、3ヶ月毎に半数が入れ替わる。 つまり、6ヶ月で全員が入れ替わる。
審査員の任期は﹁期間﹂で決まっており、案件で決まることはない。
そして、田代虚偽報告書事件の申立は、東京第一検察審査会に2012年8月23日に受理された。 議決が出たのは2013年4月19日だった。 結果は不起訴不当だった。
不起訴不当の場合、検察は再捜査を行うというのが制度上の仕組みだが、この場合、検察は再度の不起訴を出して幕引きにするのは火を見るより明らかだった。
検察審査員の審査は、警察や検察の捜査は違う。検察から提出された証拠と申立側の出した申立書と証拠を突き合わせて、審査員が議論をする。 先に述べたように、3ヶ月で審査員が半分入れ替わるので、そのたびに、新たに入った審査員には一から、事件の概要の説明や資料の読解が求められる。なので、長期間審議すること・イコール・深い審議をすることにはなり得ない。むしろ、3ヶ月で審査を終えないと、また、一からやり直しになってしまうわけだ。
わかりますね。にもかかわらず、この審査には、8ヶ月がかけられた、つまり、審査員は、審査の間に全員そっくり入れ替わっていたのである。 しかも、驚愕の事実も明らかになった。中立の立場で︵素人である審査員に︶法律的な助言をするだけのはずの審査補助員に、なぜか、元検察高官のヤメ検弁護士......しかも、本来なら懲戒免職に相当する不祥事を起こしておきながら、温情処分で自己退職で済ませてもらったという人物、が就任していたのである。 なぜ、検察が裁かれている事件の審査補助員に、中立性のかけらもない元検事正が選ばれたのか? この問題については、ジャーナリストの江川紹子氏や今西憲之氏も当然の疑問を呈しておられるので、興味のある方は、こちらの記事をどうぞ。
江川紹子‥検察審査会議決の不透明・補助弁護士はワケあり元検察幹部 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/51c4a283b35d95b55892c490266f45718bd89bdd
いまにしのりゆき‥検察審査会の補助弁護人はあきまへんで! http://www.imanishinoriyuki.jp/archives/27052931.html
この﹁検察に恩義のある﹂補助弁護士が誘導に誘導を重ね、起訴議決が出そうになると議決を引き延ばし、審査員を入れ替え、起訴議決を回避したのではないか、と疑われても仕方がないだろう。
さらに言うと、この﹁くじ引きソフト﹂には、奇妙な仕様がある。開示請求で入手されたこの﹁くじ引きソフト﹂のマニュアルを精読すると、ありえない機能が存在するのである。 マイクロソフト Visual BASICを開発言語とするこのソフト、単に選挙人名簿を入力して、無作為に単純なくじ引きで審査員を選び出すという単純な代物に数千万円がかけられているのはともかくとして、選挙人名簿からの取り込みデータがエディタ等で加工可能な形式のファイルとなっている。なので、取り込み時にデータに意図的にデータを削除することが簡単にできる。 さらに問題なのは、抽選で選出された審査員候補者を除外︵削除︶する機能があるが、その理由を確認出来ないし、除外した記録も残さないシステムになっている。 検察審査会の審査員の抽選に事務局の意図的な介入があった場合、これを判断する方法がない。逆の言い方をすると検察審査会の審査員の抽選に際して事務局の意図的な介入を容認することが可能なシステムとなっているのだ。
というか、単純なくじ引きソフトに、そもそもそのような機能を搭載する理由もない。 なぜなら、1年の懲役又は禁錮以上の刑に処せられた人や自衛官、司法関係者、審査する事件の関係者は審査員になれないが、くじ引きで選ばれた審査員には、裁判所から質問票が届き、その時点で、資格があるかどうかを確認されるからだ。くじ引きの段階で、事務局が選ばれた人を敢えてこっそり除外する必要性は存在しない。 そのような、﹁あるはずのない機能﹂がわざわざついているソフトなのだ。
︵これを確認した複数のエンジニアが、この単純なソフトに数千万円が支払われたのは﹁口止め料﹂ではないかと言ったことは書いておこう。そして、このくじ引きソフトのマニュアルや仕様書は、不思議なことに、現在、不開示になっている︶
というわけで、審査員が全員入れ替わり、検察に恩義のある元検察高官が補助員をやった検察審査会で、わずか1票差で、田代は起訴議決を免れたのである。 ここに、このときの検察審査会の議決書も貼っておく。
田代政弘虚偽報告書事件 検察審査会議決書
議決書にははっきりと、﹁田代報告書に虚偽記載があったと言わざるを得ない﹂、田代の言い訳については、﹁一般常識に照らしても、記憶の混同を起訴づけるものとは言いがたい﹂﹁誤魔化していると評さざるを得ない﹂と書かれている。にもかかわらず、起訴議決にならなかったのは、4人の審査員が起訴議決に反対したからなのである。 まあ、このくじ引きソフトの謎機能を使えば、SNSなどの発言から﹁絶対起訴議決に手を上げそうな人﹂を排除しつつ、さらに、それでも起訴議決が出そうになれば、何度も審査員を入れ替えることは、実は簡単にできてしまう。
とにかく、田代はこうして、露骨な虚偽文書作成を、勘違いと言い通し、首の皮一枚で逃げ切ったのである。 その後、彼は、ごく軽い処分を受けて検察を辞め、三菱化学メディエンスの法務部で2年ほど務めたあと、弁護士登録して、晴れて弁護士となった。広島での公職選挙法違反の河井克行氏の弁護のほか、安倍派裏金事件でも、幹部の弁護士をやっている自民党御用達弁護士として活躍しているあたりにも、陸山会事件のうさんくさい闇が見えそうだ。
その田代が松本人志の弁護人というわけだ。
松本人志の件については、吉本が自社の顧問弁護士を出さず、他の著名な名誉毀損に強い弁護士︵弘中さんあたりかな︶からも断られたという話が出ている一方、松本が、どういう経緯で、芸能界には縁のなさそうな田代を代理人に選んだのか、いろいろ憶測も飛んでいるが、普通に考えて、松本人志のタニマチの自民党関係者から紹介を受けたと考えるのが、もっともありそうな話だろう。
とはいえ、名誉毀損裁判では、かなり悪質で事実無根の内容であったとしても、認められる賠償額はせいぜい数百万円だ。
しかも、性加害の場合、性行為自体があったなら、そこに同意があったかどうかは主観の問題と言える。松本人志からすれば強要したつもりはなかったとしても、相手女性からすれば、とてもノーと言えない状態にされていたなら、不同意性交は成立する。まして﹁被害者﹂が複数いるとなれば、これは女性とのコミュニケーションの齟齬や誤解、あるいは女性側の一方的な言いがかりというには無理があるだろう。 まともな弁護士なら勝ち目はないとみなし、仮に受任するのであれば、示談にして女性に対してできるだけ誠意ある対応を取ることで、幕引きを図ることを試みるというのが普通だろう。
にもかかわらず、5億5千万という途方もない金額で、松本人志は提訴した。というか、田代がこれを受けた。 このアホみたいな金額は、﹁売れっ子芸能人﹂松本人志が仕事を休まざるを得なかった賠償ということらしいが、この金額が賠償として通ることは絶対にあり得ないし、むしろ、恫喝︵スラップ︶訴訟と見做されれば、松本の評判を一層落としかねないことは、弁護士なら誰でもわかっているはずである。 にもかかわらず、田代は受けた。
請求額が5億5000万なら、弁護士の着手金として、かなりの高額を要求したのだろうね。負けたところで、弁護士自身は痛くもかゆくもない。法律に疎いであろう﹁裸の王様﹂の芸能人を言いくるめ、焚きつけることなど、田代にはきっと赤子の手をひねるようなものだろうから。
ちなみに、検察審査会に関しては、かの森友事件の虚偽公文書作成︵佐川理財局長らが被疑者︶も、2018年6月13日の申立の審査結果が2019年3月29日に出るという、これまた議決に9ヶ月もかかっていることにも注意してもらいたい。
何度も言うが、起訴議決が出そうな流れになると議決を引き延ばして、審査員を何度も入れ替えることで、議論の誘導をすることはシステム的に可能だし、とにかく4人が反対すれば、不起訴不当止まりで幕引きができる。
また、黒川弘務麻雀賭博事件でそうだったように、仮に起訴相当が出たとしても、2回の起訴相当が出ると強制起訴+裁判になってしまうので、1回の起訴相当が出た段階で、略式起訴して、罰金刑で終わらせたという実例もある。
現在の自民党裏金事件で、検察審査会に期待している人も多いと思うが、検察審査会法も検察審査会というシステムも、かくも穴だらけなのである。ここに透明性がない限り、立法府の腐敗と司法の闇が解消されることはない。
田代がまったく虚偽の報告書を作ったのは明らかであり、それが﹁勘違い﹂のレベルではないことは、流出した証拠文書を見たら明らかだった。何より、裁判所がその事実を明白に認めていた。
いくら膿を出すのを嫌ったとはいえ、これだけ明らか、かつ、悪質な犯罪をしでかした田代を不起訴にした検察も検察だったが、だからこそ、検察審査会で起訴議決が出るのではないかとメディアも思ったわけだ。 ところがここで、奇妙なことが起こったの。
検察審査会は、11人の審査員で構成される。 その審査員は、選挙人名簿から﹁くじ引きソフト﹂で、無作為で選ばれることになっている。 そして、3ヶ月毎に半数が入れ替わる。 つまり、6ヶ月で全員が入れ替わる。
審査員の任期は﹁期間﹂で決まっており、案件で決まることはない。
そして、田代虚偽報告書事件の申立は、東京第一検察審査会に2012年8月23日に受理された。 議決が出たのは2013年4月19日だった。 結果は不起訴不当だった。
不起訴不当の場合、検察は再捜査を行うというのが制度上の仕組みだが、この場合、検察は再度の不起訴を出して幕引きにするのは火を見るより明らかだった。
検察審査員の審査は、警察や検察の捜査は違う。検察から提出された証拠と申立側の出した申立書と証拠を突き合わせて、審査員が議論をする。 先に述べたように、3ヶ月で審査員が半分入れ替わるので、そのたびに、新たに入った審査員には一から、事件の概要の説明や資料の読解が求められる。なので、長期間審議すること・イコール・深い審議をすることにはなり得ない。むしろ、3ヶ月で審査を終えないと、また、一からやり直しになってしまうわけだ。
わかりますね。にもかかわらず、この審査には、8ヶ月がかけられた、つまり、審査員は、審査の間に全員そっくり入れ替わっていたのである。 しかも、驚愕の事実も明らかになった。中立の立場で︵素人である審査員に︶法律的な助言をするだけのはずの審査補助員に、なぜか、元検察高官のヤメ検弁護士......しかも、本来なら懲戒免職に相当する不祥事を起こしておきながら、温情処分で自己退職で済ませてもらったという人物、が就任していたのである。 なぜ、検察が裁かれている事件の審査補助員に、中立性のかけらもない元検事正が選ばれたのか? この問題については、ジャーナリストの江川紹子氏や今西憲之氏も当然の疑問を呈しておられるので、興味のある方は、こちらの記事をどうぞ。
江川紹子‥検察審査会議決の不透明・補助弁護士はワケあり元検察幹部 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/51c4a283b35d95b55892c490266f45718bd89bdd
いまにしのりゆき‥検察審査会の補助弁護人はあきまへんで! http://www.imanishinoriyuki.jp/archives/27052931.html
この﹁検察に恩義のある﹂補助弁護士が誘導に誘導を重ね、起訴議決が出そうになると議決を引き延ばし、審査員を入れ替え、起訴議決を回避したのではないか、と疑われても仕方がないだろう。
さらに言うと、この﹁くじ引きソフト﹂には、奇妙な仕様がある。開示請求で入手されたこの﹁くじ引きソフト﹂のマニュアルを精読すると、ありえない機能が存在するのである。 マイクロソフト Visual BASICを開発言語とするこのソフト、単に選挙人名簿を入力して、無作為に単純なくじ引きで審査員を選び出すという単純な代物に数千万円がかけられているのはともかくとして、選挙人名簿からの取り込みデータがエディタ等で加工可能な形式のファイルとなっている。なので、取り込み時にデータに意図的にデータを削除することが簡単にできる。 さらに問題なのは、抽選で選出された審査員候補者を除外︵削除︶する機能があるが、その理由を確認出来ないし、除外した記録も残さないシステムになっている。 検察審査会の審査員の抽選に事務局の意図的な介入があった場合、これを判断する方法がない。逆の言い方をすると検察審査会の審査員の抽選に際して事務局の意図的な介入を容認することが可能なシステムとなっているのだ。
というか、単純なくじ引きソフトに、そもそもそのような機能を搭載する理由もない。 なぜなら、1年の懲役又は禁錮以上の刑に処せられた人や自衛官、司法関係者、審査する事件の関係者は審査員になれないが、くじ引きで選ばれた審査員には、裁判所から質問票が届き、その時点で、資格があるかどうかを確認されるからだ。くじ引きの段階で、事務局が選ばれた人を敢えてこっそり除外する必要性は存在しない。 そのような、﹁あるはずのない機能﹂がわざわざついているソフトなのだ。
︵これを確認した複数のエンジニアが、この単純なソフトに数千万円が支払われたのは﹁口止め料﹂ではないかと言ったことは書いておこう。そして、このくじ引きソフトのマニュアルや仕様書は、不思議なことに、現在、不開示になっている︶
というわけで、審査員が全員入れ替わり、検察に恩義のある元検察高官が補助員をやった検察審査会で、わずか1票差で、田代は起訴議決を免れたのである。 ここに、このときの検察審査会の議決書も貼っておく。
田代政弘虚偽報告書事件 検察審査会議決書
議決書にははっきりと、﹁田代報告書に虚偽記載があったと言わざるを得ない﹂、田代の言い訳については、﹁一般常識に照らしても、記憶の混同を起訴づけるものとは言いがたい﹂﹁誤魔化していると評さざるを得ない﹂と書かれている。にもかかわらず、起訴議決にならなかったのは、4人の審査員が起訴議決に反対したからなのである。 まあ、このくじ引きソフトの謎機能を使えば、SNSなどの発言から﹁絶対起訴議決に手を上げそうな人﹂を排除しつつ、さらに、それでも起訴議決が出そうになれば、何度も審査員を入れ替えることは、実は簡単にできてしまう。
とにかく、田代はこうして、露骨な虚偽文書作成を、勘違いと言い通し、首の皮一枚で逃げ切ったのである。 その後、彼は、ごく軽い処分を受けて検察を辞め、三菱化学メディエンスの法務部で2年ほど務めたあと、弁護士登録して、晴れて弁護士となった。広島での公職選挙法違反の河井克行氏の弁護のほか、安倍派裏金事件でも、幹部の弁護士をやっている自民党御用達弁護士として活躍しているあたりにも、陸山会事件のうさんくさい闇が見えそうだ。
その田代が松本人志の弁護人というわけだ。
松本人志の件については、吉本が自社の顧問弁護士を出さず、他の著名な名誉毀損に強い弁護士︵弘中さんあたりかな︶からも断られたという話が出ている一方、松本が、どういう経緯で、芸能界には縁のなさそうな田代を代理人に選んだのか、いろいろ憶測も飛んでいるが、普通に考えて、松本人志のタニマチの自民党関係者から紹介を受けたと考えるのが、もっともありそうな話だろう。
とはいえ、名誉毀損裁判では、かなり悪質で事実無根の内容であったとしても、認められる賠償額はせいぜい数百万円だ。
しかも、性加害の場合、性行為自体があったなら、そこに同意があったかどうかは主観の問題と言える。松本人志からすれば強要したつもりはなかったとしても、相手女性からすれば、とてもノーと言えない状態にされていたなら、不同意性交は成立する。まして﹁被害者﹂が複数いるとなれば、これは女性とのコミュニケーションの齟齬や誤解、あるいは女性側の一方的な言いがかりというには無理があるだろう。 まともな弁護士なら勝ち目はないとみなし、仮に受任するのであれば、示談にして女性に対してできるだけ誠意ある対応を取ることで、幕引きを図ることを試みるというのが普通だろう。
にもかかわらず、5億5千万という途方もない金額で、松本人志は提訴した。というか、田代がこれを受けた。 このアホみたいな金額は、﹁売れっ子芸能人﹂松本人志が仕事を休まざるを得なかった賠償ということらしいが、この金額が賠償として通ることは絶対にあり得ないし、むしろ、恫喝︵スラップ︶訴訟と見做されれば、松本の評判を一層落としかねないことは、弁護士なら誰でもわかっているはずである。 にもかかわらず、田代は受けた。
請求額が5億5000万なら、弁護士の着手金として、かなりの高額を要求したのだろうね。負けたところで、弁護士自身は痛くもかゆくもない。法律に疎いであろう﹁裸の王様﹂の芸能人を言いくるめ、焚きつけることなど、田代にはきっと赤子の手をひねるようなものだろうから。
ちなみに、検察審査会に関しては、かの森友事件の虚偽公文書作成︵佐川理財局長らが被疑者︶も、2018年6月13日の申立の審査結果が2019年3月29日に出るという、これまた議決に9ヶ月もかかっていることにも注意してもらいたい。
何度も言うが、起訴議決が出そうな流れになると議決を引き延ばして、審査員を何度も入れ替えることで、議論の誘導をすることはシステム的に可能だし、とにかく4人が反対すれば、不起訴不当止まりで幕引きができる。
また、黒川弘務麻雀賭博事件でそうだったように、仮に起訴相当が出たとしても、2回の起訴相当が出ると強制起訴+裁判になってしまうので、1回の起訴相当が出た段階で、略式起訴して、罰金刑で終わらせたという実例もある。
現在の自民党裏金事件で、検察審査会に期待している人も多いと思うが、検察審査会法も検察審査会というシステムも、かくも穴だらけなのである。ここに透明性がない限り、立法府の腐敗と司法の闇が解消されることはない。
田代政弘の犯罪と自民党裏金事件の関係
さて、松本人志の事件をはるかに上回って、いま、日本を揺るがせている事件がある。
言うまでもなく、自民党裏金事件だ。
特捜が大々的に捜査を始め、次々に安倍派を中心に、与党議員がパーティー券の売り上げを裏金としていた事件は、与党と統一教会との癒着問題以上に、世論の批判を浴びている。 そして..............世論の期待を裏切って、早々に数人の議員と、会計担当者を立件するだけで、3000万円以下の﹁裏金﹂は不起訴の見込みという﹁リーク﹂が流され、検察を批判する声と共に、検察審査会に期待する声が寄せられている。
さあ、というわけで、このまったく関係のないはずの二つの事件がからんでくるのだ。 小沢事件公判で、裁判所にはっきりと﹁虚偽報告書の作成﹂を指摘された、あの事件である。
言うまでもなく、虚偽公文書作成︵刑法156条︶及び行使︵刑法158条︶は重罪である。公文書偽造は1年以上10年以下の懲役、罰金刑はない。そして、この田代のケースでは、裁判で嘘の証言をした偽証罪︵刑法169条︶なども成立するのは明らかだったし、検察審査会を騙した偽計業務妨害罪︵刑法233条︶も成立する可能性があった。だって、すでに裁判所がはっきりと犯罪を認定してるんだもの。
裁判になれば、田代の有罪実刑は確実だった。 それなのに、なぜ、彼に松本人志の弁護人ができるのか? それは、これほどまでに露骨な犯罪を﹁勘違いの範疇だった﹂という唖然とするような理由で、検察が不起訴にしたからである。
田代の作った虚偽公文書もたいがいのものだが、しかも、田代の報告書をベースに、特捜副部長らも、この内容に沿った報告書を作成していた。 そもそも、検察が、検察審査会に提出するのは、なぜ不起訴にしたのかを説明するための捜査資料のはずである。それなのに、小沢氏を起訴議決で陥れるための虚偽の証拠を作るというのは、あまりにも悪質であり、田代一人がその場の思いつきでやったこととは思われなかった。 明らかに、当時の特捜部ぐるみの犯罪。首謀者は特捜部長や東京地検次席検事らであり、田代は上司の指示で、無意味な取り調べを行い、虚偽報告書を作成したと考えるのが妥当だ。
だから、裁判で田代が裁かれるということになれば、田代一人の問題ではなく、特捜部長・副部長をはじめ、東京地検にぞろぞろ逮捕者が出ることになる可能性は濃厚だった。 それだけではない。この虚偽報告書のことを最高検は裁判の前に把握していながら、その時点で逮捕も起訴しなかった。ということは、最高検察庁の全員にも犯人隠避︵刑法103条︶が成立する。︵実際に、厚労省村木さん事件では、この論理で特捜部長と副部長までも逮捕され、有罪判決を受けている︶ だからこそ、検察は﹁検察崩壊﹂を恐れて、この露骨な犯罪を起訴しなかったのか?
いや、検察の一部には、たとえ多数の逮捕者が出て、検察が大きな痛手を負うことになるとしても、このような事態を招いた暴走特捜部の膿を徹底的に出すべきと考え、起訴に向けて努力していた人たちは間違いなく存在していた。しかし、最終的には、起訴に至ることはできなかった。 その理由は、検察内の、守旧派と改革派の対立の中、守旧派が押し切ったということになるが、その意を受けた田代自身が、﹁勘違いだった﹂の一点張りで押し通したということがある。 ︵上記は、当時の検察内部の信頼できる筋からの直接の情報提供によるものである︶
どちらにしても、田代は、﹁上司に命令されれば、ためらわず人を陥れるための虚偽文書をでっち上げることができ、バレたら勘違いだと言い張り続ける﹂ような﹁筋金入りの嘘つき﹂、そうでないとしたら、﹁メモも取らずに取調べを行ったあげく、﹃勘違い﹄で、まるっきり真逆の内容の報告書を作り、結果として他人を陥れておきながら反省の弁もない﹂無能なクズということになる。
いずれにしても、この処分および最高検の出した報告書は、各社の報道でも、﹁身内に甘すぎる処分﹂﹁とても言葉を補うとか、補正するとかいうレベルではない﹂﹁検察の信頼の回復はない﹂と厳しい批判を浴びたほどの、ひどい内容だった。
そんな中、この事件は検察審査会に持ち込まれた。 その申立書を書いたのは、この私である。
申立書 http://shiminnokai.net/doc/moushitate_tashiro.pdf
この時点で、メディアも含め、多くの人が、これはいくらなんでも起訴議決は免れないのではないかと考えていた。
︵続く︶
特捜が大々的に捜査を始め、次々に安倍派を中心に、与党議員がパーティー券の売り上げを裏金としていた事件は、与党と統一教会との癒着問題以上に、世論の批判を浴びている。 そして..............世論の期待を裏切って、早々に数人の議員と、会計担当者を立件するだけで、3000万円以下の﹁裏金﹂は不起訴の見込みという﹁リーク﹂が流され、検察を批判する声と共に、検察審査会に期待する声が寄せられている。
さあ、というわけで、このまったく関係のないはずの二つの事件がからんでくるのだ。 小沢事件公判で、裁判所にはっきりと﹁虚偽報告書の作成﹂を指摘された、あの事件である。
言うまでもなく、虚偽公文書作成︵刑法156条︶及び行使︵刑法158条︶は重罪である。公文書偽造は1年以上10年以下の懲役、罰金刑はない。そして、この田代のケースでは、裁判で嘘の証言をした偽証罪︵刑法169条︶なども成立するのは明らかだったし、検察審査会を騙した偽計業務妨害罪︵刑法233条︶も成立する可能性があった。だって、すでに裁判所がはっきりと犯罪を認定してるんだもの。
裁判になれば、田代の有罪実刑は確実だった。 それなのに、なぜ、彼に松本人志の弁護人ができるのか? それは、これほどまでに露骨な犯罪を﹁勘違いの範疇だった﹂という唖然とするような理由で、検察が不起訴にしたからである。
田代の作った虚偽公文書もたいがいのものだが、しかも、田代の報告書をベースに、特捜副部長らも、この内容に沿った報告書を作成していた。 そもそも、検察が、検察審査会に提出するのは、なぜ不起訴にしたのかを説明するための捜査資料のはずである。それなのに、小沢氏を起訴議決で陥れるための虚偽の証拠を作るというのは、あまりにも悪質であり、田代一人がその場の思いつきでやったこととは思われなかった。 明らかに、当時の特捜部ぐるみの犯罪。首謀者は特捜部長や東京地検次席検事らであり、田代は上司の指示で、無意味な取り調べを行い、虚偽報告書を作成したと考えるのが妥当だ。
だから、裁判で田代が裁かれるということになれば、田代一人の問題ではなく、特捜部長・副部長をはじめ、東京地検にぞろぞろ逮捕者が出ることになる可能性は濃厚だった。 それだけではない。この虚偽報告書のことを最高検は裁判の前に把握していながら、その時点で逮捕も起訴しなかった。ということは、最高検察庁の全員にも犯人隠避︵刑法103条︶が成立する。︵実際に、厚労省村木さん事件では、この論理で特捜部長と副部長までも逮捕され、有罪判決を受けている︶ だからこそ、検察は﹁検察崩壊﹂を恐れて、この露骨な犯罪を起訴しなかったのか?
いや、検察の一部には、たとえ多数の逮捕者が出て、検察が大きな痛手を負うことになるとしても、このような事態を招いた暴走特捜部の膿を徹底的に出すべきと考え、起訴に向けて努力していた人たちは間違いなく存在していた。しかし、最終的には、起訴に至ることはできなかった。 その理由は、検察内の、守旧派と改革派の対立の中、守旧派が押し切ったということになるが、その意を受けた田代自身が、﹁勘違いだった﹂の一点張りで押し通したということがある。 ︵上記は、当時の検察内部の信頼できる筋からの直接の情報提供によるものである︶
どちらにしても、田代は、﹁上司に命令されれば、ためらわず人を陥れるための虚偽文書をでっち上げることができ、バレたら勘違いだと言い張り続ける﹂ような﹁筋金入りの嘘つき﹂、そうでないとしたら、﹁メモも取らずに取調べを行ったあげく、﹃勘違い﹄で、まるっきり真逆の内容の報告書を作り、結果として他人を陥れておきながら反省の弁もない﹂無能なクズということになる。
いずれにしても、この処分および最高検の出した報告書は、各社の報道でも、﹁身内に甘すぎる処分﹂﹁とても言葉を補うとか、補正するとかいうレベルではない﹂﹁検察の信頼の回復はない﹂と厳しい批判を浴びたほどの、ひどい内容だった。
そんな中、この事件は検察審査会に持ち込まれた。 その申立書を書いたのは、この私である。
申立書 http://shiminnokai.net/doc/moushitate_tashiro.pdf
この時点で、メディアも含め、多くの人が、これはいくらなんでも起訴議決は免れないのではないかと考えていた。
︵続く︶
松本人志の弁護人、田代政弘の犯罪
松本人志氏の性加害問題がらみで、まさかのあの人物が弁護人として登場してきた。すでにSNSなどで炎上しているようなので、かつてのあの事件に関わった人間として、11年前のあの事件と、田代政弘弁護士のやったことのなにが問題なのかをまとめてみようと思う。
松本人志氏の代理人弁護士田代政弘に刑事告発された過去があることは、すでにネットニュースでも報じられている。 その告発とはなんだったのか。
2010年、陸山会事件が世間を賑わせた。﹁政治とカネ﹂というスローガンのように使われた文言を覚えている人は多いだろう。このスローガンのせいで、現在、問題になっている自民党の裏金問題と似たような話だと思っている人や、そのように思わせたいTVコメンテーターなどがいるようだが、実態はまったく違う。
非常に簡単に言うと、当時の東京地検特捜部が、小沢一郎議員が世田谷区に土地を購入したことを知り、その資金が建設会社からの裏金ではないかと疑ったことにはじまる。 ところが、どう調べてもそのような事実が立証できなかった。それどころか、土地購入の資金も相続財産からだったことまで明らかになってしまった。 しかし、散々、メディアに派手にリークし、引っ込みがつかなくなった特捜検察は、この土地代金の政治資金報告書への記載を問題にし始める。もちろん、この売買は記載はされていたわけだが、当時、小沢氏の秘書で会計担当だった石川議員は、土地の購入代金を支払ったのが2004年10月とはいえ、土地の登記をしたのが2005年1月だったので、2005年付で記載をしていた。 それが虚偽記載だと言い出したわけだ。
これはもうこの時点で、言いがかりに近いもので、当時、経理関係者からも、この記載は会計上間違ってはいないという声が上がったほどだった。まあ、仮に、2004年度で記載をするべきものだったとしても、べつに売買を隠していたわけでも何でもなく、会計担当者の判断ミスとしか言い様のないもので、ふつうは修正申告すればよいようなショボ過ぎるネタである。
なので、さんざんマスコミにリーク情報を流し、﹁政治とカネ﹂というスローガンで、あたかも小沢氏が何億円も裏金を受け取っていたかのような印象操作までして盛り上げていたにもかかわらず、当然ながら、特捜はどうやっても起訴を断念せざるを得なかった。 これが、ぶっちゃけ、陸山会事件のみっともない真相である。 とはいえ、この時点まで、私は傍観者だった。そもそも小沢氏の支持者でも何でもないし。
ところが、より大きな、そしてさすがに看過できない問題が、実はここから始まる。 上記の事情にもかかわらず、こんなショボいネタが、検察審査会によって、小沢氏は起訴議決を出され、裁判になったのだ。
このとき、検察審査会で法律について事務的な助言をするだけのはずの補助弁護士が、露骨な誘導をやったことも相当にいかがなものか、という問題があったが、それ以上に、裁判で驚愕の事実が明らかになったのだ。
つまり、検察審査会を騙して起訴議決を出すように仕向けるため、審査員に﹁偽の証拠﹂が渡されていたのである。 それが、﹁田代虚偽報告書事件﹂である。
これはあかんやろ。小沢なり民主党が好きとか嫌いとかいう問題ではない。 これが問題にならなかったら、検察はこれから、どんな政治家でも嵌めることできることになってしまう。 ぶっちゃけ、以前、大問題になった、厚労省村木さん事件のフロッピー改ざん事件よりよほど悪質な話である。あれはあれでもちろん問題だったが︵ちなみにあの件を刑事告発したのも私たちである︶、あの日付改ざんされたフロッピーディスクは、べつに裁判に証拠として使われたわけではないし、仮に使われたとしても、それで有罪の決め手になるとは到底思えない代物ではあったからだ。
では、なにがどう虚偽だったのか。
田代報告書と実際の取調べは、その具体的な会話の内容も、取調べの全体的な状況の比較においても、まったく似ても似つかないものであったということだ。 具体的には、石川議員が供述の訂正を求めているにもかかわらず、供述を変更するとかえって不利になると田代が執拗に説得していたというのが、問題の取り調べの実態だった。ところが、報告書の内容は、紳士的な取調べの中で、田代に諭された石川議員が反省して、自分から関与を認めたという真逆の内容で、しかも、ドラマの台本みたいな会話形式のリアリティにあふれたものとなっている。
田代報告書のpdf
笑っちゃうぐらい凄いから、見てね。 田代はドラマに出てくる理想の検察官のように、品行方正に、石川議員に権利を説明しつつも、優しく諭していく。 ﹁11万人以上の有権者に選ばれた国会議員が、やくざの手下が親分を守るようなうそをついてはいけない﹂という田代の言葉が胸に響いて、石川議員は﹁堪えきれなくなって、小沢に報告し、了承を得た﹂と﹁自白した﹂ことになっている。
いや、こんなの読んだら、素人の審査員は﹁うわ、やっぱ、小沢は知ってたじゃん﹂って誰でも思うよね。 でも、実際は、石川議員は、﹁いや,全部否認したいですけど﹂と言ってたわけですよ。それどころか、田代は石川さんに、﹁ここはおそろしい組織なんだから,何するかわかんないんだぞ﹂なんて言って脅してたのね。
検察は、そんな虚偽なんていう生やさしいものではなく、嘘八百、まるっきりデッチ上げの報告書を検察審査会に送っておきながら、それを弁護側に開示せずに隠し通そうとし、これが裁判所の勧告によって、︵検察官役の︶指定弁護士から開示され、公判で問題になると、今度は﹁記憶の混同﹂などというありえない言い訳で誤魔化そうとした。 この裁判で、報告書がまるっきりのでっち上げであることを、裁判で明らかにしたのが、喜多村洋一弁護士というわけ。
この報告書がどれぐらいでっち上げかというのが一目でわかる一覧表はこちら。 http://shiminnokai.net/doc/shiryou01.pdf
いやこれのどこが、﹁勘違い﹂の範疇なの? って誰でも思いますよね。本当に勘違いなら、重度の認知症だろ。
で、この取調べを石川議員が録音していたことで、この真っ赤な嘘がバレちゃったわけですが、バレてどうしたかというと、裁判で、田代はぬけぬけと﹁勘違いだった﹂で押し通したわけです。
へええ。30分前にやった取り調べの内容をまるっきり逆に覚えていたって?? しかも、メモも取ってなかったって?
さすがに、ここまで見え透いた嘘が裁判官に通用するわけもなく、小沢氏は無罪となり、それどころか、判決文に、﹁検察官が、公判において証人となる可能性の高い重要な人物に対し、任意性に疑いのある方法で取り調べて供述調書を作成し、その取調状況について事実に反する内容の捜査報告書を作成した上で、これらを検察審査会に送付するなどということは、あってはならないことである。﹂﹁検察官が任意性に疑いのある方法で取調べを行って供述調書を作成し、また、事実に反する内容の捜査報告書を作成し、これらを送付して、検察審査会の判断を誤らせるようなことは決して許されないことである。﹂﹁本件の審理経過等に照らせば、本件においては事実に反する内容の捜査報告書が作成された理由経緯等の詳細や原因の究明等については、検察庁等において、十分調査等の上で対応がなされることが相当であるというべきである。﹂ とまで、検察を糾弾し、真相究明を求めた異例のものとなった。
簡単に言うと、小沢無罪、検察アウト。 裁判で、田代が問題のある取調べをやったことも、虚偽の報告書を作ったことも、それで検察審査会の判断を誤らせたことも明確に認定されているわけ。そして、それを検察にちゃんと﹁調査して対応しろ﹂とまで言ってるのである。ここまで書かれるとは、裁判官激おこである。
さらに、その直後、この虚偽報告書、つまり、現役検察官による公文書の︵おそらく組織的な︶捏造の件を問題視し、刑事告発に動いていた﹁健全な法治国家のために声をあげる市民の会﹂メールアドレスに、ロシアのサーバー経由で、この田代報告書と実際の録音の資料が届けられ、これを我々がネット公開したことで、多くの人が、このトンデモなでっち上げの中身をはっきり知ることになります。︵その日の衝撃的なブログエントリはこちら︶
その中のひとりが、当時の小川敏夫法務大臣。 小川さんは元裁判官・元検察官でもあったので、検察官が報告書をでっち上げたという問題について、法務官僚に事実確認していた。で、その法務官僚は、﹁ちょっとした勘違い程度のことを、市民団体が大げさに騒いでいるだけ﹂と説明していて、それを信用していたのだそうだ。 ところが、小川大臣もネットで大暴露された、この問題の報告書と録音をダウンロードして、驚愕したという。﹁ネットで確認すれば、誰しもが﹃記憶の混同ではない﹄と思った﹂と。
で、さすがにこれは看過できないと、指揮権発動を当時の野田総理に相談に行ったところ、その直後に解任されてしまう。 当時の野田政権にとっては、尻馬に乗って小沢叩きをしてきた手前、正義よりも見栄だったのだろうかね。
で、この報告書の実物と録音が明らかになって、田代のでっち上げの酷さが、もう誤魔化しきれなくなったにもかかわらず、最高検は田代を不起訴にした。これはさすがに、当時のメディアも﹁身内に甘すぎる処分﹂、﹁うそ記載、辞職で幕﹂、﹁ぬぐえぬ結論ありき﹂と酷評の嵐となる。そして、皆が期待した。検察審査会で再び、起訴議決が出るのではないかと。
︵続く︶
松本人志氏の代理人弁護士田代政弘に刑事告発された過去があることは、すでにネットニュースでも報じられている。 その告発とはなんだったのか。
2010年、陸山会事件が世間を賑わせた。﹁政治とカネ﹂というスローガンのように使われた文言を覚えている人は多いだろう。このスローガンのせいで、現在、問題になっている自民党の裏金問題と似たような話だと思っている人や、そのように思わせたいTVコメンテーターなどがいるようだが、実態はまったく違う。
非常に簡単に言うと、当時の東京地検特捜部が、小沢一郎議員が世田谷区に土地を購入したことを知り、その資金が建設会社からの裏金ではないかと疑ったことにはじまる。 ところが、どう調べてもそのような事実が立証できなかった。それどころか、土地購入の資金も相続財産からだったことまで明らかになってしまった。 しかし、散々、メディアに派手にリークし、引っ込みがつかなくなった特捜検察は、この土地代金の政治資金報告書への記載を問題にし始める。もちろん、この売買は記載はされていたわけだが、当時、小沢氏の秘書で会計担当だった石川議員は、土地の購入代金を支払ったのが2004年10月とはいえ、土地の登記をしたのが2005年1月だったので、2005年付で記載をしていた。 それが虚偽記載だと言い出したわけだ。
これはもうこの時点で、言いがかりに近いもので、当時、経理関係者からも、この記載は会計上間違ってはいないという声が上がったほどだった。まあ、仮に、2004年度で記載をするべきものだったとしても、べつに売買を隠していたわけでも何でもなく、会計担当者の判断ミスとしか言い様のないもので、ふつうは修正申告すればよいようなショボ過ぎるネタである。
なので、さんざんマスコミにリーク情報を流し、﹁政治とカネ﹂というスローガンで、あたかも小沢氏が何億円も裏金を受け取っていたかのような印象操作までして盛り上げていたにもかかわらず、当然ながら、特捜はどうやっても起訴を断念せざるを得なかった。 これが、ぶっちゃけ、陸山会事件のみっともない真相である。 とはいえ、この時点まで、私は傍観者だった。そもそも小沢氏の支持者でも何でもないし。
ところが、より大きな、そしてさすがに看過できない問題が、実はここから始まる。 上記の事情にもかかわらず、こんなショボいネタが、検察審査会によって、小沢氏は起訴議決を出され、裁判になったのだ。
このとき、検察審査会で法律について事務的な助言をするだけのはずの補助弁護士が、露骨な誘導をやったことも相当にいかがなものか、という問題があったが、それ以上に、裁判で驚愕の事実が明らかになったのだ。
つまり、検察審査会を騙して起訴議決を出すように仕向けるため、審査員に﹁偽の証拠﹂が渡されていたのである。 それが、﹁田代虚偽報告書事件﹂である。
これはあかんやろ。小沢なり民主党が好きとか嫌いとかいう問題ではない。 これが問題にならなかったら、検察はこれから、どんな政治家でも嵌めることできることになってしまう。 ぶっちゃけ、以前、大問題になった、厚労省村木さん事件のフロッピー改ざん事件よりよほど悪質な話である。あれはあれでもちろん問題だったが︵ちなみにあの件を刑事告発したのも私たちである︶、あの日付改ざんされたフロッピーディスクは、べつに裁判に証拠として使われたわけではないし、仮に使われたとしても、それで有罪の決め手になるとは到底思えない代物ではあったからだ。
では、なにがどう虚偽だったのか。
田代報告書と実際の取調べは、その具体的な会話の内容も、取調べの全体的な状況の比較においても、まったく似ても似つかないものであったということだ。 具体的には、石川議員が供述の訂正を求めているにもかかわらず、供述を変更するとかえって不利になると田代が執拗に説得していたというのが、問題の取り調べの実態だった。ところが、報告書の内容は、紳士的な取調べの中で、田代に諭された石川議員が反省して、自分から関与を認めたという真逆の内容で、しかも、ドラマの台本みたいな会話形式のリアリティにあふれたものとなっている。
田代報告書のpdf
笑っちゃうぐらい凄いから、見てね。 田代はドラマに出てくる理想の検察官のように、品行方正に、石川議員に権利を説明しつつも、優しく諭していく。 ﹁11万人以上の有権者に選ばれた国会議員が、やくざの手下が親分を守るようなうそをついてはいけない﹂という田代の言葉が胸に響いて、石川議員は﹁堪えきれなくなって、小沢に報告し、了承を得た﹂と﹁自白した﹂ことになっている。
いや、こんなの読んだら、素人の審査員は﹁うわ、やっぱ、小沢は知ってたじゃん﹂って誰でも思うよね。 でも、実際は、石川議員は、﹁いや,全部否認したいですけど﹂と言ってたわけですよ。それどころか、田代は石川さんに、﹁ここはおそろしい組織なんだから,何するかわかんないんだぞ﹂なんて言って脅してたのね。
検察は、そんな虚偽なんていう生やさしいものではなく、嘘八百、まるっきりデッチ上げの報告書を検察審査会に送っておきながら、それを弁護側に開示せずに隠し通そうとし、これが裁判所の勧告によって、︵検察官役の︶指定弁護士から開示され、公判で問題になると、今度は﹁記憶の混同﹂などというありえない言い訳で誤魔化そうとした。 この裁判で、報告書がまるっきりのでっち上げであることを、裁判で明らかにしたのが、喜多村洋一弁護士というわけ。
この報告書がどれぐらいでっち上げかというのが一目でわかる一覧表はこちら。 http://shiminnokai.net/doc/shiryou01.pdf
いやこれのどこが、﹁勘違い﹂の範疇なの? って誰でも思いますよね。本当に勘違いなら、重度の認知症だろ。
で、この取調べを石川議員が録音していたことで、この真っ赤な嘘がバレちゃったわけですが、バレてどうしたかというと、裁判で、田代はぬけぬけと﹁勘違いだった﹂で押し通したわけです。
へええ。30分前にやった取り調べの内容をまるっきり逆に覚えていたって?? しかも、メモも取ってなかったって?
さすがに、ここまで見え透いた嘘が裁判官に通用するわけもなく、小沢氏は無罪となり、それどころか、判決文に、﹁検察官が、公判において証人となる可能性の高い重要な人物に対し、任意性に疑いのある方法で取り調べて供述調書を作成し、その取調状況について事実に反する内容の捜査報告書を作成した上で、これらを検察審査会に送付するなどということは、あってはならないことである。﹂﹁検察官が任意性に疑いのある方法で取調べを行って供述調書を作成し、また、事実に反する内容の捜査報告書を作成し、これらを送付して、検察審査会の判断を誤らせるようなことは決して許されないことである。﹂﹁本件の審理経過等に照らせば、本件においては事実に反する内容の捜査報告書が作成された理由経緯等の詳細や原因の究明等については、検察庁等において、十分調査等の上で対応がなされることが相当であるというべきである。﹂ とまで、検察を糾弾し、真相究明を求めた異例のものとなった。
簡単に言うと、小沢無罪、検察アウト。 裁判で、田代が問題のある取調べをやったことも、虚偽の報告書を作ったことも、それで検察審査会の判断を誤らせたことも明確に認定されているわけ。そして、それを検察にちゃんと﹁調査して対応しろ﹂とまで言ってるのである。ここまで書かれるとは、裁判官激おこである。
さらに、その直後、この虚偽報告書、つまり、現役検察官による公文書の︵おそらく組織的な︶捏造の件を問題視し、刑事告発に動いていた﹁健全な法治国家のために声をあげる市民の会﹂メールアドレスに、ロシアのサーバー経由で、この田代報告書と実際の録音の資料が届けられ、これを我々がネット公開したことで、多くの人が、このトンデモなでっち上げの中身をはっきり知ることになります。︵その日の衝撃的なブログエントリはこちら︶
その中のひとりが、当時の小川敏夫法務大臣。 小川さんは元裁判官・元検察官でもあったので、検察官が報告書をでっち上げたという問題について、法務官僚に事実確認していた。で、その法務官僚は、﹁ちょっとした勘違い程度のことを、市民団体が大げさに騒いでいるだけ﹂と説明していて、それを信用していたのだそうだ。 ところが、小川大臣もネットで大暴露された、この問題の報告書と録音をダウンロードして、驚愕したという。﹁ネットで確認すれば、誰しもが﹃記憶の混同ではない﹄と思った﹂と。
で、さすがにこれは看過できないと、指揮権発動を当時の野田総理に相談に行ったところ、その直後に解任されてしまう。 当時の野田政権にとっては、尻馬に乗って小沢叩きをしてきた手前、正義よりも見栄だったのだろうかね。
で、この報告書の実物と録音が明らかになって、田代のでっち上げの酷さが、もう誤魔化しきれなくなったにもかかわらず、最高検は田代を不起訴にした。これはさすがに、当時のメディアも﹁身内に甘すぎる処分﹂、﹁うそ記載、辞職で幕﹂、﹁ぬぐえぬ結論ありき﹂と酷評の嵐となる。そして、皆が期待した。検察審査会で再び、起訴議決が出るのではないかと。
︵続く︶
シンポジウム「コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る」〜コロナ・ワクチンをめぐる闇(その4)
明治大学シンポジウム、休憩を挟みまして、ここから、不肖八木もコメンテーターとして加わってのディスカッションに移ります。
この内容はあまりに濃いので、書き起こし形式でお送りします。
︻八木︼ 今回のシンポジウムは、すでに開始前からそちらの講演者席のところで、登壇者の皆様が熱い会話をなさっておりまして、そして、この休憩時間の間にもかなり濃い話がなされていまして、それがそのままこちらの後半でも熱いお話になると思いますけれども、ちょうど話題になりましたアンジェス社、吉田先生がいろいろコメントしてくださいましたけど、この発端というのは2020年の4月14日ですね。 この日に吉村知事と松井市長が会見を開いて、オール大阪でワクチン開発を進めるというような発表をしていますが、この時点で、臨床試験を大阪市立大病院で7月から始めるというような、かなり具体的なことまで言っているんですね。さらに、そのちょっと後の5月1日には、アンジェスの創業者でメディカルアドバイザーで大株主である、件の森下竜一寄附講座教授が、3月24日にDNAワクチンは完成していて、それも﹁20日で作れたのは世界最速です﹂とまで、ビジネスインサイダーという雑誌で堂々と言ってます。 これを皮切りに、かなりいろんな雑誌が特集記事を組んで、一気に盛り上がります。吉田先生もさっきおっしゃっていたように、アンジェスの株価が200円だか300円ぐらいだったのが、いきなり爆上がりということになるわけです。 Wikipediaに書かれていて、吉田先生も言及されていた﹁株券印刷業者﹂というのは、これはどういう話かと言いますと、株をやっている人の間ではかなり知られた話だったんですけれども、アンジェスという会社は一応創業10数年あるんですけれども、その間、まともな薬を一つも開発できていないんですね。 唯一開発した薬というのがコラテジェンという、吉田先生がおっしゃっていたものですけれども、これもまさに、ほとんど効いているのか効いていないのか分からないような状態であるにもかかわらず、条件付き早期承認制度という、これまた安倍さんが特別に作った制度で、しかもその第1号としてコラテジェンが通されているという非常に不思議な話です。 なので、薬価もあまり高い値段がつかなかったという、そういう薬をたった1個開発したというだけの会社なんですけれども、なんでそんな会社が19年も保ったかというと、コラテジェンの時もそうだったんですけれども、新薬がもうすぐできるという発表をやるんですね。そしてその時にワラント債というものを発行するわけなんです。 そうすると、それを信じた投資家がバーッと買い、株価も上がると。ちょっとして熱が冷めちゃうと、またそういう話題を作って、ワラント債を発行したり新株発行したりするんですけど、それを19年間で34回もやっているわけです。 こうなってくると、そもそもこれを許す証券取引所もいかがなものかというような話なんですけど、そういうことをやって会社として存続しているので、株に詳しい人たちの間で﹁本業・株券印刷会社﹂と揶揄されているという、そういう会社だったわけです。 実際にワクチン開発の発表をする前の段階では、アンジェスがどんな状況だったかというと、営業利益がマイナス32億7千万円ですよ。売上高がマイナス92.4%という状態になっていました。こういうIR情報は、投資家向けにホームページに掲載されていて、ダウンロードできるようになっているんですけど、その事業報告に﹁企業の継続の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。﹂と書いていた。それって簡単に言ってしまうと、当社は倒産寸前ですと言っているようなものなんですね。 そういう会社が、その直後になぜか株式を分割して、そしてさらに、その直後にワクチンを作ります、もうできました、みたいな発表をして、株価が劇的に上がった。これっていうのは一体何なんだ、という話でもありますよね。
︻吉田︼ さきほどご説明にあったとおりで、本当に悪質ですよね。 安倍さんも故人になられてしまったので申し上げたくないんですが、特別な関係の下で、これは本当に、政府、政権が一番やってはいけない政治の私物化ですよ。 日本は成熟した国家ですから、本来こんなことがあってはいけない。だから、私は本当にどこの国の出来事だろうと思います。 ですので、海堂先生もおっしゃったように、こんなことを二度とさせないシステム作りが大事だし、やはり審査の過程をもう少し開示させるということはこれからルールとして必要でしょうね。 厚労省は、振り返って開示させるなんてことは、絶対しないですから。あれは適切だったと言い張るだけですから。だから、しっかりやらなきゃいけないと思います。 この先、どうなるんでしょうね、あの会社ね。本当にスタンフォード大学と提携したとかいう話だってね、その後、全く何も出てこないわけですし。 本当に国費を大量に入れて、その結果がちゃんと得られなかったことは、やっぱり一定程度の責任を取ることと、しっかりとした訴求して、解明することは必要だと思いますよ
︻八木︼ 私は、大変不思議に思ってるんですけれども、例えば、製薬会社が補助金などを受けた時に、普通、例えば研究機関でしたら、その補助金を受けたら、かなり細かく領収書を出したりとかしなければいけないというふうに、私の知っている研究者の方なども、もう本当に細かいところまで追及されるみたいなことを言われるんですけれども、製薬会社にそういう補助金が出た場合に、精査されるってことはあるんですか、植地先生?
︻植地︼ いくつか申し上げますと、この時の補助金はかなりの事前審査だったんです。だから科研費なんかとは違った形です。 科研費は、例えば﹁こういう研究しますが、具体的に何に使うか分からないので、500万円ください﹂とお願いして、そこから領収書で後で精算していくタイプのものですね。 一方で、この時のワクチンへの補助金は、何々に使いますっていうのは、先に製薬会社が、全部リストを出してます。 いろんな製薬会社がワクチンの製造関係で、補助金をこれ以外にももらってますから、その時にはもう︵金額を︶出してるんです。 ですから、それが妥当だったかどうかっていう話になるとは思います。 ただ普通に考えて、僕はアンジェスさんの内情を知ってるわけじゃないですけども、90億円の製造設備とかっていうのは相当バカ高いなというふうには思いますし、臨床試験にしても、規模から考えると相当割高だろうな、と。 あと、ちょうど2020年の4月ぐらいの話というと、世界中のワクチンメーカー、世界中の製薬会社がありとあらゆるワクチンを探しまくってた時期なんですね。日本でも、実は私たちアストラゼネカがオックスフォード大学と共同してやってましたけれども、他の日本のメーカーもいくつも手を挙げてます。それだけじゃなくて、アメリカでもワープスピード・プロジェクトでモデルナもやってますし、その他ビオンテックとかノバマックスとかいろんなところが、世界中でどこと組んでいくんだろうかっていう形で、毎日のように国際会議をやっていたような状態の時期です。 その中で、少しでも可能性のあるものであれば、ほぼ多分、僕は知っているはずなんです。例えば、コロナは不活化ワクチンは効かないって言われていながらも、中国のシノバックとかシノファームとかは不活化ワクチンを出してますし、日本でもいくつも不活化ワクチンの候補物質を持ってた会社もあります。ただ、効果を考えると、やっぱりファイザーさんとかアデノベクターワクチンに比べると効果が悪いということで開発を中止したものもあります。 そこまででも、ちゃんとデータを持っているところもあるんですね。 ところが残念な話というか、僕は、アンジェスさんのことを直接言及する立場にありませんけれども、少なくともあの時点で、DNAワクチンが有効性が予想できると考えていた海外のワクチンの開発関係の専門家は誰もいません。 少なくとも、あれに関しては、何言ってんだろうっていうのが我々の考えですし、少なくとも、当時、DNAワクチンが少しでもモノになる可能性があるのであれば、世界中でどこかの会社が必ず手を出している。だけど、誰も手を出さなかった........というのは、一応、僕だけが言っているわけではなくて、世界中の標準から考えても、︵そこにお金を出すのは︶おかしな判断だったというのは分かってくださると思います。
︻八木︼ ただ、現実に、まさに大阪ワクチンの発表があった後に、森下さんが散々いろんなインタビューに出て、世界で自分だけが特許を持っているとか、独自技術で他は真似はできないみたいなことを散々おっしゃって、それをまたマスコミがどんどん垂れ流すことによって、何も知らない人にとっての期待値が上がって、たくさんの人が株を買い、株価がものすごく上がる、という、そういうことが実際に起こってしまったわけですよね。 ﹁世界で唯一の特許﹂とか、﹁自分だけができる﹂というのがどんなにうさんくさい話か、というのは、さっきの植地先生のお話でよく分かりましたけど、もう一つ非常に引っかかる話というのが、森下さんは、4月に発表して、5月にはもう治験が始まったというふうなことを、この時点でおっしゃっていたわけですから、そうだとしたら、2020年の秋ぐらいには、治験の結果がどうなっているのかとか、開発状況がどうなっているのかというのを、責任者の地位にある人だったらかなり心配しているという状態だと思うのに、なぜかまさにその20年の11月に、森下さんが何をなさっていたかというと、なんと映画を作っているんですね。﹁日本独立﹂という改憲推進映画のプロデューサーになっていらっしゃった、と。 これ、文春によりますと、森下さんがこの映画に5億円出したという話になっていますけど、そのお金が一体どこから出たんだろうみたいなことも、勘ぐらざるを得ないというのも一方として、11月の段階で、予定から随分遅れているのに、まだワクチンの結果がぜんぜん出ていない状態で、なんでこんな映画を作る余裕があったのか。そしてさらにその翌年の2021年の2月に万博の総合プロデューサーに就任なさっているとは、本当に何を考えていらっしゃったんでしょう。 そしてその結果として、コロナワクチンの開発断念というのが正式に発表されるんですけど、この時の記者会見に出てきた資料というのが、これがすごいんですよ。﹁安全性◎、免疫耐性△﹂っていう、ただこれだけでデータとか一切ないんですよ。普通、データってきちんと発表するものですよね?
︻植地︼ 子どもの発表ではないので◎はないと思います。夏休みの自由研究レベルだと思います。 あと、こういう臨床試験についてですが、コロナというのは短期間の病気なんですね。 ワクチンの場合でも薬の場合でもそうですけども、例えば、発症までに長い時間がかかる慢性疾患の治験 ------ 病気になってから発症するまで何年もかかるというようなものと、例えば5日とか1週間とかである程度軽快してしまうというものでは、治験のやり方のデザインが全く違います。 慣れない人が両方組むと、とんでもないプロトコルを組んじゃいますけども、コロナの場合には、1週間程度で病気が基本的には改善してしまうというものですし、アタック、つまり突然の発症がある病気です。 ただ、2020年の夏というと、まだ国内ではそんなに大きく患者がいなかった時期です。ですから、この時期には、実はアタックの試験はできないんです。ということは、この時期にやるとすると、国内では、フェーズⅡの抗体価が上がっているかどうかをチェックする短期で行う試験しかできません。抗体価が上がっているかどうかということをまずチェックするのであれば、2ヶ月か3ヶ月あれば健常人でやれますので、ほぼフェーズ Ⅰでやると同じ規模なので、結果はすぐ出ます。 これはエンドポイントが抗体価というハードエンドポイントなので、血液を取ってきて数値を測ればいいだけですから、解析にそんなに何ヶ月もかかるわけもありません。 しかもエンドポイントは数字の平均値で出てきますので、必ず平均値プラスマイナスSDという形での有効性が評価されるべきです。ですから、その発表が ◎とか△ というのは、悪い冗談としか思えません。 それと同時に、もし︵治験を︶やるのであれば海外では当時発症例がありますので、国内で抗体価の試験をやって、海外で感染予防効果のフィールドスタディという形で検証試験を組む、というのが順当な立場だと思います。 そして、急ぐのであれば、同時進行で走らせるのが僕らの常識なんですよね。同時進行でやっておいて、2ヶ月でなるべく早く抗体価を見て、抗体価が上がっていくことを確認できたら、すぐに患者さんたちに投与ができるようにスケジュールを組みます。 そういうスピード感というのが、全くないなというのはありますね。ワクチンの開発に全く慣れていないというのはよくわかります。
︻八木︼ そもそもワクチンの開発実績がないんですよね、アンジェスには。 ワクチン以前にまともな薬品自体の開発実績がほとんどないような会社なんですけれども....
︻植地︼ 海外から見ると、日本の早期承認制度、期限付き承認制度というのは、一時期、すごく魅力的に見えたんです。 先ほども言いましたけれども、フェーズ Ⅲをやる、というのは、ものすごいお金がかかります。 そうすると、フェーズ Ⅲ で莫大なお金を使って効果が出なかった場合には、全部、それは捨てたお金になります。 だからもしも、どこかの国で、短い時間で実験的に承認をもらえるような制度があるならば、それを使って、早く︵薬を︶出したいと思うのは、僕らの本性です。 ですので、例えば、海外で使っている再生医療用薬品があれば、日本にそんなにいい制度があって、短期間で実験的に承認が取れて、しかもそれで、薬価という形で診療の中で売ることができて、お金を回収しながらフィールドからデータを取れるのであれば、我々外資は、真っ先に飛びつきたいものです。 でも、誰も飛びつかなかったんです。 飛びつかなかったというのはどういうことかというと、あの制度、あまりにもおっかなくて。 安全性も有効性も検証できていない段階で、推測だけで患者に使って、もし万が一のことがあったら、莫大な賠償金や訴訟費用を払わなければいけないだろうねというのがありますから、あんな制度はおっかなくて手が出せない、というのが最終的な結論だったんですね。 でも、それをなぜあそこの会社が......そんな制度を使わなければいけない状況にあった人たちがいる、というのが、ちょっと不思議だなとは思います。具体的な内情は知りませんけど、 それに関しては、あの制度を........他にはあの制度を追従していった人たちは数少ないと思うので、そこらへんもちょっと考えるべきというのはあると思います。
︻八木︼ 吉田先生、何かおっしゃりたそうですけれども
︻吉田︼ 再生医療に特化した制度ということなんですけど、我々もあれは当初反対もいたしましたし、今の植地先生の話ではないですけど、どこまで使える制度かということは、疑問を呈していた制度なので.... ちょっと話はずれるんですけど、ただ日本の今回の制度のことじゃなくて、日本は今、デバイス・ラグ、ドラッグ・ラグ︵※海外で既に承認されている製品や薬が日本国内での薬事承認を得るまでに長い年月を要するという問題︶じゃなくて、ドラッグ・ロス︵※海外ですでに使われている治療薬が日本では 開発が行われず、日本で使うことができない状況︶になってきているんですよ。 日本に上梓しない薬が、かなり世界中にあるということもありまして、日本の薬機法という法律を作ったのは ----- 私は責任者でやらせていただいたんですけど --- もう一度、ちょっと手を入れて、薬事のことをしっかりやらないといけないな、というのは本当に思いますね。
︻八木︼ なるほど。ちょうど安倍首相がお亡くなりになった後に、この森下寄付口座教授が、M3という、お医者さんの専門の情報サイトに特別寄稿をなさっていまして、知り合いのお医者さんの方が私にそれを読ませてくださって、その内容に、非常にびっくりしたんです。 この時にまさに、︵安倍元首相の︶ゴルフ友達であった森下先生は、安倍さんの功績をたたえていらっしゃるのはもちろんなんですけれども、とりわけ、安倍さんの偉業をたたえていらっしゃるのが、まさにこの、再生医療の促進という形での条件付き承認制度を作ったということ、医薬品のネット販売を解禁したということ、それから機能性表示食品の解禁をしたということですね。 それからあともう一つちょっとびっくりしたのが、安倍さんのご病気というのが、潰瘍性大腸炎という ---- これ、不思議なことに担当の慶応大学病院の方では診断書を出していらっしゃらないのに、潰瘍性大腸炎というご病名になっていましたけれども -- これは森下さんの番組で初めて出てきた病名なんだそうですね。 そのあたりも、とっても不思議だなと、ちょっと私は思ったような次第なんですけれども、とにかく、この寄稿文を読む限りにおいては、森下さんと安倍さんとのつながりが非常に強いものだというのがよくわかるのですが、この中でもう一点、引っかかったのが、この機能性表示食品の解禁という項目だったんですね。 私は、この記事を読むまで、ずっと、トクホと機能性表示食品の違いというのを分かっていなかったんです。というか、多分、ほとんどの方は分かっておられないと思うんですけれども、トクホというのは、一応、消費者庁で試験を行うものなんです。ところが、機能性表示食品というのは、条件付き承認制度とちょっと似ていて、会社が自分でデータを持っていって通してくれと言って、その書式さえ合っていれば通っちゃうという、そういう仕組みなんだそうですね。
︻吉田︼ 機能性表示食品の危険性をずっと国会で何回も言わせていただいていて、機能性表示食品って、論文、何でもいいんですよ。それを付けちゃうと認められちゃうんです。 私は、非常にリスクが高いので、ちゃんとインパクトファクター (Impact Factor) がある、英語の論文だとか査読がある、そういった論文でやるならまだ分かるけれども、変な話で、形式さえ整っていればなんでもいいのですから、そういう︵申請者の︶ストーリーにあった論文作るだけなら、海堂先生なんて多分5分ぐらいで作れちゃいますよ。 だから、本当に、おっしゃるとおり、まさに似た問題なんです。 恣意的にデータを作って、査読がない日本語の雑誌に載せて、それを根拠に申請できちゃうんですよ。 非常にこれは危ないですよ。
︻八木︼ 私もびっくりしてネットで調べたんですけど、機能性表示食品に関しては、それ専門のコンサル会社とか、それに付随してそのコンサル会社のやっている怪しげな学会とか、学術雑誌と称する雑誌とかありますよね。 ということは、お手盛りで、いくらでも論文を作れちゃうわけですよね。 そんなことも知らずに、普通にテレビとかで広告をしていますし、当然スーパーとかでも売っているので、機能性表示食品ってちょっといいのかな、と思って、多分買っちゃってる人がほとんどです。私自身もそうだったので、大変びっくりしたんですけれども、それについて、海堂先生が、新作でけっこう書いていらっしゃいましたよね。
︻海堂︼ そうですね。﹁コロナ漂流録﹂では、結構アンジェス.....じゃない、エンジェル製薬のそういう問題を書きましたけれども、基本はいままでの先生方のお話、みなさん、非常に誠実な言い方をされていますが、核心を言うと、結局、安倍さんがやった岩盤破壊っていうのは、基盤破壊だったんですね。 岩盤じゃなくて、抵抗勢力でもなくて、日本社会の基盤を破壊する行為だった、と。 治験制度にしても、これは、これまで築き上げてきた医学の基本なんですね。それをやることで薬害を防げるから、治験をやっていたのに、一番大切な第三層をカットして承認してしまう。 これはぶっちゃけ暴挙なんですが、それを通してしまった。しかも岩盤破壊だと言って、華々しく打ち上げた。これは本当に日本の医療の土台を破壊したものだと思います。 それと同じで、機能性表示食品というものも、その話を聞いたときには、逆に、すぐに分かったんですね。 同じ構図なんです。 要するに、トクホは、まだ機能とか効能について、しっかりした裏付けをやっていた。だからなかなか︵審査を︶通らない。だけど、そこのところをいい加減にすれば、通せてしまう。そして通ってしまったらあとは野となれ山となれ。それを一番分かりやすい形で表しているのがアンジェスだと思うんですね。 薬品を出して、審査を通して、華々しく打ち上げて、そして結果は知らない。アンジェス社の唯一の商品もそういうものです。 だから、そこのところの責任の所在を明確にするために、色々と仕組みを作らなければいけないのですけれども、それを難しくしているのが、安倍内閣のもう一つの悪癖、つまり、公文書毀棄なんです。 もう全部繋がっているんですね。 だから、これによって日本社会のシステムは土台から根底に崩されちゃった。もう本当にどうしようもない。 これを立て直していかなければいけないのですが、その時に病巣がそこだと分かっていれば、治療法がある。でも、病巣が分からないと、どんどん悪化するだけなんです。つまり、無責任体質の根源はそういったシステムにある。ここを何とかしないといけない。 機能性表示食品あるいはワクチンの問題、こういったものが、全部、同じです。他の問題も全部同じ構図なんです。そう思うと、いろいろなものが見えてくると思います。
︻八木︼ 機能性表示食品って、食品だけじゃなくて物品でもありますよね。大阪万博の看板になっているシャワーとか。
︻海堂︼ シャワーヘッドはミ○○ルというやつですかね︵笑︶。 この間、テレビを見ていたら地上波で宣伝していたので、おったまげました。シャワーをするとアトピーが治るというのがあるんですが、大阪万博のサポーターの会社がやっていて、そこも相当うさんくさいというのは、週刊ゲンダイさんの記事でしっかり追っていられたと思います。
︻八木︼ どんどんそういう情報は広げられるということだと思うんですが..... 私は市民団体を主催していたりするんですが、そうすると、いろいろと細かい情報が入ってくることもありまして、その中でちょっとびっくりしたのがさっきの機能性表示食品なんですが、もちろん、全部が全部とんでもないということではなくて、中にはもちろん、ちゃんとしたものもあるとは思うんですが、実際には、データを作って厚労省に出して、その形が整っていれば通る、ということにはなっているんですが、出す側からすると、書式をそれなりに作っていても実際には通らない、そこはちゃんとコンサル会社を通してそこのある種のお墨付きをもらっていないと通るものではなくて、だから、結局そのコンサルの力を借りなければならなくて、そのコンサルの元締めが、抗加齢学会の、ある方だという話まで聞いたんですけれども.....。
︻吉田︼ 私も抗加齢学会の評議員なのであれですけど、他にも多くの方が評議員ですよねでいらっしゃるんですが、まさにそこに深く関与する学会なので、それはもうおっしゃる通りだと思いますね。 本音を言うと、﹁機能性﹂というのは、医療に関わることを謳っていますので、本当は医薬品なんですよね。 よくテレビで出る﹁個人の感想です﹂とか、あれは免罪符みたいに使われていますけど、あれも本当はアウトなんです。 だいたい、飲んだヒアルロン酸が膝に行きます?︵笑︶ ちょっと言い過ぎかもしれませんが、本当に健康食品とか機能性食品って、ある意味、効かないものを売って害すらあることがあるので、悪質な振り込め詐欺と一緒ですよ、本当に。そこまで、この日本の病巣は深いと思いますね。効きもしないものに、皆さんお金出させられて。あれは毒ですよ。いろんなものでスティーブン・ジョンソン症候群とか起こすので、大変なことが起こることってあるわけですよ。 そんなものに、かなり高額なお金を皆さん払われますので、本当に、しっかり取り締まるようにと、私は、再三、再四、厚労委員会や消費者特務委員会で言ってるんですけど、根が深いのでね、ぜひ、海堂先生みたいに発信力のあるインフルエンサーに、ぜひそうやって暴いていただいて、これはやはり、国民の皆さん一人一人の、お考えが非常に大事なところなんで、啓発をしなきゃいけないと思いますよ。
︻八木︼ そういう意味では、まさにアンジェス・森下先生は本当にいろんなことに関わっていらっしゃって、まるで、医療界の竹中さんみたいな感じが.....これは単なる個人の感想ですけれども︵笑︶、ちょっとそういう印象さえ持ってしまったりするんですが、でも、それにしても、基本的にこのアンジェスの問題にしても、機能性表示食品にしても、データが無視されている、まともな論文がないっていうことは、本当に驚くべきことだと思うんですけど、その論文がないっていうのは、そもそもどういうことなんでしょうね。
︻川上︼ そうね。なんでそういうことが起きますかね。 機能性食品っていうのは、ある働きがあるという論文と一緒に提出されるのか、それでそれが検証されなくて、コンサルが書くっていう話なのか.........だから、機能性食品というものにそんな価値を与えなければいい、みんながそれにお金を出さなければいいと思うので、そういう教育というか、そういうような周知をしていかなきゃダメですね。機能性食品には機能がない、と。 でもそう言うと、最近の風潮だと、SNSだと︵効果が︶ないことを証明しろって言ってくるから、水掛け論になっちゃうんですよね。だから最初に言ったもん勝ちなんだよね。 それで、ある程度、顧客をつかめれば、その人たちは商売になるからやってるんでしょうね。ただそれで、正当な医療とか正当な効果のあるものが、どんどん効果なくしてきますからね。そういう悪貨が良貨を駆逐するっていうそのものだから。 そういう啓蒙活動をするとともに、そこを厳しくしなければならないのに、コンサルがやってるっていうのは、僕はその辺全然知らないんだけれども、あり得ないですよね。そんなものを論文って呼んだらいけないと思いますよ。
︻吉田︼ あの、これは結構裏話なんですけど、厚生労働省ってエビデンスとして採用するときって、やっぱりインパクトファクターがちゃんとある一級誌を採用するんですよ。医療としてのエビデンスっていう意味では、日本語雑誌なんて価値はないとして、英文の一級誌のエビデンスを採用するんです。 ただ、ひどい話がありまして、農薬って日本ってすごい規制が遅れてるのご存知ですか? EUとかで絶対禁止されてるようなやつを平気で使ってるんです。で、遺伝子に作用するって言われてるものも結構使っているんですが、なんと、農水省は、農薬メーカーが持ってきた論文で評価するんですよ。 自分たちで、自分たちにいい都合のいい論文を選んで、それを農水省に持っていって、農水省はそれで判断する。これは色々事情があって、農水省から農薬メーカーに、ものすごく天下りしてるんですよ。で、その結果、日本の農薬メーカーは世界から二、三周遅れてるって言われてるんですよね。 だから皆さんが飲まれているペットボトルのお茶、これちょっとこの会社の会長さん、僕よく知ってるんで言いづらいんですけど、農薬入ってますからね。EUで使われていない農薬が検出されますから。本当に怖いんですよ。子どもたちの世代に関して言えばですね。 ただ、そういったのはもう野放図になっているので、私は、これも国会で質問したんです。エビデンスとしての採用の仕方のルールをちゃんと決めてくれと。そこを省庁できちんと統一して政府としてルールを決めないと、科学的な検証とか一切できないですよね。 これは裏話ですけど、ちょっとお伝えしておきます。
︻八木︼ 今、お話を聞いていて、隣でペットボトルに伸びていた海堂さんの手がパッと....︵笑︶ いまZoomで見てらっしゃる方も、同じような反応された方がいらっしゃるんじゃないかと思いますけども....
︻植地︼ ひとついいですか。 医薬品の評価なんかの場合ですけど、論文がどれだけ信用されるかっていうと、論文は実は信用されてないんです。 なぜならば、論文は、誰でも、仮説であろうが何だろうが投稿できますし、投稿すれば載ってしまうからです。 逆に言うと、インパクトファクターのある雑誌であろうがなんだろうが、新しいことを考えつきました、新しいことが分かりましたということで出して、あ、そうかもということであれば載るわけなんです。 ですから、論文が掲載されたから、学会誌に掲載されたから、有名な雑誌に掲載されたから、その内容は事実かって言われると、そんなことはありません。雑誌に掲載された情報の 9割以上は、その後で間違いが指摘されます。 臨床試験であっても、95%の信頼区間しか持っていません。どんなに大きな臨床試験をやっても、5%は間違いがあります。 だから、一つの臨床試験を何回も何回も解析していけば、必ず﹁有効性﹂なるものをを作ることができます。 先ほど、僕が臨床試験をやった後に、短い時間で結果を発表しなければいけないと言いましたが、あれはなぜかというと、長い時間をかければ、何回でも追加解析ができるからで、追加解析をすれば、必ずどこかで有効性を引っ掛けることができます。それはなぜかというと、1回ごとに5%の誤りを含んでいるからです。 そういうことをやることで、例えば、都合の良い結果の論文を作って出すことができます。そういった論文は、査読があったとしても、その査読で検証することができないことがあります。たとえば、これは世界で初めてです、と謳えば、世界で初めてなんだから、みんなに知らしめるべきだよね、ということで、査読者はその論文に載せてしまいます。 ですから、ネイチャーに載っているから、サイエンスに載っているからといっても、残念ですが、逆に言うとああいう雑誌に載っかっているものほど新しいものなので、後で間違いが見つかることが数多くあります。
︻吉田︼ 私も科学者なので、今、植地先生が指摘されたようなことはあります。 ただ誤った論文や事実じゃないものに関しては、みんなが世界中で追試をするので、コメントとかがいっぱい付きます。 だから、先生も学者ですからわかると思いますけど、間違った論文というのはいずれわかります。 つまり、今、植地先生がおっしゃったのは、極端な例で、学者として性善説的にやるかどうか、ということなんです。結局、︵まぐれで出たような︶チャンピオンデータを出すからそういうことになってしまうわけで。我々は、都合のいいデータという意味で、チャンピオンデータと呼ぶんですが、僕は、自分で論文を書くときは、基本的にチャンピオンデータは一切採用しないです。もう徹底的に同じことを繰り返して確認できたデータしか出さない。 で、繰り返しになりますが、私も世界で高名な学者が書いた論文にコメント付けたり、追試してできなかったことがいっぱいあります。 だから、先生がおっしゃったのは、飽和的な研究のことなんだと思うんですけどね、STAP細胞だってなんでバレたかっていうと、追試して誰もできなかったからですよ。あれ、私も、昔、実は同じことやってましたけど、一切あんなこと起こらないんです。あれ、ES細胞の混入ですよね、常識に考えて。 だから、その論文の信憑性については、先生がおっしゃることも一理あるんですけど、嘘の論文というのは、やっぱり、後で撤回したたり、あとコメントがいっぱい付いて追試できないというのが出て、世の中に明らかになるので、ちゃんと見れば、その論文が評価に足る論文か、あるいは、今、先生がおっしゃったように、高名なネイチャーやサイエンスやセルであっても、そこはわかりますので。そこはそういう評価で良いと思います。
︻植地︼ それは十分に承知した上で、ただ、今の日本のメディアの現状を考えちゃうと、結局、そのネイチャーに発表されましたとか、論文で発表されましたというと、それだけでニュースになっちゃうわけですよ。 だから、どこかのメーカーであれ、どこかの製薬会社であれ、どこかの研究者であれ、世界で初めてこんなことやりました、世界で初めての論文が出ました、と。それだけでもって、ニュースになってバーって出ちゃって、それが評価されちゃうんです。 その後、先生がおっしゃったみたいに追試したら価値がありませんでした、というところは報道されないわけですよね。 だから、例えばワクチンであれ、医薬品であれ、まあイベルメクチンとかそういうものも含めてですけども、絶対に効かないだろう、こんなもんって思うものでも、効きましたという論文が出たっていうと、それがニュースになってポンって出ちゃって、それをまた信じちゃう人が出てきちゃうわけです。 実際には、それを何回も検証していって、効かないっていうデータは山のようにあるにもかかわらず、それは一切報道されませんから、 そうすると、そういうところで、メディア・リテラシーのない方々っていうのは、一番最初のトリガーだけで引っ張られちゃう、ということが起きてるんですね。だから、論文が出ましたっていうニュースはほとんど信用しない方がいいです。よっぽど、気をつけないと。
︻八木︼ それはコロナの時に、アビガンとかイベルメクチンですごくありましたね。
︻川上︼ アビガンって論文になりましたっけ? 論文全部ダメってことはなくて、機能性食品にくっついてくるような論文と、ネイチャー、サイエンス、セルに通る論文を一緒にしちゃいけないです。それは絶対にいけない。質が違う。質が違いすぎる。 研究者が、それこそ数人がかりで10年くらいかかって作るような論文が、ネイチャーやサイエンスやセルに出るわけですから、機能性食品で何が何に効いたなんていう論文と一緒にされては.........そういう論文ははっきり言ってクズですよ。そのメカニズムも一緒にしてはいけない。 ただ、それを見分けるのを一般の人に求めるのは、ちょっとハードルが高すぎるのは確かです。 それで、メディアの扱い方も、いい論文と悪い論文をちゃんとメディアが評価しないで、一般の人に売っちゃうのも確かです。 コロナの場合も、そういうふうな︵怪しげな︶機能性食品がいろんなの出てきて、今、まさにそういうことが問われているところだと思うんです。 明治大学のこのフォーラムの趣旨にも合うと思うんですが、そこまでのリテラシーを.....要するに理系の大学院レベルのリテラシーを一般の人に求めることはできないんだけど、それが分からないと騙されるって世の中になっているのを、どうしたらいいかというふうに問題を一般化することができると思います。
︻八木︼ そこはまさに、そういう医学系の記事を書いたりする人には、せめて大学院生レベルの知識が欲しいということではないですかね。
︻川上︼ そうですね。 必ずしも大学院を出ていなくてもいいけど、大学院を出たくらいの内容を読み取れる人じゃないと、あまり記事にしてほしくないです。
︻植地︼ 医者で専門家ですっていうふうに言っておきながら、もうデタラメを書きまくっている人はいっぱいいるので.....
︻川上︼ 医者だけじゃなくて、理学系でもコロナに関しては、とある名誉教授っていうのがずいぶん悪さしています。
︻八木︼ あと、アメリカで研究者をやっているとかいう怪しい人もいましたよね。
︻川上︼ 博士号を持っていればいいってもんではないですね。 だけど、そこも見抜くのはものすごいハードル高いですよね。
︻八木︼ とりあえず、メディアで大々的に打ち出したから、ネイチャーに出ているからっていうことで、無条件に信じない方がいい、というのが植地先生のご意見で、それはそれで本当に貴重なご意見だと思います。 ただ一方で、まさに川上先生がおっしゃるような、機能性表示食品などでいい加減な学術雑誌に出ている論文というのはそもそもそういうレベルですらないような、言ってみれば、個人のブログ記事と新聞記事の差ぐらいのもんだと、そういう理解でよろしいですかね。 ただ、機能性表示食品は置いておきまして、補助金100億円が動いているアンジェスの例のワクチンに関しては、論文1本しか出ていなくて、それがまたMDPIという....川上先生、MDPIって何ですか?
︻川上︼ 今では結構使っている人もいるから、あまり言えないけども、評価分かれるというか、ハゲタカジャーナルってジャーナルがあるんですよね。要するにお金払ったら何でも論文載せるようなジャーナルね。........に、なるかどうかの際どい雑誌ですよね。 でも、僕はMDPIには絶対出さないですね。
︻八木︼ だから、まさに100億円も補助金を取っているようなコロナワクチンに関するデータというものが、1本しか論文として発表されていなくて、それが出ているのが、しかもハゲタカジャーナルまがいだというところ自体もね、本当に、こういうのって検証し得るものなんでしょうか。
︻吉田︼ 論文の世界も色々ありましてね。 例えば私は、ジョンズ・ホプキンス大学にいて、ずっとそのままいようかなと思っていたんですけど、やっぱり有名な教授というのは自分のジャーナルを持っているんですよ。そこに自分のところが送れば絶対通るんです。これは一級誌でも結構そうなんです。 だから植地先生がおっしゃることというのは、一定程度、本当にそうなんです。 じゃあ何を目安にすればいいのかというと、科学は、論文と、そしてインパクトファクターだけじゃなくて、引用回数。どれだけ引用されて学者に信用されているか。 こういうものを参考に、インパクトファクターやサイテーション・インデックス︵Citation Index︶ですね。他の学者が採用して、それを自分の論文やほかのところに引用する、そういったデータが、その論文の信頼性というものでは大事です。 論文を完全に否定するというのは、科学を否定するようなものですからね。 セルなんていう論文は、本当にレビュー並みの労力を使って我々は載せるんですよね。本当に10年とかの研究の結実ですよね。 だから、本当に公平な意味で、論文を評価するのは難しいですよ。 例えばもっと言えば、ジョンズ・ホプキンスで、私の隣でやっていた中国の方はですね。データをけっこう捏造しているのを、僕、横で見て知ってますからね。絶対にデータを自分で解析するんですよ。僕らは、必ず第三者で解析をして、絶対に何らかの変更がないようにするんですけど、その人は自分で取ったデータを自分で解析するんで、そんなことをしていたらやっぱり正しいデータは出ないですよ。それはもう学者の良心もあると思うんですけど、ただ何を参考にするかというと、やっぱり今は学術論文しかない面もあるわけですから。 いい学術論文とは、やっぱりインパクトファクターや、サイテーション・インデックス、引用回数、どれだけ引用されているか、それが信頼性だと思うので、そういったことを参考に見ていくしかないんじゃないかと思います。
はっきり申し上げると、機能性食品のあれはお手盛りの論文です。あれに価値はない。ただいっぱいありますよ。和文の論文では、出せば載る......いっぱいありますよね。そういう論文ね。特に医学系も多いですよ。そういう....あまり言わないですけど、これ以上言うと、あれですから。
︻江下︼ そろそろ時間の方はですね。予定の時間も10分超過しておりますので、一応フロアの方から、ここでもし何か質問がございましたら。 じゃあ、そちらの方。
︻山岡︼ どうも今日は貴重なお話をありがとうございます。 ノンフィクション作家の山岡淳一郎と申します。 一つ絞ってお伺いしたいんですけれども、新型コロナワクチン。これ総合的にはやはり非常に効果があって、随分抑えられたなと思っています。私自身も打ってますけれども。 ただ一方で、先ほどその﹁悪魔のくじ引き﹂というふうに植地さんがおっしゃったような副反応の問題が生じていると。 まず一つ、植地先生にお聞きしたいのがアストラゼネカのワクチンに関して、2020年の後半から21年の初めぐらいにかけて、開発が進まれて、これから承認するかどうかのところで、ヨーロッパで、血栓症が出るんじゃないかということで、確かデンマークやオランダあたりで、使用禁止というようなことが出てきた。 その後、日本がどういうふうにどこのワクチンを入れるかというところで、アストラゼネカさんは結構少なかったような気がするんですね。そこらへんの経緯ってのはまずちょっと教えていただけませんか。
︻植地︼ 当事者なんでいろいろと言っちゃいけないことがいっぱいあるのですが....まず血栓症の問題に関しては、あれは追試をいろいろとされています。ヨーロッパではかなりあれはないだろうと最終結論が出ていますので、一瞬だけ禁止になった国もあります。 もちろん﹁悪魔のくじ引き﹂を予防しなきゃいけないので、リスクがあるものは、例えば、今使わないで、他のデータが出るまで待つというのは、それは規制当局として、レギュラートリー・サイエンスとして非常に正しい姿勢だと思います。 実際、その後、追試が出てきて、例えばヨーロッパでは、アストラゼネカのワクチンはかなりいろいろ使われていますし、イギリスでもかなり使われていますが、そこのところは血栓症は増えていません。 実は、当時、日本の政府は可能性のあるワクチンはみんな交渉してたんですよ。アストラゼネカだけじゃなくてファイザーもですし、ノババックスもですし、モデルナも。 要は、交渉して、日本の分を確保しないと分けてもらえないんですね。 ですから、このぐらいの量は確保してほしい、開発に成功したら買うからという形で、厚労省は各メーカーと話をしているはずです。それで、その中でもちろんアストラゼネカも一定数......あの当時はたぶん1億2000が基本だったと思います.....全員に打てるように、という形で、それは全部のメーカーに同じように話をしていたんですね。 その後、日本に関しては、実は、ほぼほぼ、ああいう報道があって、その後の後追い報道が何もなかったということもあって、アストラゼネカのワクチンは採用されなかったところもかなりあります。 ファイザーのワクチンとモデルナのワクチンが使われて、最初から実は、僕はモデルナのワクチンに関しては、ドース︵投与量︶がオーバーしているから副反応が多いよって言ってたんですけど、なぜかそのままアメリカと同じドースを使っちゃったんで、かなり副反応が高く出て、3回目以降は僕が言った通りに半分の量にしてくれたんで、副反応がだいぶ減りましたけど。 それからモデルナ・アームというのは打ち方の問題だけなので、あれが出るのは日本人の医者の先生の打ち方があまり良くなかったからなので、あれは出るべくして出たという話なんですけど、そういうのはちょっと置いておいたとしても、アストラゼネカのワクチンはあまり公的に使われなかった部分もあったんで、COVAXという輸出ですね、第三世界に対するワクチン共有プログラムの方に乗っかったことになってます。 実際これはもう厚生労働省から公表されているんですけども、6000万ドースぐらいだったと思うんですけど、ちょっと細かい数字忘れちゃいましたけど、最終的には輸出して第三世界の方の、ワクチンの製造ができない、というか、ファイザーのワクチンめちゃめちゃ高いんで、そういうのが買えない国に輸出をされています。 ちょっとさっき出さなかったグラフのところにあるんですけど、海外にワクチンを輸出した国というので、実は3位か4位が日本なんですよね。それで、その輸出したワクチンというのは、全部アストラゼネカのワクチンになっているはずです。
︻山岡︼ ありがとうございます。 すみません。吉田先生にちょっと一言伺いたいんですけれども、 日本で今、副反応の報告制度というのがあります。副反応で亡くなったというについての報告制度ですね。 現場のお医者さんや製薬メーカーから上がっているのはだいたい2000人以上超えていると思います。それと一方ですね。健康被害に関しての救済制度ということで、死亡一時金に4420万。とにかくこれは認めてあげましょう、というのが、100件ちょっとぐらいになったんでしょうか。 そのぐらいは遺族に対しては救済せんといかん、ということになっているわけなんですけれども、まだやっぱり、ちょっと、この開きがあると思うんです。この救済に関してなんですが、確か、立憲民主党はこの閉会審査中に、健康被害救済特別措置法というのを確か挙げていると思うんですけれども、それがどういうふうになっているのか、あるいは、今後、この救済の問題に関して、御党ではどういうふうに考えておられるのか、そのへん最後にちょっと教えていただけますか。
︻吉田︼ 法案は提出しているんですけれども、そもそもワクチンに対する考え方にも関係するところだと思うんです。 無過失保障制度ってお分かりになりますかね。その理解がないとちょっと説明しづらいんですけど、定期接種といわれるワクチンに関しては無過失保障なんですよね。 3回量保障制度というのは似たようなシステムですけど、日本は無過失保障制度って非常に難しくて、イギリスだとですね、ちょっとこれ話すと一時間ぐらいかかっちゃうんですけど、訴訟権が奪われるんです。 でも、日本は関係ないんですよ。それは、何人からも訴訟権を奪うことはできないと憲法で決まってるので。そういう中のルールにおいての無過失保障制度なんで、かなり限界があるわけですよね。だから、どこまでの救済が適切かと判断するのは個々人の問題になってしまうわけなんです。 因果関係に関しても、これは難しい線引きがありますよね。私の地元の中日ドラゴンズの若い選手がワクチンを打って亡くなってしまって、これはおそらく因果関係ありだろうと。
︻山岡︼ 私もその方を取材しました。ご遺族を。
︻吉田︼ そうですか。だから、とにかく救済を進めていくという法案にはなってますが、これは詳細に関して数字的なものが入っていたかどうかというと、ちょっと私は記憶がないんですね。 ちょっと調べてもう一回、資料をお送りしますけれども、いずれにせよ、救うべき方たち、とにかく副反応や健康被害に関しては、できる限り多くの方を救いましょうという趣旨で、それを促進していくという法律ですよね。たぶん、プログラム法じゃないですかね。ちょっと確認させてください。
︻山岡︼ ありがとうございます。
︻江下︼ もう1名、もしいらっしゃればお受けしますが、いかがでしょうか。じゃあ、そちら、どうぞ。
︻質問者︼ 今日はどうもありがとうございます。本当に目から鱗の話が多くて、びっくりしてお聞きしておりました。 メディアの役割というのはちょっとお聞きしたいんですけれども、最初の川上先生のお話で、PCRの感度の話ですね。 僕もそれを思い出して、7割方ぐらいしか精度がないという話がバーッと流れてですね、当時PCRのことで、いや、そんなことないんだとおっしゃってたのは、今、山岡さんが言われてましたけれども、デモクラシー・タイムズで、児玉先生がそんなことないよとおっしゃってたんですね。 で、専門家と言われる方が、こんなに意見が分かれちゃったという現象を見て、あれ、おかしいなと思ったわけですね。 今日のお話もお聞きしてPCRの問題というのは、海堂先生もおっしゃったように7割の精度しかないってことはありえないわけですけれども、当時メディアに出た方々はですね、皆さんこぞってそう言っておられましたね。それはどうしてそういうことになっちゃったのかな、という疑問があります。 それを多分、川上先生なんかもどうしてだろうと思っておられるかもしれませんけれども、そのメディアの状況というのを、どういうふうにお考えになっていらっしゃるかということが一つと、それと吉田先生にもお聞きしたいんですけれども、アンジェスの問題を、ああやって追求されて、先ほど示されていましたけれども日刊ゲンダイさんが取り上げておられるぐらいで、私も関心がありましたので、吉田先生が質問されていらっしゃるというのは見ていたんですけれども、例えば、朝日新聞とか他の大手マスコミの方々が、吉田先生の質問に対してどんな反応されていらっしゃるのか、全く無反応なのか、それについてちょっと聞きたいなと思います。
︻川上︼ PCRの精度7割というのは理由が分かっていて、コロナは結構診断が難しくて、タイミングがいい時にタイミングのいい場所から鼻腔とか唾液とかを取らないと診断できないんですよね。今でもそうだと思います。だから1回で診断できなかったらば、2回3回と診断しなければいけない。 だから一番最初にコロナが出た頃に言われていたのは、時期を逸すると、要するに、肺の中に入って肺炎になっちゃうと、ウイルスがいなくなっていて診断が難しく、診断し損なうことがあることがある。そういう時の難しさとして、1回で、PCRでバシッと当てる頻度が7割ぐらい、という話ですね。 だけど、PCRはそこにウイルスがいたら100%見つけるんですよ。 PCRで7割の感度の時は、例えば抗原検査であったとしたら、その感度は3割ぐらいになる、半分以下の感度になるはずです。 それが、PCRが7割というのだけが一人歩きした。多分、僕は意図的にさせたものだと思っています。尾見さんも言っていたので。だから、それを意図的に一人歩きさせて、PCR検査の抑制に使ったのだと思います。それを、メディアが何の検証もせずにそのまま垂れ流した、そういう構図です。
︻吉田︼ ツッコミの反応はですね。よく雑誌からは問い合わせがありましてね。FlashとかFridayとか、文春とか新潮とかそういうところからは、色々とお話聞かせてくださいといわれて、お話するんですけど、新聞社は少ないですね。 ただあれ、ちょっとどこの新聞社か忘れましたけど、2社ぐらい。1社はもうシリーズで何回かやりたいからということで、お話聞きに来られたりですね、また聞かせてくれというところがありますけど、ちょっと私も記憶ないので、またちょっと調べておきますけれども、かなり大きな問題で根が深い問題だとは思ってます。マスコミも見てますよね。 ただ内容が非常に難しい部分もあるのと、やはりこれ、当然ですけど、政府が抑えにかかるタイプの話ですので、そのへんの影響もあるんじゃないかなと思いますけどね。
︻江下︼ よろしいでしょうか。それではもう時間がかなりロスタイムを過ぎている状態なので、Zoomの方からも色々な質問が来ているんですけれども、一つだけお尋ねしたいと思います。 この方はですね。﹁自衛のためにツイッターなどで川上先生など信用できる専門家の意見を参考にしているんだ﹂というようなことを述べていて、﹁いまだにノーマスクとかノーワクチンとかいう団体もあって、こういうのを何とか打ち破る方法はないのか、あるいは正しい情報を大勢の人に伝える方法はないのだろうか﹂という非常に素朴な疑問であり、我々の研究科でも当然色々考えなければいけない問題の質問があるんですけれども、専門家として、どのように情報を広げるかということに関して、これはやはり川上先生にお願いしたいと思います。
︻川上︼ これはメディアの話だから江下さんが専門だと思うんですが、最大限の努力はしてますよね。 私はツイッターで取材されたら答えますし、最終期の頃にテレビに出たこともありますけれども、あと直接、立憲の議員さんとも話をしたりしてますし。 ただ、コロナが今、どういう状態かという情報自体を取らなくなってしまって、フラットな生のデータが出なくなっている。 だから民間のデマはかわいらしいものですからどうでもよくて、政府側のデマを問題にしたのは、政府がそういうことを言うから、混乱して色々な説が出ちゃいますよね。そこからみんな何とか正しい情報を拾ってほしいんですが、それはどうしたらいいでしょうか。
︻江下︼ 予想外のところから話が来てしまいました。 確かに我々の研究科では、メディアの研究、コミュニケーションの研究、災害情報の研究、色々な専門家の研究をやっていますが、確実に言えることは、まず﹁正解がある﹂ということは絶対ありえないわけです。 正しい方法も、﹁これが正しい方法だ﹂と言ったら、その時点でデマであろう、というのがほぼ確実なところですね。 従って原則的なことしか、当然、言えないことになるんですけれども、私なりの専門性から言えることからすると、私はメディア史が専門ですけれども、ひとつ、難しい問題を簡単にわかるというのは絶対ありえないことなので、わかりやすいというのが、一番実は罠である、というのを常に警告的に考えています。 難しい問題を理解するためには、時間をかけないと当然理解できません。色々な情報を時間をかけて手に入れて、それで当然、専門の違うことは理解できませんから、信頼できる人を何とか見つけるとか、それはもう時間をかけて勉強するしかない、というのがまず一点ですね。 性急にわかりやすいことを分かろうとすると、まずわかりやすいというのはほとんどの場合、過剰に単純化しているケースがほとんどですので、わかりやすいなと思った瞬間、これはかなりはしょっている話なんだなということを考えなければいけないし、そしていろいろな分野の専門家でコミュニケーションのプロではないので、わかりやすく伝えてくれるわけでは決してありません。 性急に答えを求めると、もともと専門家は自分の仕事に忙しい方なので、コミュニケーションにわずわらわされると、多分発信をやめてしまう可能性が高いと思うんですね。 となると、もう、我々はとにかく簡単には分かれないことに直面しているんだということと、早く結論を出そうとすると、必ず罠に引っかかってしまうんだ、ということは、常に念頭に置かなければいけないな、というところが、今、ギリギリ言えることだと私は思っています。ということになるんですが。
︻川上︼ ウイルスがいて、自分がいて感染するかどうか、で、その後どうなるかということで、要するに、ウイルスの量とかCT値みたいな話も出てくるけれども、それで、他に感染している人との距離とか、どれくらい時間がいるとか、自分がワクチンを打っているか、打っていないかとか、自分の中の免疫の状態とか、健康の状態がどうかとか、かかってから、どういう基礎疾患があるかだとか、その時にマスクをするとかしないとか、ものすごくパラメーターが多いんですよね。 ものすごく多い。簡単な問題ではない。 だから自分の中でも、いろんなもののパラメーターに、いろいろ重さをつけながら道を選択していくしかないのに、ワクチンを打った方がいいのか打たない方がいいのか、6回目打った方がいいのか、打たない方がいいのか、とか、ちょっと簡単に答えは出ない。 その人がそれまでワクチンを打って、どれくらい反応があったかというのは分からないし、だからものすごくパラメーターが多い中で、自分の中で重みをつけて、自分はどこの知識が足りないんだということを自覚しながら、補強しながら、自分で判断するしかない世の中ですよね。そんなふうに思います。
︻江下︼ 最後、川上先生がきれいにまとめてくださったというところで、ほぼ30分経過してしまいましたので、そろそろこの研究科フォーラムはこれにて終了ということにさせていただきたいと思います。 どうか、登壇者の方々に拍手をお願いいたします。 どうも先生方、ありがとう。ございました。
シンポジウム﹁コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る﹂〜コロナ・ワクチンをめぐる闇︵その1︶を読む シンポジウム﹁コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る﹂〜コロナ・ワクチンをめぐる闇︵その2︶を読む シンポジウム﹁コロナ、報道、国産ワクチン その裏側を探る﹂〜コロナ・ワクチンをめぐる闇︵その3︶を読む
︻八木︼ 今回のシンポジウムは、すでに開始前からそちらの講演者席のところで、登壇者の皆様が熱い会話をなさっておりまして、そして、この休憩時間の間にもかなり濃い話がなされていまして、それがそのままこちらの後半でも熱いお話になると思いますけれども、ちょうど話題になりましたアンジェス社、吉田先生がいろいろコメントしてくださいましたけど、この発端というのは2020年の4月14日ですね。 この日に吉村知事と松井市長が会見を開いて、オール大阪でワクチン開発を進めるというような発表をしていますが、この時点で、臨床試験を大阪市立大病院で7月から始めるというような、かなり具体的なことまで言っているんですね。さらに、そのちょっと後の5月1日には、アンジェスの創業者でメディカルアドバイザーで大株主である、件の森下竜一寄附講座教授が、3月24日にDNAワクチンは完成していて、それも﹁20日で作れたのは世界最速です﹂とまで、ビジネスインサイダーという雑誌で堂々と言ってます。 これを皮切りに、かなりいろんな雑誌が特集記事を組んで、一気に盛り上がります。吉田先生もさっきおっしゃっていたように、アンジェスの株価が200円だか300円ぐらいだったのが、いきなり爆上がりということになるわけです。 Wikipediaに書かれていて、吉田先生も言及されていた﹁株券印刷業者﹂というのは、これはどういう話かと言いますと、株をやっている人の間ではかなり知られた話だったんですけれども、アンジェスという会社は一応創業10数年あるんですけれども、その間、まともな薬を一つも開発できていないんですね。 唯一開発した薬というのがコラテジェンという、吉田先生がおっしゃっていたものですけれども、これもまさに、ほとんど効いているのか効いていないのか分からないような状態であるにもかかわらず、条件付き早期承認制度という、これまた安倍さんが特別に作った制度で、しかもその第1号としてコラテジェンが通されているという非常に不思議な話です。 なので、薬価もあまり高い値段がつかなかったという、そういう薬をたった1個開発したというだけの会社なんですけれども、なんでそんな会社が19年も保ったかというと、コラテジェンの時もそうだったんですけれども、新薬がもうすぐできるという発表をやるんですね。そしてその時にワラント債というものを発行するわけなんです。 そうすると、それを信じた投資家がバーッと買い、株価も上がると。ちょっとして熱が冷めちゃうと、またそういう話題を作って、ワラント債を発行したり新株発行したりするんですけど、それを19年間で34回もやっているわけです。 こうなってくると、そもそもこれを許す証券取引所もいかがなものかというような話なんですけど、そういうことをやって会社として存続しているので、株に詳しい人たちの間で﹁本業・株券印刷会社﹂と揶揄されているという、そういう会社だったわけです。 実際にワクチン開発の発表をする前の段階では、アンジェスがどんな状況だったかというと、営業利益がマイナス32億7千万円ですよ。売上高がマイナス92.4%という状態になっていました。こういうIR情報は、投資家向けにホームページに掲載されていて、ダウンロードできるようになっているんですけど、その事業報告に﹁企業の継続の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。﹂と書いていた。それって簡単に言ってしまうと、当社は倒産寸前ですと言っているようなものなんですね。 そういう会社が、その直後になぜか株式を分割して、そしてさらに、その直後にワクチンを作ります、もうできました、みたいな発表をして、株価が劇的に上がった。これっていうのは一体何なんだ、という話でもありますよね。
︻吉田︼ さきほどご説明にあったとおりで、本当に悪質ですよね。 安倍さんも故人になられてしまったので申し上げたくないんですが、特別な関係の下で、これは本当に、政府、政権が一番やってはいけない政治の私物化ですよ。 日本は成熟した国家ですから、本来こんなことがあってはいけない。だから、私は本当にどこの国の出来事だろうと思います。 ですので、海堂先生もおっしゃったように、こんなことを二度とさせないシステム作りが大事だし、やはり審査の過程をもう少し開示させるということはこれからルールとして必要でしょうね。 厚労省は、振り返って開示させるなんてことは、絶対しないですから。あれは適切だったと言い張るだけですから。だから、しっかりやらなきゃいけないと思います。 この先、どうなるんでしょうね、あの会社ね。本当にスタンフォード大学と提携したとかいう話だってね、その後、全く何も出てこないわけですし。 本当に国費を大量に入れて、その結果がちゃんと得られなかったことは、やっぱり一定程度の責任を取ることと、しっかりとした訴求して、解明することは必要だと思いますよ
︻八木︼ 私は、大変不思議に思ってるんですけれども、例えば、製薬会社が補助金などを受けた時に、普通、例えば研究機関でしたら、その補助金を受けたら、かなり細かく領収書を出したりとかしなければいけないというふうに、私の知っている研究者の方なども、もう本当に細かいところまで追及されるみたいなことを言われるんですけれども、製薬会社にそういう補助金が出た場合に、精査されるってことはあるんですか、植地先生?
︻植地︼ いくつか申し上げますと、この時の補助金はかなりの事前審査だったんです。だから科研費なんかとは違った形です。 科研費は、例えば﹁こういう研究しますが、具体的に何に使うか分からないので、500万円ください﹂とお願いして、そこから領収書で後で精算していくタイプのものですね。 一方で、この時のワクチンへの補助金は、何々に使いますっていうのは、先に製薬会社が、全部リストを出してます。 いろんな製薬会社がワクチンの製造関係で、補助金をこれ以外にももらってますから、その時にはもう︵金額を︶出してるんです。 ですから、それが妥当だったかどうかっていう話になるとは思います。 ただ普通に考えて、僕はアンジェスさんの内情を知ってるわけじゃないですけども、90億円の製造設備とかっていうのは相当バカ高いなというふうには思いますし、臨床試験にしても、規模から考えると相当割高だろうな、と。 あと、ちょうど2020年の4月ぐらいの話というと、世界中のワクチンメーカー、世界中の製薬会社がありとあらゆるワクチンを探しまくってた時期なんですね。日本でも、実は私たちアストラゼネカがオックスフォード大学と共同してやってましたけれども、他の日本のメーカーもいくつも手を挙げてます。それだけじゃなくて、アメリカでもワープスピード・プロジェクトでモデルナもやってますし、その他ビオンテックとかノバマックスとかいろんなところが、世界中でどこと組んでいくんだろうかっていう形で、毎日のように国際会議をやっていたような状態の時期です。 その中で、少しでも可能性のあるものであれば、ほぼ多分、僕は知っているはずなんです。例えば、コロナは不活化ワクチンは効かないって言われていながらも、中国のシノバックとかシノファームとかは不活化ワクチンを出してますし、日本でもいくつも不活化ワクチンの候補物質を持ってた会社もあります。ただ、効果を考えると、やっぱりファイザーさんとかアデノベクターワクチンに比べると効果が悪いということで開発を中止したものもあります。 そこまででも、ちゃんとデータを持っているところもあるんですね。 ところが残念な話というか、僕は、アンジェスさんのことを直接言及する立場にありませんけれども、少なくともあの時点で、DNAワクチンが有効性が予想できると考えていた海外のワクチンの開発関係の専門家は誰もいません。 少なくとも、あれに関しては、何言ってんだろうっていうのが我々の考えですし、少なくとも、当時、DNAワクチンが少しでもモノになる可能性があるのであれば、世界中でどこかの会社が必ず手を出している。だけど、誰も手を出さなかった........というのは、一応、僕だけが言っているわけではなくて、世界中の標準から考えても、︵そこにお金を出すのは︶おかしな判断だったというのは分かってくださると思います。
︻八木︼ ただ、現実に、まさに大阪ワクチンの発表があった後に、森下さんが散々いろんなインタビューに出て、世界で自分だけが特許を持っているとか、独自技術で他は真似はできないみたいなことを散々おっしゃって、それをまたマスコミがどんどん垂れ流すことによって、何も知らない人にとっての期待値が上がって、たくさんの人が株を買い、株価がものすごく上がる、という、そういうことが実際に起こってしまったわけですよね。 ﹁世界で唯一の特許﹂とか、﹁自分だけができる﹂というのがどんなにうさんくさい話か、というのは、さっきの植地先生のお話でよく分かりましたけど、もう一つ非常に引っかかる話というのが、森下さんは、4月に発表して、5月にはもう治験が始まったというふうなことを、この時点でおっしゃっていたわけですから、そうだとしたら、2020年の秋ぐらいには、治験の結果がどうなっているのかとか、開発状況がどうなっているのかというのを、責任者の地位にある人だったらかなり心配しているという状態だと思うのに、なぜかまさにその20年の11月に、森下さんが何をなさっていたかというと、なんと映画を作っているんですね。﹁日本独立﹂という改憲推進映画のプロデューサーになっていらっしゃった、と。 これ、文春によりますと、森下さんがこの映画に5億円出したという話になっていますけど、そのお金が一体どこから出たんだろうみたいなことも、勘ぐらざるを得ないというのも一方として、11月の段階で、予定から随分遅れているのに、まだワクチンの結果がぜんぜん出ていない状態で、なんでこんな映画を作る余裕があったのか。そしてさらにその翌年の2021年の2月に万博の総合プロデューサーに就任なさっているとは、本当に何を考えていらっしゃったんでしょう。 そしてその結果として、コロナワクチンの開発断念というのが正式に発表されるんですけど、この時の記者会見に出てきた資料というのが、これがすごいんですよ。﹁安全性◎、免疫耐性△﹂っていう、ただこれだけでデータとか一切ないんですよ。普通、データってきちんと発表するものですよね?
︻植地︼ 子どもの発表ではないので◎はないと思います。夏休みの自由研究レベルだと思います。 あと、こういう臨床試験についてですが、コロナというのは短期間の病気なんですね。 ワクチンの場合でも薬の場合でもそうですけども、例えば、発症までに長い時間がかかる慢性疾患の治験 ------ 病気になってから発症するまで何年もかかるというようなものと、例えば5日とか1週間とかである程度軽快してしまうというものでは、治験のやり方のデザインが全く違います。 慣れない人が両方組むと、とんでもないプロトコルを組んじゃいますけども、コロナの場合には、1週間程度で病気が基本的には改善してしまうというものですし、アタック、つまり突然の発症がある病気です。 ただ、2020年の夏というと、まだ国内ではそんなに大きく患者がいなかった時期です。ですから、この時期には、実はアタックの試験はできないんです。ということは、この時期にやるとすると、国内では、フェーズⅡの抗体価が上がっているかどうかをチェックする短期で行う試験しかできません。抗体価が上がっているかどうかということをまずチェックするのであれば、2ヶ月か3ヶ月あれば健常人でやれますので、ほぼフェーズ Ⅰでやると同じ規模なので、結果はすぐ出ます。 これはエンドポイントが抗体価というハードエンドポイントなので、血液を取ってきて数値を測ればいいだけですから、解析にそんなに何ヶ月もかかるわけもありません。 しかもエンドポイントは数字の平均値で出てきますので、必ず平均値プラスマイナスSDという形での有効性が評価されるべきです。ですから、その発表が ◎とか△ というのは、悪い冗談としか思えません。 それと同時に、もし︵治験を︶やるのであれば海外では当時発症例がありますので、国内で抗体価の試験をやって、海外で感染予防効果のフィールドスタディという形で検証試験を組む、というのが順当な立場だと思います。 そして、急ぐのであれば、同時進行で走らせるのが僕らの常識なんですよね。同時進行でやっておいて、2ヶ月でなるべく早く抗体価を見て、抗体価が上がっていくことを確認できたら、すぐに患者さんたちに投与ができるようにスケジュールを組みます。 そういうスピード感というのが、全くないなというのはありますね。ワクチンの開発に全く慣れていないというのはよくわかります。
︻八木︼ そもそもワクチンの開発実績がないんですよね、アンジェスには。 ワクチン以前にまともな薬品自体の開発実績がほとんどないような会社なんですけれども....
︻植地︼ 海外から見ると、日本の早期承認制度、期限付き承認制度というのは、一時期、すごく魅力的に見えたんです。 先ほども言いましたけれども、フェーズ Ⅲをやる、というのは、ものすごいお金がかかります。 そうすると、フェーズ Ⅲ で莫大なお金を使って効果が出なかった場合には、全部、それは捨てたお金になります。 だからもしも、どこかの国で、短い時間で実験的に承認をもらえるような制度があるならば、それを使って、早く︵薬を︶出したいと思うのは、僕らの本性です。 ですので、例えば、海外で使っている再生医療用薬品があれば、日本にそんなにいい制度があって、短期間で実験的に承認が取れて、しかもそれで、薬価という形で診療の中で売ることができて、お金を回収しながらフィールドからデータを取れるのであれば、我々外資は、真っ先に飛びつきたいものです。 でも、誰も飛びつかなかったんです。 飛びつかなかったというのはどういうことかというと、あの制度、あまりにもおっかなくて。 安全性も有効性も検証できていない段階で、推測だけで患者に使って、もし万が一のことがあったら、莫大な賠償金や訴訟費用を払わなければいけないだろうねというのがありますから、あんな制度はおっかなくて手が出せない、というのが最終的な結論だったんですね。 でも、それをなぜあそこの会社が......そんな制度を使わなければいけない状況にあった人たちがいる、というのが、ちょっと不思議だなとは思います。具体的な内情は知りませんけど、 それに関しては、あの制度を........他にはあの制度を追従していった人たちは数少ないと思うので、そこらへんもちょっと考えるべきというのはあると思います。
︻八木︼ 吉田先生、何かおっしゃりたそうですけれども
︻吉田︼ 再生医療に特化した制度ということなんですけど、我々もあれは当初反対もいたしましたし、今の植地先生の話ではないですけど、どこまで使える制度かということは、疑問を呈していた制度なので.... ちょっと話はずれるんですけど、ただ日本の今回の制度のことじゃなくて、日本は今、デバイス・ラグ、ドラッグ・ラグ︵※海外で既に承認されている製品や薬が日本国内での薬事承認を得るまでに長い年月を要するという問題︶じゃなくて、ドラッグ・ロス︵※海外ですでに使われている治療薬が日本では 開発が行われず、日本で使うことができない状況︶になってきているんですよ。 日本に上梓しない薬が、かなり世界中にあるということもありまして、日本の薬機法という法律を作ったのは ----- 私は責任者でやらせていただいたんですけど --- もう一度、ちょっと手を入れて、薬事のことをしっかりやらないといけないな、というのは本当に思いますね。
︻八木︼ なるほど。ちょうど安倍首相がお亡くなりになった後に、この森下寄付口座教授が、M3という、お医者さんの専門の情報サイトに特別寄稿をなさっていまして、知り合いのお医者さんの方が私にそれを読ませてくださって、その内容に、非常にびっくりしたんです。 この時にまさに、︵安倍元首相の︶ゴルフ友達であった森下先生は、安倍さんの功績をたたえていらっしゃるのはもちろんなんですけれども、とりわけ、安倍さんの偉業をたたえていらっしゃるのが、まさにこの、再生医療の促進という形での条件付き承認制度を作ったということ、医薬品のネット販売を解禁したということ、それから機能性表示食品の解禁をしたということですね。 それからあともう一つちょっとびっくりしたのが、安倍さんのご病気というのが、潰瘍性大腸炎という ---- これ、不思議なことに担当の慶応大学病院の方では診断書を出していらっしゃらないのに、潰瘍性大腸炎というご病名になっていましたけれども -- これは森下さんの番組で初めて出てきた病名なんだそうですね。 そのあたりも、とっても不思議だなと、ちょっと私は思ったような次第なんですけれども、とにかく、この寄稿文を読む限りにおいては、森下さんと安倍さんとのつながりが非常に強いものだというのがよくわかるのですが、この中でもう一点、引っかかったのが、この機能性表示食品の解禁という項目だったんですね。 私は、この記事を読むまで、ずっと、トクホと機能性表示食品の違いというのを分かっていなかったんです。というか、多分、ほとんどの方は分かっておられないと思うんですけれども、トクホというのは、一応、消費者庁で試験を行うものなんです。ところが、機能性表示食品というのは、条件付き承認制度とちょっと似ていて、会社が自分でデータを持っていって通してくれと言って、その書式さえ合っていれば通っちゃうという、そういう仕組みなんだそうですね。
︻吉田︼ 機能性表示食品の危険性をずっと国会で何回も言わせていただいていて、機能性表示食品って、論文、何でもいいんですよ。それを付けちゃうと認められちゃうんです。 私は、非常にリスクが高いので、ちゃんとインパクトファクター (Impact Factor) がある、英語の論文だとか査読がある、そういった論文でやるならまだ分かるけれども、変な話で、形式さえ整っていればなんでもいいのですから、そういう︵申請者の︶ストーリーにあった論文作るだけなら、海堂先生なんて多分5分ぐらいで作れちゃいますよ。 だから、本当に、おっしゃるとおり、まさに似た問題なんです。 恣意的にデータを作って、査読がない日本語の雑誌に載せて、それを根拠に申請できちゃうんですよ。 非常にこれは危ないですよ。
︻八木︼ 私もびっくりしてネットで調べたんですけど、機能性表示食品に関しては、それ専門のコンサル会社とか、それに付随してそのコンサル会社のやっている怪しげな学会とか、学術雑誌と称する雑誌とかありますよね。 ということは、お手盛りで、いくらでも論文を作れちゃうわけですよね。 そんなことも知らずに、普通にテレビとかで広告をしていますし、当然スーパーとかでも売っているので、機能性表示食品ってちょっといいのかな、と思って、多分買っちゃってる人がほとんどです。私自身もそうだったので、大変びっくりしたんですけれども、それについて、海堂先生が、新作でけっこう書いていらっしゃいましたよね。
︻海堂︼ そうですね。﹁コロナ漂流録﹂では、結構アンジェス.....じゃない、エンジェル製薬のそういう問題を書きましたけれども、基本はいままでの先生方のお話、みなさん、非常に誠実な言い方をされていますが、核心を言うと、結局、安倍さんがやった岩盤破壊っていうのは、基盤破壊だったんですね。 岩盤じゃなくて、抵抗勢力でもなくて、日本社会の基盤を破壊する行為だった、と。 治験制度にしても、これは、これまで築き上げてきた医学の基本なんですね。それをやることで薬害を防げるから、治験をやっていたのに、一番大切な第三層をカットして承認してしまう。 これはぶっちゃけ暴挙なんですが、それを通してしまった。しかも岩盤破壊だと言って、華々しく打ち上げた。これは本当に日本の医療の土台を破壊したものだと思います。 それと同じで、機能性表示食品というものも、その話を聞いたときには、逆に、すぐに分かったんですね。 同じ構図なんです。 要するに、トクホは、まだ機能とか効能について、しっかりした裏付けをやっていた。だからなかなか︵審査を︶通らない。だけど、そこのところをいい加減にすれば、通せてしまう。そして通ってしまったらあとは野となれ山となれ。それを一番分かりやすい形で表しているのがアンジェスだと思うんですね。 薬品を出して、審査を通して、華々しく打ち上げて、そして結果は知らない。アンジェス社の唯一の商品もそういうものです。 だから、そこのところの責任の所在を明確にするために、色々と仕組みを作らなければいけないのですけれども、それを難しくしているのが、安倍内閣のもう一つの悪癖、つまり、公文書毀棄なんです。 もう全部繋がっているんですね。 だから、これによって日本社会のシステムは土台から根底に崩されちゃった。もう本当にどうしようもない。 これを立て直していかなければいけないのですが、その時に病巣がそこだと分かっていれば、治療法がある。でも、病巣が分からないと、どんどん悪化するだけなんです。つまり、無責任体質の根源はそういったシステムにある。ここを何とかしないといけない。 機能性表示食品あるいはワクチンの問題、こういったものが、全部、同じです。他の問題も全部同じ構図なんです。そう思うと、いろいろなものが見えてくると思います。
︻八木︼ 機能性表示食品って、食品だけじゃなくて物品でもありますよね。大阪万博の看板になっているシャワーとか。
︻海堂︼ シャワーヘッドはミ○○ルというやつですかね︵笑︶。 この間、テレビを見ていたら地上波で宣伝していたので、おったまげました。シャワーをするとアトピーが治るというのがあるんですが、大阪万博のサポーターの会社がやっていて、そこも相当うさんくさいというのは、週刊ゲンダイさんの記事でしっかり追っていられたと思います。
︻八木︼ どんどんそういう情報は広げられるということだと思うんですが..... 私は市民団体を主催していたりするんですが、そうすると、いろいろと細かい情報が入ってくることもありまして、その中でちょっとびっくりしたのがさっきの機能性表示食品なんですが、もちろん、全部が全部とんでもないということではなくて、中にはもちろん、ちゃんとしたものもあるとは思うんですが、実際には、データを作って厚労省に出して、その形が整っていれば通る、ということにはなっているんですが、出す側からすると、書式をそれなりに作っていても実際には通らない、そこはちゃんとコンサル会社を通してそこのある種のお墨付きをもらっていないと通るものではなくて、だから、結局そのコンサルの力を借りなければならなくて、そのコンサルの元締めが、抗加齢学会の、ある方だという話まで聞いたんですけれども.....。
︻吉田︼ 私も抗加齢学会の評議員なのであれですけど、他にも多くの方が評議員ですよねでいらっしゃるんですが、まさにそこに深く関与する学会なので、それはもうおっしゃる通りだと思いますね。 本音を言うと、﹁機能性﹂というのは、医療に関わることを謳っていますので、本当は医薬品なんですよね。 よくテレビで出る﹁個人の感想です﹂とか、あれは免罪符みたいに使われていますけど、あれも本当はアウトなんです。 だいたい、飲んだヒアルロン酸が膝に行きます?︵笑︶ ちょっと言い過ぎかもしれませんが、本当に健康食品とか機能性食品って、ある意味、効かないものを売って害すらあることがあるので、悪質な振り込め詐欺と一緒ですよ、本当に。そこまで、この日本の病巣は深いと思いますね。効きもしないものに、皆さんお金出させられて。あれは毒ですよ。いろんなものでスティーブン・ジョンソン症候群とか起こすので、大変なことが起こることってあるわけですよ。 そんなものに、かなり高額なお金を皆さん払われますので、本当に、しっかり取り締まるようにと、私は、再三、再四、厚労委員会や消費者特務委員会で言ってるんですけど、根が深いのでね、ぜひ、海堂先生みたいに発信力のあるインフルエンサーに、ぜひそうやって暴いていただいて、これはやはり、国民の皆さん一人一人の、お考えが非常に大事なところなんで、啓発をしなきゃいけないと思いますよ。
︻八木︼ そういう意味では、まさにアンジェス・森下先生は本当にいろんなことに関わっていらっしゃって、まるで、医療界の竹中さんみたいな感じが.....これは単なる個人の感想ですけれども︵笑︶、ちょっとそういう印象さえ持ってしまったりするんですが、でも、それにしても、基本的にこのアンジェスの問題にしても、機能性表示食品にしても、データが無視されている、まともな論文がないっていうことは、本当に驚くべきことだと思うんですけど、その論文がないっていうのは、そもそもどういうことなんでしょうね。
︻川上︼ そうね。なんでそういうことが起きますかね。 機能性食品っていうのは、ある働きがあるという論文と一緒に提出されるのか、それでそれが検証されなくて、コンサルが書くっていう話なのか.........だから、機能性食品というものにそんな価値を与えなければいい、みんながそれにお金を出さなければいいと思うので、そういう教育というか、そういうような周知をしていかなきゃダメですね。機能性食品には機能がない、と。 でもそう言うと、最近の風潮だと、SNSだと︵効果が︶ないことを証明しろって言ってくるから、水掛け論になっちゃうんですよね。だから最初に言ったもん勝ちなんだよね。 それで、ある程度、顧客をつかめれば、その人たちは商売になるからやってるんでしょうね。ただそれで、正当な医療とか正当な効果のあるものが、どんどん効果なくしてきますからね。そういう悪貨が良貨を駆逐するっていうそのものだから。 そういう啓蒙活動をするとともに、そこを厳しくしなければならないのに、コンサルがやってるっていうのは、僕はその辺全然知らないんだけれども、あり得ないですよね。そんなものを論文って呼んだらいけないと思いますよ。
︻吉田︼ あの、これは結構裏話なんですけど、厚生労働省ってエビデンスとして採用するときって、やっぱりインパクトファクターがちゃんとある一級誌を採用するんですよ。医療としてのエビデンスっていう意味では、日本語雑誌なんて価値はないとして、英文の一級誌のエビデンスを採用するんです。 ただ、ひどい話がありまして、農薬って日本ってすごい規制が遅れてるのご存知ですか? EUとかで絶対禁止されてるようなやつを平気で使ってるんです。で、遺伝子に作用するって言われてるものも結構使っているんですが、なんと、農水省は、農薬メーカーが持ってきた論文で評価するんですよ。 自分たちで、自分たちにいい都合のいい論文を選んで、それを農水省に持っていって、農水省はそれで判断する。これは色々事情があって、農水省から農薬メーカーに、ものすごく天下りしてるんですよ。で、その結果、日本の農薬メーカーは世界から二、三周遅れてるって言われてるんですよね。 だから皆さんが飲まれているペットボトルのお茶、これちょっとこの会社の会長さん、僕よく知ってるんで言いづらいんですけど、農薬入ってますからね。EUで使われていない農薬が検出されますから。本当に怖いんですよ。子どもたちの世代に関して言えばですね。 ただ、そういったのはもう野放図になっているので、私は、これも国会で質問したんです。エビデンスとしての採用の仕方のルールをちゃんと決めてくれと。そこを省庁できちんと統一して政府としてルールを決めないと、科学的な検証とか一切できないですよね。 これは裏話ですけど、ちょっとお伝えしておきます。
︻八木︼ 今、お話を聞いていて、隣でペットボトルに伸びていた海堂さんの手がパッと....︵笑︶ いまZoomで見てらっしゃる方も、同じような反応された方がいらっしゃるんじゃないかと思いますけども....
︻植地︼ ひとついいですか。 医薬品の評価なんかの場合ですけど、論文がどれだけ信用されるかっていうと、論文は実は信用されてないんです。 なぜならば、論文は、誰でも、仮説であろうが何だろうが投稿できますし、投稿すれば載ってしまうからです。 逆に言うと、インパクトファクターのある雑誌であろうがなんだろうが、新しいことを考えつきました、新しいことが分かりましたということで出して、あ、そうかもということであれば載るわけなんです。 ですから、論文が掲載されたから、学会誌に掲載されたから、有名な雑誌に掲載されたから、その内容は事実かって言われると、そんなことはありません。雑誌に掲載された情報の 9割以上は、その後で間違いが指摘されます。 臨床試験であっても、95%の信頼区間しか持っていません。どんなに大きな臨床試験をやっても、5%は間違いがあります。 だから、一つの臨床試験を何回も何回も解析していけば、必ず﹁有効性﹂なるものをを作ることができます。 先ほど、僕が臨床試験をやった後に、短い時間で結果を発表しなければいけないと言いましたが、あれはなぜかというと、長い時間をかければ、何回でも追加解析ができるからで、追加解析をすれば、必ずどこかで有効性を引っ掛けることができます。それはなぜかというと、1回ごとに5%の誤りを含んでいるからです。 そういうことをやることで、例えば、都合の良い結果の論文を作って出すことができます。そういった論文は、査読があったとしても、その査読で検証することができないことがあります。たとえば、これは世界で初めてです、と謳えば、世界で初めてなんだから、みんなに知らしめるべきだよね、ということで、査読者はその論文に載せてしまいます。 ですから、ネイチャーに載っているから、サイエンスに載っているからといっても、残念ですが、逆に言うとああいう雑誌に載っかっているものほど新しいものなので、後で間違いが見つかることが数多くあります。
︻吉田︼ 私も科学者なので、今、植地先生が指摘されたようなことはあります。 ただ誤った論文や事実じゃないものに関しては、みんなが世界中で追試をするので、コメントとかがいっぱい付きます。 だから、先生も学者ですからわかると思いますけど、間違った論文というのはいずれわかります。 つまり、今、植地先生がおっしゃったのは、極端な例で、学者として性善説的にやるかどうか、ということなんです。結局、︵まぐれで出たような︶チャンピオンデータを出すからそういうことになってしまうわけで。我々は、都合のいいデータという意味で、チャンピオンデータと呼ぶんですが、僕は、自分で論文を書くときは、基本的にチャンピオンデータは一切採用しないです。もう徹底的に同じことを繰り返して確認できたデータしか出さない。 で、繰り返しになりますが、私も世界で高名な学者が書いた論文にコメント付けたり、追試してできなかったことがいっぱいあります。 だから、先生がおっしゃったのは、飽和的な研究のことなんだと思うんですけどね、STAP細胞だってなんでバレたかっていうと、追試して誰もできなかったからですよ。あれ、私も、昔、実は同じことやってましたけど、一切あんなこと起こらないんです。あれ、ES細胞の混入ですよね、常識に考えて。 だから、その論文の信憑性については、先生がおっしゃることも一理あるんですけど、嘘の論文というのは、やっぱり、後で撤回したたり、あとコメントがいっぱい付いて追試できないというのが出て、世の中に明らかになるので、ちゃんと見れば、その論文が評価に足る論文か、あるいは、今、先生がおっしゃったように、高名なネイチャーやサイエンスやセルであっても、そこはわかりますので。そこはそういう評価で良いと思います。
︻植地︼ それは十分に承知した上で、ただ、今の日本のメディアの現状を考えちゃうと、結局、そのネイチャーに発表されましたとか、論文で発表されましたというと、それだけでニュースになっちゃうわけですよ。 だから、どこかのメーカーであれ、どこかの製薬会社であれ、どこかの研究者であれ、世界で初めてこんなことやりました、世界で初めての論文が出ました、と。それだけでもって、ニュースになってバーって出ちゃって、それが評価されちゃうんです。 その後、先生がおっしゃったみたいに追試したら価値がありませんでした、というところは報道されないわけですよね。 だから、例えばワクチンであれ、医薬品であれ、まあイベルメクチンとかそういうものも含めてですけども、絶対に効かないだろう、こんなもんって思うものでも、効きましたという論文が出たっていうと、それがニュースになってポンって出ちゃって、それをまた信じちゃう人が出てきちゃうわけです。 実際には、それを何回も検証していって、効かないっていうデータは山のようにあるにもかかわらず、それは一切報道されませんから、 そうすると、そういうところで、メディア・リテラシーのない方々っていうのは、一番最初のトリガーだけで引っ張られちゃう、ということが起きてるんですね。だから、論文が出ましたっていうニュースはほとんど信用しない方がいいです。よっぽど、気をつけないと。
︻八木︼ それはコロナの時に、アビガンとかイベルメクチンですごくありましたね。
︻川上︼ アビガンって論文になりましたっけ? 論文全部ダメってことはなくて、機能性食品にくっついてくるような論文と、ネイチャー、サイエンス、セルに通る論文を一緒にしちゃいけないです。それは絶対にいけない。質が違う。質が違いすぎる。 研究者が、それこそ数人がかりで10年くらいかかって作るような論文が、ネイチャーやサイエンスやセルに出るわけですから、機能性食品で何が何に効いたなんていう論文と一緒にされては.........そういう論文ははっきり言ってクズですよ。そのメカニズムも一緒にしてはいけない。 ただ、それを見分けるのを一般の人に求めるのは、ちょっとハードルが高すぎるのは確かです。 それで、メディアの扱い方も、いい論文と悪い論文をちゃんとメディアが評価しないで、一般の人に売っちゃうのも確かです。 コロナの場合も、そういうふうな︵怪しげな︶機能性食品がいろんなの出てきて、今、まさにそういうことが問われているところだと思うんです。 明治大学のこのフォーラムの趣旨にも合うと思うんですが、そこまでのリテラシーを.....要するに理系の大学院レベルのリテラシーを一般の人に求めることはできないんだけど、それが分からないと騙されるって世の中になっているのを、どうしたらいいかというふうに問題を一般化することができると思います。
︻八木︼ そこはまさに、そういう医学系の記事を書いたりする人には、せめて大学院生レベルの知識が欲しいということではないですかね。
︻川上︼ そうですね。 必ずしも大学院を出ていなくてもいいけど、大学院を出たくらいの内容を読み取れる人じゃないと、あまり記事にしてほしくないです。
︻植地︼ 医者で専門家ですっていうふうに言っておきながら、もうデタラメを書きまくっている人はいっぱいいるので.....
︻川上︼ 医者だけじゃなくて、理学系でもコロナに関しては、とある名誉教授っていうのがずいぶん悪さしています。
︻八木︼ あと、アメリカで研究者をやっているとかいう怪しい人もいましたよね。
︻川上︼ 博士号を持っていればいいってもんではないですね。 だけど、そこも見抜くのはものすごいハードル高いですよね。
︻八木︼ とりあえず、メディアで大々的に打ち出したから、ネイチャーに出ているからっていうことで、無条件に信じない方がいい、というのが植地先生のご意見で、それはそれで本当に貴重なご意見だと思います。 ただ一方で、まさに川上先生がおっしゃるような、機能性表示食品などでいい加減な学術雑誌に出ている論文というのはそもそもそういうレベルですらないような、言ってみれば、個人のブログ記事と新聞記事の差ぐらいのもんだと、そういう理解でよろしいですかね。 ただ、機能性表示食品は置いておきまして、補助金100億円が動いているアンジェスの例のワクチンに関しては、論文1本しか出ていなくて、それがまたMDPIという....川上先生、MDPIって何ですか?
︻川上︼ 今では結構使っている人もいるから、あまり言えないけども、評価分かれるというか、ハゲタカジャーナルってジャーナルがあるんですよね。要するにお金払ったら何でも論文載せるようなジャーナルね。........に、なるかどうかの際どい雑誌ですよね。 でも、僕はMDPIには絶対出さないですね。
︻八木︼ だから、まさに100億円も補助金を取っているようなコロナワクチンに関するデータというものが、1本しか論文として発表されていなくて、それが出ているのが、しかもハゲタカジャーナルまがいだというところ自体もね、本当に、こういうのって検証し得るものなんでしょうか。
︻吉田︼ 論文の世界も色々ありましてね。 例えば私は、ジョンズ・ホプキンス大学にいて、ずっとそのままいようかなと思っていたんですけど、やっぱり有名な教授というのは自分のジャーナルを持っているんですよ。そこに自分のところが送れば絶対通るんです。これは一級誌でも結構そうなんです。 だから植地先生がおっしゃることというのは、一定程度、本当にそうなんです。 じゃあ何を目安にすればいいのかというと、科学は、論文と、そしてインパクトファクターだけじゃなくて、引用回数。どれだけ引用されて学者に信用されているか。 こういうものを参考に、インパクトファクターやサイテーション・インデックス︵Citation Index︶ですね。他の学者が採用して、それを自分の論文やほかのところに引用する、そういったデータが、その論文の信頼性というものでは大事です。 論文を完全に否定するというのは、科学を否定するようなものですからね。 セルなんていう論文は、本当にレビュー並みの労力を使って我々は載せるんですよね。本当に10年とかの研究の結実ですよね。 だから、本当に公平な意味で、論文を評価するのは難しいですよ。 例えばもっと言えば、ジョンズ・ホプキンスで、私の隣でやっていた中国の方はですね。データをけっこう捏造しているのを、僕、横で見て知ってますからね。絶対にデータを自分で解析するんですよ。僕らは、必ず第三者で解析をして、絶対に何らかの変更がないようにするんですけど、その人は自分で取ったデータを自分で解析するんで、そんなことをしていたらやっぱり正しいデータは出ないですよ。それはもう学者の良心もあると思うんですけど、ただ何を参考にするかというと、やっぱり今は学術論文しかない面もあるわけですから。 いい学術論文とは、やっぱりインパクトファクターや、サイテーション・インデックス、引用回数、どれだけ引用されているか、それが信頼性だと思うので、そういったことを参考に見ていくしかないんじゃないかと思います。
はっきり申し上げると、機能性食品のあれはお手盛りの論文です。あれに価値はない。ただいっぱいありますよ。和文の論文では、出せば載る......いっぱいありますよね。そういう論文ね。特に医学系も多いですよ。そういう....あまり言わないですけど、これ以上言うと、あれですから。
︻江下︼ そろそろ時間の方はですね。予定の時間も10分超過しておりますので、一応フロアの方から、ここでもし何か質問がございましたら。 じゃあ、そちらの方。
︻山岡︼ どうも今日は貴重なお話をありがとうございます。 ノンフィクション作家の山岡淳一郎と申します。 一つ絞ってお伺いしたいんですけれども、新型コロナワクチン。これ総合的にはやはり非常に効果があって、随分抑えられたなと思っています。私自身も打ってますけれども。 ただ一方で、先ほどその﹁悪魔のくじ引き﹂というふうに植地さんがおっしゃったような副反応の問題が生じていると。 まず一つ、植地先生にお聞きしたいのがアストラゼネカのワクチンに関して、2020年の後半から21年の初めぐらいにかけて、開発が進まれて、これから承認するかどうかのところで、ヨーロッパで、血栓症が出るんじゃないかということで、確かデンマークやオランダあたりで、使用禁止というようなことが出てきた。 その後、日本がどういうふうにどこのワクチンを入れるかというところで、アストラゼネカさんは結構少なかったような気がするんですね。そこらへんの経緯ってのはまずちょっと教えていただけませんか。
︻植地︼ 当事者なんでいろいろと言っちゃいけないことがいっぱいあるのですが....まず血栓症の問題に関しては、あれは追試をいろいろとされています。ヨーロッパではかなりあれはないだろうと最終結論が出ていますので、一瞬だけ禁止になった国もあります。 もちろん﹁悪魔のくじ引き﹂を予防しなきゃいけないので、リスクがあるものは、例えば、今使わないで、他のデータが出るまで待つというのは、それは規制当局として、レギュラートリー・サイエンスとして非常に正しい姿勢だと思います。 実際、その後、追試が出てきて、例えばヨーロッパでは、アストラゼネカのワクチンはかなりいろいろ使われていますし、イギリスでもかなり使われていますが、そこのところは血栓症は増えていません。 実は、当時、日本の政府は可能性のあるワクチンはみんな交渉してたんですよ。アストラゼネカだけじゃなくてファイザーもですし、ノババックスもですし、モデルナも。 要は、交渉して、日本の分を確保しないと分けてもらえないんですね。 ですから、このぐらいの量は確保してほしい、開発に成功したら買うからという形で、厚労省は各メーカーと話をしているはずです。それで、その中でもちろんアストラゼネカも一定数......あの当時はたぶん1億2000が基本だったと思います.....全員に打てるように、という形で、それは全部のメーカーに同じように話をしていたんですね。 その後、日本に関しては、実は、ほぼほぼ、ああいう報道があって、その後の後追い報道が何もなかったということもあって、アストラゼネカのワクチンは採用されなかったところもかなりあります。 ファイザーのワクチンとモデルナのワクチンが使われて、最初から実は、僕はモデルナのワクチンに関しては、ドース︵投与量︶がオーバーしているから副反応が多いよって言ってたんですけど、なぜかそのままアメリカと同じドースを使っちゃったんで、かなり副反応が高く出て、3回目以降は僕が言った通りに半分の量にしてくれたんで、副反応がだいぶ減りましたけど。 それからモデルナ・アームというのは打ち方の問題だけなので、あれが出るのは日本人の医者の先生の打ち方があまり良くなかったからなので、あれは出るべくして出たという話なんですけど、そういうのはちょっと置いておいたとしても、アストラゼネカのワクチンはあまり公的に使われなかった部分もあったんで、COVAXという輸出ですね、第三世界に対するワクチン共有プログラムの方に乗っかったことになってます。 実際これはもう厚生労働省から公表されているんですけども、6000万ドースぐらいだったと思うんですけど、ちょっと細かい数字忘れちゃいましたけど、最終的には輸出して第三世界の方の、ワクチンの製造ができない、というか、ファイザーのワクチンめちゃめちゃ高いんで、そういうのが買えない国に輸出をされています。 ちょっとさっき出さなかったグラフのところにあるんですけど、海外にワクチンを輸出した国というので、実は3位か4位が日本なんですよね。それで、その輸出したワクチンというのは、全部アストラゼネカのワクチンになっているはずです。
︻山岡︼ ありがとうございます。 すみません。吉田先生にちょっと一言伺いたいんですけれども、 日本で今、副反応の報告制度というのがあります。副反応で亡くなったというについての報告制度ですね。 現場のお医者さんや製薬メーカーから上がっているのはだいたい2000人以上超えていると思います。それと一方ですね。健康被害に関しての救済制度ということで、死亡一時金に4420万。とにかくこれは認めてあげましょう、というのが、100件ちょっとぐらいになったんでしょうか。 そのぐらいは遺族に対しては救済せんといかん、ということになっているわけなんですけれども、まだやっぱり、ちょっと、この開きがあると思うんです。この救済に関してなんですが、確か、立憲民主党はこの閉会審査中に、健康被害救済特別措置法というのを確か挙げていると思うんですけれども、それがどういうふうになっているのか、あるいは、今後、この救済の問題に関して、御党ではどういうふうに考えておられるのか、そのへん最後にちょっと教えていただけますか。
︻吉田︼ 法案は提出しているんですけれども、そもそもワクチンに対する考え方にも関係するところだと思うんです。 無過失保障制度ってお分かりになりますかね。その理解がないとちょっと説明しづらいんですけど、定期接種といわれるワクチンに関しては無過失保障なんですよね。 3回量保障制度というのは似たようなシステムですけど、日本は無過失保障制度って非常に難しくて、イギリスだとですね、ちょっとこれ話すと一時間ぐらいかかっちゃうんですけど、訴訟権が奪われるんです。 でも、日本は関係ないんですよ。それは、何人からも訴訟権を奪うことはできないと憲法で決まってるので。そういう中のルールにおいての無過失保障制度なんで、かなり限界があるわけですよね。だから、どこまでの救済が適切かと判断するのは個々人の問題になってしまうわけなんです。 因果関係に関しても、これは難しい線引きがありますよね。私の地元の中日ドラゴンズの若い選手がワクチンを打って亡くなってしまって、これはおそらく因果関係ありだろうと。
︻山岡︼ 私もその方を取材しました。ご遺族を。
︻吉田︼ そうですか。だから、とにかく救済を進めていくという法案にはなってますが、これは詳細に関して数字的なものが入っていたかどうかというと、ちょっと私は記憶がないんですね。 ちょっと調べてもう一回、資料をお送りしますけれども、いずれにせよ、救うべき方たち、とにかく副反応や健康被害に関しては、できる限り多くの方を救いましょうという趣旨で、それを促進していくという法律ですよね。たぶん、プログラム法じゃないですかね。ちょっと確認させてください。
︻山岡︼ ありがとうございます。
︻江下︼ もう1名、もしいらっしゃればお受けしますが、いかがでしょうか。じゃあ、そちら、どうぞ。
︻質問者︼ 今日はどうもありがとうございます。本当に目から鱗の話が多くて、びっくりしてお聞きしておりました。 メディアの役割というのはちょっとお聞きしたいんですけれども、最初の川上先生のお話で、PCRの感度の話ですね。 僕もそれを思い出して、7割方ぐらいしか精度がないという話がバーッと流れてですね、当時PCRのことで、いや、そんなことないんだとおっしゃってたのは、今、山岡さんが言われてましたけれども、デモクラシー・タイムズで、児玉先生がそんなことないよとおっしゃってたんですね。 で、専門家と言われる方が、こんなに意見が分かれちゃったという現象を見て、あれ、おかしいなと思ったわけですね。 今日のお話もお聞きしてPCRの問題というのは、海堂先生もおっしゃったように7割の精度しかないってことはありえないわけですけれども、当時メディアに出た方々はですね、皆さんこぞってそう言っておられましたね。それはどうしてそういうことになっちゃったのかな、という疑問があります。 それを多分、川上先生なんかもどうしてだろうと思っておられるかもしれませんけれども、そのメディアの状況というのを、どういうふうにお考えになっていらっしゃるかということが一つと、それと吉田先生にもお聞きしたいんですけれども、アンジェスの問題を、ああやって追求されて、先ほど示されていましたけれども日刊ゲンダイさんが取り上げておられるぐらいで、私も関心がありましたので、吉田先生が質問されていらっしゃるというのは見ていたんですけれども、例えば、朝日新聞とか他の大手マスコミの方々が、吉田先生の質問に対してどんな反応されていらっしゃるのか、全く無反応なのか、それについてちょっと聞きたいなと思います。
︻川上︼ PCRの精度7割というのは理由が分かっていて、コロナは結構診断が難しくて、タイミングがいい時にタイミングのいい場所から鼻腔とか唾液とかを取らないと診断できないんですよね。今でもそうだと思います。だから1回で診断できなかったらば、2回3回と診断しなければいけない。 だから一番最初にコロナが出た頃に言われていたのは、時期を逸すると、要するに、肺の中に入って肺炎になっちゃうと、ウイルスがいなくなっていて診断が難しく、診断し損なうことがあることがある。そういう時の難しさとして、1回で、PCRでバシッと当てる頻度が7割ぐらい、という話ですね。 だけど、PCRはそこにウイルスがいたら100%見つけるんですよ。 PCRで7割の感度の時は、例えば抗原検査であったとしたら、その感度は3割ぐらいになる、半分以下の感度になるはずです。 それが、PCRが7割というのだけが一人歩きした。多分、僕は意図的にさせたものだと思っています。尾見さんも言っていたので。だから、それを意図的に一人歩きさせて、PCR検査の抑制に使ったのだと思います。それを、メディアが何の検証もせずにそのまま垂れ流した、そういう構図です。
︻吉田︼ ツッコミの反応はですね。よく雑誌からは問い合わせがありましてね。FlashとかFridayとか、文春とか新潮とかそういうところからは、色々とお話聞かせてくださいといわれて、お話するんですけど、新聞社は少ないですね。 ただあれ、ちょっとどこの新聞社か忘れましたけど、2社ぐらい。1社はもうシリーズで何回かやりたいからということで、お話聞きに来られたりですね、また聞かせてくれというところがありますけど、ちょっと私も記憶ないので、またちょっと調べておきますけれども、かなり大きな問題で根が深い問題だとは思ってます。マスコミも見てますよね。 ただ内容が非常に難しい部分もあるのと、やはりこれ、当然ですけど、政府が抑えにかかるタイプの話ですので、そのへんの影響もあるんじゃないかなと思いますけどね。
︻江下︼ よろしいでしょうか。それではもう時間がかなりロスタイムを過ぎている状態なので、Zoomの方からも色々な質問が来ているんですけれども、一つだけお尋ねしたいと思います。 この方はですね。﹁自衛のためにツイッターなどで川上先生など信用できる専門家の意見を参考にしているんだ﹂というようなことを述べていて、﹁いまだにノーマスクとかノーワクチンとかいう団体もあって、こういうのを何とか打ち破る方法はないのか、あるいは正しい情報を大勢の人に伝える方法はないのだろうか﹂という非常に素朴な疑問であり、我々の研究科でも当然色々考えなければいけない問題の質問があるんですけれども、専門家として、どのように情報を広げるかということに関して、これはやはり川上先生にお願いしたいと思います。
︻川上︼ これはメディアの話だから江下さんが専門だと思うんですが、最大限の努力はしてますよね。 私はツイッターで取材されたら答えますし、最終期の頃にテレビに出たこともありますけれども、あと直接、立憲の議員さんとも話をしたりしてますし。 ただ、コロナが今、どういう状態かという情報自体を取らなくなってしまって、フラットな生のデータが出なくなっている。 だから民間のデマはかわいらしいものですからどうでもよくて、政府側のデマを問題にしたのは、政府がそういうことを言うから、混乱して色々な説が出ちゃいますよね。そこからみんな何とか正しい情報を拾ってほしいんですが、それはどうしたらいいでしょうか。
︻江下︼ 予想外のところから話が来てしまいました。 確かに我々の研究科では、メディアの研究、コミュニケーションの研究、災害情報の研究、色々な専門家の研究をやっていますが、確実に言えることは、まず﹁正解がある﹂ということは絶対ありえないわけです。 正しい方法も、﹁これが正しい方法だ﹂と言ったら、その時点でデマであろう、というのがほぼ確実なところですね。 従って原則的なことしか、当然、言えないことになるんですけれども、私なりの専門性から言えることからすると、私はメディア史が専門ですけれども、ひとつ、難しい問題を簡単にわかるというのは絶対ありえないことなので、わかりやすいというのが、一番実は罠である、というのを常に警告的に考えています。 難しい問題を理解するためには、時間をかけないと当然理解できません。色々な情報を時間をかけて手に入れて、それで当然、専門の違うことは理解できませんから、信頼できる人を何とか見つけるとか、それはもう時間をかけて勉強するしかない、というのがまず一点ですね。 性急にわかりやすいことを分かろうとすると、まずわかりやすいというのはほとんどの場合、過剰に単純化しているケースがほとんどですので、わかりやすいなと思った瞬間、これはかなりはしょっている話なんだなということを考えなければいけないし、そしていろいろな分野の専門家でコミュニケーションのプロではないので、わかりやすく伝えてくれるわけでは決してありません。 性急に答えを求めると、もともと専門家は自分の仕事に忙しい方なので、コミュニケーションにわずわらわされると、多分発信をやめてしまう可能性が高いと思うんですね。 となると、もう、我々はとにかく簡単には分かれないことに直面しているんだということと、早く結論を出そうとすると、必ず罠に引っかかってしまうんだ、ということは、常に念頭に置かなければいけないな、というところが、今、ギリギリ言えることだと私は思っています。ということになるんですが。
︻川上︼ ウイルスがいて、自分がいて感染するかどうか、で、その後どうなるかということで、要するに、ウイルスの量とかCT値みたいな話も出てくるけれども、それで、他に感染している人との距離とか、どれくらい時間がいるとか、自分がワクチンを打っているか、打っていないかとか、自分の中の免疫の状態とか、健康の状態がどうかとか、かかってから、どういう基礎疾患があるかだとか、その時にマスクをするとかしないとか、ものすごくパラメーターが多いんですよね。 ものすごく多い。簡単な問題ではない。 だから自分の中でも、いろんなもののパラメーターに、いろいろ重さをつけながら道を選択していくしかないのに、ワクチンを打った方がいいのか打たない方がいいのか、6回目打った方がいいのか、打たない方がいいのか、とか、ちょっと簡単に答えは出ない。 その人がそれまでワクチンを打って、どれくらい反応があったかというのは分からないし、だからものすごくパラメーターが多い中で、自分の中で重みをつけて、自分はどこの知識が足りないんだということを自覚しながら、補強しながら、自分で判断するしかない世の中ですよね。そんなふうに思います。
︻江下︼ 最後、川上先生がきれいにまとめてくださったというところで、ほぼ30分経過してしまいましたので、そろそろこの研究科フォーラムはこれにて終了ということにさせていただきたいと思います。 どうか、登壇者の方々に拍手をお願いいたします。 どうも先生方、ありがとう。ございました。
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