約250年前の江戸時代に発行された医学書﹁解体新書﹂の完本が、鳥取県立図書館に寄贈され、8月に初公開された。5巻セットのうち一部が欠けた端本(はほん)は数多いが、全部そろった完本は限られており、県立図書館は﹁所蔵する機関は少なく、大変貴重な資料﹂とする。﹁ホンモノ公開 解体新書がやってきた﹂と銘打った展示では、日本初の蘭和辞書を編纂(へんさん)した鳥取出身の医学者、稲村三伯(さんぱく)の業績も紹介され、洋学に衝撃を受け、憧れ、その習得に励んだ先人たちの息吹が伝わってくる。 ■神経、動脈など医学用語創出 解体新書は臓器の解説が記された4巻と、臓器の図が掲載された序・図譜1巻で構成。ドイツの解剖書のオランダ語訳﹁ターヘル・アナトミア﹂を、杉田玄白や前野良沢らが日本語に翻訳。﹁神経﹂﹁動脈﹂など今も使われている医学用語が、この作業の中で創り出された。 ﹁日本で初めて精緻な図譜を備えた西洋医学の翻