デジタルアーカイブは、社会の情報基盤のひとつとして広く認識されてきた。市民目線から見るデジタルアーカイブ、生活に根差したデジタルアーカイブとはどのようなものなのか。﹃手と足と眼と耳‥地域と映像アーカイブをめぐる実践と研究﹄︵学文社、2018︶の編著者であり、メディア論、社会思想、情報記号論の研究をベースに、地域コミュニティによる映像アーカイブの現場に立つ、東海大学文化社会学部広報メディア学科教授の水島久光氏にご執筆いただいた。︵artscape編集部︶ ダムに沈んだ街、大夕張──写真に残されたかつての賑わい 財政破綻で耳目を集めた北海道夕張市の東部に、かつて住民が誇りを持って﹁大夕張﹂と呼んだエリアがあった。三菱大夕張炭鉱の城下町で、最盛期の1950年代には2万人の人口で栄えた夕張市鹿島地区、いまは国内最大規模の多目的ダムで全国第2位の湛水︵たんすい︶面積を誇る夕張シューパロダムに沈んだ街