日本人初の宇宙飛行士として、90年に旧ソ連︵現ロシア︶のソユーズ宇宙船に搭乗したジャーナリストの秋山豊寛さん︵69︶。その後、福島県旧滝根町︵現田村市︶に移住、有機農業に取り組んでいた。福島第1原発の事故を受けて、今、どこで、どんな思いで過ごしているのか? 訪ねてみた。︻大槻英二︼ ◇福島で農業15年、群馬へ/平和な老後、破壊された/経済成長に頼らぬ生き方を ﹁こっち、こっち﹂。待ち合わせ場所のバス停に、長靴をはいて現れた秋山さんは真っ黒に日焼けし、すっかり﹁農家のオジサン﹂になっていた。ここは福島県ならぬ群馬県藤岡市の鬼石︵おにし︶町。そのまま埼玉との県境を流れる神流︵かんな︶川のほとりにある田んぼに案内された。有機農業に取り組む知人から借りた6畝︵せ︶︵約6アール︶の水田。7月の初めに手植えをした。 ﹁福島では5月20日前後に田植えをしていたけど、なかなか水温が上がらなくてね。ここは稲