児童性的虐待
定義
編集アメリカのカリフォルニア州では、州法PC11165条において、性的虐待は18歳未満の者に対する性的暴力及び性的搾取だと規定し、その性的暴力の内容として「性交、近親姦、肛門性交、14歳以下の子供に対するわいせつ行為、口腔性交、器物を用いる性器及び肛門の貫通行為、性的愛撫」、性的搾取については「子供がわいせつな行為を行っている模様を描いたものの売買、わいせつな行為を目的とした子供の雇用、商業的な目的で子供に対しわいせつな行為を行わせる行為(写真と映像を含む)」とする。
日本では児童虐待防止法(児童虐待の防止等に関する法律)が2000年5月に可決し、同法第2条で「児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること」として性的虐待を定める。また厚生労働省は、児童の性的虐待を「子どもへの性交、性的暴行、性的行為の強要・教唆など」「性器を触る又は触らせるなどの性的暴力、性的行為の強要・教唆など」「性器や性交を見せる」「ポルノグラフィーの被写体などに子どもを強要する」などとしている[20]。
統計
編集公的な実数
編集アメリカ合衆国
編集性的虐待は公表が必要なため報告数は少なくなりがちであるが、アメリカ合衆国ではかなり報告数を上げることに成功した。1976年に保護サービス機関に持ち込まれたのは6,000件であったが、その10年後には132,000件の性的虐待が報告されるようになった[21]。
日本
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被害者
加害者
推定の実数
編集アメリカ合衆国
編集日本
編集歴史
編集子供に対する性的虐待が問題視されてくるのは、一般に近代以降である。
欧米
編集日本
編集イスラーム諸国
編集影響
編集心理的影響
編集身体的影響
編集身体傷害
編集被害児童の年齢や体格、力の程度によっては、児童性的虐待により、体内の裂傷や出血を起こすことがある。重症の場合、内臓の損傷が起こり、場合によっては死に至ることもある[120]。
感染症
編集児童の性的虐待は、感染症や性感染症を引き起こすことがあり、膣炎も報告されている。子どもの年齢や体格によっては、膣分泌液も十分でないため、感染症にかかる可能性も高い[121]。
神経学的損傷
編集対人関係における影響
編集フェレンツィ・シャーンドルが1933年の著書『大人と子供の間の言葉の混乱』で書き残したように、性的虐待を受けた場合「優しさ」と「激情」を表す言葉の間に混乱が生じることも知られている。性的虐待を受けた人たちが「セックス」「愛情」「慈しみ」「親愛」「虐待」といったものに対する感覚の混同をきたしてしまうと、結果として人間関係における経験を誤認してしまい、性的かつ虐待的なものがそのまま愛情として認識されたり、逆に喜ばしい関係性が虐待的だと感じるような歪んだ認識が生まれるのである[132]。
児童性的虐待の悪影響の広範性や強度に関する議論
編集子供の心理の関連
編集医学・治療
編集精神医学
編集治療
編集子供の回復力
編集幼児期のトラウマ的な体験は生涯にわたってその人の人生に影響を与え続けるわけではない。実際に、強姦犯や精神病を患っている人、犯罪を犯した人にこうした過去がある人が多いのも事実であるが、性的虐待の被害から回復する人はいる。
Conte, J. R. (1985) は性的虐待を受けた369人(76%が少女、24%が少年)について調べたが、性的虐待に伴う症状を示すのは79%と多かった。しかし残りの21%は起きておらず、どうして問題が起こらなかったかについて調べられたが、その重要な因子は虐待の事実を認め支えてあげた大人が一人でも存在していた事であった[144]。
この他にも、多くの研究で秘密を打ち明ける能力と回復力とが比例関係にあることが分かっている。
加害者の更生と更生プログラムの効果
編集事例
編集- 江東区小5女児誘拐殺人事件(1969年):未解決。
- 北関東連続幼女誘拐殺人事件(1979年-1996年)
- 1979年足利市で5歳女児が誘拐殺害:未解決。
- 1984年足利市で5歳女児が誘拐殺害:未解決。
- 1987年、群馬小2女児殺害事件:未解決。
- 福岡・佐賀連続児童猥褻事件(1987年-2004年)
- 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(1988年-1989年)
- 足利事件(1990年)4歳女児が誘拐殺害。冤罪事件でもあった。真犯人は捕まっていない。
- 飯塚事件(1992年)女児2人が誘拐殺害。
- 太田市パチンコ店女児連れ去り事件(1996年):未解決。
- 高崎小1女児殺害事件(2004年)
- 奈良小1女児殺害事件(2004年)。犯人の自宅からは児童ポルノや女児の衣類が押収。ペドフィリアと精神鑑定。2013年死刑執行。
- 広島小1女児殺害事件(2005年)日系ペルー人の男の犯行。
- 栃木小1女児殺害事件(2005年)
児童福祉施設の事件
編集- 恩寵園事件(1995年)
- 北九州児童養護施設虐待事件(2019年)
- 野田市園児性的暴行事件(2019年-2020年)
- 静岡児童性的虐待事件(2022年)
脚注・出典
編集参考文献
編集関連項目
編集外部リンク
編集- 子どもへの性的虐待の予防・対応・ケアに関する研究 研究代表者 柳澤正義 - 厚生労働科学研究成果データベース
- 児童虐待の定義と現状 - 厚生労働省