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「マクロファージ」の版間の差分

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[[]][[|]][[]]''''''''''''''''''{{R|Nipponica}}

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''''''{{R|Nipponica}}<ref>{{Cite web |author= |date=20105 |url=http://kotobank.jp/word/%E9%A3%9F%E7%B4%B0%E8%83%9E |title= |work=[[]][[]] |publisher=[[]] |accessdate=2013-03-01 |ref=}}</ref>

'''貪食細胞'''は、狭義にはマクロファージを意味する{{R|Nipponica}}が、広義には食細胞を意味する<ref>{{Cite web|和書|date=2010年5月 |url=https://kotobank.jp/word/%E9%A3%9F%E7%B4%B0%E8%83%9E-534142 |title=食細胞 |work=[[マイペディア]]([[日立ソリューションズ]]) |publisher=[[コトバンク]] |accessdate=2013-03-01 }}</ref>。


[[Image:Macrophage.jpg|thumb|250px|[[|]][[]]2]]

[[:Macrophage.jpg||250|[[|]][[]]2]]




== 発見 ==

== 発見 ==

1892年、[[ロシア]](現[[ウクライナ]])の微生物学者・動物学者[[イリヤ・メチニコフ]] (1845-1916)は動き回り、ものを食べる細胞を発見し、マクロファージと命名した。この功績によりメチニコフは、1908年に[[ノーベル生理学・医学賞]]を受賞している。<ref>http://www.tmd.ac.jp/mri/koushimi/shimin/ooteki.pdf 市民公開講座_20180223 からだをまもる免疫の研究</ref>


1892[[]][[]][[]] (1845-1916) 1908[[]]<ref>{{cite web |author= |url=http://www.tmd.ac.jp/mri/koushimi/shimin/ooteki.pdf |archiveurl=https://web.archive.org/20200723211138/tmd.ac.jp/mri/koushimi/shimin/ooteki.pdf |format=[[Portable Document Format|PDF]] |title=_20180223  |publisher=[[]] |accessdate=2020-07-23 |archivedate=2020-07-23 }}</ref>


== 起源 ==

== 起源 ==

マクロファージは血液中の[[白血球]]の5%を占める[[単球]](単核白血球)から分化する。[[造血幹細胞]]から分化した単球は[[骨髄]]で成熟し、[[血流]]に入ると[[炎症]]の化学仲介に関わる。単球は約2日間血中に滞在した後、[[血管]]壁を通り抜けて[[組織 (生物学)|組織]]内に入りマクロファージになる。組織に入ると、マクロファージは細胞内に[[リソソーム]]を初めとした[[顆粒]]を増やし、[[消化酵素]]を蓄積する。マクロファージは[[細胞分裂|分裂]]によっても[[増殖]]することができ、[[寿命]]は数ヶ月である。

マクロファージは血液中の[[白血球]]の5{{nbsp}}[[%]]を占める[[単球]](単核白血球)から分化する。[[造血幹細胞]]から分化した単球は[[骨髄]]で成熟し、[[血流]]に入ると[[炎症]]の化学仲介に関わる。単球は約2日間血中に滞在した後、[[血管]]壁を通り抜けて[[組織 (生物学)|組織]]内に入りマクロファージになる。組織に入ると、マクロファージは細胞内に[[リソソーム]]を初めとした[[顆粒]]を増やし、[[消化酵素]]を蓄積する。マクロファージは[[細胞分裂|分裂]]によっても[[増殖]]することができ、[[寿命]]は数ヶ月である。



[[進化]]上ではかなり早い段階から存在し、[[脊椎動物]]・[[無脊椎動物]]を問わずほぼ全ての動物に存在している。[[B細胞]]等他の白血球はマクロファージから進化しており、血管や[[心臓]]を構成する細胞とも起源は同じである。

[[進化]]上ではかなり早い段階から存在し、[[脊椎動物]]・[[無脊椎動物]]を問わずほぼ全ての動物に存在している。[[B細胞]]等他の白血球はマクロファージから進化しており、血管や[[心臓]]を構成する細胞とも起源は同じである。



== 機能 ==

== 機能 ==

[[image:Phagocytosis.png|thumb|right|300px|'''マクロファージによる食作用の経過'''<br/>'''a.''' 貪食された異物が[[食胞]](ファゴソーム)に取り込まれる<br/>'''b.''' 食胞は[[リソソーム]]と融合しファゴリソソームを形成、異物は[[酵素]]により破壊される<br/>'''c.''' 残渣は細胞外に排出される(あるいは消化される)<br/><br/>'''1.''' 異物([[病原体]])、'''2.''' [[食胞]]、'''3.''' [[リソソーム]]、'''4.''' 残渣、'''5.''' [[細胞質]]、'''6.''' [[細胞膜]]]]

[[ファイル:Phagocytosis.png|サムネイル|300ピクセル|'''マクロファージによる食作用の経過'''<br>'''a.''' 貪食された異物が[[ファゴソーム|食胞(ファゴソーム)]]に取り込まれる<br>'''b.''' 食胞は[[リソソーム]]と融合しファゴリソソームを形成、異物は[[酵素]]により破壊される<br>'''c.''' 残渣は細胞外に排出される(あるいは消化される)

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'''1.''' 異物([[病原体]])、'''2.''' [[ファゴソーム|食胞]]、'''3.''' [[リソソーム]]、'''4.''' 残渣、'''5.''' [[細胞質]]、'''6.''' [[細胞膜]]]]



=== 食作用 ===

=== 食作用 ===


[[]][[]][[]][[]]

[[]][[]][[]][[]]



[[:en:Phagosome|Phagosome]][[]]

[[|{{en|Phagosome}}]][[]]


=== 抗原提示 ===

=== 抗原提示 ===

マクロファージは[[抗原]]を摂取すると、各種の[[サイトカイン]]を放出し、特定の[[T細胞]]を活性化させる。マクロファージは、食作用によって取り込み、分解した異物をいくつかの断片にし、もともと細胞内に持っていた[[MHCクラスII分子]](MHC-II)と結合させ、細胞表面に表出させる。これをマクロファージによる'''[[抗原提示]]'''と呼ぶ。

マクロファージは[[抗原]]を摂取すると、各種の[[サイトカイン]]を放出し、特定の[[T細胞]]を活性化させる。マクロファージは、食作用によって取り込み、分解した異物をいくつかの断片にし、もともと細胞内に持っていた[[MHCクラスII分子]] (MHC-II) と結合させ、細胞表面に表出させる。これをマクロファージによる'''[[抗原提示]]'''と呼ぶ。




T[[T]][[]]T[[CD|CD]]4T[[]]T(TCR, T-cell receptor)[[]]MHC-IITTTT

T[[T]][[]]T[[CD|CD]]4T[[]]T (TCR, T-cell receptor) [[]]MHC-IITTTT


活性化したヘルパーT細胞は、[[インターロイキン]]や[[リンフォカイン]]等の[[サイトカイン]]を生産することでマクロファージを活性化するとともに、自分が認識するものと同じ抗原を認識するB細胞を活性化させる。活性化したB細胞は[[形質細胞]]に分化して増殖し、抗原に対応する抗体を作成し、放出する。抗体は抗原に特異的に結合し抗体-抗原複合体を作る。マクロファージはこの抗体-抗原複合体に引きつけられ、そしてこの複合体を貪食する。抗体の結合した細菌やウイルスはマクロファージにとって非常に能率よく食すことができるものとなる。この際T細胞はリンフォカインを放出するなどしてマクロファージを活性化したり、B細胞の増殖、分化を助ける。

活性化したヘルパーT細胞は、[[インターロイキン]]や[[リンフォカイン]]等の[[サイトカイン]]を生産することでマクロファージを活性化するとともに、自分が認識するものと同じ抗原を認識するB細胞を活性化させる。活性化したB細胞は[[形質細胞]]に分化して増殖し、抗原に対応する抗体を作成し、放出する。抗体は抗原に特異的に結合し抗体-抗原複合体を作る。マクロファージはこの抗体-抗原複合体に引きつけられ、そしてこの複合体を貪食する。抗体の結合した細菌やウイルスはマクロファージにとって非常に能率よく食すことができるものとなる。この際T細胞はリンフォカインを放出するなどしてマクロファージを活性化したり、B細胞の増殖、分化を助ける。



=== 活性化 ===

=== 活性化 ===


T[[]][[T]]maf (mmif)c3b[[]][[]]

T[[]][[T]] (maf) (mmif)c3b[[]][[]]


ある種のサイトカインは単球の成熟を促進し、マクロファージを増殖させ食作用を活性化する、またあるものはマクロファージを集め抗原を攻撃させる。これらの働きにより炎症反応が強くなる。

ある種のサイトカインは単球の成熟を促進し、マクロファージを増殖させ食作用を活性化する、またあるものはマクロファージを集め抗原を攻撃させる。これらの働きにより炎症反応が強くなる。




2LPSIFN-g(M1)IL-4IL-13(M2)M1M2<ref>[[]]3201621 3 2343</ref>M1M2M2IL-10[[TGF-β]]

2LPSIFN-g (M1) IL-4IL-13 (M2) M1M2<ref name=":0">[[]]3201621 3 2343</ref>M1M2M2[[IL-10]][[TGF-β]]

マクロファージが放出するサイトカインは血管の細胞に対して作用し細胞間の間隔を広げることで血液中から免疫細胞が出てくるのを促進させる効果がある

マクロファージが放出するサイトカインは血管の細胞に対して作用し細胞間の間隔を広げることで血液中から免疫細胞が出てくるのを促進させる効果がある




M1<ref>3201621 3 2343</ref>

肥満人では、脂肪細胞からM1マクロファージの活性化因子が誘導されやすいことが知られている{{r|:0}}




3(Nat rev immunol 2008 Vol.8 958-969)

3(Nat rev immunol 2008 Vol.8 958-969)
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== 関連項目 ==

== 関連項目 ==

{{commonscat|Macrophages}}

* [[血液]]

* [[血液]]

** [[白血球]]

** [[白血球]]

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== 外部リンク ==

== 外部リンク ==

{{commonscat|Macrophages}}

* {{Kotobank}}

* {{Kotobank}}



{{Myeloid blood cells and plasma}}

{{Myeloid blood cells and plasma}}


{{Normdaten}}

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{{DEFAULTSORT:まくろふああし}}

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[[Category:マクロファージ|*]]

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2024年5月19日 (日) 05:47時点における最新版


Macrophage, MΦ1[1][1][1] [1]

[1][2]
2



[]


1892 (1845-1916) 1908[3]

[]


5 %2寿

B

[]


a. 
b. 
c.  

1. 2. 3. 4. 5. 6. 

[]




Phagosome

[]


TMHCII (MHC-II) 

TTTCD4TT (TCR, T-cell receptor) MHC-IITTTT

TBB--TB

[]


TT (maf) (mmif)c3b



2LPSIFN-g (M1) IL-4IL-13 (M2) M1M2[4]M1M2M2IL-10TGF-β

M1[4]

3(Nat rev immunol 2008 Vol.8 958-969)

[]





[]




1

 (HIV) CD4T宿HIV

脚注[編集]



(一)^ abcdehttps://kotobank.jp/word/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%B8-135969#E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E5.85.A8.E6.9B.B8.28.E3.83.8B.E3.83.83.E3.83.9D.E3.83.8B.E3.82.AB.292019730 

(二)^ . .   (20105). 201331

(三)^ . _20180223  (PDF).  . 20207232020723

(四)^ ab3201621 3 2343

関連項目[編集]

外部リンク[編集]