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「仮面舞踏会 (ヴェルディ)」の版間の差分

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『'''仮面舞踏会'''』(かめんぶとうかい)は、[[ジュゼッペ・ヴェルディ]]が作曲し、[[1859年]][[2月17日]]に初演された全3幕からなる[[オペラ]]である。

『'''仮面舞踏会'''』(かめんぶとうかい)は、[[ジュゼッペ・ヴェルディ]]が作曲し、[[1859年]][[2月17日]]に初演された全3幕からなる[[オペラ]]である。



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*初演:[[1859年]][[2月17日]]、ローマ・アポロ劇場

*初演:[[1859年]][[2月17日]]、ローマ・アポロ劇場

*日本初演:[[1923年]][[1月31日]] 東京・[[帝国劇場]] カーピ歌劇団

*日本初演:[[1923年]][[1月31日]] 東京・[[帝国劇場]] カーピ歌劇団

*邦人初演:[[1959年]][[10月4日]] 東京・[[文京公会堂]] 東京オペラアカデミー

*邦人初演:[[1959年]][[10月4日]] 東京・[[文京公会堂]] 東京オペラアカデミー<ref>[http://opera.tosei-showa-music.ac.jp/search/Record/PROD-14339 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター]</ref>



== 作曲の経緯 ==

== 作曲の経緯 ==


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20世紀以降は、1935年、デンマーク・コペンハーゲン王立歌劇場での上演を皮切りに、舞台をスウェーデンに戻した改訂前のオリジナル版での上演も増えてきている。


201935稿[[2002]][[]][[]][[2023]]


== 初演の熱狂 ==

== 初演の熱狂 ==


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初演の時は[[イタリア統一運動]]全盛期であり、初演に熱狂した人々は街のいたるところに ''Viva VERDI!''(ヴェルディ万歳!)と落書きした。もちろんこれには素晴らしい作品を作曲したヴェルディを賞賛するのと同時に、VERDIが偶然にも「イタリア国王ヴィットリオ・エマヌエーレ」('''V'''ittorio '''E'''manuele, '''R'''e '''D'I'''talia)の頭文字を取ったものでもあり、イタリア統一を目指す[[サルデーニャ王国|サルデーニャ国王]][[ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世]]と重ね合わせられ、それによってヴェルディは愛国のシンボルとなったのである。

初演の時は[[イタリア統一運動]]全盛期であり、初演に熱狂した人々は街のいたるところに ''Viva VERDI!''(ヴェルディ万歳!)と落書きした。もちろんこれには素晴らしい作品を作曲したヴェルディを賞賛するのと同時に、VERDIが偶然にも「イタリア国王ヴィットリオ・エマヌエーレ」('''V'''ittorio '''E'''manuele, '''R'''e '''D'I'''talia)の頭文字を取ったものでもあり、イタリア統一を目指す[[サルデーニャ王国|サルデーニャ国王]][[ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世]]と重ね合わせられ、それによってヴェルディは愛国のシンボルとなったのである。


== 原作と台本 ==


1833

「仮面舞踏会」に描かれたリッカルドとアメーリアの道ならぬ恋、またアメーリアの夫レナートはリッカルドに最も忠実な側近であるとの設定は共にもともと史実ではなく、スクリーブの完全な創作になる脚色である。また、グスタフ3世がウルリカ・アルヴィドソンから暗殺について警告を受けたのは事実とされているが、その警告は暗殺の数年前のことであった。スクリーブはその逸話を暗殺直前の時期にずらして取り入れることで物語の緊迫感を高めている。これら作中のスクリーブによる脚色については、史実でない以上、別の描き方をヴェルディとソンマで検討することも可能であったと思われるが、おそらくヴェルディはあえてこれらの脚色をそのままにしていることから、彼がスクリーブの筆力を評価していたことはほぼ確実である(ヴェルディは1854年の「[[シチリアの晩鐘 (ヴェルディ)|シチリアの晩鐘]] 」作曲の際にスクリーブの台本に作曲する共同作業も経験している)。


ヴェルディがもともとスクリーブの戯曲から強い印象を受けていたのは、「国王という公的な地位にある人間の、それ故にこそ一層劇的な形の矛盾となって迫る友情と信頼と恋の相克の悲劇」<ref>全曲盤CD解説「ドラマの史実とその特質」(執筆:高崎保男)より</ref>という内容だったとの指摘もあり、この点を考えるなら上記の脚色についてヴェルディが改変を求めなかったのも頷ける。そのようにヴェルディがスクリーブの戯曲から感銘を受けていたにもかかわらず、ソンマにあえて台本の再構成を依頼したのは、オーベール版を超えるための布石であったと考えられる。既にオペラ化された題材を再びオペラ化すること自体はそれ以前からごく一般的に行われていたことであったが、作曲家としてあえて先行作品のあるものに取り組む以上、先行作を上回るものに仕上げたいと考えるであろうことは想像に難くなく、ヴェルディも作曲を思い立った時、同じ台本を用いるより(いつものように台本作成に細かく目を注いで)戯曲の本質を損なわずに再構成することで、より自分の音楽的意図に沿った台本を得て、総合的にオーベール版より上質の作品を作りあげたいと意図していたと思われる。



== 構成 ==

== 構成 ==

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===第1幕===

===第1幕===

====第1場====

====第1場====

ボストン総督リッカルドを賞賛する人々とそれにまぎれた反逆者たちの陰謀の合唱で幕が上がる。そこにリッカルドが現われ、小姓オスカルが差し出す仮面舞踏会の招待客名簿から、密かに思いを寄せるアメリアの名を見つけ、心をときめかせてロマンツァ「恍惚とした喜びの中で」を歌う。人々が退出して独りになったリッカルドは、物思いにふけりながら「アメリア」と独白するが、その時アメリアの夫レナートが入ってきて狼狽する。しかしレナートはこれに全く気付かなかった。レナートはアリア「希望と喜びに満ちて」、反対派がリッカルドの命を狙っている、もし万が一のことがあったら……と注意を促す。

ボストン総督リッカルドを賞賛する人々とそれにまぎれた反逆者たちの陰謀の合唱で幕が上がる。そこにリッカルドが現われ、小姓オスカルが差し出す仮面舞踏会の招待客名簿から、密かに思いを寄せるアメリアの名を見つけ、心をときめかせてロマンツァ「恍惚とした喜びの中で」を歌う。人々が退出して独りになったリッカルドは、物思いにふけりながら「アメリア」と独白するが、その時アメリアの夫レナートが入ってきて狼狽する。しかしレナートは全く気付かず、アリア「希望と喜びに満ちて」を歌い、反対派がリッカルドの命を狙っている、もし万が一のことがあったら……と注意を促す。



そこへ判事がやってきて、人心を惑わせる占い師ウルリカの追放を求めるが、ウルリカと仲のいいオスカルがバラータ「浅黒い顔で星を仰ぎ」を歌ってこれを弁護する。ウルリカへの関心を抱いたリッカルドは、心配するレナートを押し切り、人々を伴ってウルリカの所へ行こうと提案する。これに対して反逆者たちは、リッカルドへの暗殺のチャンスと喜ぶ。

そこへ判事がやってきて、人心を惑わせる占い師ウルリカの追放を求めるが、彼女と仲のいいオスカルがバラータ「浅黒い顔で星を仰ぎ」を歌ってウルリカを弁護する。占いに関心を抱いたリッカルドは、心配するレナートを押し切り、人々を伴ってウルリカの所へ行こうと提案する。これに対して反逆者たちは、リッカルドへの暗殺のチャンスと喜ぶ。



====第2場====

====第2場====

ウルリカの家では大勢の信者が集まっている。ウルリカはアリア「地獄の王よ」で不気味な呪文を唱えながら、占いをしている。そこへ漁師に変装したリッカルドがやってくる。占いが始まり、総督に仕える水夫シルヴァーノが自分に出世の芽があるか占ってくれと言う。それに対してウルリカは「金と位がすぐ手に入る」と予言する。これを聞いたリッカルドは、シルヴァーノを士官に任命する辞令と金をシルヴァーノのポケットに入れる。それを見つけてシルヴァーノは大喜び、人々は占いの的中に驚く。

ウルリカの家では大勢の信者が集まっている。ウルリカはアリア「地獄の王よ」で不気味な呪文を唱えながら、占いをしている。そこへ漁師に変装したリッカルドがやってくる。占いが始まり、総督に仕える水夫シルヴァーノが自分に出世の芽があるか占ってくれと言う。それに対してウルリカは「金と位がすぐ手に入る」と予言する。これを聞いたリッカルドは、シルヴァーノを士官に任命する辞令と金をシルヴァーノのポケットに入れる。それを見つけてシルヴァーノは大喜び、人々は占いの的中に驚く。




使退!

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===第2幕===

===第2幕===


!12姿

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===第3幕===

===第3幕===

====第1場====

====第1場====


退2

退2


====第2場====

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====第3場====

====第3場====

華やかな仮面舞踏会の会場に暗殺者3人組が現れる。レナートはオスカルに総督の扮装を聞き、勘のいいオスカルはうまくはぐらかすが、大事な話があるというレナートに結局は教えてしまう。リッカルドが会場に現れるが、アメリアが近寄り、危険だから立ち去るように言う。リッカルドはアメリアに本国に帰るよう言い、別れを告げる。しかし、そこへレナートが近寄ってリッカルドを刺す。倒れるリッカルド、総督が刺されたということで仮面舞踏会の会場は騒然となるが、リッカルドはれを制し、レナートにアメリアが潔白だと告げて、懐から本国への帰国と栄転を記した辞令を渡す。呆然とするレナートを尻目に、リッカルドは事件の関係者の特赦を言い残し、民衆への別れの言葉を最後に息を引き取る。

華やかな仮面舞踏会の会場に暗殺者3人組が現れる。レナートはオスカルに総督の扮装を聞き、勘のいいオスカルはうまくはぐらかすが、大事な話があるというレナートに結局は教えてしまう。リッカルドが会場に現れるが、アメリアが近寄り、危険だから立ち去るように言う。リッカルドはアメリアに本国に帰るよう言い、別れを告げる。しかし、そこへレナートが近寄ってリッカルドを刺す。総督が刺されたと仮面舞踏会の会場は騒然となるが、リッカルドはながらも皆を制し、レナートにアメリアが潔白だと告げて、懐から本国への帰国と栄転を記した辞令を渡す。呆然とするレナートを尻目に、リッカルドは事件の関係者の特赦を言い残し、民衆への別れの言葉を最後に息を引き取る。



== 聴きどころ ==

== 聴きどころ ==

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*アリア「私の最後の願い」(アメリア)

*アリア「私の最後の願い」(アメリア)

*アリア「おまえこそ心を汚すもの」(レナート)

*アリア「おまえこそ心を汚すもの」(レナート)

*:リッカルドへの怒りとアメリアのレナートの思いが切な

*:リッカルドへの怒りとへの思いを歌綴るバリトンの名アリア。

*ロマンツァ「もしも、私が永遠に」(リッカルド)

*ロマンツァ「もしも、私が永遠に」(リッカルド)

*:アメリアへの思いを諦める決心を歌う。切々とした思いが伝わる

*:アメリアへの思いを諦める決心を歌う。切々とした思いが伝わる


== 脚注 ==

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== 参考文献 ==

== 参考文献 ==

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*『イタリア・オペラ〈下〉 スタンダード・オペラ鑑賞ブック〈2〉』 [[音楽之友社]] 1998年

*『イタリア・オペラ〈下〉 スタンダード・オペラ鑑賞ブック〈2〉』 [[音楽之友社]] 1998年

*『200CD アリアで聴くイタリア・オペラ―ベルカントの魅力』 [[立風書房]]  2002年

*『200CD アリアで聴くイタリア・オペラ―ベルカントの魅力』 [[立風書房]]  2002年

*『仮面舞踏会 オペラ対訳シリーズ (13)』 音楽之友社 1967年

*『仮面舞踏会 オペラ対訳シリーズ (13)』 音楽之友社 1967年

*『歌劇大事典』[[大田黒元雄]] 音楽之友社 1952年

*『歌劇大事典』[[大田黒元雄]] 音楽之友社 1952年


== 外部リンク ==

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[[Category:ヴェルディのオペラ]]

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[[Category:戯曲を原作とするオペラ]]

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[[Category:ウジェーヌ・スクリーブ台本のオペラ]]

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[[Category:ダンスを題材とした楽曲]]

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聴きどころ[編集]

第1幕[編集]

  • ロマンツァ「恍惚とした喜びの中で」(リッカルド)
    テノールの美しさを堪能できる
  • アリア「希望と喜びに満ちて」(レナート)
    レナートのリッカルドへの思いが切々と伝わる
  • アリア「地獄の王よ」(ウルリカ)
    出番が少ないウルリカの出来を左右する曲。メゾ・ソプラノの腕の見せ所

第2幕[編集]

  • アリア「あの草を摘みとって」(アメリア)
  • 二重唱「ああ、何と心地よいときめきが」(リッカルド&アメリア)
    愛の陶酔の極致ともいうべき情熱的な二重唱

第3幕[編集]

  • アリア「私の最後の願い」(アメリア)
  • アリア「おまえこそ心を汚すもの」(レナート)
    リッカルドへの怒りと妻への思いを歌い綴るバリトンの名アリア。
  • ロマンツァ「もしも、私が永遠に」(リッカルド)
    アメリアへの思いを諦める決心を歌う。切々とした思いが伝わる

脚注[編集]

  1. ^ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
  2. ^ 全曲盤CD解説「ドラマの史実とその特質」(執筆:高崎保男)より

参考文献[編集]

  • 『イタリア・オペラ〈下〉 スタンダード・オペラ鑑賞ブック〈2〉』 音楽之友社 1998年
  • 『200CD アリアで聴くイタリア・オペラ―ベルカントの魅力』 立風書房  2002年
  • 『仮面舞踏会 オペラ対訳シリーズ (13)』 音楽之友社 1967年
  • 『歌劇大事典』大田黒元雄 音楽之友社 1952年

外部リンク[編集]