標本調査
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標本調査︵ひょうほんちょうさ︶とは、母集団をすべて調査対象とする全数調査︵悉皆調査︶に対して、母集団から標本を抽出して調査し、それから母集団の性質を統計学的に推定する方法である。
標本調査の例として、商品などの抜き取り調査、一般の社会調査や世論調査などがある。国勢調査は全数調査であり、選挙の投票も建前上は全数調査である。別の視点からいえば、投票行為そのものが標本作成であるということができる。社会調査は調査そのものが対象に影響を与えるので、動機づけのひずみ (motivational bias) を考慮する必要がある[1]。
全数調査は一般に以下のような理由によって不可能なことが多いので、標本調査が必要になる。
●物品を対象とする場合、破壊検査では調査すること自体が調査目的に合わない。全数検査は非破壊的検査に限る。
●費用・手間・時間がかかる。
例えば医学・心理学などの調査では、全人類︵これから生まれる人も含む︶が母集団になり、全数調査は費用・手間・時間が問題となるので調査は不可能。
単純抽出
これは全要素を平等に扱い、分割はしない方法である。
層化抽出
母集団が互いに重ならない複数のカテゴリからなる場合には、枠をそのカテゴリ、すなわち層に分ける。各層は、平均が互いに十分異なり、分散が全体の分散より小さいように選ぶとよい。各層から抽出する標本サイズの配分は比例割当法 (proportional allocation) または︵ネイマンの︶最適割当法 (optimum allocation) などによって決定される。
クラスター抽出
母集団の要素がクラスターを作っている場合、抽出にこれを利用してコストを省くことができる。例えば電話の通話を標本とする場合には、まず利用者を抽出し、その人の全ての通話︵クラスターを作る︶を調べるという方法がとれる。ただしクラスター内の各標本は無作為抽出した標本よりも互いに似た傾向があり、これを補うために標本サイズを大きくする必要がある。