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'''糞'''︵'''ふん'''、'''くそ'''︶とは、[[生物]]、特に[[動物]]の[[排泄物]]のうちの固体。大便。転じて、取るに足らない物、無意味な物、役立たない物を指して、この様に形容する場合もある。
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'''糞'''︵'''ふん'''、'''くそ'''︶とは、[[生物]]、特に[[動物]]の[[排泄物]]のうちの固体。大便や汚物,うんちとも言われる。転じて、取るに足らない物、無意味な物、役立たない物を指して、この様に形容する場合もある。
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2004年9月27日 (月) 09:28時点における版
糞︵ふん、くそ︶とは、生物、特に動物の排泄物のうちの固体。大便や汚物,うんちとも言われる。転じて、取るに足らない物、無意味な物、役立たない物を指して、この様に形容する場合もある。
概要
糞は大抵の場合において、禁忌されるべき不浄の存在として扱われる。特に衛生面から見た場合、伝染病罹患者の糞は危険な感染源である︵これらが近代の戦争で、赤痢等の伝染病を蔓延させるための生物兵器として使用された事もある︶し、また何よりも臭い。多くの生き物は、本能的に糞を避ける。
動物の糞は一般的に、草食獣などの弱い動物ほど糞の臭いは少なく、逆に肉食獣の糞は臭い。これは弱い動物が臭い糞をすると、天敵を集めてしまう危険が高くなるために、臭い糞をする草食獣は淘汰された結果だとも言われているが、逆に肉食獣などの糞は、脂質やタンパク質を消化するために様々な内分泌系が発達し、より臭いが強い傾向がある。
古くから、様々な理由で忌み嫌われてきた糞ではあるが、近年では生物学的な循環において、これらを資源として考える向きもあり、将来的には宇宙ステーションなどの閉鎖環境において、有効に活用する手段が求められる事もあり、そのための研究も広く行われている。
生物学的側面から見た糞
人間の場合の内容物は、摂取した食物のうち消化しきれなかったもの、新陳代謝によってはがれた腸内細胞、大腸菌などの腸内細菌、胆汁などの体内分泌液、水分などで、未消化物の組成は摂取した食物により左右される。
人間が出す便の色は、通常時の場合は黄土色~茶色で、これは胆汁によるものである。摂取した食物の種類、体調の違いにより緑みがかった色になったり、黒くなることもある。なお、便秘の場合︵色が黒っぽくて細かく固い便が出る︶は兎も角として、緩くて黒い場合は腸内出血の疑いがあるので、専門医に相談すべきだといわれている。胆汁の分泌量が少ないと、白っぽい便が出る事もある。︵その前に黄疸等の症状が出る事も多いが︶いずれにしても、健康の指標として、常に観察すべきだとする医者も多い。
悪臭を放ち、その原因はインドール、スカトール、硫化水素などによる物である。人間の場合、一日に平均して100~250gほどを排出するが、稀に体調の関係で、大量に︵緩い物が︶出たり、何日も出ない事もある。あまりに長い間出ないと、中毒症状を起こす事も在るので、一週間以上とか、あまりに長い期間出ない場合は、専門医に相談した方が良いそうである。︵個人の生活習慣もあるので、3~4日出なくても腹が張らないと云うのであれば、問題は無いらしい︶
糞の利用
糞は体内における酵素・細菌の働きによる変化を起こしており様々な利用がなされている。
飼料・食糧としての利用
未消化の栄養素を食糧として他の生物が利用する。人糞が豚や犬、魚類の餌として使用される場合がある。そのために便所はそれらの生物の飼育場所に隣接して作られることがある。動物の糞を虫が食糧とする場合がある。昆虫では糞転がし︵スカラベ︶が知られる。なお動物の中には、子育て期間中に子供の糞を食べてしまう物もあるが、これは子供の消化能力が弱くて、未消化の分が多いことも在るが、それ以上に天敵から身を守るために、糞をできるだけ巣の周辺の残さないようにする本能的な行動である。逆に親が子に栄養分を豊富に含む未消化の便を与える動物もある。これは初乳に近い役割を果たしている。
肥料としての利用
糞には窒素・リン酸を含んでいるため肥料として利用される。鶏糞、牛糞、人糞などが用いられている。江戸時代にはその人糞を出す階層によりその価値が違い栄養状態のよい階層から出された人糞は罪人などが出す物より高い値段で引き取られた。長屋に併設された共同便所は、これらの肥料原料を効率良く収集するために設置され、ここから得られた肥料で城下町周辺部の農地は大いに肥え、町民に食糧を供給し続けた。
これらの原料である屎尿は、そのまま使うと作物が根腐れするため、大抵は肥溜めに溜めて発酵させて利用する。ちなみに発酵中の物は非常に臭いが強いため、現代の日本では肥溜めはほとんど用いられない。日本においても下水設備が普及するまでは、人糞が肥料として盛んに用いられた歴史があるが、現代でも、未開な民族で行われている原始的農法の中には、便意を催したら、芋などの作物を育てている焼畑に穴を掘って、適時用便して肥料とする所もある。
今日では、鶏や牛などの家畜の糞を、おがくずや藁と混ぜて、専用の発酵施設で臭気を抑えつつ、発酵させ利用する。これらの有機肥料を使った農作物は、自然回帰のブーム等により、近年の無農薬栽培や低農薬栽培などと並んで、高価な値段で出回っており、栄養豊富で味も良いと好評を博している。
目印・確認用としての利用
糞を発見・調査することによってその近辺にいる動物を知ることができる。又、その糞を分析することによってその動物がどのようなものを食べているかを知ることができる。また糞は、動物の習性によって巣から一定距離の場所にばら撒かれたり、縄張り主張のために木等に擦り付いていたり、決まった場所にあったりと様々であるが、これら習性を調べて応用する事で、狩り等の際に効率良く対象の動物を発見できる。
その他の利用
●ウグイスの糞は化粧品として利用される。
●象の糞に食物繊維が含まれていることを利用して紙が作られている。
●乾燥地帯で牧畜が行われている場所では、乾燥させた草食動物の糞が燃料や壁材として利用されている。
●コーヒーは特定の動物が、特に出来の良いコーヒーの実を好んで食べる事から、この糞に含まれている未消化のコーヒー種子を取り出したものが高値で取引されている。
●朝鮮などでは、古くからの民間医療として、健康の度合いを測るために糞をなめる嘗糞と言う風習もある。
●ライオンの糞は、他の動物が嫌う臭いを出すため、野生動物からの農作物被害を減らすために、忌避剤としての研究が行われている。
慣用句としての糞
糞は忌避すべき存在ではあるが、日常的に目にする物体でもあるため、様々な慣用句に用いられる。
クソッ!
強い憤りを表す慣用句で、欧米でも“Shit!︵クソッ!︶”と、そのまんまな慣用句が存在している。旧来は、文字通り﹁糞を踏んでしまった﹂ような場合を指していたと思われるが、現在では自分を鼓舞する意味合いの方が強い。
Shit hit the fan︵糞が回転翼に当たった︶
旧悪などが露見し、関係者一同に被害が及ぶ事。飛び散る様子から﹁逃れ得ない災厄﹂と云う感じだが、日本の﹁火の粉が降り注ぐ﹂に相当する。
Holy shit︵聖なる糞?︶
アメリカの俗語で、激しい驚きを示す。意訳すれば﹁何じゃ、こりゃぁぁっ!!!!????﹂程度の意味。
糞も味噌も一緒くた
いくら色が似て居とはいえ、食品である味噌と汚物である糞を混ぜてしまう、非常に愚かしい事の例え。マーフィーの法則にある、﹁樽に一杯のワインに一滴の汚水を垂らした﹂後に出来上がる物と一緒である。古くは﹁糞味噌を混ぜる﹂とも云う
文化面から見た糞
特殊な性癖の中に、俗にスカトロと呼ばれる分野がある。日本語では﹁糞便愛好﹂や﹁糞尿愛好﹂とも云われるが、本来は忌避すべき糞便に、背徳的かつ性的な興奮を感じるこれらの性癖は、その実において、清潔さに対するアンチテーゼと呼ぶよりも、むしろ性的興奮に対する背徳感の微妙な変形であるとする説もある。同性癖に対する分析は諸説あるため、詳しい話は割愛するとしても、これらの性癖にある人は、好きな人の糞便を口にする事に、興奮を覚えるそうである。
脱糞する行為は非常にプライベートな部分であるため、他人の脱糞行為を伺い見ることは、羞恥心の無い幼児なら兎も角、成人の間では非常に稀な事である。人格形成の上で、脱糞行為は非常にデリケートな根底部分に含まれており、哲学上や心理学上における糞の扱いは、人間心理の洞察の上で、大変大きなウエイトが置かれている分野でもある。
また糞は美術面でも様々な形で、非常に内面的な心理描写を行う上で避けて通れない所があり、糞を模した美術品や糞そのものを加工したもの、更には芸術活動の一環として、糞を使った創作活動すら存在する。
糞に関する注意点
なお、これらの精神的な側面を持つ糞であるが、衛生面において、便秘ではないものが脱糞してすぐの物はそれ程問題は無いとされているが、脱糞後1時間以上経った物や、便秘の者の糞は、有害細菌の働きによって腐敗しており、健康に悪影響を与える毒素が発生するので、食糞してはいけないと云われている。
もっとも、寄生虫の問題もあるので、動物の糞は出来たてでも触れるべきではないし、人間の糞でも、一般的な価値観からすれば、弄り回して誉められる物でもないので、念のため。
糞と社会問題
糞は動物であれば、普遍的に排出する物ではあるが、これらが動物の習性により、社会問題化することがある。
犬の場合
ペットの犬の糞は、古くは往来の隅や植え込みの陰などに放置される事が多かった。しかし都市部で犬を飼う家庭が増えてくると、これらの放置された糞便が、次第に住民感情を害するようになり、有効な対応策が行政や犬を飼う人に求められるようになった。
この要望に対してフランスのパリ市では、犬に糞をさせるための場所を路上に設置し、簡易バキューム機を搭載したオートバイによる清掃隊を配置して対応しているし、イギリスのロンドン市では、公園などに飼い主が回収した糞を入れるための、専用の汚物入れを設けるなどしている。日本においては、地域条例により、路上など、公共性のある場所に、ゴミやタバコの吸殻と並んで、犬の糞も放置する事に罰金などを設ける所も出てきている。
一方、昨今では愛犬家側にもだいぶ教育が浸透しており、犬の散歩の際にはビニール袋やポケットティッシュ持参で散歩する人がほとんどである。犬が排泄したら、その場でティッシュをかぶせ、裏返しにした袋を手にはめて、ティッシュの上から摘んで拾い上げ、そのまま裏返した袋を元に戻して回収するため、非常に衛生的に始末できるが、近年では更に糞の回収を便利にする様々なケア用品が発売され、中には便意を催した犬の後ろから宛がって、直接器具内に用便させる﹁犬用携帯トイレ﹂も発売されている。なお、一部の愛犬家に至っては、犬を訓練して、散歩前に用便を済まさせ、散歩中に催させない人も居る程である。
猫の場合
猫は古くより、人間の住居に出入り自由な形で飼育されていたが、現代の住宅地においては、他人の敷地に侵入してしまったりする事も在るために、近所間のトラブルに発展する事例が近年増えている。
土の露出面積が減った関係上で、柔らかい土を掘り返して用便し、終わった後は土を掛けて隠す事を好むこの動物が、他人の家の花壇や、児童が遊ぶ砂場などに用便してしまい、衛生上の観点や心情的な問題から、隣人関係が悪化してしまう他、特に野良猫を大量に餌付けしてしまう人の近隣や、多くの猫を飼育している家の近所で、住民間の対立を生んでしまう事例も発生している。
また児童の遊ぶ砂場では、野良猫の持っている寄生虫による被害を防止するため、児童の居ない時はビニールシートを被せたり、定期的に加熱消毒するなどの措置を行う所もあるが、中にはそれほど経費を掛けられない関係から、児童公園から砂場が消えてしまったり、クレゾール石鹸液等の化学薬品で殺菌しようとして、正しい用法を知らずに原液を撒いてしまい、知らずに遊んだ児童が化学火傷を負うなどの健康被害を生む事件まで発生している。またこれらの問題では﹁遊んだら手を洗おう﹂という約束事がまだ守れない幼児ほど、寄生虫などによって病気に成り易い点もあり、軋轢を深める原因となっている。
これらの問題に対して、無節操な飼育方法を見直そうという運動があり、都市部においては飼い猫は屋内で飼うように行政側が提言を行い、飼い主側に自主的な協力を呼び掛けたり、野良猫に餌を与えて養うにしても、
●不快感を催させるほどに増えすぎたりしないよう去勢する︵去勢は倫理的に野蛮な行為なので、敢えて推奨はしない︶
●健康管理を行って伝染病や寄生虫の蔓延を防ぐ
●公共の場所や他人の敷地に放置された糞を猫を世話する側が掃除する
●入って来て欲しくない場所には侵入防止用の措置を行う
…といった様々な対応をする事で、野良猫と地域住民の共存を図る地域猫制度を推進する自治体やボランティア団体も出始めている。
鳩の場合
鳩は食料さえ豊富なら、非常によく繁殖し、また大きな群れを作る事でも知られるが、これと同時に、増えて群れた分だけまとまった場所に糞をする事でも知られている。近年では都市部で繁殖し過ぎた鳩により、衛生面のみならず、伝染病の媒介をしてしまう例もあり、大きな社会問題となっている。
この問題に対して、都市部での鳩駆除という手も在るが、古くより平和や繁栄の象徴とされてきた鳩だけに、手荒な対処方法を取れない行政側も多く、更に問題を根深いものとしている。この問題に対しては、鳩の餌を断つ事で、都市部に集中しすぎた鳩の群れを分散させ、繁殖し過ぎないようにする運動が、消極的ながら推進されており、都市部では鳩に餌を与えた場合に罰金が科せられる所もある。
なお中国や欧米・中東では、良く増える鳩は、古来より重要な蛋白源としても利用されてきたため、食用として捕獲する分にはそれ程前出の動物愛護問題にも絡まないため、食料資源として捕獲して、実数削減に励もうという話も、一部では出るようである。
人間の場合
人間の糞は、しばしば脅迫や嫌がらせの道具として使用される事がある。日本ではバブル期において、地上げ屋が汚物の詰まったバキュームカーで乗り付け、汚物を撒き散らして事故だと言い張る事件が在ったとか無かったとか云う話もあるが、実際問題として、痴情絡みの怨恨で、汚物を他人の家の郵便受けに投げ込む輩は後を絶たないようである。
前出の糞と人格形成上の問題から見ても、少々興味深いこれらの事件は、実質的に精神的な被害もさる事ながら、汚損された敷地・設備の清掃にも費用が掛かり、広義の器物破損にも問われる行為ではある。
関連項目
tokipona:ko_jaki