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鴻巣七騎︵こうのすしちき︶は、戦国時代に太田氏に仕え、武蔵国足立郡の鴻巣郷︵現・埼玉県鴻巣市、北本市︶周辺に土着した家臣団を指した呼称である^[1]。七騎の氏名や在地場所には様々な説があり、またその人数も7人に限られてはいない^[1]。

該当者[編集]

大島大炊助宮内村^[1]︵後の北本市宮内^[1]︶大島氏は上野国新田氏の一族で新田郡大島村より出たとも^[2]、伊豆大島より出て太田氏や後北条氏の家臣となったとも伝えられている^[1]。永禄7年︵1564年︶、足立郡宮内村の開発領主として10貫500文の土地を与えられたが、天正18年︵1590年︶の小田原征伐による岩付城落城後、浅野長政から居住地において一族の大膳亮と共に帰農するように命じられた^[1]。大島大膳亮久家宮内村^[3]︵後の北本市宮内^[1]︶大島大炊助の一族^[1]。一族で宮内村に住した大嶌土佐守善久の三男小四郎重富を養子とし、大膳亮を名乗らせる^[4]。大島大膳亮、式部、家紋丸ノ内三葉三花、笹リントウ、幕紋カフ竹ニ鳳凰。加藤修理亮宗安中丸村^[5]︵後の北本市中丸^[1]︶小池長門守久宗の次男で、母方の姓を名乗る^[1]。法名、明雲院殿月菴宗安居士。慶長4年8月4日没。墓所は館跡にある真言宗安養院。通称、幸左衛門を名乗る^[5]。小池長門守久宗^[6] 鴻巣宿^[7]︵後の鴻巣市^[1]︶天文20年︵1551年︶、北条氏康の命により岩附城下の市宿より移住し市宿新田の開発、鴻巣宿の発展の基礎をつくった^[1]。孫の隼人助は鴻巣御殿用地を寄進^[8]。子孫は三太夫を名乗り、宿役人を務めた^[1] 河野和泉守常光村^[9]︵後の鴻巣市常光^[1]︶岩付太田氏に仕え、慶長年間に当地に土着すると、代々名主を務めた^[9]。立川石見守上谷村^[10]︵後の鴻巣市上谷^[1]︶岩付太田氏に仕え小田原征伐の後に当地に土着したものと考えられるが、記録を失い詳細は定かではない^[10]。上谷に龍燈という小字がある。ここに大きな沼があり農民を困らせる龍が棲んでおり、天正の頃に岩槻の浪人立川石見守が退治し、村人はこれを悦んで龍燈と名づけ、沼を干拓し水田とした^[10]。深井対馬守景吉深井村^[11]︵後の北本市深井^[1]︶深井氏は長尾景春の子孫で、祖父の景行の代に深井に移り住んだと伝えられている^[1]。父の景孝が深井に生まれ深井姓を称した^[4]。岩付太田氏に仕え太田氏資が永禄10年︵1567年︶に三船山の戦いにおいて戦死した後も、完全には帰農せず北条氏政や太田氏房の家臣として名を連ねた^[1]。本木某加納村^[12]︵後の桶川市加納^[1]︶岩付太田氏旗下の鴻巣七騎の一人と伝えられているが、記録を失い詳細は定かではない^[12]。室町から戦国期に存在した加納城は本木氏^[13]、または本木氏の祖先の城であったと推測されるが実態は定かではない^[14]。矢部某下谷村^[15]︵後の鴻巣市下谷^[1]︶大島大炊助、大膳亮らと共に帰農するように命じられた矢部新右衛門のことと推定される^[1]。中下谷村や北下谷村に村役人として定着した^[1]。

脚注[編集]

(一)^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p ^q ^r ^s ^t ^u ^v北本市教育委員会編﹃北本のむかしといま﹄北本市教育委員会、1996年、121-124頁。 (二)^ 岩槻市﹃岩槻市史古代・中世資料編2﹄岩付太田氏関係資料、岩槻市市史編さん室、1983年、565頁。 (三)^ 蘆田 1981、12頁 (四)^ ^a ^b鴻巣市市史編さん調査会編﹃鴻巣市史通史編1原始・古代・中世﹄鴻巣市、2000年、492-493頁。 (五)^ ^a ^b蘆田 1981、21頁 (六)^ 北本市教育委員会編﹃北本市史第1巻通史編﹄北本市教育委員会、1994年、543-546頁。 (七)^ 蘆田 1981、6頁 (八)^ 西野博道﹃続・埼玉の城址30選﹄埼玉新聞社、2008年、65頁。ISBN 978-4878892974。 (九)^ ^a ^b蘆田 1981、25-26頁 (十)^ ^a ^b ^c蘆田 1981、7-8頁 (11)^ 蘆田 1981、6-7頁 (12)^ ^a ^b蘆田 1981、22頁 (13)^ “市指定文化財”. 桶川市. 2016年8月12日閲覧。 (14)^ 桶川歴史民俗資料館編﹃桶川歴史民俗資料館古文書調査報告書第二集上加納村本木家文書目録﹄桶川歴史民俗資料館、2004年、3-4頁。 (15)^ 蘆田 1981、19頁

参考文献[編集]

蘆田伊人編・校訂『新編武蔵風土記稿』第8巻、雄山閣出版、1981年。

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+'''鴻巣七騎'''︵こうのすしちき︶は、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]に[[太田氏#清和源氏頼光流太田氏|太田氏]]に仕え、[[武蔵国]][[足立郡]]の鴻巣郷︵現・[[埼玉県]][[鴻巣市]]、[[北本市]]︶周辺に土着した家臣団を指した呼称である<ref name="北教委">{{Cite book|和書|author=北本市教育委員会 編|title=北本のむかしといま|publisher=北本市教育委員会|year=1996|pages=121-124}}</ref>。七騎の氏名や在地場所には様々な説があり、またその人数も7人に限られてはいない<ref name="北教委"/>。
-'''鴻巣七騎'''︵こうのすしちき︶は、[[岩槻城|岩附城]]の[[戦国大名]][[太田氏]]に仕えた鴻巣周辺の家臣団のこと。やがて太田氏が[[後北条氏]]に従属し、[[小田原の役]]により、多くのものは帰農し、今もその子孫は同地に住んでいる例が多い。
-== 鴻巣七騎 ==
+== 該当者 ==
+; 大島大炊助
-*[[小池長門守久宗]]－（[[鴻巣市]]鴻巣）
+: 宮内村<ref name="北教委"/>（後の[[北本市]]宮内<ref name="北教委"/>）
-**[[天文 (元号)|天文]]20年︵[[1551年]]︶、岩附城下の市宿より移住し市宿新田の開発、[[鴻巣宿]]の発展の基礎をつくった。孫の隼人助は鴻巣御殿用地を寄進。子孫は、三太夫を名乗り、宿役人として存続。
+: 大島氏は[[上野国]][[新田氏]]の一族で[[新田郡]]大島村より出たとも<ref name="岩槻">{{Cite book|和書|author=岩槻市|authorlink=岩槻市|title=岩槻市史 古代・中世資料編2|volume=岩付太田氏関係資料|publisher=岩槻市市史編さん室|year=1983|page=565}}</ref>、[[伊豆大島]]より出て太田氏や後北条氏の家臣となったとも伝えられている<ref name="北教委"/>。[[永禄]]7年︵1564年︶、[[足立郡]]宮内村の開発領主として10貫500文の土地を与えられたが、[[天正]]18年︵1590年︶の[[小田原征伐]]による[[岩槻城|岩付城]]落城後、[[浅野長政]]から居住地において一族の大膳亮と共に帰農するように命じられた<ref name="北教委"/>。
-*[[立川石見守]]－（鴻巣市上谷）
+; 大島大膳亮久家
-**龍退治の伝説が残る。
+: 宮内村<ref>[[#蘆田 1981|蘆田 1981]]、12頁</ref>（後の北本市宮内<ref name="北教委"/>）
-*[[河野和泉守]]－（鴻巣市常光）
+: 大島大炊助の一族<ref name="北教委"/>。一族で宮内村に住した大嶌土佐守善久の三男小四郎重富を養子とし、大膳亮を名乗らせる<ref name="鴻巣市"/>。大島大膳亮、式部、家紋丸ノ内三葉三花、笹リントウ、幕紋カフ竹ニ鳳凰。
-*矢部某－（鴻巣市下谷）
+; 加藤修理亮宗安
-*[[深井対馬守景吉]]－（[[北本市]]深井）
+: 中丸村<ref name="蘆田21">[[#蘆田 1981|蘆田 1981]]、21頁</ref>（後の北本市中丸<ref name="北教委"/>）
-**越後長尾氏。父の景孝が深井に生まれ深井姓を称す。
+: 小池長門守久宗の次男で、母方の姓を名乗る<ref name="北教委"/>。法名、明雲院殿月菴宗安居士。慶長4年8月4日没。墓所は館跡にある真言宗安養院。通称、幸左衛門を名乗る<ref name="蘆田21"/>。
-*[[大島大膳亮久家]]－（北本市宮内）
+; 小池長門守久宗<ref name="北本市">{{Cite book|和書|author=北本市教育委員会 編|title=北本市史 第1巻 通史編|publisher=北本市教育委員会|year=1994|pages=543-546}}</ref>
-**[[源為朝]]の子孫という。[[伊豆大島]]より出ている。家紋は武家の家紋、丸に剣片喰(けんかたばみ) 。[[民主党 (1996-)|民主党]][[衆議院議員]]・[[大島敦]]の祖先にあたる。
+: 鴻巣宿<ref>[[#蘆田 1981|蘆田 1981]]、6頁</ref>（後の[[鴻巣市]]<ref name="北教委"/>）
-*[[加藤修理亮宗安]]－（北本市中丸）
+: [[天文 (元号)|天文]]20年︵[[1551年]]︶、[[北条氏康]]の命により岩附城下の市宿より移住し市宿新田の開発、[[鴻巣宿]]の発展の基礎をつくった<ref name="北教委"/>。孫の隼人助は鴻巣御殿用地を寄進<ref>{{Cite book|和書|author=西野博道|title=続・埼玉の城址30選|publisher=[[埼玉新聞社]]|year=2008|isbn=978-4878892974|page=65}}</ref>。子孫は三太夫を名乗り、宿役人を務めた<ref name="北教委"/>
-**小池長門守久宗の次男。母方の姓を名乗る。法名、明雲院殿月菴宗安居士。慶長4年8月4日没。墓所は館跡にある真言宗安養院。通称、幸左衛門を名乗る。
+; 河野和泉守
-*本木某－（[[桶川市]]加納）
+: 常光村<ref name="蘆田25-26">[[#蘆田 1981|蘆田 1981]]、25-26頁</ref>（後の鴻巣市常光<ref name="北教委"/>）
-**[[本木雅弘]]の祖先にあたる。
+: 岩付太田氏に仕え、[[慶長]]年間に当地に土着すると、代々名主を務めた<ref name="蘆田25-26"/>。
+; 立川石見守
+: 上谷村<ref name="蘆田7-8">[[#蘆田 1981|蘆田 1981]]、7-8頁</ref>（後の鴻巣市上谷<ref name="北教委"/>）
+: 岩付太田氏に仕え小田原征伐の後に当地に土着したものと考えられるが、記録を失い詳細は定かではない<ref name="蘆田7-8"/>。上谷に龍燈という小字がある。ここに大きな沼があり農民を困らせる龍が棲んでおり、天正の頃に岩槻の浪人立川石見守が退治し、村人はこれを悦んで龍燈と名づけ、沼を干拓し水田とした<ref name="蘆田7-8"/>。
+; 深井対馬守景吉
+: 深井村<ref>[[#蘆田 1981|蘆田 1981]]、6-7頁</ref>（後の北本市深井<ref name="北教委"/>）
+: 深井氏は[[長尾景春]]の子孫で、祖父の景行の代に深井に移り住んだと伝えられている<ref name="北教委"/>。父の景孝が深井に生まれ深井姓を称した<ref name="鴻巣市">{{Cite book|和書|author=鴻巣市市史編さん調査会 編|title=鴻巣市史 通史編1原始・古代・中世|publisher=鴻巣市|year=2000|pages=492-493}}</ref>。岩付太田氏に仕え[[太田氏資]]が永禄10年︵1567年︶に[[三船山合戦|三船山の戦い]]において戦死した後も、完全には帰農せず[[北条氏政]]や[[太田氏房]]の家臣として名を連ねた<ref name="北教委"/>。
+; 本木某
+: 加納村<ref name="蘆田22">[[#蘆田 1981|蘆田 1981]]、22頁</ref>（後の[[桶川市]]加納<ref name="北教委"/>）
+: 岩付太田氏旗下の鴻巣七騎の一人と伝えられているが、記録を失い詳細は定かではない<ref name="蘆田22"/>。室町から戦国期に存在した加納城は本木氏<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.city.okegawa.lg.jp/shisei/46/173/p000828.html#kanoujyou|title=市指定文化財|publisher=桶川市|accessdate=2016-08-12}}</ref>、または本木氏の祖先の城であったと推測されるが実態は定かではない<ref>{{Cite book|和書|author=桶川歴史民俗資料館 編|title=桶川歴史民俗資料館古文書調査報告書第二集 上加納村本木家文書目録|publisher=桶川歴史民俗資料館|year=2004|pages=3-4}}</ref>。
+; 矢部某
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+: 下谷村<ref>[[#蘆田 1981|蘆田 1981]]、19頁</ref>（後の鴻巣市下谷<ref name="北教委"/>）
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+: 大島大炊助、大膳亮らと共に帰農するように命じられた矢部新右衛門のことと推定される<ref name="北教委"/>。中下谷村や北下谷村に村役人として定着した<ref name="北教委"/>。
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+== 脚注 ==
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+== 参考文献 ==
+* {{Cite book|和書|author=蘆田伊人 編・校訂|authorlink=蘆田伊人|title=新編武蔵風土記稿|volume=第8巻|publisher=[[雄山閣|雄山閣出版]]|year=1981|ref=蘆田 1981}}
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