お見立て
お見立て︵おみたて︶は古典落語の演目。別題に墓違い︵はかちがい︶[1]。上方落語では手向け茶屋︵たむけぢゃや︶の題で演じられる。
概要[編集]
吉原遊廓を舞台にした、いわゆる﹁廓噺︵くるわばなし︶﹂のひとつ。原話は、1808年︵文化5年︶に出版された笑話本﹃噺の百千鳥﹄の一編﹁手くだの裏﹂。主な演者に6代目春風亭柳橋、3代目古今亭志ん朝、桂歌丸、古今亭志ん輔らが知られる。 終盤に登場する墓碑銘に書かれた戒名は演者によって異なり、一般にはふざけたダジャレが多い。あらすじ[編集]
基本的に演者はまず、かつての吉原遊廓における﹁張り見世﹂の説明を行う。これは遊女たちが、妓楼の大きな格子窓から、通りに向かって姿を見せて客を呼ぶものであり、男性店員である妓夫︵俗に牛太郎︶が﹁よろしいのをお見立て願います﹂と口上を言いながら通行人に声をかけ、客引きを行うのが一般的であった。 ある富農で田舎者の客・杢兵衛︵もくべえ︶が、花魁の喜瀬川に惚れ込み、通い詰めるようになっていたが、彼女はその客が嫌いであり、次来たら病気だといって断るように店の妓夫・喜助に命じる。その杢兵衛が来たので喜助は言われた通りにするが、彼はそれなら見舞いをしたいと言い出す。困って喜瀬川に相談しに行くと、それなら亡くなったことにしなさいと言われ、その通りにすると、今度は墓参りがしたいと言い出す。再び相談された喜瀬川は、適当な墓を自分の墓に見せかけて済ましなさいと命じる。 喜助は杢兵衛を案内して適当な寺に連れていく。墓石に彫られた墓碑銘を誤魔化すため、大量の仏花と線香を寺番から買い、適当な墓をここが喜瀬川の墓ですといってさっさと終わらせようとする。しかし、うっかり墓碑銘を読まれてしまい、喜瀬川の墓ではないと気づかれてしまう。間違えましたと別の墓に案内するが、もはや杢兵衛も最初から墓碑銘を確認するようになっており、騙されることはない。次々と違う墓に案内されて、業を煮やした杢兵衛は﹁いったい本物の墓はどれだ﹂と問い詰めると、喜助は言う。 ﹁よろしいのをお見立て願います﹂脚注[編集]
- ^ 東大落語会 1969, p. 107, 『お見立て』.
参考文献[編集]
- 東大落語会 (1969), 落語事典 増補 (改訂版(1994) ed.), 青蛙房, ISBN 4-7905-0576-6
関連項目[編集]