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雑穀八︵ざこはち・ざこ八︶は、落語の演目。元々は上方落語の演目の一つであるが江戸でも行われている。
元々2つの原作が組み合わさった話らしく、前半部は安永2年版﹃聞上手﹄所収の﹁二度添﹂、後半部は明和9年版﹃楽牽頭﹄所収の﹁大食﹂と言われている[1]。こうした事情から、前半部を﹁先︵せん︶の仏﹂、後半部を﹁二度のごちそう﹂という題目で演じたり、サゲの部分が異なる形になっているものがある[1][2]。
あらすじ[編集]
雑穀商の﹁雑穀八﹂の一人娘であるお絹との婚礼を控えていた鶴吉は婚礼の日に突然行方をくらましてしまう。
それから10年後、200両の財産を築いて戻ってきた鶴吉は﹁雑穀八﹂が潰れていることに気付く。
仲人を務める予定であった枡屋の隠居・新兵衛からは、鶴吉に逃げられた﹁雑穀八﹂では新しい婿を迎えたが、新しい婿は女遊びと米相場で財産を失って自らは病気で死に、残されたお絹は病をうつされた上に家も財産も人手に渡って廃屋で乞食同然の生活をしている、それもこれも全て鶴吉が婚礼から逃げたせいだと責め立てられる。
衝撃を受けた鶴吉はお絹の元に向かって今までの事を謝罪し、彼女を娶って﹁雑穀八﹂を立て直すことを誓う。
鶴吉の勤勉な働きの結果、﹁雑穀八﹂は再興され、鶴吉が捨てた積もりの200両で投資した米相場も利益を上げ、更にその儲けたお金でお絹に高度な医療を受けさせて元の美しさを取り戻した。
そんなある日、魚屋が﹁雑穀八﹂に鯛を持ち込んだ。鶴吉はこれを買って店の者に振る舞おうと考えていたが、お絹は﹁先の仏の精進日だから魚は買わない﹂と断ってしまう。先の仏の精進日=﹁雑穀八﹂を潰した亡くなった婿の命日だと気付いた鶴吉は納得せずに夫婦喧嘩を始めてしまう。
事情を察した魚屋がお絹に﹁おかみさんが先の仏のことばかり言っているので、今の仏が怒っているのですよ﹂と宥めるのであった︵前半部サゲ︶。
結局、喧嘩は収まらず、鯛を買った鶴吉は板前を招いて魚料理を店の者に振る舞い、お絹も精進料理を用意して店の者に振る舞った。
このため、2人分の御馳走を食べることになった店の者は困惑してしまうが、断ることもできずに全てを食べ終えた頃には下も向けない程にお腹が膨らんでしまう。
ふと、店員の1人が来月が奥方︵お絹︶の帯祝いの宴会があるのを思い出す。これを聞いた別の店員が﹁帯祝いと聞いただけで︵妊婦のように︶お腹が膨らんでくる﹂と返した︵後半部サゲⅠ︶。
別の店員は帰宅しようと外に出ると、足元に誰かが倒れている。他の店員が食べ過ぎて倒れてしまったと勘違いして声をかけると、それはお腹をすかせた乞食であった。それを見た店員は﹁お腹をすかせているのか?それは大変羨ましい話だ﹂と返した︵後半部サゲⅡ︶。
(一)^ ab﹃増補 落語事典﹄P200.
(二)^ ﹃現代上方落語便利事典﹄P186.
参考文献[編集]
●東大落語会 編﹃増補 落語事典﹄︵青蛙房、1975年︶
●相羽秋夫﹃現代上方落語便利事典﹄︵少年社、1987年︶