アルバン・ウィリアム・フィリップス

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ウィリアム・フィリップス
ネオケインジアン経済学
生誕 1914年11月18日
死没 1975年3月4日(60歳)
影響を
受けた人物
アーヴィング・フィッシャー
ジョン・メイナード・ケインズ
影響を
与えた人物
ポール・サミュエルソン
ロバート・ソロー
エドムンド・フェルプス
実績 失業価格変動の関連性(フィリップス曲線
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Alban William Housego Phillips19141118 - 197534LSE
19581949MONIAC

[]


19141937

31946

LSE1949LSEMONIACLSE1951195819671969退

19753

業績[編集]

彼の考案したMONIAC装置と
MONIAC

MONIAC[編集]

  • フィリップスがLSEの学生だった頃、彼はイギリス経済の動きをモデル化するために、水力を用いたアナログコンピュータを開発した。これは「貨幣的国民所得自動計算機」(Monetary National Income Automatic Computer, MONIAC)と呼ばれたが、恐らくはアメリカのENIACコンピュータを思わせるバクロニムである。そのタンクとパイプを通る水の流れは正確に経済を巡る貨幣の流れを模していた。税率や利子率といった経済変数の捕らえ難い相互作用をモデル化するMONIACコンピュータの能力は、当時としては強力な道具となった。フィリップスは1949年に初めてLSEの主要な経済学者等にMONIACを披露したところ大変好意的に受け取られ、フィリップスは間もなくLSEの教職を得ることとなった。彼は1951年補助講師から1958年教授へと昇進した。

フィリップス曲線[編集]

  • 彼は研究はイギリスのデータに焦点を当て、失業率が高い年は賃金率は安定しているか、あるいは下落する傾向を観察した。逆に、失業率が低い時は、賃金率は急激に上昇した。この種の傾向は既にアーヴィング・フィッシャーによって確認されていたが、1958年にフィリップスはフィリップス曲線によって描かれるインフレーション失業との間の関係についての彼自身の研究を出版した。
  • フィリップスの論文が出版されると間もなく、強い経済と低いインフレーションとの間にトレード・オフの関係があるという着想は、学究的経済学者や政策立案者に等しく想像力を引き起こした。ポール・サミュエルソンロバート・ソローは、アメリカの経済状況下でフィリップス曲線に示唆された可能性について述べた重要な論文を書いた。人々がフィリップス曲線と考えるものは時間とともに実質的に変化してはいるものの、依然として景気変動のマクロ経済分析の重要な特徴である。

その他の貢献[編集]

  • フィリップスはいくつか他にも経済学への、特に安定化政策に関する注目すべき貢献を行った。経済学へのこのアプローチが彼のエンジニアとしての初期の訓練を反映していることは、異なる部門間の取引の流れを表現するためにパイプと巡回する水を備えた経済の物理モデルを構築したことでも明らかである。

著作[編集]

  • "Mechanical Models in Economic Dynamics", 1950, Economica
  • "Stabilization Policy in a Closed Economy", 1954, EJ
  • "Some notes on the estimation of time-forms of reactions in interdependent dynamic systems", 1956, Economica
  • "Stabilisation policy and the time form of lagged response", 1957, EJ
  • "The Relation Between Unemployment and the Rate of Change of Money Wage Rates in the United Kingdom, 1861-1957", 1958, Economica
  • "The Estimation of Parameters in Systems of Stochastic Differential Equations", 1959, Biometrika
  • "Employment, Inflation and Growth", 1962, Economica
  • "Estimation of Systems of Difference Equations with Moving Average Disturbances", 1966, Econometrica