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●生涯に1冊しか著書を残さなかったこともあり現代では忘れられた存在となっているが、大正期の文壇ではその放蕩無頼な性格ゆえに風変わりな人気者であった。
●若山牧水とは特に親しく、﹃地球の生滅﹄の翻訳は牧水の下宿に転がり込んで執筆した。また牧水の中央新聞への就職を世話した。
●欧米の推理小説の輸入に関わっており、1911年︵明治44年︶には清風草堂主人の名で、モーリス・ルブランのアルセーヌ・ルパンものの翻案を国内で初めて出版した。実業之世界社が日本初の探偵雑誌を創刊した際も翻訳を寄せた。なおこの筆名を名乗ったのは安成だけではないと推測されている。
●﹃萬朝報﹄時代は懸賞小説欄の審査員を担当し、官憲の圧力で職を得られなかった荒畑寒村と示し合わせて、匿名で投稿させては賞金を与えていた。
●実業之世界社では月給百円という破格で野依秀市に迎え入れられていたが、ほとんど仕事をしなかった。
●コカイン中毒で、﹃近代思想﹄に文芸評論の連載を持っていた頃はいつも〆切に間に合わず、大杉に編集後記で﹁また安成の野郎が﹂と、毎号のように愚痴を書かれたという。
●文壇與太話 東雲堂書店 1916.8 (生活と藝術叢書)
●﹃安成貞雄文芸評論集﹄編集委員会 (2004). 安成貞雄その人と仕事. 不二出版. ISBN 978-4835044088
●地球の生滅︵訳︶ヰルヘルム・マイァー 三徳社書店 1922 (民衆科学叢書)
(一)^ 人・その思想と生涯︵20︶安成貞雄 伊多波英夫
(二)^ ときの忘れもの 安成三兄弟
(三)^ 服部敏良﹃事典有名人の死亡診断 近代編﹄付録﹁近代有名人の死因一覧﹂︵吉川弘文館、2010年︶29頁
参考文献[編集]
●伊多波英夫 (2005). 安成貞雄を祖先とす ドキュメント・安成家の兄妹. 無明舎出版. ISBN 978-4895444064
外部リンク[編集]
●早稲田と文学︵安成貞雄︶ - ︵早稲田大学︶
●﹃文壇与太話﹄ 安成貞雄著 (東雲堂書店, 1916)