御主
(御主加那志前から転送)
御主︵うしゅー、または、うすー︶は、琉球国王の国内称号である。朝貢関係にあった明及び清からは琉球國中山王の封号を受け、対外的には琉球國中山王︵琉球國王︶と称した。
概要[編集]
琉球国王の国内称号については、古くは陳侃﹃使琉球録﹄︵1534年︶に﹁倭急拿敖那﹂という字句があり、これは﹁ウチナーガナシ︵浮縄加那志︶﹂の﹁シ﹂が脱落したものという説︵東恩納寛惇︶がある︵ウチナーに﹁沖縄﹂の字を当てるようになったのは、新井白石以降︶。 ﹃混効験集﹄︵1711年成立︶には、国王の呼称として﹁しより天加那志美御前﹂﹁おしゆ加那志﹂が紹介されている。しょり天加那志︵首里天加那志︶は、恩納なべなどの琉歌にも出てくる。おしゆ加那志は御主加那志のことである。 ﹁御主﹂の語源については、主上を意味する﹁大ぬし﹂と呼ばれていたものが、慶長以降、仮名に漢字を当てる風習が強まり、﹁大ぬし﹂に﹁大主﹂または﹁御主﹂の漢字を当てるようになり、さらにこれを﹁おしゆ﹂と音読みするようになったのではないかという説︵東恩納寛惇︶がある。 御主は、琉球国内では国王の称号としてもっとも用いられた。例えば、尚灝王は晩年﹁坊主御主﹂と呼ばれた。通常は御主に尊称の接尾辞︿加那志﹀︿加那志前﹀を付けて、﹁御主加那志︵ウシュガナシ、ウスガナシ︶﹂、﹁御主加那志前︵ウシュガナシーメー、ウスガナシーメー︶﹂などと呼んだ。 他に、王家内では﹁美御前加那志︵みおまえがなし、転じてヌーメーガナシ︶﹂と呼ばれた。首里以外の沖縄本島の各地方からは首里加那志︵シュンジャナシ︶﹂、本島以外の離島からは﹁沖縄加那志︵ウチナーガナシ︶﹂と呼ばれた。 他に、王を意味する呼称として、﹃球陽﹄や家譜などでは、﹁主上﹂﹁王上﹂﹁聖上﹂なども用いられた。参考文献[編集]
- 『沖縄大百科事典』(中) 沖縄タイムス社 1983年
- 『東恩納寛惇全集』5、第一書房、1978年