解剖治療化学分類法
解剖治療化学分類法︵かいぼうちりょうかがくぶんるいほう、Anatomical Therapeutic Chemical Classification System︶は医薬品の分類に用いられる。普通はATC分類またはATCコードと呼ばれる。
WHOの医薬品統計法共同研究センター (Collaborating Centre for Drug Statistics Methodology) によって管理されており、1976年に発行が開始された[1]。この分類法では、医薬品は効果をもたらす部位・器官、および作用能・化学的特徴によって5つのレベルでグループ分けされる。
分類[編集]
以下の5つのレベルによる分類法が適用される。 第1レベル 解剖学的部位に基づいた分類で、アルファベット1文字で表される。14のメイングループからなる。 ●A — 消化管および代謝 ●B — 血液、および血液を生成する器官 ●C — 循環器系 ●D — 皮膚 ●G — 泌尿生殖器系、性ホルモン ●H — 全身性のホルモン調節剤、性ホルモンとインスリンを除く ●J — 全身性の抗感染症薬 ●L — 抗悪性腫瘍薬、免疫調節剤 ●M — 筋骨格系 ●N — 神経系 ●P — 駆虫性薬剤、殺虫剤、忌避剤 ●Q — 獣医学で用いる医薬品 ●R — 呼吸器系 ●S — 感覚器系 ●V — その他 第2レベル 治療法メイングループによる分類。2個の数字で示される。 第3レベル 治療法・薬学サブグループによる分類。1個のアルファベットで示される。 第4レベル 化学・治療法・薬学サブグループによる分類。1個のアルファベットで示される。 第5レベル 化学構造サブグループによる分類。2個の数字で示される。用例[編集]
アスピリン︵アセチルサリチル酸︶を例にとって説明する。ATCコード B01AC06 は解熱薬としての番号である。 (一)アルファベット B — 血液、および血液を生成する器官に作用することを示す (二)数字 01 — 抗血栓剤サブグループに属すことを示す (三)アルファベット A — 抗血栓剤サブグループに属すことを示す。このサブサブグループ名は1つ上位のサブグループ︵第2レベル︶の名称と同一だが、これは上位グループの全て範囲を包含することを意味するわけではない。抗血栓剤はこれ以上細分化できないためである (四)アルファベット C — ヘパリンを除く解熱剤のグループに属すことを示す (五)数字 06 — 活性を持つ基質がアスピリンであることを示す。つまり、ATCコード B01AC06 を持つ全ての医薬品にはアスピリンが含まれることを意味する アスピリンは鎮痛薬としての機能も持つため、もう1つのATCコード N02BA01 も与えられている。 (一)アルファベット N — 神経系に作用することを示す (二)数字02 — 鎮痛薬であることを示す (三)アルファベット B — ﹁その他の鎮痛剤および解熱薬﹂サブグループに属すことを示す (四)アルファベット A — サリチル酸またはその誘導体であることを示す (五)数字01 — アセチルサリチル酸であることを示すATCvet[編集]
ATCvet︵Anatomical Therapeutic Chemical Classification System for veterinary medicinal products︶は、獣医学のためのATCコードである。 ATCvetコードは主に人間向け医薬品の分類に使われるATCコードの頭にQを付けて表される。例えば、フロセミドはATCコードでC03CA01、ATCvetコードでQC03CA01となる。また、QIは免疫学薬、QJ51は乳房内で使用する抗菌薬、QN05AX90はアムペロジド、など幾つかのコードは独占的に使用されている[2]。脚注[編集]
- ^ “ATC/DDD Methodology: History”. WHO Collaborating Centre for Drug Statistics Methodology. 2018年6月19日閲覧。
- ^ “ATCvet”. WHO Collaborating Centre for Drug Statistics Methodology. 2015年2月15日閲覧。
外部リンク[編集]
- ATC公式ウェブサイト(WHO医薬品統計法共同研究センター)
- KEGG BRITE: 解剖治療化学分類 (ATC分類)(金久ラボラトリーズによる日本語訳)