強心配糖体
表示
強心配糖体︵きょうしんはいとうたい、英語: cardiac glycoside︶は、心房細動、心房粗動等の上室性頻脈や浮腫を伴う鬱血性心不全あるいは不整脈に用いられるステロイド配糖体の総称である。強心配糖体はある種の植物や動物中に見つかる。ジギタリスはイギリスで民間療法薬として用いられる作用の非常に激しい薬用植物であり、1785年にスコットランドのウィザーリング医師が心筋の機能低下に伴う水腫、浮腫の治療薬として導入に成功した。アフリカではウアバインやカエルから得られる毒素は矢毒として用いられる。
オレアンドリンはキョウチクトウに含まれる強心配糖体である
強心配糖体は、これまでに100種類以上が知られている。自然では、ユリ科、ゴマノハグサ科、キョウチクトウ科、キンポウゲ科に多く存在する。一般に、強心配糖体は矢毒に用いられるほど作用が激しいため、薬用として用いられるのはジギタリス︵ゴマノハグサ科︶とストロファンツス︵キョウチクトウ科︶に限られ、大半は致死性有毒成分とされる。身近な植物としては、スズランがあり、スズランを生けた花瓶の水を飲んだ幼児が、溶け出した強心配糖体による中毒を起こした例も知られる。モロヘイヤも、可食部分の葉の部分には含まれないものの、種子に強心配糖体を含み、中毒を起こす可能性がある。キョウチクトウも大気汚染に強いため植栽されるが、この葉には強心配糖体が含まれ、人や牛の中毒例がある。