S3 Chrome
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/57/S3_chrome_s27.jpg/300px-S3_chrome_s27.jpg)
概要[編集]
ChromeシリーズはS3 Graphics社がリリースするGPU製品のシリーズである。コンシューマ向けとしては主にローエンド~ミドルレンジをターゲットとしておりノートPC向けの製品も存在した。 Savageシリーズの後継に該当し、多くの特徴がSavageシリーズから引き継がれている。ネーミングモデルとなるDeltaChrome以降のシリーズ共通の特徴として以下が挙げられ、これらは組み込み用に特化されたChrome 4000/5000シリーズ以降でも踏襲されている。 ●電力あたり性能効率の追求 ●絶対的な低発熱・低消費電力 ●高度なHD動画再生機能への積極的な対応 ●DirectXメジャーバージョンへの積極的な対応 単体GPUとしてのChromeシリーズは主にビデオカード用途でリリースされていたが、競合製品と比較してビデオカードメーカーからの採用例は少なかった。しかしノートPCでは2008年に富士通のFMV-BIBLO MGシリーズにてChrome 430 ULPが採用されている。 またチップセット統合グラフィックスコアであるUniChromeおよびChrome9はVIA TechnologiesのPC用チップセットで多く搭載されていた。 2014年現在はコンシューマ向けとしては展開しておらず、VIAが主に業務用のデジタルサイネージ向けとして提供している組み込み用Mini-ITXマザーボード用のチップセットの一部として展開されている。デスクトップ向けGPU[編集]
Delta Chrome[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/82/Powercolor_ss8-d3l_DeltaChrome_S8_256mb_agp.jpg/220px-Powercolor_ss8-d3l_DeltaChrome_S8_256mb_agp.jpg)
主な仕様[編集]
- Shader Model 2.0+ (8基、S4、S8XEは4基)
- Chromotion ビデオエンジン
- ハードウェア頂点シェーダ4基
- AGP 8x
- 130nmプロセスルール(TSMC)
- コンポーネントビデオ出力
- Duo Rotate (ハードウェアローテート)
ビデオチップ | クロック(MHz) | メモリ | ||
---|---|---|---|---|
コア | メモリ | バス | 種別 | |
DeltaChrome S4 Pro | 300 | 600 | 64bit | GDDR |
DeltaChrome S8 XE | 350 | 500 | 128bit | |
DeltaChrome S8 | 250 | |||
DeltaChrome S8 Pro | 300 | 600 | ||
DeltaChrome S8 Nitro | 325 | 630 | ||
DeltaChrome F1 | 300 | 600 |
Gamma Chrome[編集]
主な仕様[編集]
- Shader Model 2.0+ (8基、S14のみ4基)
- Chromotion 2.0 ビデオエンジン
- ハードウェア頂点シェーダ4基
- PCI Express 16x
- 130nmプロセスルール(TSMC)
- コンポーネントビデオ出力
- Duo Rotate (ハードウェアローテート)
- Ultra Low Power configurations (省電力機能)
ビデオチップ | クロック(MHz) | メモリ | ||
---|---|---|---|---|
コア | メモリ | バス | 種別 | |
GammaChrome S14 | 375 | 600 | 64bit | GDDR |
GammaChrome S18 CE | 300 | 128bit | ||
GammaChrome S18 Pro | 400 | 800 | ||
GammaChrome S18 Nitro | 450 | |||
GammaChrome S18 Ultra | 500 | 900 |
Chrome 20[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/fd/S3_chrome_s27_pciexpress16x_card.jpg/220px-S3_chrome_s27_pciexpress16x_card.jpg)
主な仕様[編集]
- Shader Model 2.0+ (8基)
- Chromotion 3.0 プログラマブルビデオエンジン
- ハードウェア頂点シェーダ4基
- PCI Express 16x
- 90nmプロセスルール(富士通)
- コンポーネントビデオ出力
- Duo Rotate (ハードウェアローテート)
- Multi Chrome
- AcceleRAM (S25のみ)
ビデオチップ | クロック | メモリ | ||
---|---|---|---|---|
コア | メモリ | バス | 種別 | |
Chrome S25 | 375MHz | 600MHz | 64bit | GDDR1, 2, 3 |
Chrome S27 | 700MHz, 650MHz | 1.4GHz | 128bit | |
Chrome S27JE | (650MHz) | (1.2GHz) |
Chrome 400 / 500[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b2/S3Graphics_Chrome_440GTX_256MB_PCIE1.0.jpg/220px-S3Graphics_Chrome_440GTX_256MB_PCIE1.0.jpg)
主な仕様[編集]
- Shader Model 4.1 (統合型シェーダー)
- ChromotionHD ビデオテクノロジ
- Blu-ray/ HD-DVD 、H.264, VC-1, MPEG2-HD, AVS再生支援
- OpenGL 3.0サポート (400発表時は2.1サポートで後に3.0サポート。500は発表時から3.0サポート)
- OpenCL 1.0サポート
- AES 128bit暗号化エンジン搭載
- PCI Express 2.0 16x
- 65nmプロセスルール
- Duo Rotate (ハードウェアローテート)
- Multi Chrome
- PowerWise Technology (省電力機能)
- HDMI, デュアルリンクDVI, Display Portサポート
ビデオチップ | クロック | メモリ | |||
---|---|---|---|---|---|
コア
(MHz) |
メモリ
(GHz) |
バス | 種別 | 容量
(MB) | |
Chrome 430GS | 525 | 0.8 | 64bit | GDDR2 | 256 |
Chrome 430GT | 625 | 1.0 | |||
Chrome 440GTX | 725 | 1.4 | GDDR3 | ||
Chrome 530GT | 625 | 1.0 | GDDR2 | 512 | |
Chrome 540GTX | 800 | 1.7 | GDDR3 | 256 |
統合グラフィックス向け[編集]
UniChrome[編集]
UniChromeはProSavage-DDRをベースに開発された統合チップセット (IGP) 用グラフィックスコア。内部的にAGP 8xで接続される128bitグラフィックスコアを持ち、UMAにより64MBまでのメモリをサポートする。シェーダやハードウェアT&Lは搭載せず、構成的にはDirectX6世代に相当する。マルチディスプレイ機能DuoViewをサポート。VIA TechnologiesのKM400チップセットなどに搭載されている。
UniChromeグラフィックスコアは2002年6月に発表されたCLE266で採用されて以降、マイナーチェンジを重ねながら2006年11月発表のCN800チップセットまで4年半にわたって採用されており、非常に息の長いグラフィックスコアとなった。
UniChrome Pro[編集]
UniChrome ProはUniChromeのマイナーチェンジ強化版に当たる統合チップセット用グラフィックスコア。UniChromeと比較し、パイプラインを1本から2本に強化しコアクロックを上昇させている。コンポーネントによるHDTV出力に対応し、動画再生機能Chromotion CEを搭載するなどHD動画への対応がされている。VIA TechnologiesのK8M800チップセットなどに搭載されている。
UniChrome ProII[編集]
UniChrome ProIIはUniChrome Proのマイナーチェンジ強化版に当たる統合チップセット用グラフィックスコア。WMV-HDの再生支援に対応するなど、HD動画再生機能の強化がされている。VIA TechnologiesのVX700チップセットなどに搭載されている。
主な仕様[編集]
- AGP 8x (内部接続)
- UMAによる64MBまでのメモリサポート
IGPコア | 動作クロック
(MHz) |
ピクセルパイプライン | マルチディスプレイ |
---|---|---|---|
UniChrome | 133 | 1 | DuoView |
UniChrome Pro | 200 | 2 | DuoView+ |
UniChrome ProII | - |
Chrome9 HC[編集]
Chrome9 HCはDelta Chromeをベースに開発された統合チップセット用グラフィックスコア。128bitのグラフィックスコアを持ち、UMAにより256MBまでのメモリをサポートする。Shader Model 2.0+のProgramable Shaderを搭載し、DirectX 9に正式に対応しており、MicrosoftのVista Basicロゴ認定となっている。表示機能としてChromotion CEおよびデュアルDVIに対応したDuo View+をサポートし、動画再生支援機能としてはMPEG-2デコードおよびビデオデブロッキングに対応する。VIA TechnologiesのK8M890、CN896、P4M900チップセットなどに搭載されている。
Chrome9 HC3[編集]
Chrome9 HC3はChrome9 HCのマイナーチェンジ版に当たる統合チップセット用グラフィックスコア。350MHzのRAMDACを3つ搭載し、三画面の出力に対応する他、デュアルリンクDVI出力およびビデオキャプチャにも対応する。また動画再生支援機能として、MPEG-2、VC1ビデオ デコード アクセラレーションに対応している。VIA TechnologiesのVX800チップセットに搭載されている他、低クロック版がVX800Uチップセットに搭載されている。
Chrome9 HCM[編集]
Chrome9 HCMはChrome9 HC3のマイナーチェンジ版に当たる統合チップセット用グラフィックスコア。主に動画再生支援機能が強化されており、1080pのMPEG-2/H.264 VLDハードウェア デコード アクセラレーションへの対応が追加された。VIA TechnologiesのVX855チップセットに搭載されている。
主な仕様[編集]
- Shader Model 2.0+
- PCI Express 16x (内部接続)
IGPコア | 動作クロック
(MHz) |
最大
UMA (MB) |
RAMDAC | Chromotion |
---|---|---|---|---|
Chrome9 HC | 250 | 256 | 2基 | Chromotion CE |
Chrome9 HC3 | 250
(166) |
3基 (350MHz/10bit) | Chromotion 3.0 | |
Chrome9 HCM | 非公表 | 512 | Chromotion Video Engine |
Chrome 4000/5000[編集]
Chrome 4000およびChrome 5000シリーズはChrome 400/500シリーズをベースに組み込み用に再構成したもの。Chrome 400/500シリーズ同様にShaderModel 4.1およびDirectX 10.1をサポートする点が特徴。
- Chrome 4300
- Chrome 5300
- Chrome 5400
Chrome 600[編集]
Chrome 600シリーズはS3の統合グラフィックチップとしては初めてDirectX 11に対応した。VIAのMedia System ProcessorであるVX11に搭載されており、主にMini-ITXなどの小型マザーボードやノートPC向けに提供されている。VX11H with HDPCに搭載されているチップにはBlu-rayのデコーディングをサポートしている
- Chrome 640
- Chrome 645
Chromeシリーズの技術[編集]
Chromotion[編集]
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Multi Chrome[編集]
NVIDIAのSLIやATI Technologies(現・AMD)のCrossFireに類似する。実装環境は2枚のカードでの構成、及び一枚のカードに2つのGPUを搭載(Radeon3000シリーズの「x2」ラインナップと同様の技術)の二つの手法で可能であり、自由度が高いことが特徴である。
Chrome S20シリーズおよびChrome 400シリーズでサポートされている。
S3 Graphicsは"Multi Chrome"に使用するChrome S20搭載カードはビデオメモリを256MB以上搭載していることが望ましいとしている。
Chromeシリーズの呼称について[編集]
"Chrome"は一般に「クロム」と発音される金属クロムと同じスペリングであるが、本シリーズにおいては「クローム」と発音されるのが一般的である。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 「Chrome 20」シリーズHP
- 「Chrome 400」シリーズHP
- 「Chrome 500」シリーズHP
- Chrome関連技術文書
- [1] S3GPGPU用写真修正ソフトウェア「S3FotoPro」
- [2] S3FotoPro™
- [3] S3 GPGPU