MapReduce
MapReduce︵マップリデュース︶は、コンピュータ機器のクラスター上での巨大なデータセットに対する分散コンピューティングを支援する目的で、Googleによって2004年に導入されたプログラミングモデルである。
このフレームワークは関数型言語でよく使われるMap関数とReduce関数からヒントを得て作られているが、フレームワークにおけるそれらの用いられ方は元々のものと同じではない。
MapReduceのライブラリ群は、C++、C#、Erlang、Java、OCaml、Perl、Python、PHP、Ruby、F#、R言語、MATLAB等のプログラミング言語で実装されている。
概要[編集]
MapReduceは巨大なデータセットを持つ高度に並列可能な問題に対して、多数のコンピュータ︵ノード︶の集合であるクラスター︵各ノードが同じハードウェア構成を持つ場合︶もしくはグリッド︵各ノードが違うハードウェア構成を持つ場合︶を用いて並列処理させるためのフレームワークである。処理は、ファイルシステム︵非構造的︶もしくはデータベース︵構造的︶に格納されたデータに対して行うことができる。 Map ステップ - マスターノードは、入力データを受け取り、それをより細かい単位に分割し、複数のワーカーノードに配置する。受け取ったワーカーノードが、更に細かい単位に分割し、他の複数のワーカーノードに配置するという、より深い階層構造の分割を行うこともある。そして、各ワーカーノードは、その細かい単位のデータを処理し、処理結果を、マスターノードへと返す。 Reduce ステップ - 続いて、マスターノードが、Mapステップでの処理結果を集約し、目的としていた問題に対する答え︵結果︶を何らかの方法によって出力する。 MapReduceの特徴は、MapとReduceの各ステップで並列処理が可能なことである。それぞれのMap処理は、他のMap処理と完全独立であり、理論的に全て並列実行することができる︵実際には、データソースやCPUの数により制限がかかる︶。続くReduceステップでは、Mapステップでの処理結果がキーごとにまとめられてReduce処理に送られることになるが、これも同様に並列処理が可能である。 MapReduce による一連の処理は、逐次実行アルゴリズムと比較してしばしば非効率にみえるが、MapReduce は一般の汎用サーバが取り扱うことが可能なデータ量をはるかに超える大きなデータセットに対しても適用することができる。多数のサーバを持っていれば、MapReduce を使いペタバイト級のデータの並べ替えをわずか数時間で行うことも可能である。 また、処理が並列的であることで、複数あるサーバやストレージの一部に障害が起こり、Map処理やReduce処理が実行できないノードが発生した場合でも、入力データがまだ利用可能である場合は、処理を再スケジュールして実行させることが可能となる。これにより、障害に対して、しばしば処理継続中のリカバリーが可能になる。参考文献[編集]
- 日経BP出版局著 「クラウド大全 サービス詳細から基盤技術まで」2009年 ISBN 9784822283889