デジタル大辞泉
「使用価値」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
しよう‐かち【使用価値】
(一)〘 名詞 〙 物の有用性、または効用。物に固有の性質によって制約される。交換価値と共に商品の二大要因。︹現代大辞典︵1922︶︺
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
使用価値
しようかち
Gebrauchswert ドイツ語
物はそれが有する属性によって、生活手段として直接的にか、または生産手段として迂回(うかい)的に、人間のなんらかの種類の欲望を満たす。こうした物の有する有用性が使用価値である。この有用性は物の属性によって条件づけられていると同時に、人間によって物の種々の使用の仕方が歴史的に発見されてきた。どんな社会においても使用価値は富の質料的な内容をなしているが、物が商品として売買される商品生産社会においては、それは同時に価値の質料的担い手となっている。すなわち、商品は使用価値と価値という2要因を統一したものであり、使用価値と価値という商品の2要因は、労働の二重性に対応している。すなわち、労働は具体的有用的労働という属性において使用価値を生産し、また抽象的人間的労働という属性において商品価値を形成する。どのような物も使用価値であることなしには価値であることはありえないが、またある物は価値であることなしに使用価値でありうる。労働によって媒介されていない空気、原始林などがそれである。商品は他人のための使用価値であり、交換を通して他人に譲渡される使用価値である。
﹇二瓶 敏﹈
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
使用価値
しようかち
value in use; Gebrauchswert
経済学の価値論上の用語で,交換価値に対するもの。交換価値が,ある財が他の財と交換される際の交換比率 (相対的価値) を意味するのに対して,使用価値は当該財がその使用者に対して有する有用性 (ないし絶対的価値) あるいは効用を意味する。また物の有用性は物それ自体から離れては存在しないという意味で,使用価値をもつ物自身をさすこともある。 (→価値学説 )
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
使用価値【しようかち】
人間のさまざまな欲望を満たす商品や物の有用性。衣服が身を飾り,食物が活力を与えることなど。労働生産物だけでなく,水,空気,野生林木等もこれをもつ。消費財と生産財の形で個人的消費と生産的消費をみたす。一定量の労働によってつくり出される使用価値の量と質は生産性の目安となる。商品の場合は価値︵価格︶とともにその2要素をなす。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の使用価値の言及
【価値】より
…したがって,今日,価値論が独特の重要性をもって議論されているのはマルクス派においてだといってよい。
﹇使用価値と交換価値﹈
価値には,財・サービスの使用者にとっての価値つまり使用価値value in use(Gebrauchswert)と,それらの取引者にとっての価値つまり交換価値value in exchange(Tauschwert)との二面性がある。このことはすでにアリストテレスによって明らかにされていたことであるが,スミスやリカードはそれをより明示的にとらえた。…
【資本論】より
…第3編では,1日の労働時間([労働日])における︿価値および剰余価値﹀の形成と,剰余価値の︿不払労働の搾取﹀としての取得を,第4~6編では,資本制生産方法の展開と,その結果としての賃金のカテゴリーを,第7編では,資本の蓄積が,賃金と剰余価値の運動にもたらす効果と,労働者階級の運命に与える影響を扱っている。
﹇価値形態と労働の二重性の問題――第1編﹈
第1章︿商品﹀の分析で,独自の︿労働の二重性﹀の規定から労働価値説を基礎づけ,また商品の使用価値と価値(交換価値の内実)の2要因の関係を論理的に記述し,商品を商品として表しまた運動させる価格と貨幣を導き出そうとするところの︿価値形態﹀論を展開している。 なお,商品の価値表現の萌芽である単純な価値形態からその完成形態である貨幣形態=価格への展開の形については,︿[価値形態]﹀の項を読まれたい。…
【商品】より
…
[商品の論理]
では商品の論理とは何か。商品には[価値]と使用価値の二つの要因がある。使用価値とは,商品となっているものの物理的な属性に基づく有用性のことであり,食物は空腹を満たし,衣服は身体を寒暑から保護し,住宅は雨露をしのがせるなどである。…
※「使用価値」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」