勢（読み）セイ

デジタル大辞泉 「勢」の意味・読み・例文・類語

せい【勢】［漢字項目］

 
﹇音﹈セイ︵漢︶　ゼイ︵慣︶　セ︵呉︶　﹇訓﹈いきおい
﹇学習漢字﹈5年
︿セイ﹀
1 他を押さえ取り仕切る力。いきおい。﹁勢力／威勢・気勢・虚勢・権勢・語勢・豪勢・筆勢・余勢﹂
2 その物の力。﹁火勢・水勢﹂
3 物事の成り行き・様子。﹁運勢・形勢・姿勢・時勢・守勢・情勢・趨(すう)勢(せい)・大(たい)勢(せい)・態勢・地勢﹂
4 睾(こう)丸(がん)。﹁去勢﹂
5 人数。兵力。﹁加勢﹂
6 伊(い)勢(せ)国。﹁勢州﹂
︿ゼイ﹀の5に同じ。﹁軍勢・総勢・多勢﹂
﹇名のり﹈なり
﹇難読﹈伊(い)勢(せ)・勢(せ)子(こ)  
 

せい︻勢︼

 
1いきおい。力。
﹁此頃じゃ落(がっ)胆(かり)して、―も張合も無いんですけれども﹂︿鏡花・婦系図﹀
2 軍勢。兵力。﹁敵の勢一万騎に及ぶ﹂
3 ︵﹁ぜい﹂の形で接尾語的に用いて︶人名や地名を表す語の下に付いて、その軍隊・軍勢、そのチーム・選手などの意を表す。﹁今川勢と織田勢﹂﹁日本勢どうしの決勝戦﹂﹁東北勢初の優勝﹂
[補説]3は、戦力をもつ組織についても用いられる。﹁中国勢が躍進する業界﹂  

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精選版 日本国語大辞典 「勢」の意味・読み・例文・類語

いきおいいきほひ【勢】

 

(一)[1] 〘 名詞 〙
(一)① 他を圧倒する力。元気。活気。気勢。士気。
(一)[初出の実例]﹁是に生磐宿禰 軍を進めて逆(さか)撃つ。胆気(イキホヒ)益壮にして、向ふ所皆破る﹂(出典‥日本書紀︵720︶顕宗三年是歳︵図書寮本訓︶)
 (二)﹁人の子なれば、まだ心いきおひなかりければ、とどむるいきおひなし﹂(出典‥伊勢物語︵10Ｃ前︶四〇)
 (二)② 政治力、経済力、武力などによる社会的な支配力。他を圧倒する力。権勢。富裕。
(一)[初出の実例]﹁伊弉諾尊、功(こと)既に至(いた)りぬ。徳(イキホヒ)亦大(をほ)いなり﹂(出典‥日本書紀︵720︶神代上︵水戸本訓︶)
 (二)﹁夕べの寺に置き所なげなるまで所せきいきをひになりてなん、僧どもは帰りける﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶鈴虫)
 (三)③ 自然界のエネルギー。﹁火の勢い﹂﹁風の勢い﹂
(一)[初出の実例]﹁宰相の中将のは、水のいきをいゆたかに書きなし﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶梅枝)
 (四)④ 状態。形状。情勢。
(一)[初出の実例]﹁大方世ゆすりて、所せき御いそぎのいきおひなり﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶乙女)
 (五)⑤ なりゆき。はずみ。余勢。
(一)[初出の実例]﹁私もさのみうたふとはぞんぜなんだれ共、鬼(おに)のせむるいきほひにあたったものであらふが﹂(出典‥虎明本狂言・鬮罪人︵室町末‐近世初︶)
 (二)﹁また夜業と昼業とは、夜業の方はるかに負傷率が高まるのは当然の勢ひである﹂(出典‥女工哀史︵1925︶︿細井和喜蔵﹀一六)
 (二)[2] 〘 副詞 〙 自然のなりゆきで。当然の結果として。必然的に。
(一)[初出の実例]﹁去れば歳月の漸々経過する毎に治者の境堺も勢狭隘ならざる可からざるに至りたり﹂(出典‥条約改正論︵1890︶︿馬場辰猪原著、<著者>山本忠礼・<著者>明石兵太合訳﹀)
  
 

せい︻勢︼

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① いきおい。また、ちから。勢力。精力。
(一)[初出の実例]﹁ここに囲れ彼に取籠られて、勢もつき気も屈しければ﹂(出典‥太平記︵14Ｃ後︶一九)
 (二)﹁此頃ぢゃ落胆(がっかり)して、勢(セイ)も張合も無いんですけれども﹂(出典‥婦系図︵1907︶︿泉鏡花﹀後)
 (三)② 軍勢。軍隊。兵力。兵数。つわもの。
(一)[初出の実例]﹁さればよくよくはかり事をめぐらして、勢をもよほし、後日によせさせ給ふべうや候らん﹂(出典‥平家物語︵13Ｃ前︶四)
 (四)③ かたち。ありさま。また、大きさ。
(一)[初出の実例]﹁新作赤木倭琴今日初装束。︿略﹀其勢依二今琴尺寸一、於御前所レ被レ作也、而其体并木色甚以有興之中、音勢相備尤足二翫興一者也﹂(出典‥左経記‐長元七年︵1034︶一〇月一〇日)
 (二)﹁阿修羅王と云ふ者有り、身の勢、極て大き也﹂(出典‥今昔物語集︵1120頃か︶三)
 (五)④ 男子の陰茎、また、動物の雄性の生殖器をいう。睾丸。
(一)[初出の実例]﹁男根を勢と云ぞ。勢がなければ精が閉るなり﹂(出典‥史記抄︵1477︶一〇)
 (二)[その他の文献]︹晉書‐刑法志︺
 (六)⑤ ⇒せい︵背︶
  

ぜい【勢】

  1. 〘 名詞 〙 ⇒せい（勢）

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