デジタル大辞泉
「日本銀行」の意味・読み・例文・類語
にっぽん‐ぎんこう〔‐ギンカウ〕【日本銀行】
つ と と も に 、 以 上 の 3 機 能 を 通 じ て 金 融 政 策 の 運 営 に あ た っ て い る 。 明 治 15 年 ︵ 1 8 8 2 ︶ 日 本 銀 行 条 例 に 基 づ い て 設 立 。 昭 和 17 年 ︵ 1 9 4 2 ︶ 日 本 銀 行 法 に よ り 改 組 。 平 成 9 年 ︵ 1 9 9 7 ︶ に 改 正 さ れ 、 平 成 10 年 ︵ 1 9 9 8 ︶ に 施 行 さ れ た 新 日 銀 法 に 基 づ い て 認 可 法 人 と な る 。 総 裁 1 名 、 副 総 裁 2 名 、 審 議 委 員 等 に よ っ て 構 成 さ れ る 政 策 委 員 会 を 最 高 意 思 決 定 機 関 と し 、 資 本 金 1 億 円 の う ち 5 5 0 0 万 円 を 下 回 ら な い 出 資 を 政 府 か ら 受 け て い る が 、 政 府 機 関 で は な い 。 日 銀 。 B O J ︵ B a n k o f J a p a n ︶ 。 → 国 会 同 意 人 事
[ 補 説 ] 歴 代 総 裁 一 覧
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にっぽん‐ぎんこう‥ギンカウ 【日本銀行】
(一) 日 本 の 中 央 銀 行 。 明 治 一 五 年 ︵ 一 八 八 二 ︶ 創 立 。 昭 和 一 七 年 ︵ 一 九 四 二 ︶ 特 殊 法 人 と し て 改 組 さ れ 、 通 貨 調 節 ・ 金 融 調 整 ・ 信 用 制 度 の 保 持 を 目 的 と し 、 銀 行 券 の 発 行 権 を 独 占 し 、 政 府 へ の 無 担 保 貸 付 、 国 債 の 応 募 ま た は 引 受 け 、 国 庫 金 の 取 り 扱 い 、 そ の 他 銀 行 の 銀 行 と し て 各 種 の 業 務 を 取 り 扱 う 。 ま た 、 二 四 年 に 政 策 委 員 会 が 設 置 さ れ 、 公 定 歩 合 ・ 公 開 市 場 操 作 な ど 金 融 政 策 を 決 定 実 施 し て い る 。 日 銀 。
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日本銀行 にっぽんぎんこう Bank of Japan
日本の中央銀行。略称、日銀。1882年(明治15)日本銀行条例によって設立。1942年(昭和17)に戦時立法として制定された日本銀行法(旧日本銀行法)によって改組、1949年(昭和24)に同法の一部改正によって政策委員会が設置された。1997年(平成9)に、改正日本銀行法 (新日本銀行法)が制定(1998年施行)され、旧日本銀行法は全面的に改正された。
[白井さゆり 2016年12月12日]
日本銀行は、日本銀行法により設立された認可法人である。日本銀行法第9条に基づき出資証券を発行しているが、これは日本銀行に対する出資の持分を表す有価証券をさしている。資本金は1億円で、55%を政府が、45%を民間が出資している。出資者の権利は、会社法の株式会社における株主の権利と異なり、株主総会に相当する出資者総会は存在しておらず、出資者に議決権の行使が認められていない。また、出資者に対する配当率の決定には財務大臣の認可が必要なほか、配当率は年100分の5を超えることはできない。出資証券は、東京証券取引所の上場銘柄として売買されている。本店所在地は東京都中央区日本橋本石(ほんごく)町。
[白井さゆり 2016年12月12日]
日本銀行法では、政策委員会を最高意思決定機関と明確に位置づけている。政策委員会の会合には、金融政策に関する事項を決定する「金融政策決定会合 」と、その他の事項の決定などを議事とする「通常会合」がある。メンバーは9名(総裁、副総裁2名、審議委員6名)で構成され、いずれも衆議院と参議院の同意を得て、内閣が任命している(第23条1項・2項)。任期は5年で再任もできる。
[白井さゆり 2016年12月12日]
新日本銀行法では、近年、世界の中央銀行が重視する「独立性」と「透明性」の理念のもとに、旧日本銀行法を大幅に改定している。独立性については、「日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない」(第5条2項)と定められている。各国の歴史をみると、中央銀行に金融緩和を求める圧力がかかりやすく、物価の安定が損なわれて経済が機能不全に陥ったといった教訓から、それを回避するために中央銀行の独立性が重視されるようになっている。ただし、日本の場合、金融政策が「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」(第4条)とも定められており、金融政策決定会合に政府代表者が出席して見解の表明や、議案の提出、議決の次回会合までの延期の要請などができる(第19条1項・2項)。
透明性については、金融政策が日本の金融・経済情勢に大きな影響を与えることから、「日本銀行は、通貨及び金融の調節に関する意思決定の内容及び過程を国民に明らかにするよう努めなければならない」(第3条2項)と明記されている。政策内容などをわかりやすく説明して透明性を高めることは、政策の意図についての市場や国民の理解を促進し、金融政策の効果を高めることにもつながると考えられている。具体的には、金融政策決定会合直後に経済物価情勢や金融市場調節方針などを示した「公表文」の発表、総裁による記者会見、金融政策決定会合での議論に関する「主な意見」の発表、議事要旨の発表、10年経過後の議事録の公表などが定められている。また、金融政策に関する報告書(通貨及び金融の調節に関する報告書)をおおむね6か月に1回国会に提出し、国会での説明責任を果たしている。また、業務概況書を年1回作成し、財務諸表・決算報告書とともに公表している。
[白井さゆり 2016年12月12日]
日本銀行の目的として「物価の安定」(第2条)と「金融システム の安定」(第1条2項)が定められている。このうち、物価の安定は経済の安定的かつ持続的な成長に不可欠な基盤であり、日銀は物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に寄与する役割を担っている。
2013年(平成25)1月に物価安定を実現するための目標として、消費者物価指数(CPI)の対前年比2%上昇を掲げている。金融システムの安定(信用秩序の維持)については、決済システムの円滑で安定的な運行を通じて貢献しており、金融機関に対して決済サービスの提供や最後の貸し手としての機能を果たしている。
[白井さゆり 2016年12月12日]
日本銀行のおもな業務には、(1)銀行券(お札)の発行・流通・管理、(2)決済サービスの提供、(3)金融政策の運営、(4)金融システムの安定、(5)国の事務と対政府取引、(6)国際業務、がある。
[白井さゆり 2016年12月12日]
日本で唯一の「発券銀行」として、銀行券を発行。金融機関との間で銀行券の受け・払いを通じて銀行券の安定供給を実施し、受け入れた銀行券の鑑査(枚数の計査、真偽の鑑定、再利用可能性の判別)によって銀行券の品質・信認を確保している。
[白井さゆり 2016年12月12日]
金融機関から当座預金 (日本銀行当座預金)を受け入れ、当座預金の振替によって金融機関の間の資金決済を行うシステムや、国債振替決済制度など国債の決済システムも提供しており、国債取引に伴う受渡しを帳簿上の口座振替 などによって処理している。
[白井さゆり 2016年12月12日]
物 価 の 安 定 を 目 的 と し て 金 融 政 策 を 運 営 。 金 融 政 策 決 定 会 合 ︵ 2 0 1 6 年 以 降 、 年 8 回 ︶ に お い て 、 金 融 経 済 情 勢 に つ い て の 検 討 と と も に 、 次 回 決 定 会 合 ま で の 金 融 市 場 調 節 方 針 を 決 定 す る 。 同 方 針 に 沿 っ て 、 日 本 銀 行 は 市 場 に 対 し て 、 資 金 供 給 と 資 金 吸 収 オ ペ レ ー シ ョ ン ︵ 公 開 市 場 操 作 ︶ を 日 々 実 施 し て い る 。 各 国 の 主 要 中 央 銀 行 は 、 金 融 市 場 調 節 方 針 と し て 短 期 金 融 市 場 の 金 利 を 誘 導 目 標 と し て 選 択 す る こ と が 多 く 、 そ の 金 利 に 働 き か け て い る 。 こ の 金 利 は ﹁ 政 策 金 利 ﹂ と も よ ば れ て い る 。 景 気 後 退 局 面 ︵ 景 気 過 熱 局 面 ︶ で は 、 短 期 金 利 を 引 き 下 げ る ︵ 引 き 上 げ る ︶ こ と で 、 満 期 が よ り 長 い 市 場 金 利 や 金 融 機 関 の 貸 出 金 利 へ の 下 押 し 圧 力 ︵ 上 昇 圧 力 ︶ を 高 め て 、 企 業 ・ 家 計 の 投 資 ・ 消 費 な ど 総 需 要 を 拡 大 ︵ 抑 制 ︶ し 、 物 価 の 押 し 上 げ ︵ 抑 制 ︶ に 努 め て い る 。 日 本 銀 行 で は 、 2 0 1 3 年 4 月 に 誘 導 目 標 を 量 的 ・ 質 的 金 融 緩 和 に よ る マ ネ タ リ ー ベ ー ス の 年 間 増 加 ペ ー ス へ と 変 更 し た が 、 そ の 直 前 に は 、 誘 導 目 標 と し て 無 担 保 コ ー ル レ ー ト ︵ オ ー バ ー ナ イ ト 物 ︶ を 採 用 し て い た 。 ア メ リ カ 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 ︵ F R B ︶ は フ ェ デ ラ ル ・ フ ァ ン ド 金 利 と よ ば れ る 翌 日 物 の 無 担 保 金 利 を 採 用 し て い る 。
﹇ 白 井 さ ゆ り 2 0 1 6 年 12 月 12 日 ﹈
金 融 シ ス テ ム は 、 お 金 の 受 け 払 い や 貸 し 借 り を 行 う 仕 組 み で あ る が 、 こ の シ ス テ ム の も と で 、 企 業 や 個 人 な ど が 金 融 機 関 と 安 心 し て 取 引 で き る 状 態 を 確 保 す る た め に 、 金 融 機 関 の 業 務 運 営 の 実 態 や 各 種 リ ス ク の 管 理 状 況 、 自 己 資 本 や 収 益 力 に つ い て の 実 態 を 把 握 し 、 経 営 の 健 全 性 の 維 持 ・ 向 上 を 促 し て い る 。 ま た 、 個 別 の 金 融 機 関 の 健 全 性 が 維 持 さ れ て い て も 、 金 融 シ ス テ ム 全 体 と し て の シ ス テ ミ ッ ク リ ス ク ︵ た と え ば 、 不 動 産 バ ブ ル 、 信 用 貸 出 の 急 増 、 金 融 機 関 や 企 業 の レ バ レ ッ ジ の 拡 大 な ど ︶ が 高 ま っ て い る 場 合 も あ る こ と か ら 、 金 融 シ ス テ ム 全 体 と マ ク ロ 経 済 と の 連 関 と い っ た 観 点 か ら の 分 析 ・ 評 価 も 行 っ て い る 。 さ ら に 、 一 つ の 金 融 機 関 の 破 綻 ( は た ん ) な ど が 原 因 で 、 他 の 金 融 機 関 に 波 及 し て 金 融 シ ス テ ム の 機 能 低 下 を も た ら す 恐 れ が あ る 場 合 、 必 要 に 応 じ て 、 一 時 的 に 資 金 が 不 足 し た 金 融 機 関 に 対 し て ﹁ 最 後 の 貸 し 手 ﹂ と し て 資 金 供 給 を 実 施 し て い る 。
﹇ 白 井 さ ゆ り 2 0 1 6 年 12 月 12 日 ﹈
国 の 事 務 と し て 、 政 府 預 金 と し て 預 か っ て い る 国 庫 金 の 出 納 ・ 計 理 、 政 府 預 金 の 管 理 と 政 府 有 価 証 券 の 受 払 ・ 保 管 な ど の 事 務 ︵ 国 庫 金 に 関 す る 業 務 ︶ 、 国 債 の 発 行 や 振 替 決 済 お よ び 元 利 金 支 払 い に 関 す る 事 務 ︵ 国 債 に 関 す る 業 務 ︶ が あ る 。 ま た 、 政 府 を 相 手 方 と し た 国 債 の 売 買 な ど の 取 引 ︵ 対 政 府 取 引 に 関 す る 業 務 ︶ を 実 施 し て い る 。
﹇ 白 井 さ ゆ り 2 0 1 6 年 12 月 12 日 ﹈
外 国 為 替 ( か わ せ ) の 売 買 、 外 国 中 央 銀 行 や 国 際 機 関 な ど に よ る 円 貨 資 産 の 調 達 ・ 運 用 へ の 協 力 な ど を 実 施 。 中 央 銀 行 が 参 加 す る 国 際 会 議 な ど で 、 金 融 市 場 安 定 化 の た め の 取 組 み や グ ロ ー バ ル な 金 融 経 済 情 勢 の 議 論 、 市 場 環 境 整 備 な ど の 作 業 に も 参 画 し て い る 。 ま た 、 外 為 法 の 届 出 書 ・ 報 告 書 な ど の 取 扱 い や 、 財 務 大 臣 の 指 示 に 基 づ い て 遂 行 す る 為 替 介 入 ︵ 外 国 為 替 平 衡 操 作 ︶ の 実 務 な ど 、 国 際 金 融 に 関 連 し た 国 の 事 務 も 行 っ て い る 。
国 際 業 務 で 注 目 さ れ る の は 、 11 か 国 ・ 地 域 の 中 央 銀 行 ・ 通 貨 当 局 ︵ オ ー ス ト ラ リ ア 、 中 国 、 香 港 、 イ ン ド ネ シ ア 、 日 本 、 韓 国 、 マ レ ー シ ア 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 、 フ ィ リ ピ ン 、 シ ン ガ ポ ー ル 、 タ イ ︶ か ら 構 成 さ れ て い る 東 ア ジ ア ・ オ セ ア ニ ア 中 央 銀 行 役 員 会 議 ︵ E M E A P ( エ ミ ア ッ プ ) ︶ の も と で 、 2 0 0 3 年 に ア ジ ア 債 券 基 金 ︵ A B F ‥ A s i a n B o n d F u n d ︶ が 設 立 さ れ た こ と で あ る 。 こ の 背 景 に は 、 1 9 9 7 年 の ア ジ ア 通 貨 危 機 の 原 因 の 一 つ が 、 銀 行 中 心 の 金 融 シ ス テ ム に あ っ た こ と 、 そ し て そ の 銀 行 が 、 外 貨 建 て 資 金 を 短 期 で 調 達 し 、 そ れ を 自 国 通 貨 に 転 換 し て 中 ・ 長 期 の 貸 出 を 拡 大 し た こ と で 深 刻 な 銀 行 危 機 が 発 生 し 、 そ れ に よ っ て 景 気 後 退 が 深 刻 化 し た と の 認 識 が あ る 。 そ こ で 、 自 国 通 貨 建 て の 債 券 市 場 の 育 成 に よ っ て 、 資 金 調 達 手 段 の 多 様 化 と 金 融 シ ス テ ム の 安 定 化 を 目 ざ し て 、 ア ジ ア の 国 債 や 政 府 系 機 関 債 に 投 資 す る 債 券 フ ァ ン ド が 組 成 さ れ た 。 A B F は 、 A B F 1 ︵ ド ル 建 て 資 産 に 投 資 す る フ ァ ン ド ︶ と A B F 2 ︵ 現 地 通 貨 建 て 資 産 に 投 資 す る フ ァ ン ド ︶ が あ る 。 当 初 ︵ 2 0 0 3 年 ︶ は A B F 1 か ら 着 手 し 、 2 0 0 4 年 に は A B F 2 も 開 始 し た 。 す で に 債 券 市 場 が 発 達 し て い る 日 本 、 オ ー ス ト ラ リ ア 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド を 除 く ア ジ ア の 加 盟 国 ・ 地 域 の 資 産 に 投 資 し て い る 。 そ の 後 、 ア ジ ア 地 域 の 自 国 通 貨 建 て 債 券 市 場 は 大 き く 発 展 し て お り 、 A B F 1 が 所 期 の 目 的 を 達 成 し た と 判 断 し て 、 2 0 1 6 年 4 月 に 、 A B F 1 を 償 還 し 、 そ の 償 還 金 を A B F 2 に 再 投 資 す る こ と で 合 意 し た 。
﹇ 白 井 さ ゆ り 2 0 1 6 年 12 月 12 日 ﹈
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日本銀行[株] (にほんぎんこう)
目次 機能 金融政策の運営 機構 日銀法改正 建築
1 8 8 2 年 ︵ 明 治 15 ︶ ︿ 日 本 銀 行 条 例 ﹀ に よ っ て 設 立 さ れ た 日 本 の 中 央 銀 行 。 日 銀 と 略 称 。 本 店 は 東 京 都 中 央 区 に 所 在 。 正 し く は ︿ に っ ぽ ん ぎ ん こ う ﹀ と 読 む 。 1 9 4 2 年 , ナ チ ス ・ ド イ ツ 当 時 の ラ イ ヒ ス バ ン ク 法 を 典 拠 と す る ︿ 日 本 銀 行 法 ﹀ の 制 定 に よ っ て 全 面 的 に 改 組 さ れ た 。 第 2 次 大 戦 後 , 49 年 の 法 改 正 に よ っ て 政 策 委 員 会 が 設 置 さ れ る な ど 若 干 の 手 直 し を 経 て , 今 日 に 至 っ て い る 。
1 8 8 1 年 , 当 時 の 大 蔵 卿 松 方 正 義 は , 激 し い イ ン フ レ ー シ ョ ン を 克 服 す る た め , そ の 根 源 で あ る 不 換 紙 幣 の 整 理 消 却 を 行 う こ と , 正 貨 兌 換 ︵ だ か ん ︶ の 銀 行 券 を 発 行 す る 中 央 銀 行 を 設 立 し , 通 貨 価 値 の 安 定 を 図 り , 円 滑 な 通 貨 の 供 給 と 金 融 調 節 に 当 た ら せ る こ と が 不 可 欠 で あ る と 提 議 し た 。 こ う し て , ベ ル ギ ー 国 立 銀 行 条 例 を 典 拠 と し た 日 本 銀 行 条 例 が 制 定 さ れ , 82 年 10 月 10 日 , 中 央 銀 行 と し て , 日 本 銀 行 は そ の 業 務 を 開 始 し た 。 こ の よ う に 日 銀 は , 政 府 の 責 任 に お い て な さ れ た 不 換 紙 幣 整 理 策 の 中 核 と し て 設 立 さ れ た た め , そ の 性 格 は 著 し く 国 家 的 色 彩 を 帯 び る こ と と な っ た 。 資 本 金 1 0 0 0 万 円 の う ち 半 額 は 政 府 出 資 で , 大 蔵 卿 は 日 銀 の 業 務 上 , 政 府 の 不 利 と 認 め ら れ る も の を 制 止 す る 権 限 を 有 し た 。 ま た 総 裁 は 勅 任 だ っ た 。
機 能
日 銀 は 諸 外 国 の 中 央 銀 行 と 同 様 に , 発 券 銀 行 , 銀 行 の 銀 行 , 政 府 の 銀 行 , 金 融 政 策 の 運 営 の 4 機 能 を 営 ん で い る 。 ︵ 1 ︶ 銀 行 券 の 発 行 は 日 銀 の み に 認 め ら れ て い る 。 日 銀 が 唯 一 の 発 券 銀 行 で あ る こ と が , 日 銀 に 銀 行 券 の 発 行 を 調 節 し , 通 貨 価 値 の 安 定 を 図 る 任 務 を 担 わ せ て い る 。 ︵ 2 ︶ 日 銀 は 銀 行 の 銀 行 と し て , 主 要 金 融 機 関 と 当 座 預 金 取 引 , 貸 出 取 引 , 債 券 ・ 手 形 売 買 取 引 , 外 国 為 替 を 行 っ て い る 。 当 座 預 金 は 取 引 先 金 融 機 関 に と っ て 支 払 準 備 で あ り , 準 備 預 金 制 度 の 準 備 預 金 で も あ る 。 貸 出 取 引 に は 手 形 割 引 と 手 形 貸 付 け が あ る ︵ 手 形 ︶ 。 債 券 ・ 手 形 の 売 買 は 政 策 手 段 と し て の オ ペ レ ー シ ョ ン で あ る 。 ま た 日 銀 は , 大 蔵 大 臣 の 代 理 人 と し て 外 国 為 替 資 金 特 別 会 計 の 勘 定 で 外 国 為 替 市 場 へ の 平 衡 介 入 を 実 施 し , ま た 海 外 中 央 銀 行 な ど と 外 国 為 替 取 引 を 行 っ て い る 。 ︵ 3 ︶ 日 銀 は 政 府 の 銀 行 と し て , 国 庫 金 の 出 納 事 務 , 政 府 短 期 証 券 の 市 中 公 募 残 額 引 受 け な ど を 行 っ て い る 。 ま た , 政 府 の 委 託 に よ っ て 国 債 発 行 ・ 償 還 事 務 を 扱 っ て い る 。
金 融 政 策 の 運 営
日 銀 は 通 貨 価 値 の 安 定 を 政 策 目 標 と し て い る 。 そ の た め の 金 融 政 策 手 段 と し て , 公 定 歩 合 操 作 , 債 券 ・ 手 形 オ ペ レ ー シ ョ ン , 準 備 預 金 制 度 に よ る 預 金 準 備 率 の 変 更 操 作 の ほ か , 必 要 に 応 じ て 金 融 機 関 に 対 す る 指 導 ・ 説 得 ︵ 窓 口 規 制 ︶ を 実 施 し て い る 。 公 定 歩 合 操 作 に つ い て み る と , 公 定 歩 合 の 変 更 は , 民 間 金 融 機 関 の 資 金 調 達 コ ス ト を 左 右 す る コ ス ト 効 果 を も つ ほ か , 経 済 の 先 行 き 見 通 し に 関 す る 中 央 銀 行 の 見 解 の 変 更 を 示 唆 す る ア ナ ウ ン ス メ ン ト 効 果 を も つ 。 す な わ ち 公 定 歩 合 の 変 更 は , も し そ れ で 十 分 な 金 融 調 整 効 果 が あ げ ら れ な い よ う な 場 合 に は , 準 備 預 金 操 作 , 公 開 市 場 操 作 ︵ オ ー プ ン ・ マ ー ケ ッ ト ・ オ ペ レ ー シ ョ ン ︶ な ど の 諸 政 策 手 段 も 用 い , あ く ま で 調 整 効 果 を 達 成 し よ う と い う 中 央 銀 行 の 決 意 を 示 す の で , こ れ を 予 想 す る 経 済 主 体 の 反 応 が 促 さ れ , 調 整 効 果 が 強 化 さ れ る 。 公 定 歩 合 の 決 定 権 限 は 日 銀 政 策 委 員 会 ︵ 後 述 ︶ に あ る 。 中 央 銀 行 の 中 立 性 を 維 持 す る 趣 旨 か ら , 1 9 4 9 年 の 政 策 委 員 会 設 置 と と も に , そ れ ま で 続 い て い た 公 定 歩 合 の 大 蔵 大 臣 認 可 制 は 廃 止 さ れ て い る 。
機 構
日 銀 は 日 本 銀 行 法 に 基 づ く 特 殊 法 人 で あ る 。 資 本 金 は 1 億 円 , う ち 5 5 0 0 万 円 は 政 府 出 資 , 4 5 0 0 万 円 は 民 間 出 資 で あ る 。 国 内 主 要 都 市 に 32 支 店 , 国 内 駐 在 事 務 所 14 , 海 外 に 7 駐 在 事 務 所 が 設 置 さ れ て い る ︵ 2 0 0 5 年 末 現 在 ︶ 。 日 本 銀 行 の 最 高 意 思 決 定 機 関 は 日 本 銀 行 政 策 委 員 会 ︵ 日 銀 政 策 委 員 会 ︶ で あ る 。 政 策 委 員 会 の 任 務 は , 日 銀 の 業 務 の 運 営 , 通 貨 信 用 の 調 節 , そ の 他 の 金 融 政 策 を 国 民 経 済 の 要 請 に 適 合 す る よ う に 運 営 す る に あ る 。 具 体 的 に は , 金 利 政 策 , 公 開 市 場 操 作 , 準 備 預 金 制 度 な ど の 主 要 金 融 政 策 手 段 が 政 策 委 員 会 の 権 限 に 属 し , こ れ ら の 決 定 に つ い て 政 府 か ら の 中 立 性 が 与 え ら れ て い る ︵ た だ し , 準 備 預 金 制 度 の 運 用 に つ い て は 大 蔵 大 臣 の 認 可 が 必 要 で あ る ︶ 。 政 策 委 員 会 は , 日 本 銀 行 総 裁 と , 都 市 銀 行 関 係 , 地 方 銀 行 関 係 , 商 工 業 関 係 , 農 業 関 係 各 1 人 の 任 命 委 員 お よ び 大 蔵 省 , 経 済 企 画 庁 各 1 人 の 官 庁 代 表 委 員 , 合 計 7 人 を も っ て 構 成 さ れ て い る 。 官 庁 代 表 委 員 に は 議 決 権 は な い 。 執 行 機 関 と し て は , 正 副 総 裁 ︵ 内 閣 が 任 命 ︶ と 理 事 ︵ 3 人 以 上 ︶ , 監 事 , 参 与 が お か れ て い る 。 日 銀 の 業 務 執 行 に つ い て は , 総 裁 が 日 銀 を 代 表 し , 業 務 一 般 を 執 行 し て い る 。 副 総 裁 と 理 事 は 総 裁 を 補 佐 し て 業 務 を 執 行 す る 。 総 裁 , 副 総 裁 お よ び 理 事 は , 役 員 集 会 を 組 織 し , 総 裁 統 裁 の も と に 業 務 執 行 上 の 重 要 事 項 を 審 議 す る 。 役 員 集 会 は 通 常 ︿ 丸 テ ー ブ ル ﹀ と い わ れ て い る も の で , ほ ぼ 毎 日 開 か れ る 。 日 銀 支 店 長 会 議 ︵ 通 称 ︶ は 年 4 回 開 か れ , 各 地 の 金 融 経 済 情 勢 の 報 告 と 意 見 交 換 を 通 じ , 政 策 判 断 に 資 し て い る 。
日 銀 法 改 正
1 9 9 7 年 6 月 日 本 銀 行 法 が 改 正 さ れ た ︵ 1 9 9 8 年 4 月 施 行 ︶ 。 戦 時 統 制 色 が 強 か っ た 旧 法 の 56 年 ぶ り の 改 正 で , 日 銀 の 政 府 か ら の 独 立 性 強 化 と 政 策 運 営 の 透 明 度 を 高 め る こ と が 主 眼 で あ る 。 日 銀 政 策 委 員 会 の 権 限 が 大 幅 に 強 化 さ れ ︵ 新 法 で は 政 策 委 員 は 9 人 と な る ︶ , 大 蔵 大 臣 の 日 銀 へ の 業 務 命 令 権 や 内 閣 の 総 裁 解 任 権 が 削 除 さ れ た ︵ 総 裁 , 副 総 裁 は 国 会 の 同 意 を 得 て 内 閣 が 任 命 す る こ と と な っ た ︶ 。 一 方 , 政 策 委 員 会 議 事 録 の 公 開 と , 国 会 へ の 年 2 回 の 業 務 報 告 を 義 務 づ け て い る 。
→ 中 央 銀 行
執 筆 者 ‥ 重 成 侃
建 築
東 京 都 日 本 橋 本 石 町 所 在 の 本 店 は 辰 野 金 吾 の 設 計 。 日 本 人 建 築 家 に よ る 明 治 政 府 初 の 国 家 的 建 築 。 1 8 8 7 年 よ り 計 画 さ れ , 90 年 10 月 起 工 , 96 年 2 月 竣 工 し た 。 本 館 は 地 上 3 階 地 下 1 階 , 工 費 1 0 7 万 円 。 外 壁 は 煉 瓦 造 に 花 崗 岩 張 り , 建 築 様 式 は ネ オ ・ バ ロ ッ ク に ル ネ サ ン ス 的 装 飾 を 加 味 し て い る 。 正 面 に 銃 眼 の あ る 障 壁 を 配 し , 空 堀 を 巡 ら す な ど 厳 重 な 配 慮 が あ る 。 関 東 大 震 災 で 一 部 被 災 し た が , 外 観 と 1 , 2 階 は よ く 当 初 の 形 式 を 残 す 。 重 要 文 化 財 。 な お 1 9 0 3 年 同 じ く 辰 野 金 吾 に よ っ て , 大 阪 中 之 島 に 同 様 式 の 大 阪 支 店 が 建 て ら れ た 。
執 筆 者 ‥ 丸 山 茂
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日本銀行 にほんぎんこう Bank of Japan
づ く 認 可 法 人 で , 発 券 銀 行 , 銀 行 の 銀 行 , 政 府 の 銀 行 と し て の 機 能 を も ち , 金 融 政 策 を 運 営 す る 。 日 本 銀 行 条 例 に 基 づ き 1 8 8 2 年 10 月 に 主 と し て 商 業 金 融 の 中 心 と し て の 機 能 を 営 む 株 式 会 社 類 似 の 特 殊 銀 行 と し て 設 立 さ れ た 。 1 9 4 2 年 に 日 本 銀 行 条 例 に 代 わ っ て 日 本 銀 行 法 が 制 定 さ れ 国 家 的 色 彩 の 濃 い 特 殊 法 人 と な り , 産 業 金 融 の 調 整 も 行 な う こ と が で き る よ う に な っ た 。 第 2 次 世 界 大 戦 後 , 戦 時 的 性 格 の 強 か っ た 日 本 銀 行 法 を 修 正 し , 政 府 と は 独 立 し た 機 能 を 与 え る た め , 1 9 4 9 年 6 月 に 日 本 銀 行 の 最 高 意 思 決 定 機 関 と し て 政 策 委 員 会 ︵ → 日 本 銀 行 政 策 委 員 会 ︶ が 設 置 さ れ た 。 1 9 9 7 年 に 日 本 銀 行 法 が 全 面 改 正 さ れ , 物 価 の 安 定 と 金 融 シ ス テ ム の 安 定 と い う 二 つ の 目 的 が 明 確 に さ れ る と と も に , 政 策 委 員 会 の 金 融 政 策 に お け る 権 限 が 強 化 さ れ た 。 ま た , 総 裁 ︵ 1 人 ︶ , 副 総 裁 ︵ 2 人 ︶ 以 下 政 策 委 員 会 委 員 の 任 命 に は 国 会 の 同 意 が 必 要 と な り , 主 務 大 臣 の 命 令 権 が 廃 止 さ れ て , 日 本 銀 行 の 独 立 性 が 強 化 さ れ た 。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
日本銀行 にほんぎんこう
1882年(明治15)10月,日本銀行条例により設立・開業した中央銀行。大蔵卿松方正義は81年から紙幣整理を行って正貨兌換制にもとづく近代的貨幣制度を樹立するとともに,金融制度の整備をめざした。これは日本銀行を唯一の発券銀行とし,銀行の銀行として銀行制度の頂点に立って,商業金融の中枢とするという構想だった。しかし実際には90年恐慌時に産業金融に深くかかわったのを発端に市中金融に介在し,恐慌時には各種の救済を行い,戦時には国債の引受け・発行にかかわるなど,特有の役割をはたした。第2次大戦下の1942年(昭和17)に日本銀行法が制定され,管理通貨制度のもとでの財政金融政策運営の核として位置づけられ,戦後も経済の中心にいる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」 山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
日本銀行
1882年に設立された日本の中央銀行。物価と金融システムの安定が主な役割。日本銀行には民間金融機関にはない、次のような機能がある。①発券銀行として、日銀券(紙幣)の供給と回収を行う。②銀行の銀行として、金融機関から預金を預り、資金の貸し出しなどを行う。③政府の銀行として、税収の受け取り、国債の発行や外国為替の決済処理などを行う。④金融機関が経営危機や破綻に直面した時、日銀法に基づく緊急融資を行い、金融システムの安定に努める。⑤公定歩合の調整、手形や債券の売買など各種の金融政策を実施する。
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日本銀行
日本銀行は、日本の中央銀行である。銀行の銀行と呼ばれており、日本銀行法に基づく認可法人である。日銀は、証券コード8301でジャスダックに上場しており、出資証券を売買をすることが可能である。1882年10月に設立されて以来、日銀は、中央銀行として金融政策を担当している。その主な役割は、物価と金融システムの安定である。物価の安定とは、通貨価値の維持に取り組むことであり、金融システムの安定とは、特定の金融機関が経営危機に陥っても、その影響がほかの金融機関に広がらないようにすることである。
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日本銀行 にほんぎんこう
日本の中央銀行 大蔵卿松方正義の建議により,1882年日本銀行条例により設立。'85年より兌換 (だかん) 券を発行。初めは貨幣制度の混乱を改革することを主眼としたが,のちには国庫金の取扱いや普通銀行の金融業務の統制にあたり,日本資本主義の発展に大きな役割を果たした。1942年日本銀行法により管理通貨制度を確立し,政府への従属を強めたが,第二次世界大戦後,政策委員会を設け,独立した。金融の中心として国民経済上でもその占める地位は重い。
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日本銀行
名称「日本銀行」。略称「日銀」。英文名「Bank of Japan」。日本銀行法に基づく認可法人。明治15年(1882)設立。本店は東京都中央区日本橋本石町。日本の中央銀行。金融政策を実施する政策当局。発券銀行・銀行の銀行・政府の銀行という3大機能を持つ。出資証券をJASDAQに上場。証券コード8301。
出典 講談社 日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報
世界大百科事典(旧版)内の 日本銀行の言及
【銀行】より
… 日本では,金融機関として次のような組織が制度として確立している。普通銀行,信託銀行,長期信用銀行,相互銀行(1989年以降,第二地方銀行に転換),信用金庫,信用組合,労働金庫,農林中央金庫,農業協同組合,漁業協同組合,生命保険会社,損害保険会社等の民間金融機関と,郵便貯金,日本輸出入銀行(輸銀),日本開発銀行(開銀)等の公的金融機関,それに中央銀行である日本銀行である。民間金融機関のうち,当座預金等の通貨を供給している金融機関は,上記の順序に従えば普通銀行から漁業協同組合までであり,これらが,一部には銀行という名称がつけられていないとはいえ,機能上は銀行ということができる。…
【近代建築】より
…これらの資材の国産化は直接建築の西欧化を目標とするものではないが,のちの近代建築成立期の技術的背景を形成した。明治時代の主要な建築として,上野博物館(1881,コンドル),三菱一号館(1894,コンドル),東京裁判所(1896,エンデ,ベックマン,ハルトゥング),日本銀行本店(1896,辰野金吾),横浜正金銀行(1904,妻木頼黄(よりなか)),赤坂離宮(1909,片山東熊)などが挙げられる。明治における西欧風様式建築導入に見られる著しい特色は,西欧の建築体系をその全体でなく,日本が必要としていた側面においてのみ積極的導入がはかられたことである。…
【金融政策】より
…ただ,低い失業率を達成しようとすると賃金が上昇し,物価が高騰する一方,物価の上昇を抑えようとすると失業が増加するというトレード・オフ(二律背反)の関係が存在するばかりか,物価の上昇はインフレ期待を生み,インフレ期待は賃金のいっそうの上昇を招来するために,一定水準以下に失業率を引き下げようとする政策はインフレーションを生ずることになりやすいことが知られるようになり,低い失業率の達成を金融政策の目標とする考え方は影響力を失うに至った。日本でも,1960年代初めには成長を促進するために低金利政策を推進すべきだとする政府と,景気の行過ぎを警戒し政策の機動的運営を主張する日本銀行との間に[公定歩合]の引上げをめぐって意見のくい違いを生じた。しかし70年代に入り変動為替相場制に移行するとともに,73年秋の第1次石油危機後のインフレーションの苦い経験を踏まえ,物価の安定を最優先する考え方がしだいに定着するに至った。…
【公定歩合】より
…中央銀行が銀行などの市中金融機関に[貸出し]を行う際の[貸出金利]のことで,金融政策全般の方向を示すシグナルとして重視される。日本では,日本銀行が都市銀行などの所有する手形を期限前に買い取ったり(再割引),債券等を担保に貸出しを行うことを通じ,市中に資金を供給する際に適用される基準レートが公定歩合である。具体的には,現在,(1)商業手形割引歩合,(2)輸出貿易手形割引歩合,(3)輸出貿易手形担保貸付利子歩合,(4)国債またはとくに指定する債券担保の貸付利子歩合,(5)その他のものを担保とする貸付利子歩合,(6)当座利子貸越歩合をさす。…
【国立銀行】より
… た だ , こ れ ら の 国 立 銀 行 は , 全 国 各 府 県 に 設 立 さ れ , し か も 県 都 を 中 心 に 散 在 し て い た た め , 地 方 に お け る 商 品 生 産 や 流 通 の 発 展 に 一 定 の 役 割 を 果 た し た 。 し か し , 国 立 銀 行 券 が 不 換 紙 幣 と 同 質 化 し , イ ン フ レ を 助 長 す る に 至 っ た た め , 政 府 は 紙 幣 整 理 に 着 手 し , 日 本 銀 行 設 立 ( 1 8 8 2 ) と 同 時 に 銀 行 券 の 発 行 を 日 銀 の み に 限 定 す る こ と と し , 83 年 に は 国 立 銀 行 条 例 を 再 改 正 し , 国 立 銀 行 は 開 業 後 満 20 年 の 間 に 普 通 銀 行 に 転 換 し , 国 立 銀 行 券 を 漸 次 消 却 す る こ と を 定 め た 。 こ の 結 果 , 99 年 2 月 の 第 百 五 十 三 銀 行 を 最 後 に 国 立 銀 行 は 姿 を 消 し た 。 …
【紙幣】より
… し か も 政 府 の 紙 幣 発 行 は 政 府 に と っ て 安 易 な 財 源 調 達 法 で あ り , 事 実 , 歴 史 的 に み て も そ の 発 行 は 過 剰 に な り , そ の 結 果 , 金 貨 と の 間 に 紙 幣 の 減 価 が 生 じ , イ ン フ レ ー シ ョ ン の 発 生 を 招 く こ と に な っ た 。 現 在 日 本 で 現 金 通 貨 と し て 流 通 し て い る の は 日 本 銀 行 券 と 補 助 貨 幣 だ け で あ っ て , 政 府 紙 幣 は 発 行 さ れ て い な い 。 た だ , 補 助 貨 幣 は 政 府 が 発 行 す る 鋳 貨 で あ る が , 素 材 価 値 は 低 く 小 口 の 支 払 手 段 と し て 用 い ら れ , 実 質 的 に は 政 府 紙 幣 で あ る 。 …
【中央銀行】より
… 今 日 の 世 界 各 国 に は , そ れ ぞ れ の 金 融 組 織 の 中 核 と し て 金 融 調 節 を 行 い , 金 融 政 策 の 運 営 を 担 当 す る 単 一 の 銀 行 , す な わ ち 中 央 銀 行 が 存 在 し て い る 。 具 体 的 に は , ア メ リ カ の 連 邦 準 備 制 度 , イ ギ リ ス の イ ン グ ラ ン ド 銀 行 , フ ラ ン ス の フ ラ ン ス 銀 行 , ド イ ツ の ド イ ツ 連 邦 銀 行 ( ブ ン デ ス バ ン ク ) , そ し て 日 本 の 日 本 銀 行 な ど で あ る 。 現 存 す る 中 央 銀 行 の な か で 最 も 古 い の は ス ウ ェ ー デ ン 国 立 銀 行 ( 1 6 6 8 設 立 ) で あ る が , 今 日 み ら れ る よ う な 典 型 的 な 中 央 銀 行 制 度 の 確 立 過 程 に お い て 最 も 大 き な 貢 献 を し た の は イ ン グ ラ ン ド 銀 行 ( 1 6 9 4 設 立 ) で あ っ た 。 …
【発券銀行】より
…銀行券を発行する銀行。銀行券はかつては同一の国内で複数の銀行により発行されたこともあるが,金融制度の発達に伴って中央銀行が設立されると,しだいに[中央銀行]による発行が主体となり,現在では日本の日本銀行をはじめ中央銀行が独占的に発行しているのが普通である。したがって,発券銀行という言葉は中央銀行の銀行券発行という機能に着目した呼称ということができる。…
※「日本銀行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」