デジタル大辞泉 「由」の意味・読み・例文・類語 よし【由/▽因】 ︽動詞﹁寄す﹂の名詞化で、物事と関係づけていくことの意︾ 1 物事が起こった理由。わけ。また、いわれ。来歴。由(ゆい)緒(しょ)。﹁事の―を伝える﹂﹁―ありげな寺院﹂ 2 そうするための方法。手段。手だて。また、かこつける方法。口実。﹁知る―もない﹂﹁会う―もない﹂ 3 物事の内容。事の趣旨。むね。﹁この―をお伝えください﹂ 4 伝え聞いた事情。間接的に聞き知ったこと。﹁御病気の―承りました﹂ 5 それらしく見せかけること。体裁をつくること。また、表面にあらわれたようす。体裁。格好。 ﹁所々うちおぼめき、よく知らぬ―して﹂︿徒然・七三﹀ 6 風情。趣。また、教養。 ﹁きよげなる屋廊などつづけて、木立いと―あるは﹂︿源・若紫﹀ [類語]理由・訳・いわれ・ゆえん・故・曰く・事由・所由・事情・諸事情・根拠・意味・原因・故(ゆえ)由(よし)・事(こと)訳(わけ)・訳(わけ)合い・訳(わけ)柄(がら)・子細 ゆ︻由︼﹇漢字項目﹈ ﹇音﹈ユ︵呉︶ ユウ︵イウ︶︵漢︶ ユイ︵慣︶ ﹇訓﹈よし よる ﹇学習漢字﹈3年 ︿ユ﹀ 1 そこから出てくる。通ってくる。﹁由来/経由﹂ 2 ある事柄の生じたわけ。いわれ。﹁由縁/来由﹂ ︿ユウ﹀ 1 そこから出てくる。よる。﹁自由﹂ 2 わけ。いわれ。﹁因(いん)由(ゆう・いんゆ)・縁由・事由・理由﹂ ︿ユイ﹀わけ。いわれ。﹁由緒﹂ ﹇名のり﹈ただ・ゆき・より ゆう【由/油】[漢字項目] 〈由〉⇒ゆ〈油〉⇒ゆ ゆい【由】[漢字項目] ⇒ゆ 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「由」の意味・読み・例文・類語 よし【由・因・縁】 (一)〘 名詞 〙 ( ﹁寄(よ)す﹂と同根で、物事に関係づけていくことの意 ) (二)① 物事の起こった理由。由来。わけ。いわれ。 (一)[初出の実例]﹁故、猪手連の孫を娑婆連と曰ふ。其れ是の縁(ヨシ)なり﹂(出典‥日本書紀︵720︶推古一一年二月︵岩崎本平安中期訓︶) (三)② 物事の内容。事の趣旨。また、形式名詞のようにも用いる。こと。わけ。むね。儀。いきさつ。次第。 (一)[初出の実例]﹁願(こ)ふ、摩理勢を得(たまは)りて、其の所由(ヨシ)を推(かむか)へむと欲(おも)ふ﹂(出典‥日本書紀︵720︶舒明即位前︵北野本訓︶) (二)﹁鎌田の兵衛は、忠宗に向ひて酒をのみけるが、此のよしをききて﹂(出典‥平治物語︵1220頃か︶中) (四)③ 由緒ありげな家柄。また、その人たちの持つ美的感覚。情趣、風流、おくゆかしさ。→由有り。 (一)[初出の実例]﹁円融院の御世より参りたりける人の、いといみじく神さび、古めいたるけはひの、いとよし深く﹂(出典‥更級日記︵1059頃︶) (五)④ 関係があること。よすが。たよりどころ。つて。ゆかり。縁。 (一)[初出の実例]﹁早河の瀬にゐる鳥の縁(よし)を無み思ひてありし吾が児はもあれ﹂(出典‥万葉集︵8C後︶四・七六一) (六)⑤ かかわりを持つための方法。手段。てだて。すべ。→よしない︵由無︶。 (一)[初出の実例]﹁恋ふれども 逢ふ因(よし)を無み 大鳥の 羽易(はがひ)の山に 吾が恋ふる 妹はいますと 人の云へば﹂(出典‥万葉集︵8C後︶二・二一〇) (七)⑥ それを口実にすること。それをきっかけとして、物事を行なうこと。口実。きっかけ。機縁。機会。 (一)[初出の実例]﹁妹が門行き過ぎかねつひさかたの雨も降らぬか其を因(よし)にせむ﹂(出典‥万葉集︵8C後︶一一・二六八五) (二)﹁其の再会の縁由(ヨシ)となれるが為めに病其ものの悲む可きをも喜ばんずるまで﹂(出典‥不如帰︵1898‐99︶︿徳富蘆花﹀中) (八)⑦ それらしく見せること。そのようなそぶりを見せること。実質を伴わない、形ばかりのこと。しるし。かた。ふり。 (一)[初出の実例]﹁当座の恥辱をのがれむが為に、刀を帯する由あらはすといへども﹂(出典‥平家物語︵13C前︶一) (九)⑧ 伝え聞いた事柄であることを示すことば。…とのこと。 (一)[初出の実例]﹁むかしあまた有ける人の中に、虎の物語せしに、とらに追はれたる人ありて、独色を変じたるよし﹂(出典‥俳諧・曠野︵1689︶員外) 由の語誌 →﹁ゆえ︵故︶﹂の語誌 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内の由の言及 【ユリ】より …日本音楽における装飾的技法,あるいは,その旋律の称。揺,由里,淘とも書く。声にも楽器にも存在する。… ※「由」について言及している用語解説の一部を掲載しています。 出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」