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…これら族姓,人姓,部姓,人部姓,某姓は被支配階級に付与された姓であるが,そのうち族姓,人姓,某姓は被支配階級のなかでも比較的上層の人民に与えられた。ただし姓を与えられたのは良民だけで,賤民には姓が付与されず無姓のままにとどめられた。 このように姓は670年の庚午年籍以降,人民支配の制度として律令国家によって作りだされたものであり,戸籍の制度や良賤制という身分制度と不可分の関係にあった。…
…【阿部 謹也】
[中国]
中国においては,古くから血統あるいは職業などによって区別される身分制度が存在した。具体的な例をあげていえば,良民と賤民,士人と庶人,士農工商の四民などである。良民には士人と庶人が属し,自由民であるが,士人は上級自由民,庶人は農工商の民で,下級の自由民であった。…
…養老令の規定では,賤民に陵戸(りようこ),官戸(かんこ),家人(けにん),官奴婢(ぬひ)(公奴婢),私奴婢の5種があり(五色の賤),それぞれ同一身分内部で婚姻しなければならないという当色婚の制度が定められていたが,このうち陵戸は大宝令では雑戸(ざつこ)の一種としてまだ賤とはされていなかった可能性が強い。雑戸は品部(しなべ)とともに前代の部民(べみん)の一部が律令制下になお再編・存続させられ,それぞれ特定の官司に隷属して特殊な労役に従事させられたもので,そのため身分上は良民でありながら,社会的に一般公民とは異なる卑賤な存在として意識された。治部省被官の諸陵司(のち諸陵寮)に隷属した陵戸も,本来良民に属するものでありながらいち早く同様の経過をたどり,養老律令の編纂時には明確に賤として位置づけられるに至ったと考えられる。…
※「良民」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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