「関門トンネル (国道2号)」の版間の差分
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== 概要 == |
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[[関門海峡]]の海面下に掘削され、[[西日本高速道路]][[西日本高速道路九州支社|九州支社]]が管理する[[有料道路]]のトンネルである。鉄道用の[[関門トンネル (山陽本線)|関門(鉄道)トンネル]](山陽本線)、[[新関門トンネル]]([[山陽新幹線]])と並び、関門海峡(早鞆の瀬戸)の海底下で貫通する3本のトンネルのうちのひとつで、同海峡の道路用トンネルとしては唯一である{{sfn|ロム・インターナショナル(編)|2005|p=87}}。 |
[[関門海峡]]の海面下に掘削され、[[西日本高速道路]][[西日本高速道路九州支社|九州支社]]が管理する[[有料道路]]のトンネルである。鉄道用の[[関門トンネル (山陽本線)|関門(鉄道)トンネル]](全長3.6 km, 山陽本線)、[[新関門トンネル]](同18.7 km, [[山陽新幹線]])と並び、関門海峡(早鞆の瀬戸)の海底下で貫通する3本のトンネルのうちのひとつで、同海峡の道路用トンネルとしては唯一である{{sfn|ロム・インターナショナル(編)|2005|p=87}}。 |
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[[1958年]](昭和33年)に開通し、徒歩でも通行できる人道トンネルも併設されている{{sfn|ロム・インターナショナル(編)|2005|p=87}}。日本道路公団等民営化関係法施行法第26条により、通行料金は[[維持管理有料制度]]を根拠として徴収されていることから、料金の徴収期限は高速道路とは別の規定で、[[2025年]](令和7年)9月30日までとなっている。 |
[[1958年]](昭和33年)に開通し、徒歩でも通行できる人道トンネルも併設されている{{sfn|ロム・インターナショナル(編)|2005|p=87}}。日本道路公団等民営化関係法施行法第26条により、通行料金は[[維持管理有料制度]]を根拠として徴収されていることから、料金の徴収期限は高速道路とは別の規定で、[[2025年]](令和7年)9月30日までとなっている。 |
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関門海峡を貫いて本州と九州を結ぶトンネルは、[[1942年]]([[昭和]]17年)に[[関門トンネル (山陽本線)|関門鉄道トンネル]]が先に開通していた<ref name="浅井2001">{{Cite book |和書 |author=浅井建爾 |edition= 初版|date=2001-11-10 |title=道と路がわかる辞典 |publisher=[[日本実業出版社]] |isbn=4-534-03315-X |ref=harv|page=240}}</ref>。 |
関門海峡を貫いて本州と九州を結ぶトンネルは、[[1942年]]([[昭和]]17年)に[[関門トンネル (山陽本線)|関門鉄道トンネル]]が先に開通していた<ref name="浅井2001">{{Cite book |和書 |author=浅井建爾 |edition= 初版|date=2001-11-10 |title=道と路がわかる辞典 |publisher=[[日本実業出版社]] |isbn=4-534-03315-X |ref=harv|page=240}}</ref>。 |
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[[1938年]](昭和13年)9月22日、[[内務省 (日本)|内務省]]は、関門国道トンネル工事を[[1939年]](昭和14年)度から4ヶ年計画で着工することを決定した。1939年5月12日、起工式。道路のトンネルは、関門海峡の最狭部である[[早鞆瀬戸]]の下に建設されることになり、鉄道より遅れた[[1937年]](昭和12年)に試掘導坑の掘削を開始し<ref name="浅井2001"/>1939年に完了。同年、本坑掘削に着工し[[1944年]](昭和19年)12月に貫通したが、トンネルの掘削に適さない地質であったことや、[[第二次世界大戦]]の勃発で資材不足に陥り、相次ぐ戦災で[[1945年]](昭和20年)6月ないしは7月に工事を中断するなど、工事は困難を極めた<ref name="浅井2001"/>。 |
[[1938年]]︵昭和13年︶9月22日、[[内務省 (日本)|内務省]]は、関門国道トンネル工事を[[1939年]]︵昭和14年︶度から4ヶ年計画で着工することを決定した。1939年5月12日、起工式。道路のトンネルは、関門海峡の最狭部である[[早鞆瀬戸]]の下に建設されることになり、鉄道より遅れた[[1937年]]︵昭和12年︶[[5月14日]]に試掘導坑の掘削を開始し<ref name="浅井2001"/><ref>﹃富山地方鉄道五十年史﹄︵1983年3月28日、富山地方鉄道株式会社発行︶893頁。</ref>1939年に完了。同年、本坑掘削に着工し[[1944年]]︵昭和19年︶12月に貫通したが、トンネルの掘削に適さない地質であったことや、[[第二次世界大戦]]の勃発で資材不足に陥り、相次ぐ戦災で[[1945年]]︵昭和20年︶6月ないしは7月に工事を中断するなど、工事は困難を極めた<ref name="浅井2001"/>。
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その後、[[1952年]](昭和27年)に[[道路整備特別措置法]]による有料道路としての工事を再開し、着工から21年の歳月をかけて[[1958年]](昭和33年)3月9日に開通した<ref name="浅井2001"/>。総工費は当時の金額で約57億円である。海底道路トンネルの誕生は、本州から九州まで徒歩でも渡れるという話題性から全国から観光客が集まり、散歩を楽しんだといわれる<ref name="浅井2001"/>。 |
その後、[[1952年]](昭和27年)に[[道路整備特別措置法]]による有料道路としての工事を再開し、着工から21年の歳月をかけて[[1958年]](昭和33年)3月9日に開通した<ref name="浅井2001"/>。総工費は当時の金額で約57億円である。海底道路トンネルの誕生は、本州から九州まで徒歩でも渡れるという話題性から全国から観光客が集まり、散歩を楽しんだといわれる<ref name="浅井2001"/>。 |
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海底部の780 m間は真円断面の上3分の2程度が[[#車道|車道]](原付通行止)、下3分の1程度が[[#人道|人道]]の2層構造になっている。前後のアプローチ部は車道のみの構造となっており、この間に歩道はない。そのため、車道を通行できない[[歩行者]]・[[軽車両]]・[[原動機付自転車]]は別のルート(人道/後述)を迂回するよう案内看板が掲出されている。 |
海底部の780 m間は真円断面の上3分の2程度が[[#車道|車道]](原付通行止)、下3分の1程度が[[#人道|人道]]の2層構造になっている。前後のアプローチ部は車道のみの構造となっており、この間に歩道はない。そのため、車道を通行できない[[歩行者]]・[[軽車両]]・[[原動機付自転車]]は別のルート(人道/後述)を迂回するよう案内看板が掲出されている。 |
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かつては、本州側の人道出入口付近に下関PA、九州側の車道入口付近に[[門司パーキングエリア|門司PA]]が設置されていたが、[[2006年]]︵平成18年︶[[2月28日]]に廃止されている。ただし、下関PAがあった場所は現在、 |
かつては、本州側の人道出入口付近に下関PA、九州側の車道入口付近に[[門司パーキングエリア|門司PA]]が設置されていたが、[[2006年]]︵平成18年︶[[2月28日]]に廃止されている。ただし、下関PAがあった場所は現在、NEXCO西日本が運営する関門トンネルに関する資料展示施設の[[関門プラザ]]となっている。
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=== 車道 === |
=== 車道 === |
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料金所は下関・門司の両側にあり、それぞれ流入車からトンネルの手前で料金を徴収している。NEXCO西日本が管理する有料道路にもかかわらず[[ETC]]は設置されておらず、有人料金所での対面徴収を継続している。これについて、NEXCO西日本では[[西日本新聞]]の取材に対し「料金精算時に一時停止させることで(2箇所の料金所ブースから)片側1車線のトンネルに流入する際の事故防止につながる」と説明している<ref>{{Cite news|url=https://www.nishinippon.co.jp/item/n/530879/|title=なぜ?関門トンネル、ETC未設置の謎 西日本高速「事故防止につながる」|newspaper=西日本新聞|date=2019-07-29|accessdate=2022-04-29}}</ref>。 |
料金所は下関・門司の両側にあり、それぞれ流入車からトンネルの手前で料金を徴収している。NEXCO西日本が管理する有料道路にもかかわらず[[ETC]]は設置されておらず、有人料金所での対面徴収を継続している。これについて、NEXCO西日本では[[西日本新聞]]の取材に対し「料金精算時に一時停止させることで(2箇所の料金所ブースから)片側1車線のトンネルに流入する際の事故防止につながる」と説明している<ref>{{Cite news|url=https://www.nishinippon.co.jp/item/n/530879/|title=なぜ?関門トンネル、ETC未設置の謎 西日本高速「事故防止につながる」|newspaper=西日本新聞|date=2019-07-29|accessdate=2022-04-29}}</ref>。 |
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地上部と海底部の境目には[[非常口]]があるが、他の道路トンネルと異なり、後述の[[非常階段]]に直結しているため、[[退避]]坑は設置されていない。 |
地上部と海底部の境目には[[非常口]]があるが、他の道路トンネルと異なり、後述の[[避難階段|非常階段]]に直結しているため、[[退避]]坑は設置されていない。 |
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[[道路法]]で定められた[[自動車専用道路|自動車専用]]の[[水底トンネル]]となっているため、[[タンクローリー]]などの[[危険物]]積載車両は通行できない。 |
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リフレッシュ工事などにより通行止めが長期にわたる場合は[[関門橋]](関門自動車道)が迂回路とされ、関門橋が関門トンネルと同額で通行できる特例措置がとられる。ただし、事故などの一時的な通行止めの際は、この特例措置は適用されない。 |
リフレッシュ工事などにより通行止めが長期にわたる場合は[[関門橋]](関門自動車道)が迂回路とされ、関門橋が関門トンネルと同額で通行できる特例措置がとられる。ただし、事故などの一時的な通行止めの際は、この特例措置は適用されない。 |
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:* 起点:山口県下関市椋野町2丁目 |
:* 起点:山口県下関市椋野町2丁目 |
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:* 終点:福岡県北九州市[[門司区]]東門司一丁目 |
:* 終点:福岡県北九州市[[門司区]]東門司一丁目 |
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:* 距離:3,461 m(うち海底部分780 m){{efn|距離表記の[[看板]]も開通当初からある石彫りの[[銘板]]「長さ 3461M」となっているため、[[1980年代]]以降に開通および同年代以降も引き続き管理する[[日本道路公団]]→[[NEXCO]]が管理する有料道路としては珍しく、公団様式の距離看板は設置されていない。}} |
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:* 距離:3,461 m(うち海底部分780 m) |
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;料金 |
;料金 |
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:2006年(平成18年)4月1日、維持および修繕に要する費用を勘案した料金に見直され、値下げとなった。 |
:2006年(平成18年)4月1日、維持および修繕に要する費用を勘案した料金に見直され、値下げとなった。 |
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:※50cc以下の[[原動機付自転車]]は通行できないため、人道を利用する(後述)。 |
:※50cc以下の[[原動機付自転車]]は通行できないため、人道を利用する(後述)。 |
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ETCが導入されていないことへの代替措置に加え、地域[[住民]]の利用が多いことへの配慮もあり、2024年現在もNEXCO西日本管轄の有料道路としては唯一、[[回数券]]の販売を継続している<ref>[https://www.w-nexco.co.jp/etc/ticket/ 回数券︵販売・払い戻し︶] NEXCO西日本、2023年1月16日閲覧。</ref>。券種は各車種に対して、11回券︵価格は10回分︶、60回券︵価格は50回分︶、100回券︵価格は80回分︶の3種類が存在する<ref>{{PDFLink|[https://www.w-nexco.co.jp/etc/ticket/pdfs/kanmon.pdf 回数券取扱一覧 ︵価格表︶]}} NEXCO西日本、令和3年4月1日現在︵2023年1月16日閲覧︶。</ref>。
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=== 交通量 === |
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=== 試掘導坑 === |
=== 試掘導坑 === |
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1939年(昭和14年)に掘削された1,008 mの試験導坑(パイロットトンネル)は、そのまま現 |
1939年(昭和14年)に掘削された1,008 mの試験導坑(パイロットトンネル)は、そのまま現行トンネルの[[水抜き]]坑として[[流用]]されている。 |
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海底トンネルの特殊性を考慮し、4本の換気縦坑の最低部に設けられたポンプ室を通じて、地上に排出され、最終的には関門海峡に放水される。トンネル湧水は岩盤亀裂の多い下関側で多く生じているが、下関側・門司側の双方から排出されているという。この排水は岩盤で濾過されているため水質がよく、また適度な塩分を含んでいることから「いけす用の海水として使いたい」などという要望があり、下関方の人道出入口に併設された「[[関門プラザ]]」において無料で汲めるようになっている<ref name="fukunaga"/><ref name="nishinippon">[https://www.nishinippon.co.jp/item/n/485125/ 【きょうのテーマ】九州と本州 海底で結ぶ 関門トンネル]、西日本新聞(2019年2月7日、2022年2月23日閲覧)</ref>。 |
海底トンネルの特殊性を考慮し、4本の換気縦坑の最低部に設けられたポンプ室を通じて、地上に排出され、最終的には関門海峡に放水される。トンネル湧水は岩盤亀裂の多い下関側で多く生じているが、下関側・門司側の双方から排出されているという。この排水は岩盤で濾過されているため水質がよく、また適度な塩分を含んでいることから「[[いけす]]用の[[海水]]として使いたい」などという要望があり、下関方の人道出入口に併設された「[[関門プラザ]]」において無料で汲めるようになっている<ref name="fukunaga"/><ref name="nishinippon">[https://www.nishinippon.co.jp/item/n/485125/ 【きょうのテーマ】九州と本州 海底で結ぶ 関門トンネル]、西日本新聞(2019年2月7日、2022年2月23日閲覧)</ref>。 |
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== 接続道路 == |
== 接続道路 == |
2024年3月29日 (金) 13:09時点における最新版
門司側車道出入口 | |
概要 | |
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位置 | 関門海峡 |
座標 | 北緯33度57分48.6秒 東経130度57分33.6秒 / 北緯33.963500度 東経130.959333度 |
現況 | 供用中 |
所属路線名 |
![]() |
起点 | 山口県下関市椋野町 |
終点 | 福岡県北九州市門司区 |
運用 | |
開通 | 1958年3月9日 |
所有 | 国土交通省 |
管理 | 西日本高速道路九州支社 |
通行対象 | 自動車(危険物積載車両は通行禁止)・歩行者 |
通行料金 | 記事内解説 |
技術情報 | |
全長 | 3,461 m(車道) |
道路車線数 | 片側1車線 |
設計速度 | 60 km/h(規制速度 : 40 km/h) |
最低部 | -56 m(車道)-58 m(歩道) |
概要[編集]
関門海峡の海面下に掘削され、西日本高速道路九州支社が管理する有料道路のトンネルである。鉄道用の関門︵鉄道︶トンネル︵全長3.6 km, 山陽本線︶、新関門トンネル︵同18.7 km, 山陽新幹線︶と並び、関門海峡︵早鞆の瀬戸︶の海底下で貫通する3本のトンネルのうちのひとつで、同海峡の道路用トンネルとしては唯一である[1]。 1958年︵昭和33年︶に開通し、徒歩でも通行できる人道トンネルも併設されている[1]。日本道路公団等民営化関係法施行法第26条により、通行料金は維持管理有料制度を根拠として徴収されていることから、料金の徴収期限は高速道路とは別の規定で、2025年︵令和7年︶9月30日までとなっている。 山口県と福岡県の県境は、関門海峡の海面下56 m︵車道︶ないし58 m︵人道︶にある。歴史[編集]
関門海峡を貫いて本州と九州を結ぶトンネルは、1942年︵昭和17年︶に関門鉄道トンネルが先に開通していた[2]。 1938年︵昭和13年︶9月22日、内務省は、関門国道トンネル工事を1939年︵昭和14年︶度から4ヶ年計画で着工することを決定した。1939年5月12日、起工式。道路のトンネルは、関門海峡の最狭部である早鞆瀬戸の下に建設されることになり、鉄道より遅れた1937年︵昭和12年︶5月14日に試掘導坑の掘削を開始し[2][3]1939年に完了。同年、本坑掘削に着工し1944年︵昭和19年︶12月に貫通したが、トンネルの掘削に適さない地質であったことや、第二次世界大戦の勃発で資材不足に陥り、相次ぐ戦災で1945年︵昭和20年︶6月ないしは7月に工事を中断するなど、工事は困難を極めた[2]。 その後、1952年︵昭和27年︶に道路整備特別措置法による有料道路としての工事を再開し、着工から21年の歳月をかけて1958年︵昭和33年︶3月9日に開通した[2]。総工費は当時の金額で約57億円である。海底道路トンネルの誕生は、本州から九州まで徒歩でも渡れるという話題性から全国から観光客が集まり、散歩を楽しんだといわれる[2]。-
下関側にある関門隧道建設の碑
-
門司側にある 慰霊碑
施設概要[編集]
車道[編集]
本州側は下関ICと繋がっており、国道2号本線および山口県道258号武久椋野線と接続している。本州側のアクセス道路が下関ICと一体化している関係で複雑な構造となっているが、下関ICの主たる接続道路である山口県道57号下関港線とは直接接続していない。一方、九州側は国道2号本線と接続しており︵300 m先の老松公園交差点が国道2号と国道3号の接続点︶、福岡県道72号黒川白野江東本町線と間接接続している。 料金所は下関・門司の両側にあり、それぞれ流入車からトンネルの手前で料金を徴収している。NEXCO西日本が管理する有料道路にもかかわらずETCは設置されておらず、有人料金所での対面徴収を継続している。これについて、NEXCO西日本では西日本新聞の取材に対し﹁料金精算時に一時停止させることで︵2箇所の料金所ブースから︶片側1車線のトンネルに流入する際の事故防止につながる﹂と説明している[4]。 地上部と海底部の境目には非常口があるが、他の道路トンネルと異なり、後述の非常階段に直結しているため、退避坑は設置されていない。 道路法で定められた自動車専用の水底トンネルとなっているため、タンクローリーなどの危険物積載車両は通行できない。 リフレッシュ工事などにより通行止めが長期にわたる場合は関門橋︵関門自動車道︶が迂回路とされ、関門橋が関門トンネルと同額で通行できる特例措置がとられる。ただし、事故などの一時的な通行止めの際は、この特例措置は適用されない。 トンネルポータルは地域の特色を現した意匠となっており、フグが口を開けた絵が描かれている。換気方式は横流換気方式を採用している︵後述︶。 要目 ●起点‥山口県下関市椋野町2丁目 ●終点‥福岡県北九州市門司区東門司一丁目 ●距離‥3,461 m︵うち海底部分780 m︶[注釈 1] 料金 2006年︵平成18年︶4月1日、維持および修繕に要する費用を勘案した料金に見直され、値下げとなった。 人道を除き、クレジットカードは料金所係員への手渡しで利用できるが、ETCはETCコーポレートカードの手渡し利用以外は利用できない。 ●普通車‥160円 ●中型車‥210円 ●大型車‥260円 ●特大車‥420円 ●軽自動車等‥110円 ●125cc以下の自動二輪車‥20円 ※50cc以下の原動機付自転車は通行できないため、人道を利用する︵後述︶。 ETCが導入されていないことへの代替措置に加え、地域住民の利用が多いことへの配慮もあり、2024年現在もNEXCO西日本管轄の有料道路としては唯一、回数券の販売を継続している[5]。券種は各車種に対して、11回券︵価格は10回分︶、60回券︵価格は50回分︶、100回券︵価格は80回分︶の3種類が存在する[6]。交通量[編集]
24時間交通量︵台︶ 道路交通センサス区間 | 平成17(2005)年度 | 平成22(2010)年度 | 平成27(2015)年度 |
---|---|---|---|
下関料金所 - 門司料金所 | 34,017 | データなし(※) | 28,397 |
(出典:「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
(※)平成22年度はリフレッシュ工事のため、調査されなかった。
人道[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/22/%E9%96%A2%E9%96%80%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E4%BA%BA%E9%81%93%E4%B8%8B%E9%96%A2%E5%81%B4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9202309.jpg/220px-%E9%96%A2%E9%96%80%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E4%BA%BA%E9%81%93%E4%B8%8B%E9%96%A2%E5%81%B4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9202309.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d0/%E9%96%A2%E9%96%80%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B6%E5%85%A8%E6%99%AF202309.jpg/220px-%E9%96%A2%E9%96%80%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B6%E5%85%A8%E6%99%AF202309.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c5/%E9%96%A2%E9%96%80%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB_%E7%9C%8C%E5%A2%83.jpg/220px-%E9%96%A2%E9%96%80%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB_%E7%9C%8C%E5%A2%83.jpg)
試掘導坑[編集]
1939年︵昭和14年︶に掘削された1,008 mの試験導坑︵パイロットトンネル︶は、そのまま現行トンネルの水抜き坑として流用されている。 海底トンネルの特殊性を考慮し、4本の換気縦坑の最低部に設けられたポンプ室を通じて、地上に排出され、最終的には関門海峡に放水される。トンネル湧水は岩盤亀裂の多い下関側で多く生じているが、下関側・門司側の双方から排出されているという。この排水は岩盤で濾過されているため水質がよく、また適度な塩分を含んでいることから﹁いけす用の海水として使いたい﹂などという要望があり、下関方の人道出入口に併設された﹁関門プラザ﹂において無料で汲めるようになっている[11][12]。接続道路[編集]
施設名 | 接続路線名 | 大阪から (km) |
備考 | 所在地 |
---|---|---|---|---|
国道2号 広島・山口方面 | ||||
下関料金所 | 県道258号武久椋野線 | 山口県 下関市 | ||
下関側人道出入口 関門プラザ(旧下関PA) |
国道9号 | 車道部とは接続せず | ||
門司側人道出入口 | 県道261号門司東本町線 | 車道部とは接続せず | 福岡県 北九州市 門司区 | |
門司PA | 2006年2月28日廃止 | |||
門司料金所 | ||||
国道2号(国道3号接続) 福岡・小倉北方面 |
リフレッシュ工事[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7d/Kanmon_Tunnel_Bus_2009.jpg/220px-Kanmon_Tunnel_Bus_2009.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/75/Kanmon_Tunnel_Truck_2009.jpg/220px-Kanmon_Tunnel_Truck_2009.jpg)