![ポストコロナの観光と観光人類学/シノドス・オープンキャンパス05 / 市野澤潤平 - SYNODOS](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/6ae0ba9af81e25905edadc2815c730364795e813/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fsynodos.jp%2Fwp2%2Fwp-content%2Fuploads%2F2024%2F06%2Fcastle-6708761_640.jpg)
少子化傾向は「反転」するか?(その1):出生率をめぐる「不都合な真実」 中里透 マクロ経済学・財政運営 社会 昨年(2023年)の出生率は既往最低の1.20となった(厚生労働省「令和5年人口動態統計月報年計(概数)の概況」による速報値)。低下はこれで8年連続となる。これをうけて新聞には少子化対策のなお一層の充実などを求めるコメントが数多く並んだ。少子化と人口減少への対応は喫緊の課題である。 もっとも、残念なことに、少子化をめぐる議論にはともすると不思議な話が紛れ込む。「女性の就業率が高まると出生率が上がる」「出生率の低い東京に多くの若者が集まると少子化がますます進む」がその典型例だ(なぜこれが不思議な話なのかということについては後述)。 少子化対策を子育て支援の充実と同視する見方にも一定の留保が必要かもしれない。この30年ほどの出生率の低下には、未婚率の上昇が大きな影響をもたらしているから
現在、政府は、「証拠に基づく政策立案」として、EBPM(Evidence Based Policy Making)を推進しており、正しい情報やエビデンスに基づいた政策の議論が重要となってきている。 このような状況のなか、この関係で筆者が気になっているのは、政府関係者や民間有識者らで構成する「人口戦略会議」が、2024年4月24日に公表したレポート(『地方自治体「持続可能性」分析レポート』)である。人口戦略会議のメンバーのリストには、議長(日本製鉄名誉会長)の三村明夫氏や、副議長(日本郵政㈱代表執行役社長)の増田寛也氏、内閣官房参与の山崎史郎氏、元日銀総裁(青山学院大学特別招聘教授)の白川方明氏など、錚々たる顔ぶれが並ぶ。このため、この団体からの情報発信は強力なパワーをもち、マスコミにも相当な影響力がある。 このような構図のなか、今回のレポートでは、出生率が低い一方、域内人口の増加分を他地域
つい最近まで、社会保障の議論では「2025年問題」ということが現実の問題として頻繁にとりあげられた。これは「団塊の世代が75歳に到達する2022年から2025年にかけて、社会保障費が急増する」という話だ。 だが、2025年を翌年に控えた今(2024年)、このフレーズを見かける機会はほとんどない。「2025年にかけて社会保障費が急増する」という話が錯覚や思い込みでしかないことが、実際のデータから明らかになったからだ(なぜこのような錯覚が生じたのかという点については、2018年に公表された下記レポートをご覧ください。 「190兆円の社会保障費をどのようにとらえるか-「2025年問題」の虚像と実像」(ニッセイ基礎研)[https://www.nli-research.co.jp/files/topics/58888_ext_18_0.pdf?site=nli])。 このような経緯があるにもかかわ
はじめに――都市論とは何か? 都市論とは何か?――それが扱う中身とともに、そこに含まれるニュアンスを初学者に簡潔に伝えるのは、やや難しいところです。が、とりあえず、互いに近い分野である「都市社会学」と「都市論」の違いから考えてみましょう。都市社会学は、社会学のひとつの分野で、都市をフィールドとして生じる社会現象を実証的に扱う学問分野です。具体的なトピックとしては、コミュニティ、ネットワーク、階層、エスニシティ、等々があげられます。それに対して都市論は、社会学のみならず、地理学、都市計画、建築、都市史、現代思想、メディア論、美学、文学、等々、さまざまな分野の知見を参照しながら、都市という領域それ自体の現在的特性を批評的に扱う言説分野です。 ……と、いきなり辞書的に抽象的な話をしてもわかりにくいですよね。もう少し具体的な話をしましょう。たとえば「中華料理」というお題について、都市社会学と都市論
ハマス・ヒズボラ「抵抗の枢軸」とは何か――中東における親イラン勢力の成り立ちと動向 溝渕正季 中東地域研究・国際安全保障論 国際 #安全保障をみるプリズム 21世紀において、イラン・イスラム共和国ほど、その戦略的目的のために国外の非国家武装勢力を活用することに成功した国家は他に例を見ない。レバノン、シリア、イラク、イエメン、そしてパレスチナ占領地で展開される紛争において、イランの支援を受けた勢力は、同国が国境を越えて政治的影響力を行使し、地域の敵対者たちに対して優位性を確保する上で大きな役割を果たしている。 1979年の革命以降、イランにとって最大の脅威は米国および地域におけるその同盟勢力(主にイスラエルとペルシャ湾岸諸国)であった。イランのアリー・ハメネイ最高指導者は2014年6月、支持者たちを前に「われわれは世界的な傲慢勢力による挑戦に直面している。率直に言おう。問題は米国が引き起こし
このところ、マイナス金利の解除をめぐる議論が活発に行われている。マイナス金利を続けながら、円安の行き過ぎを懸念して為替介入をするというのは平仄が合わないから、日銀当座預金に対するマイナスの付利を適切な形で見直すというのはおかしなことではない。 もっとも、「急いては事を仕損ずる」という場合もある。2000年8月に行われたゼロ金利政策の解除がその典型例だ。物価の情勢がまだ十分に見通せない中、デフレ懸念の払拭が展望できるようになったとしてゼロ金利を解除したものの、ITバブル崩壊の影響もあって景気が悪化。物価下落の圧力が高まったとして2001年2月に公定歩合の引き下げが行われ、3月には量的緩和という形で事実上のゼロ金利政策に復帰せざるを得なくなった。 この点からは、景気と物価の状況を慎重に見極めて、誤りのない判断をしていくことが必要になる。海外景気に下振れのリスクがあることを踏まえれば、なおさらだ
性暴力と闘った彼女はイランの人権問題を国際社会に晒し、闘う女性の象徴となった 鐙麻樹 北欧・国際比較文化ジャーナリスト、写真家 文化 2014年、イランで処刑されたある女性の名前が世界中でニュースとなって駆け巡った。当時19歳だったレイハネ・ジャバリさんは元情報省職員のイラン人男性に性暴力を受け、正当防衛で刺したと主張していた。適切な捜査は行われないまま、拷問を受け独房へと入れられた。家族や支援者たちは彼女の死刑を防ぐために、国際社会にイランで何が起こっているかを呼び掛けながら、必死の抵抗活動を続けた。しかし、その努力もむなしく、ジャバリさんの命は絶たれた。ドキュメンタリー映画『Seven Winters in Tehran』(2023/テヘランでの7つの冬)は、事件が起きて死刑執行がされるまでの母親と家族たちの証言を基とした7年間の記録だ。 Photo: Seven Winters in
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